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伊佐ヅカ

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第四話:Midnight Blue

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おがさわら丸の見送りをきっかけに、湊が休日に誘ってくれることが増えた。
これまでに五回ほど誘ってもらって、実際に出かけたのは、湊の家の前のビーチでの海水浴くらいだが――それでも十分だった。

父島の海は、どこを切り取っても驚くほど美しい。
目的に応じて、釣り向き、シュノーケル向きと様々な海岸があるらしい。

その日は、湊の弟・航生こうせいや、双子の妹たち・みおなぎさも一緒だった。
兄妹に混ざって海に入るのは、少し照れくさくて楽しかった。

途中、ウミガメが当たり前のように横を泳いでいって、思わずはしゃいでしまった自分がいた。


七月に入り、高校三年生にとって重要な三者面談の時期を迎えた。
担任の清水先生に加えて副担任の僕も同席するため、実質は四者面談となる。

問題視されていなかったはずの湊の面談で、思わぬやり取りがあった。

「我妻くんは、実家の民宿を継ぐという進路でよろしいですか?」

進路調査票を手にした清水先生が、我妻親子の向かいに腰を下ろし、いつもの穏やかな口調で話し始める。
僕はその隣に座り、静かに様子を見守っていた。

事前に提出された進路調査票には、湊の希望通り――父島で両親の営む民宿を将来継ぎたいという旨が記されていた。
その文面は率直で、迷いなく見える。
だが、いざ対面してみると、面談の空気は思いのほか重々しい。

「――実は、夫も私も、湊の考えには反対なんです」

いつものエプロン姿とは違い、清楚なワンピースに身を包んだ湊の母が、真っ直ぐこちらを見据えて言った。
その表情は、険しい。

「湊は成績も悪くない。だからこそ、親としては大学へ進学させたい。もっと可能性を広げてやりたいんです」

「俺は、大学で学ぶような専門的なことは必要ないと思ってる。民宿の運営に必要な実務なら、自分で勉強するよ。だから俺に金をかけるより、航生や澪たちの将来に回してやってくれ。」

湊はいつになく硬い声で返した。
だが母は引かない。

「だったら、せめて一度、島の外へ出て働いてみなさい。視野が狭いまま決めつけるなんて、親として心配なのよ」

「もう何年も家業を手伝ってきて、それでも足りないくらい人手が回ってないって、自分で言ってたくせに。
 なんで俺が、わざわざ島を出て他所で働かなきゃいけないんだよ」

「父島だけが世界じゃないわ。外に出て、違う価値観に触れてからでも遅くないでしょ。
 いくら家業があるっていっても、こんな小さな島にずっと閉じこもっていたら――」

「閉じこもってるんじゃない! 俺は好きでここにいるんだ!」

湊の声が一段階、鋭くなる。
彼の母は、その瞬間にほんのわずか眉をひそめた。

「俺はこの島が好きで、家族の宿が好きで、その手伝いをするのが当たり前だと思ってる。それのどこが悪いんだよ」

場の空気が張り詰めた。

清水先生が控えめに咳払いをして、間に入る。

「……我妻が望むなら、内地での就職支援や企業訪問、面接同行も可能です。ただ……今の段階では、ご本人の意志がまだ固まりきっていないようにも見えます」

「固まってます。俺は、ここで生きていきたい。それだけです」

それでも湊の視線は、揺らがなかった。

「先生、内地での就職を希望する場合、最終判断はいつまでになりますか?」
湊の母が、声を絞り出すように尋ねた。

「……遅くとも、夏休み明けには進路を決めて頂きたい。就職の場合、すでに企業の求人情報の公開は始まっています。
 遅くなればなるほど、選択肢が減っていってしまうとお考え頂いた方がいいでしょう。」

一瞬の沈黙。
窓の外から聞こえる蝉の声が、かえって室内の静けさを際立たせた。

湊の母の、重い重い溜息が机の上に落ちたように響いた。

「……家族で、もう一度話し合います。」

その声には、どこか諦めの色が混じっていた。

椅子を引く音が妙に耳に残る。
深く頭を下げたまま、湊と目を合わせることもなく、母は教室を後にした。

どれだけまっすぐに自分の意思を伝えても、きっと母には届かない。
言葉が交わされているのに、噛み合っていない。
湊の横顔からは、そんな焦れたような気配がにじんでいた。

僕は黙って、そのやり取りを見ていた。
担任の清水先生もまた、何も言わずにそっと書類に目を落とすだけだった。

――埋まらない溝は、たしかにそこにあった。



大人として、湊の母親の言い分は痛いほど分かった。

父島は美しく、穏やかで、確かに素晴らしい場所だ。
だが、世界はそれ以上に広く、残酷でもある。
今ここで満足してしまえば、知らず失っていくチャンスや可能性があるーーー。
そんな未来を、母親として危惧する気持ちは、あまりに真っ当だった。

