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初恋の人が君主になって グレースの場合
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祝福の鐘が鳴っている。空は青く澄み渡り、多くの国民が家の窓から外を眺めている。通りにも人が出てきている。時折、穏やかに小さな雲がゆっくりとふわふわと漂っていくのが見える。
花嫁衣装を着た私は、長いトレーンを振り返る。大丈夫そうだ。かつてないほどの人気に支えられて、金塊の契約を果たせる一歩手前まで来た私とジョシュアは、自分の国での結婚式で魔法を使うことを円深帝に許可していただいた。夕刻より早めの開始も許していただいたのだ。そのため、まだお日様が照っていて明るいうちから結婚式を開始できることになったのだ。
ミラや第八騎士団に支えられて大聖堂でこじんまりとした結婚式を挙げたけれども、今日は国王と王妃の正式な結婚式として国民にお披露目するのが目的だ。
胸が高まる。港で艦隊も祝福の旗と掲げている。
私は最愛の人を見上げた。ジョシュアは私の手をしっかりと取り、口付けをしてささやいた。
「愛しい奥様、さあ、お披露目の時間ですよ」
ジョシュアは私にうなずくと、後ろを振り返ってさっと腕を振り上げた。後ろに控えていた楽団が一気に祝福の曲を弾き始めた。
私とジョシュアは青空に飛び立った。私のトレーンが大きく広がり、美しいレースの弧を青空に描いた。楽団も曲をかき鳴らしながら次から次への空に飛び立った。私とジョシュアの魔力でパレードを行う王家側のメンバーを全員空に飛び立たせているのだ。
トレーンの補助は丸メガネのメロンとエロイーズだ。楽団の先陣を切って指揮をしているのはハリー宰相だった。
国民からどよめきが起きているのが聞こえている。皆が大興奮しているのが分かる。
私とジョシュアは手から龍とペガサスの黄金の煌めきを出し、下にいる国民にお祝いの紙幣とお餅を黄金色の包み紙で包んだ贈り物を撒き始めた。
国民からすると空から龍とペガサスの煌めきと共に、黄金色の軽いふわふわとしたものが次から次に舞い降りてくるのが見えているはずだ。
大歓声が沸き起こる。小さな魔法をさらに贈り物一つ一つに込めていて、人々が穏やかな気持ちになれるヒーリング効果の高いお茶と同じ作用を仕掛けていた。人々が空からふわふわと舞い降りてくる黄金の贈り物に殺到したりしないようにするための配慮だ。
受け取った人々から、笑顔と歓声が沸き起こっているのを確かめて、私とジョシュアはさらに進んだ。国中に回れる計算をしているのだけれども、最後は夜になるはずだ。私のレースのトレーンから大量に黄金の贈り物が次から次に舞い降りて行って、下から見ると美しい眺めのはずだ。
「グレース、愛している」
ペガサスの黄金の光を瞳にゆらめかせたジョシュアが私にささやき、キスをした。さらに国民から熱狂的な歓声が上がった。
「私もよ」
私はジョシュアに微笑んで自分の気持ちを伝えた。
二人一緒であれば、今後何が起きようともきっと私たちは乗り越えられる。そう信じられた。
「さあ、国中を回るぞ。みんな頑張ってくれ」
「はい!」
国王であるジョシュアが後ろを振り返って楽隊に告げると、元気な返事が一斉に返ってきた。
私たちはこうして空が美しく赤く染まる夕暮れまで、結婚式のパレードを続けた。一番星が輝き始める頃、第八騎士団の皆がやってきた。円深帝も協力してくれて、ドレスアップした第八騎士団とミラも空を飛んできた。
皆にばら撒いてほしい黄金の包みの入ったかごを渡して、全員で空から黄金が煌めいて落ちていく様を見つめながら、残りの待っている国民のところまでパレードを続けた。
「こちらの世界でもスターになった気分よ」
「本当だわねっ!」
アイラやオリヴィア、サイラスやリズ、ミラと円深帝は口々に楽しそうにつぶやきながら、お祝いの黄金の贈り物を夜空に撒いてくれた。
「『Princess Mira and the Eighth Order of Knights』は金塊の契約を果たした後も、活動を続けるで良いかしら?」
素敵なベールガールに扮したメロンが美しいレースのトレーンを眺めながら、皆に声をかけた。
「もちろんよっ!」
「賛成よ」
全員が微笑みながらうなずいた。
「わかりました」
円深帝もミラの横で夜空に黄金の煌めきを撒きながら、快諾してくれた。
「お知らせがあります。リズが宮殿に使える魔法数学師になりたいと、魔法数学大学に晴れて合格したのよ。私はそれを応援することにしたわ」
ミラが美しい笑みを浮かべてリズの手を握った。リズは恥ずかしそうだけれどもとても嬉しそうだ。
「剣の強い魔法数学師の誕生ね」
「まだ気が早いわよ、アイラ。卒業まで時間がかかるわ」
アイラとリズのやりとりも皆を幸せな気持ちにしてくれた。
次にサイラスがしたことは、私を含めて皆をとても驚かせた。リズの肩を抱いて口付けをしたのだ。
「私たち、恋人として始めてみる見ることにしたのよ」
リズが顔を真っ赤にして、サイラスに抱き寄せられたままささやいた。
「おめでとう!」
「わー素敵よ」
幸せな空間が、さらに幸せな空間になったように感じた。
私とジョシュアの幸せを求める冒険の旅はまだまだ続きそうだ。最初にノア皇太子の別荘で芝にの上に煌めく朝露を眺めながら息絶えた瞬間をふと思い出しながら、私はずいぶん遠くまで旅してきたのだなと改めて思った。
