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第2章 グランタリア大陸東部編

43.ダルシアン王国へ行こう!

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ブラジャーとパンティを開発し、幾つか試作品を僕は、フィーネ、セレーネ王妃、マリナ女王陛下、シャムの四人に試作品を配り、試着してもうようにお願いした。

四人の反応はどれも好評で、本格的に商品化していくことが決まった。

工場をどこに作ろうかと考えていると、 セレーネ王妃とフィーネがライオネル王陛下に頼んで、王都の土地を買い与えてくれた。

それから三週間後、無事に工場は完成し、ブラジャーとパンティが量産を開始した。


それでブラジャーとパンティーに「ブラブラ」、「パンパン」と製品名をつけようとしたら、「もっと考えてください」とレミリアに叱られた。


そしてリムルが考えた『ブラーフ』、『パンピ』が製品名となり、各店舗で大々的に売り出されることに。

『ブラーフ』と『パンピ』は街の女性達の心を捉え、瞬く間に大ヒットになっていった。

店には入りきれないほどの数のお客様が殺到し、毎日のように長蛇の列が並んでいる。

その一ヵ月後、僕、レミリア、アグウェル、サイゾウの四人は荷馬車に大量の『ブラーフ』と『パンピ』を積んで、オルデンのいるダルシアン王国へ向けて出発した。


もちろんサイゾウには人化の術で人族に変化してもらっている。


リムルも一緒に旅をしたいと言ったけど、王都トラントの店舗が忙しく、今回の旅はお預けにしてもらっている。

二日間の船旅は海も平和で、すごく快適だった。

チョンタルの港街に到着した僕達は、宿で一泊した後に街道を南下する。

そして街道の街々で宿を取りながら、三日ほど荷馬車で走り続けるとカトリ砦が見えてきた。

このカトリ砦はイシュガルド帝国とダルシアン王国の国境線上にあり、ここを抜ければダルシアン王国となる。

砦の警備兵が賄賂を要求してくるので仕方なく、アグウェルが貨幣の入った革袋を渡していた。


どうやらイシュガルド帝国の警備兵は、賄賂を渡さないと嫌がらせを仕掛けてくるらしい……困ったものだと思う。


砦を抜けてから近くの街で一泊し、そして翌日の夕方にダルシアン王国の王都ダルトンに到着した。

オルデンの商会の店舗は商業地区あり、なかなか繁盛している。


「こんにちは」

「シオンじゃないか。来る時期はもう少し遅いと思っていたよ」


「予定を早めてきたんだ。今日からお世話になるね」

「ああ、自分の家だと思ってゆっくりしていってくれ」

王都ブリタスにいた時、冒険者に依頼してオルデンに手紙を送っていたんだけど、予定が空いたので僕達は早めに王都ダルトンに来たのだ。


ちょっとオルデンを驚かせたいって気持ちもあったからね。


店舗の裏手にある厩舎に荷馬車をとめて、オルデンにも手伝ってもらって僕達は積み荷を下した。

僕達が持ってきた荷の中身は香水、石鹸、『ブラーフ』、『パンピ』の四点で、オルデンの店に卸す予定になっている。

今後も定期的にオルデンの商会に商品を卸す予定だ。

荷の中の『ブラーフ』と『パンピ』を見せると、オルデンが目を丸くして驚く。


「また商品を開発したのか。これって女性用の下着かい? 本当に売れるのか?」

「大丈夫、『ロンメル商会』の店舗では大ヒットだったから」

「そうか、それなら今から商品を並べて売ってみよう」


オルデンは楽しそうに微笑む。

全ての商品を棚に並び終え、僕はサイゾウに声をかけた。


「サイゾウに聞きたいんだけど、その人化の術って女性にも変化できるの?」

「できるはずでござるが、やったことはないでござる」

「じゃあ、お願いがあるんだ。『ブラーフ』と『パンピ』を着て、女性に化けてきて」

「えーイヤでござるよー」


僕のお願いを聞いて、サイゾウは首を激しく横に振って嫌がった。

僕とサイゾウが騒いでいると、近くて作業をしていたアグウェルがサイゾウに冷たい視線を送る。


「主であるシオン様の指示に従えないと言うのですか?」

「いえいえ、閣下そんなことはないでござる。喜んで着てくるでござるよ」


サイゾウは慌てて店の二階へと階段を上っていった。

しばらくして、女人化したサイゾウが姿を現した。

なぜかリムルによく似た姿をしている。

その姿を見て、僕はサイゾウを指差す。


「今日からサイゾウの名はミムルだからね。それじゃあ、店の前に立って『ブラーフ』と『パンピ』の宣伝を大声でしてね」

「イヤでござる。イヤでござる」

「アグウェルに言っちゃうよ」

「う~鬼でござる~」


サイゾウは青い顔をしてトボトボと店先まで歩いていき、口に手を当てて大声で宣伝をはじめた。


「もうヤケクソでござる。通りを歩いてる方々、拙者の姿を見てほしいでござる! ブリタニス王国で大ヒットしている女性用下着『ブラーフ』と『パンピ』でござるよー! 本日入荷の商品でござるー!」

サイゾウの声に反応し、道を歩く人々がサイゾウに注目する。


それにしても声まで女性に変えられるなんて、サイゾウの人化の術ってすごいな。


店の奥からオルデンが歩いてきて、サイゾウの姿を見て、目を見開く。


「誰だい、あの美少女は。女の子にあんな恰好をさせていいのか?」

「ここまで一緒に来た僕の商会のミムルだよ。従業員だから慣れているし大丈夫だよ」

「そうなのか? ちょっと心配だから一緒に声を出してくるよ」


そう言ってオルデンがサイゾウの隣へと走っていった。

あれ? ちょっとオルデンの頬が赤くなっていたような?


……あのサイゾウは男なんですけど……このことは黙っておいたほうがいいのかな?
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