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番外編 二人で月見酒
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「旦那様、旦那様」
「どうしたの?キュー」
「今夜は月が綺麗でしょう?」
言われてふと見上げれば満月。
今年の冬は暖かいとはいえ、夜は冷えるが…上着を羽織れば、月見も悪くなさそうだ。
「そうだね、キュー。月見でもするかい?」
「うん、旦那様。それでね、あのね」
ソワソワするキューに何事かと思えば、キューがワクワクした表情で珍しい提案をしてくれた。
「月見酒してみたいの」
「月見酒か、いいね」
こんな月が綺麗な夜には、最高だろう。
「キューにも飲みやすい、甘い酒を用意させよう」
「兄様…じゃない、旦那様もお好きなお酒を飲んでね」
「ふふ、そうするよ」
言い間違いに少し頬を染めるキューに、軽くキスをする。
本当に、なにをしても可愛いのだから困る。
そんなキューのための甘い酒と、オレのための辛口の酒を用意させていざ月見酒と洒落込むことにした。
オレの部屋は窓から綺麗な月も覗ける。
キューを膝に乗せて酒を飲みながら、月をもう一度見上げた。
「綺麗だね、旦那様」
「そうだね、キュー」
本当に、綺麗な月夜だ。
けれど。
「どうして急に、月見酒なんて言い出したの?」
「うん、あのね、キューいいことを聞いたの」
「うん?」
「どこかのお国では、冬に月見酒をするとね、相手とずっと一緒にいられるんだって」
ずっと一緒にいるのは確定なんだけどね、なんとなくそういうおまじないもしてみたいなって。
そんな風に言って、照れたように微笑んで。
もう随分と前にオレの腕の中で女になったはずなのに、まだ幼いその子になんとも言えない感情が湧いた。
「…キューは狡い」
「え?」
「オレを簡単にこんな気持ちにさせるんだもの」
「???」
何もわかっていない様子のこの子の頬を軽く食む。
「旦那様?」
「食べてしまいたいほど可愛い」
「ええ?」
「どうしてこんなにも愛おしいんだろうね」
同じ色の少女。
血の繋がらない妹。
それだけであったはずの少女は、いつのまにやら精神的支柱となり。
やがて、最愛の番となった。
「…本当に、狡い」
永遠に、離してはやれない。
永遠に、縛り付けてしまいたい。
実際、もうこの子はオレなしでは生きていけないだろうけれど。
この子もオレと同じように、オレを愛してくれたのだから。
そこではたと気付いた。
「…いや、狡いのはオレか」
この子を離す気など一切ない、俺の方こそ狡いのか。
「…?うん、そうだよ」
何を当たり前のことを言っているのか、とキューがオレを見上げる。
「じゃあ狡いついでに、押し倒してもいい?」
「え?」
そっとキューがちびちびと飲んでいた酒を遠ざけて、敷いてある布団に小さな体を押し倒す。
「ね、今日も冷えるのだし二人で温め合おう」
「…ほら、やっぱり兄様の方が狡い」
ジト目で見られるが、キューが可愛いのが悪い。
そう言い訳して、月明かりの下で愛を確かめ合うことにした。
「どうしたの?キュー」
「今夜は月が綺麗でしょう?」
言われてふと見上げれば満月。
今年の冬は暖かいとはいえ、夜は冷えるが…上着を羽織れば、月見も悪くなさそうだ。
「そうだね、キュー。月見でもするかい?」
「うん、旦那様。それでね、あのね」
ソワソワするキューに何事かと思えば、キューがワクワクした表情で珍しい提案をしてくれた。
「月見酒してみたいの」
「月見酒か、いいね」
こんな月が綺麗な夜には、最高だろう。
「キューにも飲みやすい、甘い酒を用意させよう」
「兄様…じゃない、旦那様もお好きなお酒を飲んでね」
「ふふ、そうするよ」
言い間違いに少し頬を染めるキューに、軽くキスをする。
本当に、なにをしても可愛いのだから困る。
そんなキューのための甘い酒と、オレのための辛口の酒を用意させていざ月見酒と洒落込むことにした。
オレの部屋は窓から綺麗な月も覗ける。
キューを膝に乗せて酒を飲みながら、月をもう一度見上げた。
「綺麗だね、旦那様」
「そうだね、キュー」
本当に、綺麗な月夜だ。
けれど。
「どうして急に、月見酒なんて言い出したの?」
「うん、あのね、キューいいことを聞いたの」
「うん?」
「どこかのお国では、冬に月見酒をするとね、相手とずっと一緒にいられるんだって」
ずっと一緒にいるのは確定なんだけどね、なんとなくそういうおまじないもしてみたいなって。
そんな風に言って、照れたように微笑んで。
もう随分と前にオレの腕の中で女になったはずなのに、まだ幼いその子になんとも言えない感情が湧いた。
「…キューは狡い」
「え?」
「オレを簡単にこんな気持ちにさせるんだもの」
「???」
何もわかっていない様子のこの子の頬を軽く食む。
「旦那様?」
「食べてしまいたいほど可愛い」
「ええ?」
「どうしてこんなにも愛おしいんだろうね」
同じ色の少女。
血の繋がらない妹。
それだけであったはずの少女は、いつのまにやら精神的支柱となり。
やがて、最愛の番となった。
「…本当に、狡い」
永遠に、離してはやれない。
永遠に、縛り付けてしまいたい。
実際、もうこの子はオレなしでは生きていけないだろうけれど。
この子もオレと同じように、オレを愛してくれたのだから。
そこではたと気付いた。
「…いや、狡いのはオレか」
この子を離す気など一切ない、俺の方こそ狡いのか。
「…?うん、そうだよ」
何を当たり前のことを言っているのか、とキューがオレを見上げる。
「じゃあ狡いついでに、押し倒してもいい?」
「え?」
そっとキューがちびちびと飲んでいた酒を遠ざけて、敷いてある布団に小さな体を押し倒す。
「ね、今日も冷えるのだし二人で温め合おう」
「…ほら、やっぱり兄様の方が狡い」
ジト目で見られるが、キューが可愛いのが悪い。
そう言い訳して、月明かりの下で愛を確かめ合うことにした。
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