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翌日の体育館。仮設のリングが作られている。
ジャージ姿でヘッドギアとボクシンググローブを付けた山下と海上がリングに上がる。
「大体、卓球なんてちまちましたもので決着を付けようなんてのが気に入らねえんだよ。やっぱり男ならスカッと殴り合わなけりゃ」
リングのロープをくぐりながら山下が言う。
「それではフリーノックダウン制、無制限一本勝負、カーン!!」
制服の上に蝶ネクタイを締めた島村がリングのベルを真似て言った。
山下と海上は突進してリング中央で猛烈に打ち合う。
「このヤロー! いて―じゃねえか!」
「ざけんなよ!」
バチン! バチン!
ドス、ドス!
バキッ! バキッ!
山下のフックが海上の顔面へ。海上のボディーブローが山下の腹へ。山下のアッパーが海上の顎へ。海上のストレートが山下の顔面へ・・・・
ディフェンスなど知らないといった風に打ち合う二人。
そのうち足蹴りが加わり、はてはグローブを投げ捨てて掴み合いのケンカになる。
島村が止めに入ろうとするが弾き飛ばされてしまう。
リングの上でぼかすかやりあう二人。
そのまた翌日の体育館。
剣道の防具を身に付ける山下と海上。凄く殺気立っている。
用意出来た二人は体育館の中央へと静かに歩み寄る。周りには剣道部員だけでなく、他の運動部員やそうでない野次馬など大勢の見物人がいる。女子生徒の中には美菜の姿もある。
「始め!」
審判役の剣道部員が大きな声で試合開始を告げた。
「うりゃー!」
「とりゃー!」
防具に身を包んだ山下と海上が竹刀を小さく動かしながら奇声を張り上げる。
やがて二人同時に飛び込み激しく打ち合う。
「面一本!」
審判が叫ぶ。
「うりゃー!」
「とりゃー!」
審判の声を無視して二人は打ちまくる。同時に竹刀が折れる。
竹刀を放り出し、小手も放り出して防具の上から掴み合って殴り合う二人。
「おいおいおい」
あきれたように眺めている見物人たち。
駅前の国道を美菜とその友達の明日香が歩いている。
「また何かやり始めたねー。山下君と海上君」
明日香が美菜に話す。
「そうだね」
「今回はちょっと気合が入ってるみたい。何か決着を付けるとか言ってたよね?」
「うん。あの二人は仲がいいんだか、悪いんだか、全然わからない」
「根はいい人たちなんだけど、単細胞なんだよね」
「単純すぎる。かもね」
美菜はそう言って楽しそうに微笑んだ。
日が傾いて、山並みが深い影を作り始めている。
山下と海上、それに島村が自転車に乗って校門から出てくる。
「明日こそは決着を付けてやるからな」
山下が海上に言う。
「明日こそ泣くんじゃねーぞ」
「泣くのはお前だ」
「そうだ、自転車で決着を付ければ?」
いい事を思い付いたといったように島村が言った。
「自転車? それはいい。じゃ、俺の家がゴールだ」
山下が意気込んで言う。
「今からじゃ暗くなりかけてるし、審判もいない。明日だ。金曜日だし。例えば、山の上の峠からスタートして駅前がゴールとか。あまり短い距離じゃ、また同着ってことになりかねないから、距離は長い方がいい」
「それがいいな」
「下りばっかりなら疲れねえし。よし、じゃ明日の放課後」
「決まり」
「明日泣いて謝ったって駄目だからな」
「それはお前だ」
「てめーだよ」
「お前だ!」
「てめーだ!」
自転車をひっくり返してぼかすかやりあう二人。慌てて島村が止めに入る。
ジャージ姿でヘッドギアとボクシンググローブを付けた山下と海上がリングに上がる。
「大体、卓球なんてちまちましたもので決着を付けようなんてのが気に入らねえんだよ。やっぱり男ならスカッと殴り合わなけりゃ」
リングのロープをくぐりながら山下が言う。
「それではフリーノックダウン制、無制限一本勝負、カーン!!」
制服の上に蝶ネクタイを締めた島村がリングのベルを真似て言った。
山下と海上は突進してリング中央で猛烈に打ち合う。
「このヤロー! いて―じゃねえか!」
「ざけんなよ!」
バチン! バチン!
ドス、ドス!
バキッ! バキッ!
山下のフックが海上の顔面へ。海上のボディーブローが山下の腹へ。山下のアッパーが海上の顎へ。海上のストレートが山下の顔面へ・・・・
ディフェンスなど知らないといった風に打ち合う二人。
そのうち足蹴りが加わり、はてはグローブを投げ捨てて掴み合いのケンカになる。
島村が止めに入ろうとするが弾き飛ばされてしまう。
リングの上でぼかすかやりあう二人。
そのまた翌日の体育館。
剣道の防具を身に付ける山下と海上。凄く殺気立っている。
用意出来た二人は体育館の中央へと静かに歩み寄る。周りには剣道部員だけでなく、他の運動部員やそうでない野次馬など大勢の見物人がいる。女子生徒の中には美菜の姿もある。
「始め!」
審判役の剣道部員が大きな声で試合開始を告げた。
「うりゃー!」
「とりゃー!」
防具に身を包んだ山下と海上が竹刀を小さく動かしながら奇声を張り上げる。
やがて二人同時に飛び込み激しく打ち合う。
「面一本!」
審判が叫ぶ。
「うりゃー!」
「とりゃー!」
審判の声を無視して二人は打ちまくる。同時に竹刀が折れる。
竹刀を放り出し、小手も放り出して防具の上から掴み合って殴り合う二人。
「おいおいおい」
あきれたように眺めている見物人たち。
駅前の国道を美菜とその友達の明日香が歩いている。
「また何かやり始めたねー。山下君と海上君」
明日香が美菜に話す。
「そうだね」
「今回はちょっと気合が入ってるみたい。何か決着を付けるとか言ってたよね?」
「うん。あの二人は仲がいいんだか、悪いんだか、全然わからない」
「根はいい人たちなんだけど、単細胞なんだよね」
「単純すぎる。かもね」
美菜はそう言って楽しそうに微笑んだ。
日が傾いて、山並みが深い影を作り始めている。
山下と海上、それに島村が自転車に乗って校門から出てくる。
「明日こそは決着を付けてやるからな」
山下が海上に言う。
「明日こそ泣くんじゃねーぞ」
「泣くのはお前だ」
「そうだ、自転車で決着を付ければ?」
いい事を思い付いたといったように島村が言った。
「自転車? それはいい。じゃ、俺の家がゴールだ」
山下が意気込んで言う。
「今からじゃ暗くなりかけてるし、審判もいない。明日だ。金曜日だし。例えば、山の上の峠からスタートして駅前がゴールとか。あまり短い距離じゃ、また同着ってことになりかねないから、距離は長い方がいい」
「それがいいな」
「下りばっかりなら疲れねえし。よし、じゃ明日の放課後」
「決まり」
「明日泣いて謝ったって駄目だからな」
「それはお前だ」
「てめーだよ」
「お前だ!」
「てめーだ!」
自転車をひっくり返してぼかすかやりあう二人。慌てて島村が止めに入る。
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