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ただいま!
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行きは朝早く叩き起こされて馬車に乗ったので早かった。
帰りは乗合馬車を何度か乗り換えるので、着いたのは夕方になっていた。
最近は見慣れた風景になっていた。
二日しか経っていないのに、物凄く時間が経ったような気がする。
アッシュのことを考えるとまだ悔しくて辛くて涙が出るけど、みんなの前では明るくいようと決めて戻ってきた。
「ただいま帰ってきました。お休みいただいてありがとうございました。お土産のお菓子です」
みんな甘いものが大好きなので、クッキーをたくさん買って帰ってきた。
と言っても働いていたレストランで、安く分けてもらったので助かった。
団長さんは、わたしが早く帰ってきたので驚いていた。
「え?もう帰ってきたのか?」
「はい……離婚はまだですが、旦那と話し合うことは出来ました。あとは彼がいつ離婚届にサインするかですが、それは今日なのか十年後なのかわかりません。
……もうこれ以上旦那と話すことはないので離婚届だけ渡して帰ってきました」
「………そうか……疲れただろう、二、三日ゆっくり休むといい」
団長さんの何も聞かないでくれる優しい言葉にうるっとしながらも…
「あ、あの、出来れば働いて体を動かしていたいんです、明日から仕事に戻ってもいいでしょうか?」
「大丈夫なのか?」
「はい、今は何も考えずに働いていたいんです」
「無理はしないように、いいか?頑張るな、わかったな?」
「はい!ありがとうございます」
わたしは団長さんに頭を下げて別れてから、ロリーを探した。
ロリーはまだ鍛錬場で頑張って居残り練習をしていた。
「ロリー!」
「ユウナ、お帰り!かなり早かったね」
「うん……アッシュと話し合ったよ……て言うか理由を聞いてきた」
「ふうん……ユウナの様子を見ているとあまりいい話ではなさそうだね」
「うん、実はね……」
わたしはアッシュに聞いたことを全て話した。
夫婦のことも話せるのはロリーだからだ。
子どもの頃から仲が良くてアッシュのことを兄のように慕っていて、わたしとも姉弟のように一緒に育った仲間だから話せた。
団長さんにはさすがに話せなかった。
「……ユウナ、今のユウナの家はここだ。もうあんな奴のことはさっさと忘れたらいいよ」
「ロリー、迷惑かけてごめんね。でも聞いてもらえたので少しだけスッキリした!さあ、明日からは頑張って働かなくっちゃ!」
「え?まだ休みは残ってるはずだろう?」
「うん、でも、体を動かしてたほうが気が楽なんだ」
「そっか、無理しないで」
「大丈夫、ここに帰ってきたらなんだかホッとしたの。もうここはわたしが帰ってくる場所なんだって思えて、嬉しいんだ」
わたしはいつものように働き始めた。
本気で団長さんが、離婚おめでとうではなくて、離婚お疲れ様パーティーを開こうと団員さん達と考えているのを知って驚いたわたしは、もちろん断固拒否させてもらった。
離婚まだしていないし……それにおめでとうからお疲れ様になっても嬉しくないし。
そんなお祝いしてもらっても嬉しいわけない!
食べるの大好きな団員さん達は何かとかこつけてお祝いをしようとするけど、されるわたしの気持ちはどうなるの!
恥ずかしすぎるでしょう!
そんな日々を過ごしていたらまたお兄ちゃんから手紙が届いた。
夜一人で手紙を開けると、そこには
「アッシュが離婚届を役場に出した。そしてアッシュは仕事を辞めて街を出て行った」
と書かれていた。
なんで涙が出るんだろう。
もう会いたくないし、二度と会うことないし、綺麗さっぱり忘れてしまうんだから、泣く必要なんてないのに……
おじちゃんとおばちゃんの顔が浮かんだ。
二人はどうしているのだろう。
大切なひとり息子が街からいなくなった。
二人の寂しそうにしている顔が浮かんでまた悲しくなった。
アッシュの馬鹿!
親不孝する馬鹿野郎!
許してやらないし許せないけど、でも、どうして街を出て行ったの?
あんなに大好きな街だったのに……
うー、アッシュのことはもう考えない!
わたしとアッシュは他人になったんだから!
