27 / 35
うん、わたしね。
しおりを挟む
「ユウナ、追いかけなくていいの?」
ロリーがもう一回聞いた。
わたしは……
「うん、もう終わったの。好きだったんだと思う、でも断った時終わらせて………もう終わったんだ」
「……いいの?」
「ロリー、ありがとう。いつも辛い時そばに居てくれて」
ーーどうして終わった恋なのにこんなに涙が出るんだろう?
自分でもよく分からない。
アッシュの時より辛いな……
こうして二度目の恋も終わった。
◇ ◇ ◇
気がつけばこの侯爵家で働き出して一年が過ぎていた。
新しい恋?
そんなものはどこにもない。
騎士さん達は相変わらずみんな優しい。
デートに誘ってくれる人もいる。
でも心が動かない。
「ユウナ今日久しぶりにお買い物行かない?」
リオナさんからの誘いにのって街に買い物に行くことにした。
「何か欲しいものがあるんですか?」
「そろそろ暑くなるから服を買い足そうかと思ってるの」
「わたしも買おっかなぁ」
二人で洋服店を何軒か回った。
やっぱり友人と一緒に買い物をするのは楽しい。
「わたしね、仕事を辞めて結婚するの」
「え?リオナさん、結婚?おめでとうございます!」
ーーいきなりの告白にわたしは少し動揺しつつもなんとかお祝いの言葉を言えた。
そっかあ、結婚するのか。寂しくなるな。
以前から付き合っていた騎士さんと結婚が決まったらしい。
結婚してもこの街に住むからいつでも遊びにきてねって言ってくれた。
リオナさんと別れて、寮の部屋に帰りたくなくていつもの庭のベンチでボッーと座っていた。
ーー友達の幸せを素直に喜べないなんて最低だよね、みんな離れていくのがこんなに寂しいなんて。
団長さんが王都の本邸の騎士団の団長になって半年。
こちらに用事があってたまに来るみたいだけどわたしと会うことはない。
ロリーももうすぐ王都の本邸の騎士団に行くことが決まっている。
みんな離れていく。
なんだか虚しい。
「あーあ、みんないなくなっちゃうんだ……」
「ユウナ、またここに居るんだ」
「あ、ロリー。リオナさんが結婚するんだって……わたしの大好きな人がまたいなくなっちゃう」
綺麗な夕日を見ながらつぶやいた。
「ロリー、夕日が綺麗だね。子供の頃よく遅くまで遊んで暗くなって帰って親に怒られたよね」
「うん、ユウナが俺のこと『わたしお姉ちゃんだから庇ってあげる』って言って俺の分まで怒られてたよな」
「懐かしいね、あの頃は何にも考えないで遊んでたよね」
「夕日って子どもにとって何でかワクワクしてたよな」
「うん、何でだろう?今は少し寂しく感じるのにね」
「ユウナ、泣いてたの?」
「泣いてなんかいないよ!ただロリーももうすぐいなくなっちゃうし寂しくなっただけだよ」
「ふうん、寂しいんだ」
「何嬉しそうにしているの?」
「だってユウナが寂しいとか思ってくれて嬉しいんだ」
「変なの、寂しいに決まってるでしょう?ずっといっしょにいると思ってたんだもん」
「そっかあ、ずっと一緒か……」
「幼馴染なんだから離れてもまた会いにきてくれるよね?」
「え?ずっと一緒じゃないの?」
ロリーがキョトンとして言った。
「うん、でも、王都に行くんでしょう?」
「離れても俺たちはそのままでしょ?」
「うん、幼馴染だもんね」
ロリーのその言葉が嬉しくてわたしはロリーの前に立って彼をマジマジと見つめた。
久しぶりにしっかり幼馴染の顔を見た気がする。
可愛らしい弟、いつもわたしの後ろについて来るロリーがいつの間にか18歳になって大人の顔になっていた。
侯爵家の使用人の間で、ロリーは結構人気があった。
剣の才能があって、今の団長さんに引き抜かれてこの屋敷の騎士団に入団した。
顔もとても可愛らしく(わたしの目線では)そして綺麗だ。
背もいつの間にか伸びて細身で筋肉が付いている。
誰にでも優しいけど、アッシュ達と違って優しさを履き違えていない。
使用人の女性達が
「相談があるの」
「どこかに連れて行って欲しいの」
なんて声をかけられても優しい笑顔で
「それは俺には相談されても解決できないからこの屋敷の上の人にしてみたほうがいいよ」
「君と二人で出かけるのは無理なんだ、でもみんなで出かけるならいいよ」
と、はっきりと断っている。
わたしはあまりにも近すぎてロリーのことを見えていなかった。
「ロリーもいつの間にか大人になっていたのね、お姉ちゃんとしては離れていくみたいで寂しいわ。いつもいっしょだと思っていたのに」
「だからずっといっしょだよ」
「うん、幼馴染だもんね」
「はあー、違うよ。ずっと一緒にいようよ」
ーーだから幼馴染だもんね
ロリーがもう一回聞いた。
わたしは……
「うん、もう終わったの。好きだったんだと思う、でも断った時終わらせて………もう終わったんだ」
「……いいの?」
「ロリー、ありがとう。いつも辛い時そばに居てくれて」
ーーどうして終わった恋なのにこんなに涙が出るんだろう?
自分でもよく分からない。
アッシュの時より辛いな……
こうして二度目の恋も終わった。
◇ ◇ ◇
気がつけばこの侯爵家で働き出して一年が過ぎていた。
新しい恋?
