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5 私だって怒りますよ?
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そうよ。
セシルの泣き様に感動してうっかりしてたけど、私だって怒ってたのよ。
「これが好ましい異議申し立てというものだ、アイヴァン」
「ですね、小父貴。すんません」
和解、早っ!
「ハハッ。お前、一本取られたな。しかも二人の令嬢に一本ずつだから、二本だ。とんだ晩餐会だ」
「やっちまいましたね、俺」
微笑ましい風景やめてくれます?
「だけどお前、あの怒鳴り方はよくないぞ。大声をあげれば周りが聞いてくれるなんて子供のやる事だ。いつまでもわんぱく小僧じゃいられないんだからな。改めて、婚約おめでとう。アハハ、この後どうするかな?」
「どうって小父貴、なるようにしかならないでしょう。恥をかきましたがどうしてくれようかな! あッはッはぁッ!! 水に流すって誰が最初に言い出した理論なんですかねぇ!」
グレイ侯爵令息が笑いながらまたキレ始めた。
ひしっとジェラルドにしがみつくセシル。
「嫌よ。助けて、ジェラルド。あの人、私を怒鳴りつけたのに楽しそうに笑っているわ」
は?
「君を守ってみせる。これが愛だよ、セシル」
は?
「間男がデカい口叩くんじゃねえぞゴルァッ!!」
「怒鳴るなッ! また不作法な青二才に成り下がるつもりか、アイヴァン!!」
ああ、もう。我慢の限界。
「おやめくださいッ!!」
過去最高に大きい声が出たわ。
お腹から。
「!?」
そんなに私が珍しい?
見るがいいわ。
何を隠そう、この私が、婚約者に浮気された上に忘れられがちなワインでずぶ濡れのアッカリー伯爵令嬢よ。
「さっきからどうも仰る事がわかりません! その方にどんな落ち度があるのです!? 聞いた話では結婚まで婚約者の体に触れない硬派なお方。どこが野蛮ですか? 方や私の婚約者は、婚約発表ホヤホヤの令嬢に手を出して、私にはワインをぶっかけたんですよ!? これが不作法というものです!! 責めるならこのジェラルド・レヴィーン卿ではないのですか!?」
「恐ぁい」
「ぁあん!?」
セシルめ。
「あんたもあんたよ! いくら甘やかしてくれない婚約者だからって、出会って早々ホイホイ別の男に体を許すんじゃないわよ! 貞操観念どこいったの!? しかも私の婚約者と!!」
「そんなにズケズケと御意見を仰らないで、もう少しジェラルドを立ててあげれば浮気されなかったのに」
「はあっ!?」
あんたがそれ言う!?
「お黙り!! これ以上ガタガタ抜かすとその小っちゃな鼻の穴にアスパラぐいぐい突っ込むわよッ!!」
気づいたら近くのテーブルからアスパラのソテーを掴んでいたみたいで。それは私の不作法だったのだけど。だからなに?
一番の恥晒しって実はセシルじゃない?
だってこの二人ってジェラルドが襲ったわけじゃあないものね。
「抱きあってないで謝りなさいよ! この恥知らずッ!!」
セシルの泣き様に感動してうっかりしてたけど、私だって怒ってたのよ。
「これが好ましい異議申し立てというものだ、アイヴァン」
「ですね、小父貴。すんません」
和解、早っ!
「ハハッ。お前、一本取られたな。しかも二人の令嬢に一本ずつだから、二本だ。とんだ晩餐会だ」
「やっちまいましたね、俺」
微笑ましい風景やめてくれます?
「だけどお前、あの怒鳴り方はよくないぞ。大声をあげれば周りが聞いてくれるなんて子供のやる事だ。いつまでもわんぱく小僧じゃいられないんだからな。改めて、婚約おめでとう。アハハ、この後どうするかな?」
「どうって小父貴、なるようにしかならないでしょう。恥をかきましたがどうしてくれようかな! あッはッはぁッ!! 水に流すって誰が最初に言い出した理論なんですかねぇ!」
グレイ侯爵令息が笑いながらまたキレ始めた。
ひしっとジェラルドにしがみつくセシル。
「嫌よ。助けて、ジェラルド。あの人、私を怒鳴りつけたのに楽しそうに笑っているわ」
は?
「君を守ってみせる。これが愛だよ、セシル」
は?
「間男がデカい口叩くんじゃねえぞゴルァッ!!」
「怒鳴るなッ! また不作法な青二才に成り下がるつもりか、アイヴァン!!」
ああ、もう。我慢の限界。
「おやめくださいッ!!」
過去最高に大きい声が出たわ。
お腹から。
「!?」
そんなに私が珍しい?
見るがいいわ。
何を隠そう、この私が、婚約者に浮気された上に忘れられがちなワインでずぶ濡れのアッカリー伯爵令嬢よ。
「さっきからどうも仰る事がわかりません! その方にどんな落ち度があるのです!? 聞いた話では結婚まで婚約者の体に触れない硬派なお方。どこが野蛮ですか? 方や私の婚約者は、婚約発表ホヤホヤの令嬢に手を出して、私にはワインをぶっかけたんですよ!? これが不作法というものです!! 責めるならこのジェラルド・レヴィーン卿ではないのですか!?」
「恐ぁい」
「ぁあん!?」
セシルめ。
「あんたもあんたよ! いくら甘やかしてくれない婚約者だからって、出会って早々ホイホイ別の男に体を許すんじゃないわよ! 貞操観念どこいったの!? しかも私の婚約者と!!」
「そんなにズケズケと御意見を仰らないで、もう少しジェラルドを立ててあげれば浮気されなかったのに」
「はあっ!?」
あんたがそれ言う!?
「お黙り!! これ以上ガタガタ抜かすとその小っちゃな鼻の穴にアスパラぐいぐい突っ込むわよッ!!」
気づいたら近くのテーブルからアスパラのソテーを掴んでいたみたいで。それは私の不作法だったのだけど。だからなに?
一番の恥晒しって実はセシルじゃない?
だってこの二人ってジェラルドが襲ったわけじゃあないものね。
「抱きあってないで謝りなさいよ! この恥知らずッ!!」
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