想像もできなかった未来だけれども、初恋の人が君主になった。私はそれを支えることができて本当に幸せだ。
花嫁衣装を着た私は、長いトレーンを振り返る。大丈夫そうだ。かつてないほどの人気に支えられて、金塊の契約を果たせる一歩手前まで来た私とジョシュアは、自分の国での結婚式で魔法を使うことを円深帝に許可していただいた。夕刻より早めの開始も許していただいたのだ。そのため、まだお日様が照っていて明るいうちから結婚式を開始できることになったのだ。
ミラや第八騎士団に支えられて大聖堂でこじんまりとした結婚式を挙げたけれども、今日は国王と王妃の正式な結婚式として国民にお披露目するのが目的だ。
胸が高まる。港で艦隊も祝福の旗と掲げている。
私は最愛の人を見上げた。ジョシュアは私の手をしっかりと取り、口付けをしてささやいた。
「愛しい奥様、さあ、お披露目の時間ですよ」
ジョシュアは私にうなずくと、後ろを振り返ってさっと腕を振り上げた。後ろに控えていた楽団が一気に祝福の曲を弾き始めた。
私とジョシュアは青空に飛び立った。私のトレーンが大きく広がり、美しいレースの弧を青空に描いた。楽団も曲をかき鳴らしながら次から次への空に飛び立った。私とジョシュアの魔力でパレードを行う王家側のメンバーを全員空に飛び立たせているのだ。
トレーンの補助は丸メガネのメロンとエロイーズだ。楽団の先陣を切って指揮をしているのはハリー宰相だった。
国民からどよめきが起きているのが聞こえている。皆が大興奮しているのが分かる。
私とジョシュアは手から龍とペガサスの黄金の煌めきを出し、下にいる国民にお祝いの紙幣とお餅を黄金色の包み紙で包んだ贈り物を撒き始めた。
国民からすると空から龍とペガサスの煌めきと共に、黄金色の軽いふわふわとしたものが次から次に舞い降りてくるのが見えているはずだ。
大歓声が沸き起こる。小さな魔法をさらに贈り物一つ一つに込めていて、人々が穏やかな気持ちになれるヒーリング効果の高いお茶と同じ作用を仕掛けていた。人々が空からふわふわと舞い降りてくる黄金の贈り物に殺到したりしないようにするための配慮だ。
受け取った人々から、笑顔と歓声が沸き起こっているのを確かめて、私とジョシュアはさらに進んだ。国中に回れる計算をしているのだけれども、最後は夜になるはずだ。私のレースのトレーンから大量に黄金の贈り物が次から次に舞い降りて行って、下から見ると美しい眺めのはずだ。
「グレース、愛している」
ペガサスの黄金の光を瞳にゆらめかせたジョシュアが私にささやき、キスをした。さらに国民から熱狂的な歓声が上がった。
「私もよ」
私はジョシュアに微笑んで自分の気持ちを伝えた。
二人一緒であれば、今後何が起きようともきっと私たちは乗り越えられる。そう信じられた。
「さあ、国中を回るぞ。みんな頑張ってくれ」
「はい!」
国王であるジョシュアが後ろを振り返って楽隊に告げると、元気な返事が一斉に返ってきた。
私たちはこうして空が美しく赤く染まる夕暮れまで、結婚式のパレードを続けた。一番星が輝き始める頃、第八騎士団の皆がやってきた。円深帝も協力してくれて、ドレスアップした第八騎士団とミラも空を飛んできた。
皆にばら撒いてほしい黄金の包みの入ったかごを渡して、全員で空から黄金が煌めいて落ちていく様を見つめながら、残りの待っている国民のところまでパレードを続けた。
「こちらの世界でもスターになった気分よ」
「本当だわねっ!」
アイラやオリヴィア、サイラスやリズ、ミラと円深帝は口々に楽しそうにつぶやきながら、お祝いの黄金の贈り物を夜空に撒いてくれた。
「『Princess Mira and the Eighth Order of Knights』は金塊の契約を果たした後も、活動を続けるで良いかしら?」
素敵なベールガールに扮したメロンが美しいレースのトレーンを眺めながら、皆に声をかけた。
「もちろんよっ!」
「賛成よ」
全員が微笑みながらうなずいた。
「わかりました」
円深帝もミラの横で夜空に黄金の煌めきを撒きながら、快諾してくれた。
「お知らせがあります。リズが宮殿に使える魔法数学師になりたいと、魔法数学大学に晴れて合格したのよ。私はそれを応援することにしたわ」
ミラが美しい笑みを浮かべてリズの手を握った。リズは恥ずかしそうだけれどもとても嬉しそうだ。
「剣の強い魔法数学師の誕生ね」
「まだ気が早いわよ、アイラ。卒業まで時間がかかるわ」
アイラとリズのやりとりも皆を幸せな気持ちにしてくれた。
次にサイラスがしたことは、私を含めて皆をとても驚かせた。リズの肩を抱いて口付けをしたのだ。
「私たち、恋人として始めてみる見ることにしたのよ」
リズが顔を真っ赤にして、サイラスに抱き寄せられたままささやいた。
「おめでとう!」
「わー素敵よ」
幸せな空間が、さらに幸せな空間になったように感じた。
私とジョシュアの幸せを求める冒険の旅はまだまだ続きそうだ。最初にノア皇太子の別荘で芝にの上に煌めく朝露を眺めながら息絶えた瞬間をふと思い出しながら、私はずいぶん遠くまで旅してきたのだなと改めて思った。
想像もできなかった未来だけれども、初恋の人が君主になった。私はそれを支えることができて本当に幸せだ。
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