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学園編
8-1 武闘祭
しおりを挟む「これより武闘祭を挙行する。皆奮闘するように」
学園長の言葉であちこちから雄叫びが上がる。武闘祭は前世でいう体育祭のようなものだと思ってくれればいい。予選が大体2日間で本戦が1日で行われる大規模な行事だから競技場の外には屋台が立ち並んでいてスポーツ観戦みたいに応援することが出来たりもする。学科ごとの対戦になってるからこの日数なだけで全学科になったら…考えたくなくなるね。
対戦表を見て相手と時間を確認する。僕の出番は午前の最後で相手はカナドル・ルーティーという例の隣国の皇子様らしい。
「おうリラン。出番はいつなんだ?」
「アレク。私は明日の最後らしい」
「あーシールド枠になってんのな」
「ああ。アレクはいつなんだ?」
「俺は3試合目だ。そうだ、昼飯一緒に食おうぜ」
「わかった」
兄たちも時間が合えば一緒に食べたいなと思いながら頷く。兄の風魔法で姉と同じ時間帯っていうのを聞いてたから、姉の対戦時間を確かめていると競技場の方からすごい歓声が聞こえてきた。
「勝者、デルヴィーニュ公爵令嬢~!!」
「「「うぉぉおおおおお!!!!!」」」
「姉さん勝ったみたいだな」
凄い歓声だな。姉は1試合目だったから兄もか。
アレッサンドロ、凄いいい笑顔で喜んでくれるのは嬉しいんだけど、試合始まってまだ5分も経ってない。姉がまたやらかしてないといいけど……。
そんな僕の願いは虚しく対戦相手だったであろう令息は担架に運ばれて行った。対戦相手の状態はもう「すみません」としか言いようがない。
「凄ぇな…長女神童」
「………」
「あ、リラ~ン!…うわっゾンビ!!…え?……あ、………は、早く良くなると、良いね?あ、あはは~」
担架を担いでる人に事情を聞いて誤魔化しながらこっちに来た。さっきまで心配してたけど、(まあ違う意味で死にそうになってるけど)あの様子だと大丈夫そう。
「トリルビィ様の対戦終わっちゃったんだね。あ、僕試合明日だったよ!で、レイナード様は開始10秒で勝ってたよ!だから呼びに行けなくてごめんね」
「やっぱり。本戦で観れると思うから大丈夫」
「そっか!リランとアレクはいつなの?」
「リランが明日の最後で俺は3試合目」
「あ~リランたちはシールド枠になるかもって先生たち言ってたもんね」
「でもシールドはリランだけだよな?」
「確か、レイナード様は早く終わらせたいって辞退してトリルビィ様はリランと決勝で戦いたいから辞退したんだよね?」
「そう」
「アレクが3試合目なら屋台に並ぶ時間ないかなぁ」
「あと20分くらいだかんな」
「ブラントは何試合目かわかる?」
「おっすっかり忘れてたぜ。勝ち進んだら準決勝で当たった筈だから……今日の最後の方か明日の午前中だな」
「ねぇねぇ、少し早いけどアレクたちの競技場行こうよ!僕の足だとなかなか着かないんだよね~」
ブレイディの言葉を聞いた周りの生徒達が「え、可愛い」「もしかしなくても小動物なの?」「俺がおぶって差し上げたい!」等々ざわざわし出した。人に注目されるのも疲れるから僕たちはさっさと騎士科の競技場の方に向かった。
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