そんなものはどこにもない。
騎士さん達は相変わらずみんな優しい。
デートに誘ってくれる人もいる。
でも心が動かない。
「ユウナ今日久しぶりにお買い物行かない?」
リオナさんからの誘いにのって街に買い物に行くことにした。
「何か欲しいものがあるんですか?」
「そろそろ暑くなるから服を買い足そうかと思ってるの」
「わたしも買おっかなぁ」
二人で洋服店を何軒か回った。
やっぱり友人と一緒に買い物をするのは楽しい。
「わたしね、仕事を辞めて結婚するの」
「え?リオナさん、結婚?おめでとうございます!」
ーーいきなりの告白にわたしは少し動揺しつつもなんとかお祝いの言葉を言えた。
そっかあ、結婚するのか。寂しくなるな。
以前から付き合っていた騎士さんと結婚が決まったらしい。
結婚してもこの街に住むからいつでも遊びにきてねって言ってくれた。
リオナさんと別れて、寮の部屋に帰りたくなくていつもの庭のベンチでボッーと座っていた。
ーー友達の幸せを素直に喜べないなんて最低だよね、みんな離れていくのがこんなに寂しいなんて。
団長さんが王都の本邸の騎士団の団長になって半年。
こちらに用事があってたまに来るみたいだけどわたしと会うことはない。
ロリーももうすぐ王都の本邸の騎士団に行くことが決まっている。
みんな離れていく。
なんだか虚しい。
「あーあ、みんないなくなっちゃうんだ……」
「ユウナ、またここに居るんだ」
「あ、ロリー。リオナさんが結婚するんだって……わたしの大好きな人がまたいなくなっちゃう」
綺麗な夕日を見ながらつぶやいた。
「ロリー、夕日が綺麗だね。子供の頃よく遅くまで遊んで暗くなって帰って親に怒られたよね」
「うん、ユウナが俺のこと『わたしお姉ちゃんだから庇ってあげる』って言って俺の分まで怒られてたよな」
「懐かしいね、あの頃は何にも考えないで遊んでたよね」
「夕日って子どもにとって何でかワクワクしてたよな」
「うん、何でだろう?今は少し寂しく感じるのにね」
「ユウナ、泣いてたの?」
「泣いてなんかいないよ!ただロリーももうすぐいなくなっちゃうし寂しくなっただけだよ」
「ふうん、寂しいんだ」
「何嬉しそうにしているの?」
「だってユウナが寂しいとか思ってくれて嬉しいんだ」
「変なの、寂しいに決まってるでしょう?ずっといっしょにいると思ってたんだもん」
「そっかあ、ずっと一緒か……」
「幼馴染なんだから離れてもまた会いにきてくれるよね?」
「え?ずっと一緒じゃないの?」
ロリーがキョトンとして言った。
「うん、でも、王都に行くんでしょう?」
「離れても俺たちはそのままでしょ?」
「うん、幼馴染だもんね」
ロリーのその言葉が嬉しくてわたしはロリーの前に立って彼をマジマジと見つめた。
久しぶりにしっかり幼馴染の顔を見た気がする。
可愛らしい弟、いつもわたしの後ろについて来るロリーがいつの間にか18歳になって大人の顔になっていた。
侯爵家の使用人の間で、ロリーは結構人気があった。
剣の才能があって、今の団長さんに引き抜かれてこの屋敷の騎士団に入団した。
顔もとても可愛らしく(わたしの目線では)そして綺麗だ。
背もいつの間にか伸びて細身で筋肉が付いている。
誰にでも優しいけど、アッシュ達と違って優しさを履き違えていない。
使用人の女性達が
「相談があるの」
「どこかに連れて行って欲しいの」
なんて声をかけられても優しい笑顔で
「それは俺には相談されても解決できないからこの屋敷の上の人にしてみたほうがいいよ」
「君と二人で出かけるのは無理なんだ、でもみんなで出かけるならいいよ」
と、はっきりと断っている。
わたしはあまりにも近すぎてロリーのことを見えていなかった。
「ロリーもいつの間にか大人になっていたのね、お姉ちゃんとしては離れていくみたいで寂しいわ。いつもいっしょだと思っていたのに」
「だからずっといっしょだよ」
「うん、幼馴染だもんね」
「はあー、違うよ。ずっと一緒にいようよ」
ーーだから幼馴染だもんね
77
あなたにおすすめの小説
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
我慢しないことにした結果
宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
幼馴染と夫の衝撃告白に号泣「僕たちは愛し合っている」王子兄弟の関係に私の入る隙間がない!
ぱんだ
恋愛
「僕たちは愛し合っているんだ!」
突然、夫に言われた。アメリアは第一子を出産したばかりなのに……。
アメリア公爵令嬢はレオナルド王太子と結婚して、アメリアは王太子妃になった。
アメリアの幼馴染のウィリアム。アメリアの夫はレオナルド。二人は兄弟王子。
二人は、仲が良い兄弟だと思っていたけど予想以上だった。二人の親密さに、私は入る隙間がなさそうだと思っていたら本当になかったなんて……。
この恋に終止符(ピリオド)を
キムラましゅろう
恋愛
好きだから終わりにする。
好きだからサヨナラだ。
彼の心に彼女がいるのを知っていても、どうしても側にいたくて見て見ぬふりをしてきた。
だけど……そろそろ潮時かな。
彼の大切なあの人がフリーになったのを知り、
わたしはこの恋に終止符(ピリオド)をうつ事を決めた。
重度の誤字脱字病患者の書くお話です。
誤字脱字にぶつかる度にご自身で「こうかな?」と脳内変換して頂く恐れがあります。予めご了承くださいませ。
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
菩薩の如く広いお心でお読みくださいませ。
そして作者はモトサヤハピエン主義です。
そこのところもご理解頂き、合わないなと思われましたら回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんでも投稿します。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる