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2-10 誘拐婚
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『お嬢様、ご案内するにあたりまして先に少し話をしましょう。
コロニーにいる女性とはどのような女性だと思っておられますか?』
オークプリーストにそう訊ねられた。
『・・・さらわれた女性でしょうか?』
自主的にオークと結婚したがる女性がいるとは思えないから。
『正解です。
奥様みたいに誰かを守るために身を挺して自ら残るケースもありますが、普通は力づくでさらわれてきます』
わかっていたことではあるが、ため息が出る。
しかし、お母さんは誰かを守る為に自ら残ったのか・・・。
『誘拐をしないで自分の意思でオークと結婚をしてくれる人は・・・いませんよね』
『そういうケースは知りませんね。
お嬢様にそれを期待している者が多いことは知っております』
ははははは・・・見合いの釣り書きがあんなに来るのだからそれはわからなくはない。
・・・イケメンだったらなぁ。
『誘拐された女性はお母さんみたいに無理やり結婚ですか?』
『無理矢理?
・・・一応説得して自発的と取れる行動があったのは奥様がはじめてです。
ですが、奥様に準じた扱いをされている女性もわずかですがいます』
自発的?
・・・ああ・・・勘違いでわたしをかばって色気も何もなしにやけくそで誘惑した・・・あれか。
・・・うん・・・まぁ・・・自発的に見えなくもない・・・かな?
『・・・レイプはいいことではないよ』
『わかりますが、種の維持が最優先です。
理屈の上でも本能的にも避けては通れない道です』
一応言ってみたが・・・そうなるよね。
『我々だって嫌なんですよ。
嫌がる女をさらって縛り付けて子供を産ませ、母親に殺されないように子供を保護するなんて生き方はやめられるなら辞めたいんです。
奥様やお嬢様のいる暖かい雰囲気の家庭なんて我々には現実味のない夢物語でした。
だから、我々に強い嫌悪感を抱いていないお嬢様が大人気なんです。
例え成人するのがはるか先だとしても、出来たら我々オークとは結婚したくないと思っているとわかっていても・・・です。
我々の個人個人を別の人間として見て隣人として笑って話す女性なんてあなたしかいないのだから。
いままでは見ることさえできない、語ることさえバカらしい夢に手が届く可能性が見えるのですから。
知らなければ・・・あれを普通だと思えたのに』
必死で感情を押し殺そうとしながらも、腹の中にある鬱憤があふれ出すかのように唾が飛び、握ったこぶしがこきざみに震える。
放っておけば握りこぶしから血が流れそうなので少しだけ変える。
『最初に会う人は・・・どんな人?』
『奥様に準じた扱いを受けている女性です。
・・・こちらは絶望し無気力になり現実から逃避している女性か、ただひたすら怯えてオークが望むであろうエッチなことをして機嫌を伺おうとしている女性になります。
少数のまともな方の女性ですね』
・・・まとも?
話を聞く限り壊れているようにさえ聞こえるのだが・・・まとも?
『他の人にも会わせてくれる?』
『明日とはいきませんが、会わせます。
ただ・・・そちらは監獄になりますので見て気分のいいものではないですよ?』
監獄?
監獄って女性を監獄に入れているんですか?
『お母さんや私とだいぶ扱いが違いますけど、どうしてですか?』
攫ってきて監獄に入れるなんて酷いと思い、ちょっと言葉に険のある言葉になってしまった。
でも、酷いです。
『違って当然です。
彼女らはわが国に侵入し殺戮を繰り返す殺人者です。
我々の肉や体内にある魔石を狙って襲い掛かる食人殺戮者です。
そんな者と嫁にするために攫ってきた方とを一緒にはできません。
女性でなければとっくの昔に殺しています』
食人殺戮者?!
・・・そういえば、ファンタジー小説でもオークって豚肉扱いでよく料理されているわよね。
それにわが国だって・・・たぶん・・・
「ねえ、おかあさん。
オークが国って言っているけど人間に方でオークの国って認識しているの?」
この辺はお母さんに聞くしかないかな。
「人間が認めている国は人間の国だけよ。
国に準じた異種族の地はあるけど、オークに関しては魔の森に棲む魔物という扱いになりますわね」
われ関せずと言わんばかりに食事を続けていたお母さんにたずねると、予想通りの答えが返ってきた。
やはりそんな扱いか。
人間とオークの価値観がだいぶ違う。
オークは自分たちを国と認識していたが、人間は群れを成す魔物としか思っていなかった。
当たり前だがオークと結婚したいという女性はいないらしい。
お母さんにも確認を取ったが、オークにさらわれた女性のイメージは牢屋みたいな場所に監禁され縛り付けられたまま犯され続けるというイメージだ。
こんな巨大昆虫の多い森の中を自力で逃げられる女性なんて冒険者しかいないだろうし、食人殺戮者相手の繁殖行為となると、そういう扱いになってしまうのは仕方がないのかな。
翌日、学校が終わってから馬車で一人目のおうちに訪問した。
場所はそれなりの屋敷だ。
うちも広さだけはある・・・建物がこじんまりとしているけど。
ここは逆ね。
庭のような場所はないけど建物は立派だ。
『立派な建物ね』
『あの方は住まいには無頓着ですからね。
剣を振り馬を走らせる場所があれば建物なんて雨露さえしのげればいいって言っていい実践していました。
奥方を連れてきてから慌てて今の家を建てたんです。
時間がないから小さくていいって』
行き当たりばったりだな・・・どちらかというと行き当たってバッタリ?
屋敷にはちゃんと前触れが出ていたのかオークのお出迎え付き。
なんか人数が多いなと思っていたら息子たちの紹介をされた。
お見合いで来ているわけじゃないんだからね!!
