山の上高校御馬鹿部

原口源太郎

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 翌日。朝の教室で絆創膏を顔中に張り付けた山下と海上が数人の男子生徒を前に話している。
「だから、ちょっと訳ありで理由は言えないけど、こいつと決着を付けなければならなくなった」
 山下が言った。
「昨日のケンカは俺が勝ったんだからな」
 海上が横から言う。
「バカ野郎、決着が付かなかったじゃねえか。だからぁ、ケンカじゃ決着が付かないから別の事で白黒はっきりさせたい。何かいい考えはないか?」
「明日のテストの点で勝負すれば?」
「俺に頭で勝負しろってのか?」
 意見を言った小笠原を山下が睨む。
「じゃ、バカはバカなりに、きっちり三十点取ったほうが勝ちとか。三十点までいかない場合は近いほうが勝ち」
「バカはバカなりとは何だ、バカ野郎!」
 小笠原は山下と海上にぼかすかと殴られる。
「何だよ、意見を言えっていうから言ってやったのに」
 山下たちに殴られて顔にあざを作った小笠原がぶつぶつと文句を言う。
「麻雀とか、花札とか。それとも今日の巨人戦、どっちが勝つかを賭ける」
 島村が別の案を出した。
「そんな運で決めるようなことはできないな」
 山下はその意見も否定する。
「何かスポーツで勝負すれば? それなら健全で、すっきり決着が付くだろ?」
「それならいいかも」
 山下が納得したように言う。
「よし、それだ」
 海上も同意した。

 昼休みに教室で生徒たちが弁当を広げている。
 グラウンドに小笠原や島村他数人の生徒がいた。ジャージを着た山下と海上だけが苦しそうにぜーぜーと息を継いでいる。
「11秒3。またしても二人同着だ。まだやる?」
 ストップウォッチを持った島村が言った。
「もう一回」
 山下が苦しそうに言う。
「もう二十回もやってんだぜ。昼休みが終わっちまう」
「まだまだだ」
 海上も苦しそうに言う。
「付き合ってらんねーな」
 生徒たちは校舎に向かってぞろぞろと歩き出す。山下と海上も疲れた表情で後についていく。
「大体よー、百メートル走だなんて、そんな単純なもんで決着を付けようってのが間違いなんだよ。もっとはっきりしたもので決着を付けようぜ」
 山下が前を歩く島村たちに声をかけた。
「じゃ、何をやるか、自分たちで考えな」
 島村は素っ気なく答えた。
 その時、キーンコーンカーンコーンとベルが鳴る。
「あーあ。昼飯食い損ねた」
 慌てて走り出しながら小笠原が言った。

 今度は放課後の体育館で卓球台を挟んで山下と海上が睨み合っている。その周りを山下たちのクラスメイトと卓球部員が取り囲んでいる。
「それじゃ、山下のサーブでどうぞ」
 台の横に立つ審判役の島村が言った。
 山下がサーブする。
 二人は必死の形相でパシパシパシと打ち合う。あまりにもレベルの高いラリーに卓球部員たちは驚いた顔で見ている。
「俺たちより上手いわ」
「あとでコーチしてもらおうか」
 などと話している。
 試合は進んでカウント10対10。
 サーブは山下。
 海上がレシーブし、それを山下が勢いよく打ち込む。そのボールは台をかすめて飛び、床に落ちる。
「今の入った?」
 島村が海上に尋ねる。
「出た」
「台をかすったじゃなえーかよ!」
 すかさず山下が異議を唱える。
「かすってねーよ」
「かすった! 音がしたぞ!」
「音なんかしてねー!」
 ラケットを床に叩きつけてぼかすか殴り合う二人。
 やがて卓球台までバリバリ壊してしまう。
「これが終わったら弁償するように言っておいてくれる?」
 卓球部員の一人があきれたように島村に言った。
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