『聖クロノア学院恋愛譚 』記憶を失ったベータと王族アルファ、封印された過去が愛を試すまで

るみ乃。

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15 真実の扉

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 レオンの目をじっと見つめると、彼の瞳に浮かんだ感情に一瞬息を呑んだ。それは恐れと決意が交錯した、これまで見たことのない複雑な表情だった。

「調べるのは危険だ。巻き込むことになる。」

 その言葉は、胸に重く響いた。でも同時に、引き返せないという確信が湧いてきた。もう、知らないままでいられない。

「でも、知るべきだろ?」

 テオがすぐに反応した。その目は揺るぎなく、どんなことがあっても前に進む決意で満ちていた。

「そうだよ、僕たちにも知る権利があると思う。」

 ノエルが一歩踏み込んで、真剣に言う。その瞳の奥には、複雑な思いがこめられていた。オメガである自分の立場に対する葛藤が、今まさに揺れ動いているように感じた。

 レオンはしばらく黙り込んで、空を見上げる。

「ユリス、お前はどうだ?」

「あぁ…俺もだ。」

 無意識に頷きながら、僕は心の中で思う。「綻び」—その先に隠された秘密を少しでも明らかにしたい。どうしても、その扉を開けたくなった。

「……名簿、見たことは伝えたよな?それだけじゃない。オメガが消えること、それは単なる一部に過ぎない。実は、この学院には…もっと深い秘密があるんだ。」

 レオンの言葉に、僕たちは一瞬、言葉を失った。

「例えば、地下に隠された施設のことを知ってるか?」

 その言葉に、僕たちは驚いて足を止めた。立ち入ってはいけないとされている地下の施設。それが一体何を意味するのか、誰も知らない。

「地下施設?」

 ノエルが不安そうに問いかける。

「そうだ。学院の創立時からずっと封印されてきた秘密がそこに眠っている。」

 レオンは静かに歩きながら語った。その言葉には、現実離れした印象を与えつつも、レオンの真剣さが伝わり、僕の心に圧をかけるようだった。

「それが、どう関係してるんだ?」

 テオが冷静に問いかける。

「まだ、わからない。」

 レオンは目を閉じ、ゆっくりと息をついた。

「レオン、お前が言ってることが、本当だとしたら…それって、俺たちにも関係するってことか?」

 恐る恐る僕が問うと、レオンはゆっくりと頷いた。

「この学院の歴史には、僕たちが知らされていないことがある。それが偶然や単なる噂だと思いたくなるかもしれない。でも、俺は確信している。」

 レオンの瞳には決意が宿っていた。

「でも、もし本当に危険だとしたら…ノエル、お前は…」

 テオが少し躊躇いながら言葉を続けた。

 その言葉に、ノエルが少し考え込んでから口を開いた。

「僕がオメガだから、危険すぎるんじゃないか?とか言うんだろ、テオ…最低!!
 もしそうなら、僕を守ってくれればいいだけだろ、バカ…」

 その言葉には、ノエルの中で抱えている葛藤が浮き彫りになっていた。オメガとして特別扱いされることに、時には囚われているように感じ、自由に動けないことに不安を抱えているのだろう。

「ノエル…ごめん、悪かった。」

 テオは顔を伏せ、ノエルの気持ちを理解しているから。

「僕たちは知りたい。それでいいよな?テオ、ユリスは?」

「ユリス…お前も、真実を知りたいか?」

 レオンのその言葉に、胸が締め付けられる。自分のしていることが本当に正しいのか迷っているように感じた。彼が抱える重荷の重さが、今さら実感として迫ってきた。

「もちろん知りたい。」

 その言葉には、僕の中の確信が込められていた。どんなに怖くても、レオンと一緒に進むしかない。

「俺たち、絶対に真実を知ろう。どんなことが待っていようと、負けない。」

 テオがしっかりと宣言した。その目には、迷いが一切なかった。

「僕たち、最後まで一緒にいるよ。」

 ノエルも、少し前を向いてそう言った。彼もまた、この道に進む覚悟を決めたのだ。

 その瞬間、僕たちの足取りが一つになった。すべてが不確かで、これから待ち受ける試練がどれほど大きいものかも分からないけれど…。

「今日はもう遅い。続きは明日だ。みんな、ありがとう。」

 レオンが言った。

「じゃあ、また明日ね。テオ、家まで送って。」

「おう、じゃあな、レオン、ユリス。」

「ユリス、俺たちも行こうか?」

「あぁ、早く行こう。雨が降りそうだしな。」

 いつもと変わらないやり取りだったはずなのに、どこかが違う気がした。ポタポタと大粒の雨が降り始め、足元を濡らしていく。

 明日、何が待っているんだろう。真実を知ったら、何が変わるのか……そんな思いを抱えながら、俺はレオンの背中を追いかけた。
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