バージン・クイーン -強面のイケメンのところに、性欲解消目的で呼ばれるデリヘル嬢の話-

福守りん

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17.バッド・サプライズ1

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 どっと疲れた。
 プロポーズもしていないのに、祐奈に渡す婚約指輪のことを考えている自分が、ストーカーじみているような気がしていた。
 もう一度画面を開いて、ブラウザを閉じた。電源も落とした。
 去り際の祐奈の言葉が、頭に引っかかっていた。
 誘われたのだろうか。俺が、いつも言うような言葉だった。

 寝室は暗くなっていた。
 祐奈は、自分のベッドで寝ていた。
 寝ているのか、じっとしているだけなのか、よく分からなかった。
「祐奈」
 ささやくように呼んだ。びくっと体が動いた。
「したい?」
「わ、わたし……。わかんない。
 あなたは?」
「君の返事次第だな。してもいい。無理にしたいとは、思ってない」
「ずるい……」
「えぇ?」
「し、したい」
 恥ずかしそうに言ってくる。体に、熱い塊を入れられたような感覚があった。
 反応していた。そこから、全身に、甘い毒がまわっていく。
「いいよ。俺のベッドでいい?」
「うん……」

 祐奈のかわいさを楽しみながら、ゆっくり愛していた。
 そのうちに、暗がりの中に、すすり泣く声が聞こえ始めた。
 驚いた。俺の体の下で、祐奈が泣いていた。
「どうしたの?」
「わ、わかんない。……なんか、はずかしくって」
「いつもと同じように、してるつもりだよ。俺のせい?」
「ううん……。さそうのって、むずかしいですね」
「はっきり言ってくれて、よかったのに。
 生理の前に、誘ってくれた時みたいに」
「……そんなこと、いっちゃ、いや」
 もっと泣かれてしまった。参った。
「泣かないで。つらいんだったら、ここまでにしよう」
「いやっ。したいの……」
「だったら、泣きやんで。
 楽しんでほしいのに。つらそうに見える」
「だって……」
「なに?」
「わかんない。わたし、おかしいの」
「そうみたいだな。続けていい?」
「うん。したいの」

 ひどく幼く感じられる祐奈を、丁寧に愛した。
 あまりにもあどけなく見えるせいか、何度も、俺が襲っているような気分になりかけた。
「大丈夫? 痛くない?」
「ない……。あ、あんっ……。いや、いや……」
「かわいい」

 不思議なことに、あれだけ多くの女性と関係を持っていたことがありながら、祐奈とセックスをしている時に、彼女たちの記憶がよぎることはなかった。
 祐奈は、唯一無二だ。
 みどりを見失ってから、ずっと、自分に罰を与えるようなセックスしか、してこなかった。
 今思えば、ひどく愚かなことをしていたのだと分かる。そんなことをしていても、みどりは喜んだりはしない。冷静になってみれば、当然分かるはずのことを、まるで分かっていなかった。
 みどりが身を引いたのは、俺のためだったような気がしていた。
 俺の未熟さが招いた結果なのだと、心のどこかで分かっていた。
 みどりが抱えているものの正体は分からなくても、存在は感じていた。感じていながら、訊こうとはしなかった。
 恋愛の、やわらかく甘い、上澄みの部分だけを楽しんでいた。深く濁ったところに、みどりの心が沈んでいたのだとしたら……。
 俺の姿は、どんなふうに見えていたのだろうか。

「れいじさん。れいじさん……。
 いや、こわい……」
「ごめん」
 祐奈の中に入ったままで、動くのをやめていたらしい。
「おわったの……? まだ?」
「まだだな。祐奈は? いけた?」
「ううん……。うごいて、ほしいです。
 もう、いや?」
「そんなことないよ」
「わっ、わたしが……うごいたほうが、いい?」
「いいよ。大丈夫」
 動きだした。祐奈が、「あぁ」と切なげに声を上げた。
 腰を使いながら、覆いかぶさっていった。キスをした。
 祐奈の手が、俺のうなじにかかる。祐奈に向かって、引きよせられることに、喜びを感じていた。
 必要とされている気がした。
 錯覚かもしれない。そうだとしても、構わなかった。

「だめ、いっちゃう。いく、あんっ……!」
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