たくさんの人と出会い、知らない場所へ足を運び、迷って、傷ついて、
そのうえで初めて「自分の道」を見つけてほしいという願い。
若者だからこそ与えられる猶予を、最大限に活かしてほしいという祈り。

その気持ちは、親でなくとも、痛いほど胸に迫る。

でも同時に、湊のまっすぐな想いも、否定できなかった。

海の色、空の匂い、家族の笑い声。
それを愛し、守っていきたいという湊の言葉には、打算がなかった。

「世界は広いから」と誰もが口にするけれど、
それを本当に必要としない者もいるのかもしれない――
そんな可能性を、初めて考えさせられていた。

どちらも正しくて、どちらも切実で。
だからこそ、誰にも簡単には決められない。

僕はただ、副担任という立場で隣に座りながら、
そんな二人の言葉を、静かに受け止めるしかなかった。

「佐伯先生。……もし自分の生徒が、我妻のように親と意見が割れていたら、どうしますか?」

少し考えるような素振りを見せてから、隣の清水先生が、ぽりぽりと頭を掻いた。

「そうですね。まずは、それぞれの話を、ちゃんと聞くことからでしょうか。どちらも本気だからこそ衝突する。話せば、きっと分かり合えると思います。……我妻くんのご家庭も、きっとそうです。」

「はは、やっぱり佐伯先生は落ち着いてるなぁ。俺なんか、こういう時はどうしても気持ちがあたふたしちまう。」

苦笑する清水先生は、ふと目を細めた。

「……我妻、佐伯先生にずいぶん懐いてるみたいだし。一度、ゆっくり話を聞いてやってもらえませんか?」

「僕が、ですか?」

思わず聞き返すと、清水先生は軽く頷いた。

「ええ。あいつ、明るいし素直に見えるけど、実はそんなに単純な子じゃありませんよ。ああ見えて、人に本音を見せるのは慎重なタイプです。……でも佐伯先生には、自然と見せてる気がするんです。」

我妻が…人を選ぶ?

正直、僕にはあまりピンとこない。
彼はいつも朗らかで、天真爛漫で、あけっぴろげな少年だと思っていた。
けれど、そういう“顔”を無意識に使い分ける子も、確かにいる。

彼の家族は仲が良い。
だからこそ、正面からぶつかるのが怖くて、肝心なことほど話せていない――
そういう可能性も、ないとは言い切れない。

「……わかりました。僕でよければ、一度ゆっくり、我妻くんと話してみます。」

「助かります。頼りにしてますよ。」

そう言って笑った清水先生の横顔には、教師としての経験から来る、確かな確信があった。





「きよちゃん、みずがめ座南流星群が来てるんだって。……明日、一緒に見に行かない?」

今日も湊は部屋へ上がり込み、届けてくれた夕食のお弁当を食べる僕を見守っていた。
学校では普通にしているが、部屋の隅でちょこんと、大きな体を折りたたんで体育座りをしている。

僕が箸を動かすたび、湊の視線がそっと追ってくる。
言葉はなくても、「ちゃんと食べてる?」と問いかけるようなまなざしだった。

面談の日以来、湊はどこか元気がない。声は明るくても、ほんの少し、覇気がないのがわかる。

「いいけど、深夜は駄目だぞ。流星群は見れないかもしれないけど、星を見るくらいなら……」

付き合ってやっても、いいかな。

「……ありがとう」

湊はぱっと顔を明るくし、こてんと首を傾けながら僕の顔を覗き込んできた。
その目はややたれ気味のくっきりとした双眸で、潤んで光っている。

大型犬が嬉しくてしっぽを振るみたいに、全身から「喜び」が漏れている。
無邪気で、真っ直ぐで、まるでこちらに全幅の信頼を預けてくるような……そんな目をする。

甘えられると、本当に弱い。
頼られると、応えてやりたくなる。

教師としての線引きは、きちんとしなくちゃいけない。
それはわかってる。頭では。

……けれど、“進路の相談”という名目があれば、多少の距離の近さも許されるだろう。
星を見ながら、それとなく将来の話を――




「ちゃんと、ご両親には伝えてあるんだろうな。」

「もちろん!」

満面の笑みでそう答えた湊は、ちゃっかり清水先生から譲ってもらった原付が125ccであることまで調べ上げていて、お洒落なゴーグル付きハーフヘルメット片手に現れた。
ゴーグル部分を指でちょんと揺らしてみせると、たれ目がいっそう際立って、ビーグル犬みたいに見えてしまう。

