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第一部:番外編
ヘルト視点23:帰宅、ピアス、約束
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家に帰り、玄関を掃除していたソルからエルツが食事を作っていると聞いて厨房へと足を進める。
「ただいま、夕飯と明日の分の材料買ってきたぞ」
「おかえりなさい、ありがとうございます」
厨房に居たエルツに声をかけてから、買ってきた荷物を保存庫に入れていく。
その間にも美味そうな匂いが鼻を擽り、空腹感を覚えた。
「いい匂いだな」
買ってきた荷物を片づけ、匂いに引かれるようにエルツの隣に立つ。
美味しくできていると俺に笑みを浮かべたエルツに悪戯心が沸いて、口づければ注意された。
まあ、それすら可愛いんだけどな。
エルツにちょっかいを出しながらも、昼飯ができるのを眺める。
……いつピアス見せるかな。
早く見せてやりたいが、一生懸命作っている手を止めさせるのも悪い。
はやる気持ちを抑えながら、エルツの手が止まるのを待って、ピアスを取り出した。
「前に頼まれてたピアスが完成したのを取りに行ってきた」
「わぁ……ありがとうございます!」
小さい箱に並んだ二つのピアスを見てエルツが笑みを浮かべる。
……めちゃくちゃ可愛いな。
「飯食い終わったら……耳、穴開けるか?」
「はい!」
以前の約束を口にすればエルツが嬉しそうに頷いた。
そこからは……昼飯食って、エルツの部屋でピアスの穴を開けた。
エルツの両耳で揺れる赤い魔石のピアス。
黒髪の合間から覗くそれは、緑色の瞳と対照的でよりエルツの美人さを引き立てているように思える。
「うん、似合ってるぞ」
そんな普通の褒め方しかできない自分に呆れていたが……エルツは、幸せそうに笑う。
「……すごく嬉しいです」
……ホント、美人なんだよ。俺には勿体ないくらいに。
そんなエルツを見下ろしていたら、エルツは一度視線を逸らしモジモジと口を開いた。
「僕を、全部……ヘルトさんのものに、してもらえませんか……?」
顔を真っ赤に染め、恥ずかしそうに告げたエルツに俺の思考が止まる。
エルツを、全部……俺のものに……?
いや、言いたい事はわかる!わかるが……!
本気で好きなヤツに言われると、結構クるなこれ!
溢れだしそうな想いを抑え込んで、エルツの手を取る。なぜなら、エルツにとってかっこいいままの俺でいたいからな!
「いいのか?」
精一杯の虚勢で尋ねれば、エルツが小さく頷く。
そうか……いいのかっ……。
エルツなりに考えて覚悟を決めてくれたのだと思う。
なら、俺も応えたいが男とヤるには準備が必要だと言うのも知っている。それに道具が必要なのも。
それをどうするかと口に出せば、エルツの口から衝撃の事実が出てきた。
「その……あります」
「ん?」
「商館から……渡された荷物の中に、必要な……道具、も……入ってたんです」
真っ赤になりながら話すエルツに、あの商館の店主の顔を思い出して、一瞬イラっとする。
だけど、その行動は売った側からしたら当然の配慮でもあると思う。
だが、全部手のひらの内ってのは気にくわねぇ!
ちょっとした怒りを覚えたが、不安そうなエルツに怒ってる場合じゃないと怒りを沈め、向き直る。
「今日でいいのか?」
「……はい」
そう頷いたエルツに俺も覚悟を決めた。
「夜、先に風呂入って部屋で待ってる」
「ただいま、夕飯と明日の分の材料買ってきたぞ」
「おかえりなさい、ありがとうございます」
厨房に居たエルツに声をかけてから、買ってきた荷物を保存庫に入れていく。
その間にも美味そうな匂いが鼻を擽り、空腹感を覚えた。
「いい匂いだな」
買ってきた荷物を片づけ、匂いに引かれるようにエルツの隣に立つ。
美味しくできていると俺に笑みを浮かべたエルツに悪戯心が沸いて、口づければ注意された。
まあ、それすら可愛いんだけどな。
エルツにちょっかいを出しながらも、昼飯ができるのを眺める。
……いつピアス見せるかな。
早く見せてやりたいが、一生懸命作っている手を止めさせるのも悪い。
はやる気持ちを抑えながら、エルツの手が止まるのを待って、ピアスを取り出した。
「前に頼まれてたピアスが完成したのを取りに行ってきた」
「わぁ……ありがとうございます!」
小さい箱に並んだ二つのピアスを見てエルツが笑みを浮かべる。
……めちゃくちゃ可愛いな。
「飯食い終わったら……耳、穴開けるか?」
「はい!」
以前の約束を口にすればエルツが嬉しそうに頷いた。
そこからは……昼飯食って、エルツの部屋でピアスの穴を開けた。
エルツの両耳で揺れる赤い魔石のピアス。
黒髪の合間から覗くそれは、緑色の瞳と対照的でよりエルツの美人さを引き立てているように思える。
「うん、似合ってるぞ」
そんな普通の褒め方しかできない自分に呆れていたが……エルツは、幸せそうに笑う。
「……すごく嬉しいです」
……ホント、美人なんだよ。俺には勿体ないくらいに。
そんなエルツを見下ろしていたら、エルツは一度視線を逸らしモジモジと口を開いた。
「僕を、全部……ヘルトさんのものに、してもらえませんか……?」
顔を真っ赤に染め、恥ずかしそうに告げたエルツに俺の思考が止まる。
エルツを、全部……俺のものに……?
いや、言いたい事はわかる!わかるが……!
本気で好きなヤツに言われると、結構クるなこれ!
溢れだしそうな想いを抑え込んで、エルツの手を取る。なぜなら、エルツにとってかっこいいままの俺でいたいからな!
「いいのか?」
精一杯の虚勢で尋ねれば、エルツが小さく頷く。
そうか……いいのかっ……。
エルツなりに考えて覚悟を決めてくれたのだと思う。
なら、俺も応えたいが男とヤるには準備が必要だと言うのも知っている。それに道具が必要なのも。
それをどうするかと口に出せば、エルツの口から衝撃の事実が出てきた。
「その……あります」
「ん?」
「商館から……渡された荷物の中に、必要な……道具、も……入ってたんです」
真っ赤になりながら話すエルツに、あの商館の店主の顔を思い出して、一瞬イラっとする。
だけど、その行動は売った側からしたら当然の配慮でもあると思う。
だが、全部手のひらの内ってのは気にくわねぇ!
ちょっとした怒りを覚えたが、不安そうなエルツに怒ってる場合じゃないと怒りを沈め、向き直る。
「今日でいいのか?」
「……はい」
そう頷いたエルツに俺も覚悟を決めた。
「夜、先に風呂入って部屋で待ってる」
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