わたしは、18歳でバツイチになった。
そして、もう二度と恋愛なんてするもんか!と心に誓った。
帰りは乗合馬車を何度か乗り換えるので、着いたのは夕方になっていた。
最近は見慣れた風景になっていた。
二日しか経っていないのに、物凄く時間が経ったような気がする。
アッシュのことを考えるとまだ悔しくて辛くて涙が出るけど、みんなの前では明るくいようと決めて戻ってきた。
「ただいま帰ってきました。お休みいただいてありがとうございました。お土産のお菓子です」
みんな甘いものが大好きなので、クッキーをたくさん買って帰ってきた。
と言っても働いていたレストランで、安く分けてもらったので助かった。
団長さんは、わたしが早く帰ってきたので驚いていた。
「え?もう帰ってきたのか?」
「はい……離婚はまだですが、旦那と話し合うことは出来ました。あとは彼がいつ離婚届にサインするかですが、それは今日なのか十年後なのかわかりません。
……もうこれ以上旦那と話すことはないので離婚届だけ渡して帰ってきました」
「………そうか……疲れただろう、二、三日ゆっくり休むといい」
団長さんの何も聞かないでくれる優しい言葉にうるっとしながらも…
「あ、あの、出来れば働いて体を動かしていたいんです、明日から仕事に戻ってもいいでしょうか?」
「大丈夫なのか?」
「はい、今は何も考えずに働いていたいんです」
「無理はしないように、いいか?頑張るな、わかったな?」
「はい!ありがとうございます」
わたしは団長さんに頭を下げて別れてから、ロリーを探した。
ロリーはまだ鍛錬場で頑張って居残り練習をしていた。
「ロリー!」
「ユウナ、お帰り!かなり早かったね」
「うん……アッシュと話し合ったよ……て言うか理由を聞いてきた」
「ふうん……ユウナの様子を見ているとあまりいい話ではなさそうだね」
「うん、実はね……」
わたしはアッシュに聞いたことを全て話した。
夫婦のことも話せるのはロリーだからだ。
子どもの頃から仲が良くてアッシュのことを兄のように慕っていて、わたしとも姉弟のように一緒に育った仲間だから話せた。
団長さんにはさすがに話せなかった。
「……ユウナ、今のユウナの家はここだ。もうあんな奴のことはさっさと忘れたらいいよ」
「ロリー、迷惑かけてごめんね。でも聞いてもらえたので少しだけスッキリした!さあ、明日からは頑張って働かなくっちゃ!」
「え?まだ休みは残ってるはずだろう?」
「うん、でも、体を動かしてたほうが気が楽なんだ」
「そっか、無理しないで」
「大丈夫、ここに帰ってきたらなんだかホッとしたの。もうここはわたしが帰ってくる場所なんだって思えて、嬉しいんだ」
わたしはいつものように働き始めた。
本気で団長さんが、離婚おめでとうではなくて、離婚お疲れ様パーティーを開こうと団員さん達と考えているのを知って驚いたわたしは、もちろん断固拒否させてもらった。
離婚まだしていないし……それにおめでとうからお疲れ様になっても嬉しくないし。
そんなお祝いしてもらっても嬉しいわけない!
食べるの大好きな団員さん達は何かとかこつけてお祝いをしようとするけど、されるわたしの気持ちはどうなるの!
恥ずかしすぎるでしょう!
そんな日々を過ごしていたらまたお兄ちゃんから手紙が届いた。
夜一人で手紙を開けると、そこには
「アッシュが離婚届を役場に出した。そしてアッシュは仕事を辞めて街を出て行った」
と書かれていた。
なんで涙が出るんだろう。
もう会いたくないし、二度と会うことないし、綺麗さっぱり忘れてしまうんだから、泣く必要なんてないのに……
おじちゃんとおばちゃんの顔が浮かんだ。
二人はどうしているのだろう。
大切なひとり息子が街からいなくなった。
二人の寂しそうにしている顔が浮かんでまた悲しくなった。
アッシュの馬鹿!
親不孝する馬鹿野郎!
許してやらないし許せないけど、でも、どうして街を出て行ったの?
あんなに大好きな街だったのに……
うー、アッシュのことはもう考えない!
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そして、もう二度と恋愛なんてするもんか!と心に誓った。
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