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昼休み、俺はなんとなく中庭を歩いていた。特に目的があるわけでもなく、ただ流れる時間に身を任せていた。けれどその時、ふと視界に入った光景に足が止まる。
レオンが、オメガの生徒と話している。
あの子は確か、先日の生徒会の挨拶会でいた高等部の一年生のオメガ。名前はシド。小柄で、知的な印象を受けるが、どこか不安げな表情を浮かべている。その顔を見ていると、心の中に何かが引っかかるような気がした。
シドは明らかに緊張している。頬を赤らめ、手で制服の裾をぎゅっと握っている姿が、まるで告白の準備をしているように見えた。その瞬間、俺の胸がざわつく。
「——その……好きです!」
思わず声が漏れる。あれは、告白だった。
レオンは少し驚いた表情を浮かべていた。その表情は、普段の堂々とした彼からは考えられないほど、どこか鈍感そうで、少し戸惑っているように見えた。
——俺はその場面を、黙って見ていた。何故か、胸の前で拳をぎゅっと握りしめていた。
「……なんだ、これ。」
自分でもよくわからない感情が湧き上がる。別に、俺が気にすることではないはずだ。だって、俺はベータだし、レオンはアルファだ。二人の間に俺が割り込む余地なんて、最初からない。
「……あれ、何見てんの? あぁ、ユリス、もしかして嫉妬?」
突然、横から声がかかった。ノエルだった。彼がにやにやと笑いながら、俺を見ている。
「は? するわけないだろ。」
俺は即座に答えた。けれど、ノエルはさらに一歩近づいてきて、僕の手を見ては笑った。
「へぇ? でもさっきからめっちゃ睨んでたし、ほら、手も強く握ってるし。」
言われてみると、俺の手は拳を握りすぎて、指の間が白くなっていた。
「ちがうよ!」
その一言で誤魔化すように、俺はノエルを突っぱねた。けれど、ノエルは「ふーん」と肩をすくめ、さらっと言った。
「まあまあ、素直になりなよ、ユリス?」
「うるさい!」
その言葉を無視して、ノエルの頭を軽くはたくと、彼は「ひどい!」とか言ってケラケラ笑っている。いつものように、冗談交じりにからかってくる。
「だって、俺があいつを気にするなんて、ありえない。そもそも俺はベータで、あいつはアルファだし。」
無理に強がった言葉を口にしても、心の中でその理由が自分でもしっくりこないことに気づく。胸の奥がざわついて、気持ちが落ち着かない。
——あいつがレオンに好意を示しているからって、そんなことで動揺するなんて、バカみたいだ。
でも、無駄に熱くなった頭を冷やすように、深いため息をついたところで、ふと視線を感じて振り返った。
レオンが、シドから視線をそらしてこちらを見ていた。その表情は、なんだか困ったような、少し申し訳なさそうな顔をしている。どこか、心の奥がざわつくような、言いようのない気持ちがこみ上げてきた。
——なんだよ、その顔。
レオンが俺を見つけて、軽く手を挙げる。その仕草は、まるで俺が期待しているかのように、何かを気にしているような印象を与える。
目をそらし、足を速めた。レオンがシドと話している姿が、どうしても気になって仕方がなかった。
そのまま歩きながら考える。
——嫌いなはずなのに、レオンが他の誰かに好意を向けられるのが、こんなにイラつく理由は。
心の中で、自分の気持ちを否定しようとするけれど、それは無駄だと気づいていた。レオンと俺には、こんなにも距離があることを知っている、どうしてこんなにも胸が痛むのか。
何も考えたくないのに、どうしても彼のことを考えてしまう。
その気持ちが理解できないまま、俺は中庭を後にした。
レオンが、オメガの生徒と話している。
あの子は確か、先日の生徒会の挨拶会でいた高等部の一年生のオメガ。名前はシド。小柄で、知的な印象を受けるが、どこか不安げな表情を浮かべている。その顔を見ていると、心の中に何かが引っかかるような気がした。
シドは明らかに緊張している。頬を赤らめ、手で制服の裾をぎゅっと握っている姿が、まるで告白の準備をしているように見えた。その瞬間、俺の胸がざわつく。
「——その……好きです!」
思わず声が漏れる。あれは、告白だった。
レオンは少し驚いた表情を浮かべていた。その表情は、普段の堂々とした彼からは考えられないほど、どこか鈍感そうで、少し戸惑っているように見えた。
——俺はその場面を、黙って見ていた。何故か、胸の前で拳をぎゅっと握りしめていた。
「……なんだ、これ。」
自分でもよくわからない感情が湧き上がる。別に、俺が気にすることではないはずだ。だって、俺はベータだし、レオンはアルファだ。二人の間に俺が割り込む余地なんて、最初からない。
「……あれ、何見てんの? あぁ、ユリス、もしかして嫉妬?」
突然、横から声がかかった。ノエルだった。彼がにやにやと笑いながら、俺を見ている。
「は? するわけないだろ。」
俺は即座に答えた。けれど、ノエルはさらに一歩近づいてきて、僕の手を見ては笑った。
「へぇ? でもさっきからめっちゃ睨んでたし、ほら、手も強く握ってるし。」
言われてみると、俺の手は拳を握りすぎて、指の間が白くなっていた。
「ちがうよ!」
その一言で誤魔化すように、俺はノエルを突っぱねた。けれど、ノエルは「ふーん」と肩をすくめ、さらっと言った。
「まあまあ、素直になりなよ、ユリス?」
「うるさい!」
その言葉を無視して、ノエルの頭を軽くはたくと、彼は「ひどい!」とか言ってケラケラ笑っている。いつものように、冗談交じりにからかってくる。
「だって、俺があいつを気にするなんて、ありえない。そもそも俺はベータで、あいつはアルファだし。」
無理に強がった言葉を口にしても、心の中でその理由が自分でもしっくりこないことに気づく。胸の奥がざわついて、気持ちが落ち着かない。
——あいつがレオンに好意を示しているからって、そんなことで動揺するなんて、バカみたいだ。
でも、無駄に熱くなった頭を冷やすように、深いため息をついたところで、ふと視線を感じて振り返った。
レオンが、シドから視線をそらしてこちらを見ていた。その表情は、なんだか困ったような、少し申し訳なさそうな顔をしている。どこか、心の奥がざわつくような、言いようのない気持ちがこみ上げてきた。
——なんだよ、その顔。
レオンが俺を見つけて、軽く手を挙げる。その仕草は、まるで俺が期待しているかのように、何かを気にしているような印象を与える。
目をそらし、足を速めた。レオンがシドと話している姿が、どうしても気になって仕方がなかった。
そのまま歩きながら考える。
——嫌いなはずなのに、レオンが他の誰かに好意を向けられるのが、こんなにイラつく理由は。
心の中で、自分の気持ちを否定しようとするけれど、それは無駄だと気づいていた。レオンと俺には、こんなにも距離があることを知っている、どうしてこんなにも胸が痛むのか。
何も考えたくないのに、どうしても彼のことを考えてしまう。
その気持ちが理解できないまま、俺は中庭を後にした。
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