神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました

下菊みこと

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番外編 ムーンリットとクリンゲ

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「さて、そろそろ頃合いかな」

あの子はキューケンと結婚して、そろそろムーンリットへの怒りも沈静化した頃だろうと判断する。

ムーンリットも長い間親元へ戻れず、罰としてはもう十分だろう。

ムーンリットをそっと親元へ返す。

もちろん、封じていたムーンリットの声も返して。













「お父様、お母様…ただいま」

「ムーンリット…ああ、ムーンリット!!!」

「おかえり、おかえりなさいムーンリット!」

「うん…本当に、心配かけてごめんね。ただいま」

私はお狐様に解放されて、お父様とお母様の元へ戻ってきた。

それからは、家族で会えなかった時間を埋め合わせるように三人で身を寄せ合って暮らした。

私はお父様とお母様と会えただけで幸せで、お父様とお母様も毎日幸せそうに笑ってくれた。

生活に困ることもなく、穏やかな日々。

罪を犯した私だけれど、お狐様の罰と許しのおかげでやっと大切なものに気付けたから。

「…ゴッドリープ様、本当にごめんなさい。キューケン様もごめんなさい。どうか、幸せになってください」

今はそんな風に思えるようになった。

本当にごめんなさい。

そして、この言い方はちょっとだけ違うかもしれないけど…ありがとうございます。

本当に、今はこんな風に思えるようになってよかったと心から思うから。

出来ればこれからは、誰も傷つけずに生きていきたい。











「…うん、ムーンリットは大丈夫そうだね」

あの子も、あそこまで変わったムーンリットに追撃は今更しないだろう。

あとはクリンゲなのだけど。

「ぁ…」

「クリンゲ、ありがとう」

クリンゲはとても美しい娘だったのに、今ではもう見る影もない。

それでも僕の力でなんとか人の形を保っている。

クリンゲはそんな僕になぜか感謝してくれているようで、日々の世話をムーンリットとともにしてくれていた。

ムーンリットを親元に返した今は、クリンゲだけで世話をしてくれる。

別に、式神にやらせてもいいんだけど…クリンゲがやりたいならやらせてあげたい。

「うん、クリンゲの淹れてくれるお茶は美味しいね」

「ぁ…!!!」

術で言葉を封じたわけでもないのに、喋れないクリンゲ。

それでも僕が褒めると喜ぶ姿は可愛い。

「クリンゲ、ずっとここにいていいからね」

「ぅ…!」

こくこくと頷く姿も可愛い。

クリンゲは外で生きていくのはもう難しい。

自由はないが、この閉ざされた世界で寿命が尽きるまで匿ってあげよう。

「クリンゲ、ごめんね」

「ぅ…?」

可哀想には思うけれど。

キューケンを脅かすような罪を犯したのは間違いないからこれ以上は助けてあげられないから。

せめてこの閉ざされた世界で、幸せにおなり。
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