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043 Сергей
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縁取りの豊かな出窓から潮風が舞いこむと、嬉しそうに鼻歌をうたい、お嬢様は軽やかに足を運んだ。身ごろがゆれ、髪がなびき、清純な香りが私の鼻孔を満たす。私のアグネスを、お嬢様はとてもお気に召しておられる。これほど嬉しいことはない。
ラララ、ンーンー。
恐れながらも拙い歌声が、尚愛しい。
封じるように、カーテンを小さな拳が寄せる。
そのとき、いっそう強く汐風が吹き入れ、お嬢様は歌うのをやめてしまわれた。細い腕を身体にそえ、吹かれるままに風をあびる。カーテンがはためき、音を立てた。これは、天の祝福。
肩越しにふりむく微笑みは、夕陽により燃え、幼い。
「セルゲイ」
私は膝をつき、右手を胸にあて、頭を垂れる。
愛しい、私だけのお嬢様。あなたの───
「幕が、あがるわね」
ラララ、ンーンー。
恐れながらも拙い歌声が、尚愛しい。
封じるように、カーテンを小さな拳が寄せる。
そのとき、いっそう強く汐風が吹き入れ、お嬢様は歌うのをやめてしまわれた。細い腕を身体にそえ、吹かれるままに風をあびる。カーテンがはためき、音を立てた。これは、天の祝福。
肩越しにふりむく微笑みは、夕陽により燃え、幼い。
「セルゲイ」
私は膝をつき、右手を胸にあて、頭を垂れる。
愛しい、私だけのお嬢様。あなたの───
「幕が、あがるわね」
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