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第一章 ラバネス半島編
14.王都ナブルの店を見に行こう!
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マリナ女王陛下との謁見を無事すませ、ナブラスト王国の王都ナブルに『ロンメル商会』の店を出すことに決まった。
店舗の予定地は既に決まっているらしい。
謁見の翌日、僕達が宿で休んでいると、一人の騎士が宿を訪れた。
どうやら街の店舗予定地へ連れて行ってくれるらしい。
父上は昨日に引き続き、ロレット宰相と今後についての打ち合わせで、王城に出向いているので、宿には僕、フィーネ、レミリア、エドワードさんの四人だけだ。
皆で部屋を出て階段を下りていくと、大柄な鎧を着た騎士が姿勢正しく立っていた。
その後ろから、ひょっこりとマリナ女王陛下が顔を出す。
「じゃーん。驚いたであろう」
「……一国の女王様がほいほいと気軽に城を抜け出ていいんですか」
「ここはわらわの国じゃ。だからわらわは自由にしてよいのじゃ。どうせわらわを止められぬ者など存在せぬ」
「あまり聞き分けがないとロレット宰相に言いつけますよ」
「うう……それはダメなのじゃ。そんなことをされると後でキツイお仕置きをされるのじゃ」
大柄の騎士がジロリとマリナ女王を睨むと、彼女は頭を両手に抱えてイヤイヤと首を振る。
うーん、ここにもフィーネとそっくりの女子が……
どうして僕の周りの女子は、活動的な子が多いんだよ。
まあ、僕も九歳だし、遊び盛りだから、大人の枠を越えて遊びたい気持ちはわかるけどさ。
女王陛下のお守りをする、ロレット宰相も大変だね。
僕達四人はマリナ女王陛下達と共に宿を出て大通りへ向かった。
マリナ女王陛下と同行している騎士はグフタスさん。
ナブラスト王国軍の近衛騎士団長だそうだ。
グスタフさんとエドワードさんは同じ騎士ということもあり、すぐに打ち解け合って話をしている。
二人とも苦労人同士だろうから意見が合うんろうな。
左腕をフィーネに、右腕をマリナ女王陛下に絡まれた僕は、とても歩きにくい状態なんだけど、レミリアは助けてくれそうにない。
六人で大通りを真っ直ぐに歩いていくと、他の建物よりも二倍近く大きい建物があった。
それを指差して、マリナ女王陛下が薄い胸を張る。
「ここがシオンのために用意した店舗じゃ。五階建てじゃぞ。王都の中でもここは一等地じゃぞ。すごかろう感謝するがよい」
「あ……ありがとうございます」
これだけの建物なのに『ボーン食器』だけを販売しても、店内がスカスカにならないかな?
香水や石鹸も各種、置いておいたほうが良さそうだな。
建物の玄関から中へ入ると既に陳列棚やカウンターが設置されていた。
天井を見ると豪華なシャンデリアが吊るされている、これはやり過ぎじゃないだろうか。
エドワードさんとグスタフさんを一階に残し、二階への階段を上っていく。
二階はモノを貯蔵する倉庫だった。
三階に上がると、使用人達の控室と休憩室、それに更衣室まで作られている。
四階は僕の執務室と使用人達の事務室。
そして五階は僕専用の私室とリビング、それに客室もあり、お風呂も完備されていた。
レミリア、フィーネ、マリナ女王陛下の三人をリビングに残し、僕は一人で私室で色々と調べる。
ベッド、机、衣装棚、姿見、ほとんど生活に困らないぐらいの設備は整えられていた。
姿見の前に立って、僕はふとある事を頭をよぎる。
僕は机の引き出しの中にあったペンとインクを持ち出し、姿見に『創造魔法陣』のスキルを開放して『転移』の魔法陣を描いていく。
できあがった魔法陣に魔力を流すと、姿見の内部がグニャリとゲートに変化した。
これでディルメス侯爵領と王都ブリタスの別邸へ転移できるはず。
実験をするため、姿見のゲートから王都の別邸へ転移すると、アレン兄上がビックリした表情をする。
「シオン、どこから転移してきたんだ? 父上と一緒にナブラスト王国の王都へ向かったはずだろ?」
