何でも完璧にこなせる幼馴染が唯一絶対にできないのは、俺を照れさせること

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モテる幼馴染と二人きり(家)

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 自分が平凡な人間であるということはそれなりに理解しているつもりでいる。それは非凡な幼馴染と比べて悲観的になっているとかいうわけじゃなく、俺なりに自分を客観視して出した結論だ。

 勉強は中の下。運動はそこそこ。
 学校基準で考えるなら、俺の価値はまさに中の中と言ったところだろう。部活動に入らず、先生に対する愛想もあんまり良くないことを加味すると、評価はもう少し下がるかもしれないが。

 そんな俺なので、午後の授業で熟睡をかましても先生に注意されることはなく、なんなら学校が終わっても起こしてくれる人はいない。親友の拓真にも俺が一度寝たら滅多なことじゃ起きないのは当然知られている。

 ここ一ヶ月ほどは香織とも朝一緒に通学するくらいで、放課後は彼女の方が先に帰っていることが多かった。
 なにせ今、香織の家には彼女の祖母、つまりおばあちゃんが来ている。

 香織だって生まれた時からなんでもできたわけじゃない。
 なんなら俺と幼稚園で出会った時だって「完璧」とは呼べない普通の幼女だった。裏でいったいどれだけの努力があるのかは俺もあまり知らないが、香織を完璧に育てようとするのはいつだって彼女の祖母である。

 普段は長野の実家に住んでいるからいいものの、定期的にあの人は香織の家にやってくる。そうなると決まって香織は放課後忙しそうに帰っていくのだ。

「……ん」

 目が覚める。
 誰かが気を利かせてくれたのか、クーラーがついたままの教室で俺は夕陽が見える時刻まで眠ってしまっていたらしい。
 一時間だけ寝たら起きようと思ってたんだけどな、なんて思いついた言い訳を取ってつける。

「あ、起きた」

 閑散とした教室に、男のよりも高い声が響く。
 彼女は手に持っていたシャーペンをカチ、と一度だけ鳴らし、役目を終えた黒鉛を指で棲家に押し返す。
 こういう何気ない動作でも普通の人の何倍も映えるんだから、学内一の美少女という称号は伊達じゃない。

「あれ、香織……帰らなくていいの?」

 寝ぼけまなこを擦りつつ尋ねてみると、彼女は教科書とノートを鞄にしまいながら苦笑した。

「うん、多分しばらくは大丈夫。さっき連絡があったんだけど、おばあちゃんまた体調が悪くなったみたいでね。お母さんが今車で実家まで送ってるところ」

「そっか。運転気をつけてくださいってお母さんに伝えておいて」

「わかった」

 うっすらと笑って香織はスマホに文字を打ち込んだ。
 なんとなく時計に目を向けると、時刻は六時を過ぎていた。あれ?

「え、さっき連絡があったってことは、学校まで戻ってきたの?」

「そうだよ。熟睡中の誰かさんが起きた時に一人だと可哀想かなーと思って」

「ありがとうございます」

 頭を下げて敬う素振りを見せると香織は楽しそうに笑って立ち上がった。
 この学校の椅子と床は仲が悪いのに、彼女が椅子を押したり引いたりするときは何故かほとんど音がしない。

「帰ろっか」

「だな」

 次いで俺が立ち上がり、ギィィと嫌な音が教室に反響する。とはいえ俺はこの音が嫌いというわけではない。人気ひとけがないとやたら大きく聞こえる摩擦の音は、確かに学校の終わりを告げているのだから。
 カバンを手に取り二人並んで教室を出る。
 パタっと優しくドアを閉めた香織が再び楽しそうな笑顔を浮かべた。

「こうやって静かにドアを閉める感覚、私好きだなぁ。学校が終わったぞー! って感じがする」

「それちょっと分かるかも」

「ホントに!? やったね」

 他愛のない話をしながら俺たちは久しぶりに二人で放課後の廊下を歩く。向かう先はもちろん下駄箱である。

「昨日の夜ご飯は何食べたの?」

 俺は基本的に朝は食べない。お昼は香織のお母さんのお弁当なので、香織が知らないのは俺の晩飯のメニューだけ。

「あー、」

「お、その反応はカップ麺だなー? 私が行かないとすぐそうなんだから。今日は斗真の家行くね。お姉ちゃんがとびきり美味しいご飯作ってあげよう!」

「おお、それは助かる」

 お姉ちゃんと香織は言うが、当たり前のことだけど血の繋がりがあるわけではない。
 中学の頃に色々あって、香織が私をお姉ちゃんだと思えって言ってくれたことがきっかけで、今も兄妹のような関係は続いている。中学の色々については、俺が実家に一人暮らしで、香織のお母さんにお弁当を作ってもらっていることから察してほしい。

