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兄様も女を献上するなと教徒に釘を刺した

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「さて、皆に集まってもらったのは他でもない」

兄様が珍しく、来られるだけの教徒をお寺の内外から集めて集会室的なお部屋にたくさん入れた。

その光景は圧巻。

こんなに集まるなんて、パラディース教はすごいなぁと兄様の横に座って呑気に考えていた。

ちなみに兄様がここまでして教徒を集めたのは、もちろんいい加減に余計なお世話に嫌気がさしたからである。

「オレとキューに嫁や婿を勧めるのをやめてほしいからだ」

兄様の言葉に教徒たちがざわつく。

「特に、オレに娘を献上しようとするのはもうやめておくれ。オレはそんな結婚嫌だよ」

そりゃあ嫌だろう。

一部の教徒は納得顔で、一部の教徒は当てが外れたのか悔しそう。

「そうでなくても、オレは貴族じゃないんだから政略結婚もしないからね」

兄様にこうも釘を刺されたら、さすがにもう誰も嫁候補を立てようとはしないだろう。

「あと繰り返しになるが、オレがダメだからって今度はキューに婿を勧めるのもダメだから。キューの相手はオレと同等かそれ以上の男じゃないと認めないから」

兄様の言葉に全ての教徒がぎょっとする。

兄様のシスコンぶりにびっくりしたか、兄様と同等かそれ以上の男なんて無理ゲーだろと思ったか。

どっちもの人がほとんどだろうなぁ。

兄様の隣に座っている手前、顔には出さないようにしているけれど…私もだよ。

「ということで、これからは気をつけてね。じゃあこれで解散で」

兄様の言葉にその場はお開きになるけれど、教徒たちの不満やら疑問やらは多そう。

ただ最終的には、ゴッドリープ様のお決めになられたことだからで全部通ったみたいだけれど。

「兄様、あんな強引に…いいの?」

「キューのためなら多少強引になるさ」

「もう、兄様ったら」

あまりのシスコンぶりにくすくす笑う私に、兄様は優しく微笑む。

ボディーガードの彼と兄様の側仕えの彼は、何故かその光景を手を合わせて拝んでいた。

何故。
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