君に不幸あれ。

ぽぽ

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玲の誕生日

静は昼休みに屋上で玲の姿が現れないか待っていたが、しばらく待っても玲の姿は現れなかった。

玲の姿が中々現れないため、静は三年生の廊下に向かおうと決意する。屋上を出て、階段を降りた時、聞き慣れた声が聞こえてきた。

そこにいたのは玲だ。

声をかけようとしたが、そこにいたのは玲だけではなく女子と長身の玲以上にでかい男が立っていた。3人で楽しげに話している。

そんなところを邪魔する勇気は静にはない。
足音を消して、その場から去ろうとした時、玲の視線がこちらを向いた。

静をとらえた玲の視線が優しく緩められる。


「あれ、静だ。今ね、屋上に行こうとしてたところ。」

「えー、誰?玲の友達?」


女子生徒が玲の腕に手を這わし、静を興味津々に見つめた。甘い香水の香りが静の鼻に届き、緊張で身を固めてしまう。


「そうだよ~。」

「へえ、なんか珍しいタイプ。よく屋上であってるの?」

「秘密、お前には教えてあげない。」


玲はそう言いながら腕に回った女子の手を払った。


「お前、三年か」


突然、ぐいっと顔を近づけて静に声をかけてきたのは玲の隣に立っていた男だ。

短髪の黒髪に切れ長の目、通った鼻筋に、シュッとした輪郭。全体的に濃いめのパーツだが、整っていることには違いない。

静は驚いて肩を振るわせる。
その様子を見た玲がふっと笑い、静の腕を引いて自分の背中へと隠した。


「圭介、怖いって」

「怖い?俺のことか?」

「そうでしょ。そんな巨人にいきなり顔近づけられたら怖いって。」

「そうなのか。悪かった。」


圭介と呼ばれた男は静から一歩距離をおいて、素直に離れていった。静もそれに対して小さく頭を下げ返す。

そして、玲のブレザーの裾を軽く引っ張った。


「んー?どうしたの?」


玲が子供をあやすような声を出して、静の方を振り返った。


「…あ、あのね、放課後でいいんだけど時間ある?」

「時間あるよ。どうしたの?」

「今日良かったら僕の家に来ない?」


本当はいつものように屋上でも良かった。
だけど、誕生日の玲に対してなにか特別なことをしたい。そう思った静は家に玲を招待したのだ。

玲は小さく目を見開く。


「ちょっとここじゃないところで話そうか。」


玲は友人たちの方を向いてひらひらと手を振る。


「じゃあ、一旦かいさーん」

「待ってよ、玲!まだ私の時間!」

「そんな時間、元から設けてませーん」


玲は静の腕を引いていたもの屋上へと向かう。


「良かったの?」


静は後ろをチラチラと振り返り問いかける。


「ん?何が?」

「友達置いてきちゃって」

「だって、今の最優先事項は静の家に招待されたってことだもん。」


静はその言葉に胸が躍った。
屋上につくと、いつも通りの青い空が広がっている。


「で、静のお誘いちゃんと聞きたいんだけどいい?」


玲は静の腰に手を添えて、距離を縮めた。
玲が至近距離で静の顔を覗き込む。顔が熱が上がっていくのを感じた。


「僕の家に遊びに来てくれないかな…?」


静が小さな声で告げると、玲は美しい口元に微笑みを浮かべて静の手を取った。


「誘ってくれてありがとね。じゃあ、招待されようかな」


玲は得意げに言った後、静の頭をくしゃくしゃにして撫でた。


「放課後、校門の前で待ち合わせしよっか。」

「いや、そこは…」 


そこにいたら玲といるところをクラスメイトに見られてしまう。そしたら自分と一緒にいる玲まで悪口を言われてしまうかもしれない。それは避けたかった。


「学校からでて右に行ったところにコンビニがあると思うんだけど、そこで待ち合わせしない?」

「コンビニ?別にいいけど。」


玲は不思議そうな顔をしていたが特に言及することはなかった。

玲と屋上以外で交流をすることは初めてで静の胸は踊る。
楽しみにしているとあっという間に時間は過ぎていく。クラスの連中に大声で悪口を言われてもそれほど気にならなかった。

すぐに放課後になり、静はいつも以上に早く教室を出て行く。

早く玲に会いたくて早足になっていた。校門をでてコンビニに向かう。口元にも無意識に緩んでいた。高校に入ってからこんなに胸を弾ませるのは始めてだった。

コンビニの前に行くと、玲はすでにそこに立っていた。静は玲の元に駆け寄る。


「お待たせ!玲君、早かったんだね!」

「ん、早く着いちゃった。」


玲も同じ気持ちでいてくれたことに安堵を覚える。
学校以外の場所で歩いていることに再び胸が高鳴った。
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