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しおりを挟む「どうしたんですか?」
春也は僕のほうに寄ってくるから顔を慌てて背ける
「この子のクレープがさっきの転んだ勢いで落ちちゃったみたいで…」
「あらら…」
春也は近くの出店からティッシュを借りてきて一緒に拾ってくれる
優しいな
「あの…良かったら俺が買いましょうか?」
春也が僕の隣にしゃがみ込み、下から顔を覗きこみながら聞いてくる
「へ?…いいの…??」
「え…?」
思わずいつもの感じで言ってしまい、慌てて口を手で塞ぐ
そのとき目もバッチリとあったけど春也から逸らされてしまった
「…全然いいっすよ
何個でも買います…」
春也は何故か顔を赤らめながら手の甲で自分の顔を少し隠してる
「あっ、ありがとうございますっ
初対面なのにいきなりなってもらうなんて…」
「大丈夫ですよ
買いに行きましょう」
女の子視点で見る春也は新鮮でなんだか面白い
「どれ頼みますか?」
「じゃ、じゃあ…
アイスと生クリーム乗ったやつ…」
「甘いもの好きなんすね」
春也は笑顔を浮かべると僕の代わりに注文してくれる
お店の人とは知り合いのようだ
普段も優しいけどやっぱり女の子には特別優しいという臣から聞いた話は本当のようだ
クレープが出来上がり受け取る
口角が上がるのが抑えきれない
そんな時近くからアラーム音のようなものが聞こえる
「ねえ千夏ちゃん、私たちこれから休憩で代わりの子あとから来るからその間1人で頑張って」
「え?!!ちょっとまって
1人にはしないって言われたのに」
そういうと後輩の女の子から腕を引かれて耳打ちされる
「千夏さん
心強いイケメンが横にいるじゃないですか?」
「何言ってるの!
違うじゃん!僕男だよ?!」
それってまさか春也のこと…??
2人きりになったらバレるかもしれないって言うのに!!
2人は僕にチラシと看板を渡す
「じゃあ私たちは休憩に行きますね!」
「裏切り者!!
ひどい!!1人にしないでよ…」
容赦なくその場を去っていってしまった
女装した男がクレープ持って1人でこんな所にいるって何…??
隣の春也が心配そうに見つめてくる
「あの千夏さん?でしたっけ?大丈夫すか?」
「あ、はい…」
「クレープ食べませんか?」
「うん…」
春也は近くのベンチまで案内してくれる
そこに座ると春也も横に腰を下ろした
「そういえば千夏さんって名前で合ってますよね?」
「はい」
「学部とかどこなんですか?」
「ひ、秘密ですっ!!」
「秘密なんてあるんだ」
春也は笑ってクレープの出店で知り合いからサービスしてもらったココアを飲んでいる
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