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14.揺らぎ始めた三角線
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最近、レオンの様子が明らかにおかしい。
休み時間になるとふっと姿を消し、放課後は毎日のように資料室へ向かう。
(……何かを、隠してる)
俺はそっとレオンの後をつけ、学院の資料棟へ足を踏み入れた。静まり返った廊下を進むにつれ、胸の奥がざわついていく。確信はない。けれど、ただの勘ではない……
(あいつ……何やってんだ)
資料室の前で立ち止まり、深く息を吸い、そっと扉を開ける。中にはレオンと見知らぬの男がいた。
二人は声を潜めて話していたが、ただならぬ空気が漂う…押し殺した声。親しげな雑談とは程遠い、緊迫した雰囲気。
レオンの手には分厚い資料の束。なぜこんな時間に、そんなやり取りを?
思わず、俺は声に出していた。
「……レオン、何をしてるんだ?」
その瞬間、レオンが振り返る。俺と目が合った。
驚きよりも先に、レオンの目に浮かんだもの――それは、冷たく、警戒心を含んだ光だった。
「……ユリス?」
彼の声は、どこか遠く柔らかさは消え、低く乾いた声が部屋に落ちた。
「お前、何を調べてるんだ? 例のオメガと剣術講師……の件か?」
思いきって問いただすと、レオンは一瞬言葉を探すように沈黙し、それからかすかに首を振った。
「……ごめん。今は、何も言えない。部屋に戻ろう」
それだけ言って、レオンは俺の視線を避けるように歩き出した。まるで、自分に触れさせないように壁を作るかのようだった。
俺は、言葉を失ってその背をながら部屋まで歩いた。
翌朝、食堂でテオとノエルに偶然会った。二人とも、なぜか様子をうかがうような目をしている。
「なあ、ユリス。お前らなんかあった?……レオンのことなんだけど?」
テオの問いに、俺は一瞬たじろいだ。
「やっぱり……テオお前も気づいてた?」
彼らも気づいていたのか。
「あぁ…最近、やたらと一人で動いてる。夜中に資料棟の鍵を使ってたって、聞いたぜ」
やはり、レオンの行動はただの気まぐれなんかじゃない。俺たち全員が、彼の“異変”を感じ取っていた。
「レオンを探しに行こう。直接聞くしかないだろ」
テオの提案に、ノエルも即座に頷いた。
「そうだね。ユリスも、一緒に」
こうして、俺たちはレオンを探し始めた。中庭の奥、小さな温室の裏手で、ついに彼を見つけた。
「レオン。……お前、最近おかしいぞ」
テオがまっすぐに言い放つ。続けて、俺も言葉を重ねた。
「何を隠してる?」
レオンは一瞬だけ迷いを見せ、それからゆっくりと口を開いた。
「……本当は、まだ話すつもりなかった。でも……お前らになら、言ってもいいかもしれない」
彼の言葉に、空気が一変した。俺たち三人は静かに耳を傾ける。
「この学院、どこかが歪んでる。ほんの小さな綻びみたいなものだけど、確かに存在してる。気づかないふりをすれば、きっと楽だ。でも……このままだと、また誰かが“消える”かもしれない」
“消える”――その言葉に、胸がひやりと凍った。
「またって……どういう意味だ?」
俺がそう尋ねると、ノエルが先に口を挟んだ。
「……その噂、僕も聞いたことがある。オメガの生徒が突然、理由も分からないけど、転校扱いでいなくなるって」
レオンはわずかにうなずき、視線を伏せた。
「まだ詳しくは言えない。でも、ある名簿を手に入れた。そこには――」
言葉を濁すレオンに、テオが一歩踏み込んだ。
「……俺たちにも話せないのか?」
レオンはゆっくりと顔を上げ、俺たちを真っすぐに見つめる。その瞳には、迷いと決意が同時に宿っていた。
「調べるのは危険だ。巻き込むことになる」
その一言が、俺の心を揺さぶった。
それでも、もう戻れない。レオンが何を見つけたのか、それを知らずにはいられなかった。
冷たい風が通り抜けるように、静寂が三人の間を包む。けれどその沈黙の中で、俺たちはたぶん同じものを見つめていた。
休み時間になるとふっと姿を消し、放課後は毎日のように資料室へ向かう。
(……何かを、隠してる)
俺はそっとレオンの後をつけ、学院の資料棟へ足を踏み入れた。静まり返った廊下を進むにつれ、胸の奥がざわついていく。確信はない。けれど、ただの勘ではない……
(あいつ……何やってんだ)
資料室の前で立ち止まり、深く息を吸い、そっと扉を開ける。中にはレオンと見知らぬの男がいた。
二人は声を潜めて話していたが、ただならぬ空気が漂う…押し殺した声。親しげな雑談とは程遠い、緊迫した雰囲気。
レオンの手には分厚い資料の束。なぜこんな時間に、そんなやり取りを?
