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悪役令嬢と私の婚約者交換 ~え、私が殿下と婚約ですか?~

第三話 悪役令嬢の断罪

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「イヴリン様、何を仰っているのでしょうか? あなたの提案で婚約者を交換したのではありませんか。……なぜだか理由を伺っても?」

「ハリー様はダメですわ。わたくしという婚約者がいるというのに、いつも別の女と遊んでいるのですよ? 一度わたくしを抱いてからは自分から会いに来もしませんのよ。それでわたくし思い出したのです、レオ殿下のわたくしに対する愛を」

 あのクズ男……婚約者の公爵令嬢をやり捨てしたってこと? まぁきっと結婚するまでに色々と遊んでおこうということなんでしょうけど。

「まぁあなたには一言いいに来ただけだから。どうせ自分には決定権はないからと言うんでしょう? では殿下は返してもらいますからそのつもりで」

 そう言い残して悪役令嬢イヴリンは去ってしまった。

 え? また交換? レオ殿下と婚約破棄なんてもう考えられない。私の心はざわついた。

 しばらくしてレオ殿下から呼び出しがあった。婚約破棄をレオ殿下から告げられるのかもしれない。私の心は痛いくらいに締め付けられている。

「やぁ、オリヴィア。急に呼び出して悪かったね」

「いえ、本日はどのようなご用件でしょうか?」

「どうしたの? 急に他人行儀だね。取り寄せていた隣国の小説が色々と手に入ったから二人で読もうと思って呼んだんだ」

「え……婚約破棄は?」

 思わず声が漏れてしまった。

「なんだい婚約破棄って? ……あぁ、もしかしてイヴリンのことかい? あんな提案はもちろん突っぱねてやったさ。当たり前だろう? そもそも前回向こうから婚約破棄を言い出してくれて、僕は飛び跳ねるくらい喜んだのにまた彼女と婚約するわけないじゃないか」

 そう言うとレオ殿下は大笑いした。

「イヴリンは直接王である父上に直談判してね、前回は僕が望んでいたことだったから罪には問われなかったが、さすがに二度目ではね。不敬罪で遠くの修道院に行くことが決まったよ」

「そうだったんですね……」

「娘がそんなことになったのはお前のだらしがない女癖のせいだと公爵がハリーの陰部を切り付けてしまってね。そっちもかなり大変だったみたいだよ。幸い命に別状はないみたいだけどハリーはもう最強の騎士ではいられないだろうね。騎士団に復帰できるのかさえ怪しいよ」

 頭の中が整理出来ないくらいに情報過多だった。え、イヴリン様は修道院でハリー様はそんな大けがを? 自業自得な部分があるとは言えなんとも可愛そうな……。

「僕は君との婚約を絶対に破棄なんてさせないからね」

 レオ殿下はそう言うと私の頬にキスをした。鏡を見ていないのに顔が真っ赤になっているのがわかった。

 悪役令嬢イヴリン様と最強の騎士ハリー様の話題は国中を駆け巡った。黒髪の自称モブ子が「悪役令嬢の断罪キター」と騒いでいて不審者として捕まったという噂が聞こえてきた。

 === 完 ===
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