「どう、これ?可愛くない?」

はしゃいだ声でそう言いながら、特別な冒険に出かける子どものように目を輝かせている。
……自分で言うな。しかも本当に犬っぽく、可愛く見えるのが、余計に腹立たしい。

法的には問題ないとはいえ、原付での二人乗りは僕にとっても初めてだ。
山道を登るためにはこれが一番効率的で、現実的な選択だと、自分に言い聞かせて鍵を回す。

「大丈夫だよ。こんな夜、他に走ってる人なんていないし!」

湊は嬉しそうに原付の後部へまたがると、足で軽く地面を蹴った。
わくわくした気配が背中越しに伝わってくる。

目指す展望台は、島の山頂にある。
夜道とはいえ、気温は高く、湿った風が肌を撫でていく。
月明かりの下、エンジン音だけが、静かな夜に響いた。

快調に木々は後ろに流れていく。
見慣れた日本の標識が並んでいるのに、両脇のジャングルのような木々のせいで、まるで異国を走っているような気分になる。

「こら、足をプラプラさせるな。」

「はーいっ。」

湊の返事は、子どものように弾んでいた。
島で生まれ育った湊にとって、星空など珍しくもないはずなのに。
それでも、あんなに楽しげな声をあげるのは……少しは、僕との時間も悪くないと思ってくれているのだろうか。

いつもより厳しい勾配の坂に二人分の付加が加わり、まるで文句を言っているかのように、エンジンがぐおんと唸った。

「ねぇ、先生。星、見えて来たよ。」

不意に耳元で囁かれて、背筋がぞわりと震えた。

──今のは、何だ。

さっきまではしゃいでいた、無邪気な少年の声じゃない。
一瞬だけ、低く響いたその声に、思わず心臓が跳ねた。
少年の中に確かに宿り始めている、男の体温と声色。
そんなものを感じ取ってしまった自分に、戸惑いを覚える。

自分の中のどこかが、反応してしまった。
咄嗟にそれを打ち消すように、僕はハンドルを強く握り直した。

エンジンのうなりが、夜の坂道に低く響く。
何も見えていないようで、何かが見えそうなこの時間が怖い。
そんな気配を拭うように、スロットルをひねって前を見据えた。

* * *

やがて、木々の切れ間から空がぱっと開けた。

そこは島の頂上近くにある、ひっそりとした展望スポットだった。
簡素な東屋と、転落防止用の柵が設けられているだけ。
視界を遮るものはなく、三百六十度の空と海を見渡すことができる。

舗装された道の脇にバイクを停めて、僕たちはしばらく無言のまま夜空を仰いだ。

空は深く澄みわたり、零れ落ちそうなほどの星々がきらめいている。
その光は、近づくほどに密度を増し、夜の帳に細やかに震えていた。

「……すごいな。東京じゃ見えないだけで、こんなにも星が出てるんだな。」

まるで星が降ってくるような圧倒的な光景に、思わず息をのむ。

「ほんとだ……星が瞬くって言うけど、ほんとに瞬いてる。」

こぼれた僕の言葉に、湊がふっと顔を綻ばせた。

──さっき、耳元で囁かれたときの鼓動が、まだどこか残っている。

夜風が頬を撫でる。
静寂の中にある星のきらめきと、すぐ隣にいる彼の存在。
何かが、ゆっくりと心の奥で溶けていく。

「国語の先生っぽい。」

「国語の先生だよ。」

湊の笑い声が、夜の空気に溶けていく。

僕は教師で、この子は、僕の生徒だ——。

その事実が、星空の下でほんの少しだけ距離を取らせる。

しばらく無言で、圧巻の星々を見つめた。
夜空には、時折、尾を引く光が静かに流れていく。

まるで、触れてはならない感情を、そっと持ち去っていくかのように。

幻想的な光景に言葉を失っていると、湊がぽつりと口を開いた。

「ねぇ、きよちゃんは、どうしてこの島に来たの?」

「え?」

「この島に来る若い先生って、みんな島の暮らしを楽しむ気満々なんだよ。サーフィンとか、スキューバとか、趣味で来る人が多くてさ。」

島に来た僕と、島を出て行くべきだと言われた湊。

「……逃げて来たんだよ。」

「……?」

湊は怪訝そうに眉をひそめた。

その横顔を見ていたら、なぜだろう。
言ってもいいかもしれない——そんな気がしてしまった。

誰に打ち明けても、きっとただの失恋話にしかならないと思っていた。
けれど本当は、それを話す勇気すらなかったんだ。

相手が男だというだけで、驚かれたり、気を遣われたり、哀れまれたりする。
だから僕は、あの十年を誰にも語らず、誰にも愚痴をこぼさず、ずっと胸の奥にしまい込んできた。