「ナブラスト王国の王宮から、王都ナブルに店舗の建物をもらったんだ。だから商品を運ぶのに、転移ゲートがあったほうが楽かなと思って」
「……そうかもしれないが……」
アレン兄上と話しをしている時、姿見の転移ゲートから、マリナ女王陛下、フィーネ、レミリアの三人が現れ、僕を押し倒す。
「鏡の中に部屋が! ここはどこなのじゃ!」
「異世界! ここは鏡の中の世界なのよ!」
「二人とも、僕の体の上からどいてー!」
僕の背中の上で、 マリナ女王陛下、フィーネが興奮して騒ぎだす。
それを見ていた、レミリアが僕を助け出してくれた。
はじめて二人を見たアレン兄上は不思議そうに首を傾げる。
「この少女たちは誰だい?」
「……ナブラスト王国のマリナ女王陛下とブリタニス王国のフィーネ王女殿下です……」
「弟のシオンがご無礼をー!」
アレン兄上は僕の頭を押さえつけ、二人で土下座の姿勢をとる。
その様子に気をよくしたのか、マリナ女王陛下は頬に片手を添えた。
「よいよい。既にシオンとはお友達じゃ。友達を罰するようなことはせん」
「シオンと友達になったのは私が先なんですー!」
「先ほどから黙っておったが無礼な女じゃ。わらわはナブラスト王国の女王ぞ。控えよ!」
「私だってブリタニス王国の王女よ。失礼なのはあなたじゃない!」
二人は顔を近づけて、目から火花を飛ばし合う。
このままではブリタニス王国とナブラスト王国の外交問題にもなりかねない。
僕とアレン兄上が、どうしたらいいかアワアワしていると、レミリアがフィーネとマリナ女王陛下の頭をスパパパンと手の平で張り倒す。
「落ち着いてください。そんなことではシオン様に怒られますよ」
うーん、一番強いのはレミリアかもしれないな……彼女に逆らうのだけはやめておこう。
店舗の予定地は既に決まっているらしい。
謁見の翌日、僕達が宿で休んでいると、一人の騎士が宿を訪れた。
どうやら街の店舗予定地へ連れて行ってくれるらしい。
父上は昨日に引き続き、ロレット宰相と今後についての打ち合わせで、王城に出向いているので、宿には僕、フィーネ、レミリア、エドワードさんの四人だけだ。
皆で部屋を出て階段を下りていくと、大柄な鎧を着た騎士が姿勢正しく立っていた。
その後ろから、ひょっこりとマリナ女王陛下が顔を出す。
「じゃーん。驚いたであろう」
「……一国の女王様がほいほいと気軽に城を抜け出ていいんですか」
「ここはわらわの国じゃ。だからわらわは自由にしてよいのじゃ。どうせわらわを止められぬ者など存在せぬ」
「あまり聞き分けがないとロレット宰相に言いつけますよ」
「うう……それはダメなのじゃ。そんなことをされると後でキツイお仕置きをされるのじゃ」
大柄の騎士がジロリとマリナ女王を睨むと、彼女は頭を両手に抱えてイヤイヤと首を振る。
うーん、ここにもフィーネとそっくりの女子が……
どうして僕の周りの女子は、活動的な子が多いんだよ。
まあ、僕も九歳だし、遊び盛りだから、大人の枠を越えて遊びたい気持ちはわかるけどさ。
女王陛下のお守りをする、ロレット宰相も大変だね。
僕達四人はマリナ女王陛下達と共に宿を出て大通りへ向かった。
マリナ女王陛下と同行している騎士はグフタスさん。
ナブラスト王国軍の近衛騎士団長だそうだ。
グスタフさんとエドワードさんは同じ騎士ということもあり、すぐに打ち解け合って話をしている。
二人とも苦労人同士だろうから意見が合うんろうな。
左腕をフィーネに、右腕をマリナ女王陛下に絡まれた僕は、とても歩きにくい状態なんだけど、レミリアは助けてくれそうにない。
六人で大通りを真っ直ぐに歩いていくと、他の建物よりも二倍近く大きい建物があった。
それを指差して、マリナ女王陛下が薄い胸を張る。
「ここがシオンのために用意した店舗じゃ。五階建てじゃぞ。王都の中でもここは一等地じゃぞ。すごかろう感謝するがよい」
「あ……ありがとうございます」
これだけの建物なのに『ボーン食器』だけを販売しても、店内がスカスカにならないかな?