 香織からのありがたい提案を俺が素直に受け取ると彼女はとびきりの笑顔で笑った。本当に笑顔が絶えないので、一緒にいて楽しい幼馴染である。

 下駄箱まであと少し。そんな時だった。

「良かった、まだいた」

 ハァハァと肩で息をする男が俺たちを呼び止めた。いや、手に持っているものを見る限り、香織を呼び止めたと言った方が正しいか。

「一ノ瀬さん、ちょっと時間もらえる?」

 四角よつかどの白い紙。
 それはどう見ても手紙で、おそらくラブなレターだろう。

「えっと……」

 一瞬だけ困ったように俺を見た香織だったが、すぐに切り替えて笑顔を作った。

「分かりました。東條先輩、ですよね? バスケ部でご活躍されているという噂はよく耳にします」

 へぇー、知らなかった。
 知っていてくれたのかと嬉しそうにする東條先輩だったが、「噂はよく耳にします」という香織の言葉を遠回しの拒絶と見抜けない時点で、俺からしたらこの後の告白の結果は明らかだった。
 告白が終わるまで香織を待っていてもいいのだが、振られた直後に別の男と一緒に帰られるのは流石に少し可哀想というもの。香織も不用意に先輩を傷つけたくはないだろう。

「じゃあ俺は先に帰ってる」

「うん、またね」

 香織に手を振り下駄箱で靴を履き替える。
 諦めろという先輩への助け舟のつもりだったが、どういうわけか睨まれている気がする。

 俺たちが幼馴染だって話は結構有名なはずなのに、それすらリサーチしてないのかよ。
 外に出たあとで俺は思わず苦笑した。

 せっかく待っていてくれたのに、香織には少し悪いことをした。仕方がないこととはいえ罪悪感はある。
 黄昏時の綺麗な空を見上げ、呟く。

「今度なにかしてあげるか」

 お返しというと大げさだけど、今夜は料理も作ってもらう予定だし、何も返さないのは俺の小さなプライドが許さないと言っていた。





「お邪魔しまーす」

 そんな声と同時に玄関の扉が開く音がしたので俺は香織を出迎えに行った。
 俺が家で待っていたのはわずか十五分ほどだったので、告白の結果は良くも悪くもスムーズに決まったことになる。

「お疲れ様。どうだった?」

「もう、分かってるのに聞くの?」

 ぷくっと頬を膨らませ、わざとらしく嫌そうな声を出す香織。

「断ったよ。オッケーするわけないじゃん。私は彼のことを全然知らないし、彼も私のことを全然知らない。私は、お互いのことをよく理解しあってる人と付き合いたい」

 予想はしていたが、やはり返事はノーだったらしい。
 まあ今まで色んな人から何度も告白されてきたのに一人にもイエスと言ってない時点で、香織が恋愛に意識を向けることはないのだろう。ただでさえ勉強とかで忙しいのだから、当然といえば当然なんだけどね。

 それに、と呟いた香織が不満そうな顔をする。

「あの人、斗真のこと睨んでたでしょ? それがもう私には何よりもダメ」

「気づいてたんだ」

 短い時間だったので分かりやすいものではなかったはずだが、香織は本当に良く人を見ている。
 香織は脱いだ靴を揃えてからため息と共に笑った。

「そりゃあ気づきますよ。大切な幼馴染に向けられた悪意だもん」

 素直に嬉しいことを言ってくれるので俺は香織の頭に手を置いた。さらさらな髪の形が崩れないよう、流れてる方向に撫でてやる。

「ありがとう香織」

「……うん」

 香織は昔から頭を撫でられるのが好きだった。
 今も気持ちいいのか、目を細めて俺にされるがままの状態。しかしいつまでもこうしているわけにはいかないので手を離すと、香織は少し名残惜しそうに俺の手を見つめた。

 それから二人で手を洗い、俺がテーブルを拭いたり食器を出したりする間、香織は冷蔵庫を開けて絶望していた。もちろん開けっぱなしというわけではなく、開いてすぐに顔色を変えて閉じた。
 曰く、

「男子高校生の冷蔵庫って感じ」

だそうだ。最後にスーパーへ買い物に行ったのがいつだったか、思い出せないくらいには我が家の冷蔵庫はお腹を空かせていた。

「ちょっとうちから取ってくるね」

 制服の上からエプロンを纏い、髪をポニーテールにまとめたままの香織が俺に言った。料理をするときの彼女はいつもこのスタイルである。
 約一ヶ月ぶりに見る姿はどこか新鮮な感じがした。

「ごめん、買い出し行っとけばよかった」

「平気だよ。気にしないで」

「ありがとう」

 笑った香織がポニーテールを揺らす。
 可愛いな。
 もう家族同然の仲とはいえ、それくらいは普通に思う。そして褒め言葉はできるだけ相手に伝えるべきだろう。

「久しぶりに見たけど似合ってる。エプロンもポニーテールも」

「そ、そう? ありがと。……えっと、それじゃあ私行ってくるね」

 すぐに後ろを向いて忙しなくリビングから去っていく。
 かと思ったら、ドアを半開きにしたまま、板ガラスの向こうに影が見える。

「どうした?」

「その……今日のお昼休みにさ」

 お昼休み?
 登下校はともかく、学校では嫉妬の目が痛いのであまり香織とは話さない。今日だってお昼は拓真と食べていたはずで、香織とは話していない。
 しばらくの沈黙があって、香織はようやく声を出した。

「いや、何でもない。斗真はさ、私のこと好き?」

「そりゃあもちろん。大好きだよ」

「そっか。うん、それだけ。じゃあ行ってくるね」

「おう、行ってらっしゃい」

 納得したような、してないような。
 そんな声音と足音が、ドアの向こうで小さく響いていった。
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