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目覚めた少年
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少年は、美味しそうな匂いで目を覚ます。
「…ここは?」
「よかった!目が覚めたんだね!」
ニノンは少年が目を覚ましたことに喜ぶ。
「えっと…」
「とりあえず、ウーロン茶をどうぞ!」
「う、うん」
少年はウーロン茶を飲み干した。
「あの、ここは…」
「無償食堂だよ。知ってる?」
サラがそう言えば少年は心底ホッとした表情を見せた。
「えっと、確か無料でご飯が食べられるところ」
「そうだよ!黄昏の森団の団長さんに許可も取ったからいっぱい食べていいよ!」
「うん、ありがとう…でも僕、たしか街で迷子になって…」
「倒れてたから怪我を癒して連れてきたの」
「迷惑だった?」
ニノンとサラがそう言えば、少年は慌てて首を振った。
「迷惑だなんて!…助かりました、ありがとうございます。えっと、そちらの皆さんも助けてくれたのかな。ありがとうございました」
「俺は見てただけだよ」
「俺も」
「僕は転移魔法で連れてきただけだしね」
「…転移魔法で!?」
転移魔法は一人で移動するにもかなりの魔力を消費する。それをこれだけの人数転移させるなんてよっぽどだと少年は驚く。
「まさか…三愚者様?」
「当たり。ガエルだよ」
「わあ…!」
少年はガエルにキラキラした眼差しを向けた。ガエルも悪い気はしない。
「それよりもほら。ご飯勝手に注文しておいたから、好きなものをお食べ。アレルギーとかはないかい?余ったのはこっちで食べるから心配しないで好きなだけ食べなさい」
「うん!」
憧れの存在に助けられて、すっかり元気になった少年はご飯を平らげる。さすがに、たくさん注文したので全部は食べられなかったがすごい量を食べた。
「さて。それで、君はどこの誰?助けは必要?」
「…助けてください」
「詳しく話せるかな?」
「…お父様とお母様と馬車で移動中、強盗に襲われて。お父様もお母様も命を落としました。僕も殺されそうだったけど、奴等がやっぱり奴隷として売ろうと言って捕らわれて」
「命からがら逃げ出してきたわけだ」
「…はい」
少年はガタガタと震える。恐怖を思い出してどうしようもなく、自分の身体を抱きしめた。ニノンはそんな少年の頭を撫でる。
「叔母が僕の倒れた街の近くにいるんです。叔母の屋敷まで連れて行って欲しくて」
「わかったよ。場所が分かれば転移魔法ですぐだ。あの辺りのお屋敷というと、ランメルト伯爵家かな?」
「は、はい!」
「じゃあ、食事も終わったところで送って行こうか」
こうしてニノン達は、少年を保護者の元へ送り届けた。そんな彼らの事情を把握していたルシアは、ニノン達の慈悲深さに感激してこっそりと拝んでいた。
「…ここは?」
「よかった!目が覚めたんだね!」
ニノンは少年が目を覚ましたことに喜ぶ。
「えっと…」
「とりあえず、ウーロン茶をどうぞ!」
「う、うん」
少年はウーロン茶を飲み干した。
「あの、ここは…」
「無償食堂だよ。知ってる?」
サラがそう言えば少年は心底ホッとした表情を見せた。
「えっと、確か無料でご飯が食べられるところ」
「そうだよ!黄昏の森団の団長さんに許可も取ったからいっぱい食べていいよ!」
「うん、ありがとう…でも僕、たしか街で迷子になって…」
「倒れてたから怪我を癒して連れてきたの」
「迷惑だった?」
ニノンとサラがそう言えば、少年は慌てて首を振った。
「迷惑だなんて!…助かりました、ありがとうございます。えっと、そちらの皆さんも助けてくれたのかな。ありがとうございました」
「俺は見てただけだよ」
「俺も」
「僕は転移魔法で連れてきただけだしね」
「…転移魔法で!?」
転移魔法は一人で移動するにもかなりの魔力を消費する。それをこれだけの人数転移させるなんてよっぽどだと少年は驚く。
「まさか…三愚者様?」
「当たり。ガエルだよ」
「わあ…!」
少年はガエルにキラキラした眼差しを向けた。ガエルも悪い気はしない。
「それよりもほら。ご飯勝手に注文しておいたから、好きなものをお食べ。アレルギーとかはないかい?余ったのはこっちで食べるから心配しないで好きなだけ食べなさい」
「うん!」
憧れの存在に助けられて、すっかり元気になった少年はご飯を平らげる。さすがに、たくさん注文したので全部は食べられなかったがすごい量を食べた。
「さて。それで、君はどこの誰?助けは必要?」
「…助けてください」
「詳しく話せるかな?」
「…お父様とお母様と馬車で移動中、強盗に襲われて。お父様もお母様も命を落としました。僕も殺されそうだったけど、奴等がやっぱり奴隷として売ろうと言って捕らわれて」
「命からがら逃げ出してきたわけだ」
「…はい」
少年はガタガタと震える。恐怖を思い出してどうしようもなく、自分の身体を抱きしめた。ニノンはそんな少年の頭を撫でる。
「叔母が僕の倒れた街の近くにいるんです。叔母の屋敷まで連れて行って欲しくて」
「わかったよ。場所が分かれば転移魔法ですぐだ。あの辺りのお屋敷というと、ランメルト伯爵家かな?」
「は、はい!」
「じゃあ、食事も終わったところで送って行こうか」
こうしてニノン達は、少年を保護者の元へ送り届けた。そんな彼らの事情を把握していたルシアは、ニノン達の慈悲深さに感激してこっそりと拝んでいた。
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