思わず、俺は声に出していた。
「……レオン、何をしてるんだ?」
その瞬間、レオンが振り返る。俺と目が合った。
驚きよりも先に、レオンの目に浮かんだもの――それは、冷たく、警戒心を含んだ光だった。
「……ユリス?」
彼の声は、どこか遠く柔らかさは消え、低く乾いた声が部屋に落ちた。
「お前、何を調べてるんだ? 例のオメガと剣術講師……の件か?」
思いきって問いただすと、レオンは一瞬言葉を探すように沈黙し、それからかすかに首を振った。
「……ごめん。今は、何も言えない。部屋に戻ろう」
それだけ言って、レオンは俺の視線を避けるように歩き出した。まるで、自分に触れさせないように壁を作るかのようだった。
俺は、言葉を失ってその背をながら部屋まで歩いた。
翌朝、食堂でテオとノエルに偶然会った。二人とも、なぜか様子をうかがうような目をしている。
「なあ、ユリス。お前らなんかあった?……レオンのことなんだけど?」
テオの問いに、俺は一瞬たじろいだ。
「やっぱり……テオお前も気づいてた?」
彼らも気づいていたのか。
「あぁ…最近、やたらと一人で動いてる。夜中に資料棟の鍵を使ってたって、聞いたぜ」
やはり、レオンの行動はただの気まぐれなんかじゃない。俺たち全員が、彼の“異変”を感じ取っていた。
「レオンを探しに行こう。直接聞くしかないだろ」
テオの提案に、ノエルも即座に頷いた。
「そうだね。ユリスも、一緒に」
こうして、俺たちはレオンを探し始めた。中庭の奥、小さな温室の裏手で、ついに彼を見つけた。
「レオン。……お前、最近おかしいぞ」
テオがまっすぐに言い放つ。続けて、俺も言葉を重ねた。
「何を隠してる?」
レオンは一瞬だけ迷いを見せ、それからゆっくりと口を開いた。
「……本当は、まだ話すつもりなかった。でも……お前らになら、言ってもいいかもしれない」
彼の言葉に、空気が一変した。俺たち三人は静かに耳を傾ける。
「この学院、どこかが歪んでる。ほんの小さな綻びみたいなものだけど、確かに存在してる。気づかないふりをすれば、きっと楽だ。でも……このままだと、また誰かが“消える”かもしれない」
“消える”――その言葉に、胸がひやりと凍った。
「またって……どういう意味だ?」
俺がそう尋ねると、ノエルが先に口を挟んだ。
「……その噂、僕も聞いたことがある。オメガの生徒が突然、理由も分からないけど、転校扱いでいなくなるって」
レオンはわずかにうなずき、視線を伏せた。
「まだ詳しくは言えない。でも、ある名簿を手に入れた。そこには――」
言葉を濁すレオンに、テオが一歩踏み込んだ。
「……俺たちにも話せないのか?」
レオンはゆっくりと顔を上げ、俺たちを真っすぐに見つめる。その瞳には、迷いと決意が同時に宿っていた。
「調べるのは危険だ。巻き込むことになる」
その一言が、俺の心を揺さぶった。
それでも、もう戻れない。レオンが何を見つけたのか、それを知らずにはいられなかった。
冷たい風が通り抜けるように、静寂が三人の間を包む。けれどその沈黙の中で、俺たちはたぶん同じものを見つめていた。
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