夫である伯爵に裏切られましたが、王家に輿入れすることになりました

視察（１）

　その日の視察はうまく行った。以前に確認していた村の古い教会をブルーデネルとマリアと確認し、仕事を頼みたいと考えていた女性や男性の家を周った。そして、彼らに翌日から無料配給所を運営したいと持ち掛けたのだ。

　ブルーデネルは熱心に話を聞いて計画を吸収してくれた。市場に買い出しに行ってくれる人も見つかり、教会の台所をその日のうちに掃除してくれる人も見つかった。伯爵家にいた頃から彼らを知っている私は、彼らに２週間分の手当を渡して、翌日からの運営を少しずつ試みてくれないかと頼み込んだ。

　みな、私が他の村で運営している配給所の評判を聞いたことがあると言ってくれて、この村で同じことができるなんて本当に嬉しいと喜んでくれた。

　お昼ご飯は村で食べた。騎士団の皆にも振る舞い、ブルーデネルとマリアに配っても、まだ余るほどのランチボックスを持ってきていたのだ。

　ハイベリー宮殿の料理番は、私たちのために張り切って大量にランチボックスを用意してくれていた。

　そこで、村の広場に教会からテーブルを持ち出してきて、余ったランチボックスを広げた。村の子供達や大人にも振る舞ったのだ。明日から古い教会で無料配給所を開くことも宣伝した。あちこちから手伝いを申し出る声が上がり、ブルーデネルはその対応で大忙しだった。