香水や石鹸も各種、置いておいたほうが良さそうだな。
建物の玄関から中へ入ると既に陳列棚やカウンターが設置されていた。
天井を見ると豪華なシャンデリアが吊るされている、これはやり過ぎじゃないだろうか。
エドワードさんとグスタフさんを一階に残し、二階への階段を上っていく。
二階はモノを貯蔵する倉庫だった。
三階に上がると、使用人達の控室と休憩室、それに更衣室まで作られている。
四階は僕の執務室と使用人達の事務室。
そして五階は僕専用の私室とリビング、それに客室もあり、お風呂も完備されていた。
レミリア、フィーネ、マリナ女王陛下の三人をリビングに残し、僕は一人で私室で色々と調べる。
ベッド、机、衣装棚、姿見、ほとんど生活に困らないぐらいの設備は整えられていた。
姿見の前に立って、僕はふとある事を頭をよぎる。
僕は机の引き出しの中にあったペンとインクを持ち出し、姿見に『創造魔法陣』のスキルを開放して『転移』の魔法陣を描いていく。
できあがった魔法陣に魔力を流すと、姿見の内部がグニャリとゲートに変化した。
これでディルメス侯爵領と王都ブリタスの別邸へ転移できるはず。
実験をするため、姿見のゲートから王都の別邸へ転移すると、アレン兄上がビックリした表情をする。
「シオン、どこから転移してきたんだ? 父上と一緒にナブラスト王国の王都へ向かったはずだろ?」
「ナブラスト王国の王宮から、王都ナブルに店舗の建物をもらったんだ。だから商品を運ぶのに、転移ゲートがあったほうが楽かなと思って」
「……そうかもしれないが……」
アレン兄上と話しをしている時、姿見の転移ゲートから、マリナ女王陛下、フィーネ、レミリアの三人が現れ、僕を押し倒す。
「鏡の中に部屋が! ここはどこなのじゃ!」
「異世界! ここは鏡の中の世界なのよ!」
「二人とも、僕の体の上からどいてー!」
僕の背中の上で、 マリナ女王陛下、フィーネが興奮して騒ぎだす。
それを見ていた、レミリアが僕を助け出してくれた。
はじめて二人を見たアレン兄上は不思議そうに首を傾げる。
「この少女たちは誰だい?」
「……ナブラスト王国のマリナ女王陛下とブリタニス王国のフィーネ王女殿下です……」
「弟のシオンがご無礼をー!」
アレン兄上は僕の頭を押さえつけ、二人で土下座の姿勢をとる。
その様子に気をよくしたのか、マリナ女王陛下は頬に片手を添えた。
「よいよい。既にシオンとはお友達じゃ。友達を罰するようなことはせん」
「シオンと友達になったのは私が先なんですー!」
「先ほどから黙っておったが無礼な女じゃ。わらわはナブラスト王国の女王ぞ。控えよ!」
「私だってブリタニス王国の王女よ。失礼なのはあなたじゃない!」
二人は顔を近づけて、目から火花を飛ばし合う。
このままではブリタニス王国とナブラスト王国の外交問題にもなりかねない。
僕とアレン兄上が、どうしたらいいかアワアワしていると、レミリアがフィーネとマリナ女王陛下の頭をスパパパンと手の平で張り倒す。
「落ち着いてください。そんなことではシオン様に怒られますよ」
うーん、一番強いのはレミリアかもしれないな……彼女に逆らうのだけはやめておこう。
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