けれど今、この島で湊と並んで星を見上げているこの瞬間だけは、少しだけ、話してもいいような気がした。
相手が誰だったかは伏せたとしても——。

「ありきたりな話さ。十年付き合った恋人に、こっぴどく振られた。生きている意味も見出せなくて、すべて忘れたくて……全部置いて、逃げて来た。」

僕は星のずっと下、真っ暗な水平線を眺めた。

「ああ、丁度きみと同じ年か…。高校の卒業式で、一生分の勇気を振り絞って告白したんだ。」

湊は何も言わず、ただ隣で静かに耳を傾けている。



あの日のことは、今でも鮮明に思い出せる。

桜の花びらが舞う校庭。
「大学では恋人を作る」なんて息巻いていたあの人の横顔を見て、焦って、柄にもなく自分から告白した。
バスケ部のキャプテンで、クラスのムードメーカーだったあの人。
僕は、数いる友達のひとりに過ぎなくて、きっと恋愛対象にすら入っていないと思っていた。

それなのに、あの人は驚いた顔をして、それでも笑って「ありがとう」と言ってくれた——  
恋人としての日々は、そこから始まった。

絶対に叶わないと思っていた人に、手を取ってもらえた。  
信じられないほど嬉しくて、胸が痛いほど幸せで。  
まるで、自分の世界だけがキラキラと光に包まれたような気がした。

あの人が嬉しそうに、僕の隣で笑ってくれる。
ただそれだけで、世界の色が変わって見えた。

手をつないで歩くこと、目が合って笑い合うこと、キスの仕方——
全部、あの人に教えてもらった。

最初はぎこちないキスだった。恐る恐る唇を重ねた僕に、あの人は笑って、深く口づけてくれた。
大好きな人と肌を重ねる喜びも、一つになれる多幸感も、全部あの人と分かち合った。

離れるのが惜しくて、大学時代には同棲を始めた。
就職活動も、互いに一緒にいられることを前提に動いた。

春には花見、夏は花火、秋は紅葉、冬は炬燵で肩を寄せ合った。
僕の作った夕飯に、「うまい」と笑ってくれるだけで幸せだった。

何の変哲もない、特別でもない毎日が、
あの人と一緒というだけで、かけがえのない日々だった。


 

……だけど、終わりは、あっけないほど突然だった。

 

ある日、なんの気なしに立ち寄った駅前のカフェで、
僕は“あの人の恋人”を名乗る誰かに、笑いかけられた。
その隣には、どこか蒼白な顔で俯いていた、あの人がいた。
 

耳を塞ぎたくなるような現実が、目の前にあった。

 

あの人は何も言わなかった。否定も、謝罪もしなかった。
ただ、困ったように笑って、「ごめん」と、それだけ。

 

そして言ったんだ。
「普通に家庭を持ちたいんだ。ゆくゆくは子どもも欲しいと思ってる」って。

 

僕では、その“普通”を叶えてあげることはできなかった。

どんなに愛していても、
どれだけ一緒に過ごしてきても――
超えられない壁が、確かにそこにあった。

 
その日から、あの人は帰って来なくなった。

世界から音が消えたようだった。
あるいは、色も音も、すべてが遠ざかっていった。
何もかもが無意味に思えて、
立っていることすら辛かった。

 

すべてを忘れたくて、全部置いて――
この島へ、逃げてきた。



語り終えたあと、しばらく沈黙が続いた。
 虫の音と、風に揺れる木々の音だけが聞こえる。

「……先生。…まだ、好きなんですか。その人のこと。」

「…どうかな。僕が好きでも、あの人の心はもうここにはない。…どんなに好きでも、ダメなんだ。」

終わらせなければとわかっているのに、まだ終わらせられない自分がいる。

胸がきゅっと締め付けられて、無意識に涙が伝う。

「あー、また泣いちゃったよ。」

困ったように頭を掻いてから、よしよしと頭を撫でる。

「これ、妹たちにやっているやつだろ?」

湊に似た、可愛い小学生の双子の姉妹を思い浮かべる。

「あははっ、バレた。…そいつのこと、本当に好きだったんだな。俺は、そんな風に深く人を愛せるきよちゃんをすごいと思うよ。」

真っ直ぐな瞳が、僕を覗き込む。

「そんな風に愛してもらえる奴は、幸せだろうな。」

「…重いって、言われたよ。」

…『お前、重いんだよ。』…縋ろうとした、僕に冷たい言葉を投げつけて、いなくなった。

「本気で人生を共にしようと考えてくれたんだ。その愛が、軽いはずがないだろ。」

当たり前のように湊から発せられる言葉に、視界が歪む。

嗚咽が漏れて、もう星は見えなかった。

「ちょっ、きよちゃん。」

本気で泣き出してしまった僕の背中を、あわあわしながら湊が優しく摩る。

「ごめん、今は泣かせて。」

届かなかった想いが、ほんの少しだけ報われた気がして――湊の肩が僕の涙で濡れることも構わずに、泣き続けた。

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