コロニーにいる女性とはどのような女性だと思っておられますか?』
オークプリーストにそう訊ねられた。
『・・・さらわれた女性でしょうか?』
自主的にオークと結婚したがる女性がいるとは思えないから。
『正解です。
奥様みたいに誰かを守るために身を挺して自ら残るケースもありますが、普通は力づくでさらわれてきます』
わかっていたことではあるが、ため息が出る。
しかし、お母さんは誰かを守る為に自ら残ったのか・・・。
『誘拐をしないで自分の意思でオークと結婚をしてくれる人は・・・いませんよね』
『そういうケースは知りませんね。
お嬢様にそれを期待している者が多いことは知っております』
ははははは・・・見合いの釣り書きがあんなに来るのだからそれはわからなくはない。
・・・イケメンだったらなぁ。
『誘拐された女性はお母さんみたいに無理やり結婚ですか?』
『無理矢理?
・・・一応説得して自発的と取れる行動があったのは奥様がはじめてです。
ですが、奥様に準じた扱いをされている女性もわずかですがいます』
自発的?
・・・ああ・・・勘違いでわたしをかばって色気も何もなしにやけくそで誘惑した・・・あれか。
・・・うん・・・まぁ・・・自発的に見えなくもない・・・かな?
『・・・レイプはいいことではないよ』
『わかりますが、種の維持が最優先です。
理屈の上でも本能的にも避けては通れない道です』
一応言ってみたが・・・そうなるよね。
『我々だって嫌なんですよ。
嫌がる女をさらって縛り付けて子供を産ませ、母親に殺されないように子供を保護するなんて生き方はやめられるなら辞めたいんです。
奥様やお嬢様のいる暖かい雰囲気の家庭なんて我々には現実味のない夢物語でした。
だから、我々に強い嫌悪感を抱いていないお嬢様が大人気なんです。
例え成人するのがはるか先だとしても、出来たら我々オークとは結婚したくないと思っているとわかっていても・・・です。
我々の個人個人を別の人間として見て隣人として笑って話す女性なんてあなたしかいないのだから。
いままでは見ることさえできない、語ることさえバカらしい夢に手が届く可能性が見えるのですから。
知らなければ・・・あれを普通だと思えたのに』
必死で感情を押し殺そうとしながらも、腹の中にある鬱憤があふれ出すかのように唾が飛び、握ったこぶしがこきざみに震える。
放っておけば握りこぶしから血が流れそうなので少しだけ変える。
『最初に会う人は・・・どんな人?』
『奥様に準じた扱いを受けている女性です。
・・・こちらは絶望し無気力になり現実から逃避している女性か、ただひたすら怯えてオークが望むであろうエッチなことをして機嫌を伺おうとしている女性になります。
少数のまともな方の女性ですね』
・・・まとも?
話を聞く限り壊れているようにさえ聞こえるのだが・・・まとも?
『他の人にも会わせてくれる?』
『明日とはいきませんが、会わせます。
ただ・・・そちらは監獄になりますので見て気分のいいものではないですよ?』
監獄?
監獄って女性を監獄に入れているんですか?
『お母さんや私とだいぶ扱いが違いますけど、どうしてですか?』
攫ってきて監獄に入れるなんて酷いと思い、ちょっと言葉に険のある言葉になってしまった。
でも、酷いです。
『違って当然です。
彼女らはわが国に侵入し殺戮を繰り返す殺人者です。
我々の肉や体内にある魔石を狙って襲い掛かる食人殺戮者です。
そんな者と嫁にするために攫ってきた方とを一緒にはできません。
女性でなければとっくの昔に殺しています』
食人殺戮者?!
・・・そういえば、ファンタジー小説でもオークって豚肉扱いでよく料理されているわよね。
それにわが国だって・・・たぶん・・・
「ねえ、おかあさん。
オークが国って言っているけど人間に方でオークの国って認識しているの?」
この辺はお母さんに聞くしかないかな。
「人間が認めている国は人間の国だけよ。
国に準じた異種族の地はあるけど、オークに関しては魔の森に棲む魔物という扱いになりますわね」
われ関せずと言わんばかりに食事を続けていたお母さんにたずねると、予想通りの答えが返ってきた。
やはりそんな扱いか。
人間とオークの価値観がだいぶ違う。
オークは自分たちを国と認識していたが、人間は群れを成す魔物としか思っていなかった。
当たり前だがオークと結婚したいという女性はいないらしい。
お母さんにも確認を取ったが、オークにさらわれた女性のイメージは牢屋みたいな場所に監禁され縛り付けられたまま犯され続けるというイメージだ。
こんな巨大昆虫の多い森の中を自力で逃げられる女性なんて冒険者しかいないだろうし、食人殺戮者相手の繁殖行為となると、そういう扱いになってしまうのは仕方がないのかな。
翌日、学校が終わってから馬車で一人目のおうちに訪問した。
場所はそれなりの屋敷だ。
うちも広さだけはある・・・建物がこじんまりとしているけど。
ここは逆ね。
庭のような場所はないけど建物は立派だ。
『立派な建物ね』
『あの方は住まいには無頓着ですからね。
剣を振り馬を走らせる場所があれば建物なんて雨露さえしのげればいいって言っていい実践していました。
奥方を連れてきてから慌てて今の家を建てたんです。
時間がないから小さくていいって』
行き当たりばったりだな・・・どちらかというと行き当たってバッタリ?
屋敷にはちゃんと前触れが出ていたのかオークのお出迎え付き。
なんか人数が多いなと思っていたら息子たちの紹介をされた。
お見合いで来ているわけじゃないんだからね!!
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