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第二章 リ,スタート
22長月 愛しさのベクトル②
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「ほら、気持ちいいを沢山教えてあげるから」
片足を肩に担がれてさらに結合部が深くなるように挿入された。
「んはっ、やばい、やばいってば……それダメなやつ――」
「ダメ?違うだろう。気持ちいいんだよ。ほら、お尻の奥までトントンしてるのがわかるかい」
「わかる、とんとんしてる……わかる……んはぁ、ダメダメ」
「だからこれは、ダメじゃなくて良いって言うんだよ」
そう言われた紫苑は眉間にシワを寄せ、眉を下げ辛そうな表情をしていた。
行き止まりまでペニスを突っ込まれ、キツくて苦しくて……でもとってもあったかくて愛しい。複雑な感情がミックスジュースみたいに混ぜ合わされていた。
「この奥にもっと気持ちいい場所があるんだよ。今はまだ美月の体には無理だけど、抑制剤を弱いのに変えて、疑似α剤もやめればいつかきちんとしたヒートがくるようになる。子供も産める。そうしたらこの結腸の先を抜いてあげる」
「子供?きちんとしたヒート……?」
紫苑は結合部に手を伸ばした。
「そう、ヒートの間は俺のチンコしか考えられない。オメガってのはそう言うものだよ」
さっきまでの幸せが噓のように足場が崩れていく。
「そんなのになりたくないって言った――」
「どうして?」
紫苑はサイドテーブルのハイボールを一気に口に入れごくりと飲み込むとその缶を頬にくっつけた。それはまるで愛しいものに頬ずりするように幸せそうな動作であったのに、それとは裏腹にその目は何も信じてはいなかった。神無月を見て口がゆっくりと動いた。
「柊さんを幸せにしたかったから……」
神無月には紫苑の心の痛みは判らない。オメガだとなぜ神無月が幸せになれないのかも解らなかった。そもそもここまで話をさせるのだって一苦労だ。――でもここでやめては意味がない。
「だからどうして?俺は美月がオメガで凄く幸せだよ。よく考えて、アルファとオメガなら子作りもできる」
何も言わず俯いたまま、ただ顔を左右に振っていた。
「あなたは何も知らないから」
「だから何を知らないんだ」
「同僚なら、ライバルとか、仲間とか、そんなんなら僕、あなたを幸せにする自信凄いあるんです。適度な距離感が必要な事もあるでしょう」
神無月は何も言わずにただ聞きに徹しようと思った。
「ねえ忘れてください」
「何を」
「僕がオメガであることをです」
――思ったのに、「嫌だ」つい言っていた。
「我が儘ですよ」」
「我が儘は美月だろ」
サイドテーブルの灰皿を投げていた。
冷たい視線が神無月に注がれた。それでも怯んだら負けだ、ただの勘がそう言っていた。
「小さなころ会ったあれは美月だろ、違うのか」
「違いませんよ」
「なら……」
感情的になる神無月に対し、紫苑はどんどん冷静になっていく。
「しつこいですよ。あれが僕だから、だから何?お互いに好きだから、だから何?ベータだからオメガだから、アルファだから、いい加減にしてください」
片足を肩に担がれてさらに結合部が深くなるように挿入された。
「んはっ、やばい、やばいってば……それダメなやつ――」
「ダメ?違うだろう。気持ちいいんだよ。ほら、お尻の奥までトントンしてるのがわかるかい」
「わかる、とんとんしてる……わかる……んはぁ、ダメダメ」
「だからこれは、ダメじゃなくて良いって言うんだよ」
そう言われた紫苑は眉間にシワを寄せ、眉を下げ辛そうな表情をしていた。
行き止まりまでペニスを突っ込まれ、キツくて苦しくて……でもとってもあったかくて愛しい。複雑な感情がミックスジュースみたいに混ぜ合わされていた。
「この奥にもっと気持ちいい場所があるんだよ。今はまだ美月の体には無理だけど、抑制剤を弱いのに変えて、疑似α剤もやめればいつかきちんとしたヒートがくるようになる。子供も産める。そうしたらこの結腸の先を抜いてあげる」
「子供?きちんとしたヒート……?」
紫苑は結合部に手を伸ばした。
「そう、ヒートの間は俺のチンコしか考えられない。オメガってのはそう言うものだよ」
さっきまでの幸せが噓のように足場が崩れていく。
「そんなのになりたくないって言った――」
「どうして?」
紫苑はサイドテーブルのハイボールを一気に口に入れごくりと飲み込むとその缶を頬にくっつけた。それはまるで愛しいものに頬ずりするように幸せそうな動作であったのに、それとは裏腹にその目は何も信じてはいなかった。神無月を見て口がゆっくりと動いた。
「柊さんを幸せにしたかったから……」
神無月には紫苑の心の痛みは判らない。オメガだとなぜ神無月が幸せになれないのかも解らなかった。そもそもここまで話をさせるのだって一苦労だ。――でもここでやめては意味がない。
「だからどうして?俺は美月がオメガで凄く幸せだよ。よく考えて、アルファとオメガなら子作りもできる」
何も言わず俯いたまま、ただ顔を左右に振っていた。
「あなたは何も知らないから」
「だから何を知らないんだ」
「同僚なら、ライバルとか、仲間とか、そんなんなら僕、あなたを幸せにする自信凄いあるんです。適度な距離感が必要な事もあるでしょう」
神無月は何も言わずにただ聞きに徹しようと思った。
「ねえ忘れてください」
「何を」
「僕がオメガであることをです」
――思ったのに、「嫌だ」つい言っていた。
「我が儘ですよ」」
「我が儘は美月だろ」
サイドテーブルの灰皿を投げていた。
冷たい視線が神無月に注がれた。それでも怯んだら負けだ、ただの勘がそう言っていた。
「小さなころ会ったあれは美月だろ、違うのか」
「違いませんよ」
「なら……」
感情的になる神無月に対し、紫苑はどんどん冷静になっていく。
「しつこいですよ。あれが僕だから、だから何?お互いに好きだから、だから何?ベータだからオメガだから、アルファだから、いい加減にしてください」
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