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ずっと一緒にいようよ⑤ ロリー編
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「ユウナ、追いかけなくていいの?」
ユウナは少し考えてからスッキリした顔をして言った。
「うん、もう終わったの。好きだったんだと思う、でも断った時終わらせて………もう終わったんだ」
「……いいの?」
「ロリー、ありがとう。いつも辛い時そばに居てくれて」
団長といることがユウナの幸せだと思っていた。
でも違ったみたい。
俺は何も言えなかった。
好きだとも仕事を辞めるなら俺もついて行くとも。
団長が王都の本邸へ行った。
そして俺も移動が決まった。
まだまだ駆け出しの俺に断ることは出来ない。
ユウナと離れる。
仕方がない、だって俺はユウナにまだ一度も気持ちを伝えていない。弟だとしか思われていない。
くそっ!
いつもの場所にユウナがぼーっと座っていた。
「あーあ、みんないなくなっちゃうんだ……」
「ユウナ、またここに居るんだ」
「あ、ロリー。リオナさんが結婚するんだって……わたしの大好きな人がまたいなくなっちゃう」
ユウナは、綺麗な夕日を見ながらつぶやいた。
「ロリー、夕日が綺麗だね。子供の頃よく遅くまで遊んで暗くなって帰って親に怒られたよね」
「うん、ユウナが俺のこと『わたしお姉ちゃんだから庇ってあげる』って言って俺の分まで怒られてたよな」
「懐かしいね、あの頃は何にも考えないで遊んでたよね」
「夕日って子どもにとって何でかワクワクしてたよな」
「うん、何でだろう?今は少し寂しく感じるのにね」
「ユウナ、泣いてたの?」
「泣いてなんかいないよ!ただロリーももうすぐいなくなっちゃうし寂しくなっただけだよ」
「ふうん、寂しいんだ」
「何嬉しそうにしているの?」
「だってユウナが寂しいとか思ってくれて嬉しいんだ」
「変なの、寂しいに決まってるでしょう?ずっといっしょにいると思ってたんだもん」
「そっかあ、ずっと一緒か……」
「幼馴染なんだから離れてもまた会いにきてくれるよね?」
「え?ずっと一緒じゃないの?」
俺は、ユウナにわざと問いかけた。
「うん、でも、王都に行くんでしょう?」
「離れても俺たちはそのままでしょ?」
「うん、幼馴染だもんね」
ユウナが俺の前に立ってマジマジと見つめた。
「ロリーもいつの間にか大人になっていたのね、お姉ちゃんとしては離れていくみたいで寂しいわ。いつもいっしょだと思っていたのに」
「だからずっといっしょだよ」
「うん、幼馴染だもんね」
「はあー、違うよ。ずっと一緒にいようよ」
俺は自分の気持ちを伝えなきゃと、焦って、つい鈍感なユウナに遠回しに言っても伝わらないことを忘れていた。
「…へっ?」
ユウナの声が裏返っていた。
ーーそんなに驚く事か?
俺は少しイラッとしてユウナの鼻を摘んだ。
「……い、い、……った……」
「ねえ、俺ってずっと弟なの?」
ユウナの鼻を離す。
「もう!痛いじゃない!こんな事するロリーなんて弟なんかじゃない!」
俺は怒っているユウナの口を、俺の口で塞いだ。
「……ん、っん、……っう」
俺が無理矢理キスをして離さないから、ユウナは俺の体を必死で叩いた。
「ごめん、だってユウナのことずっと好きなのに全然俺の気持ちわかってくれないだろう?」
「だからってこんなこと……」
俺は真っ赤になって怒っているユウナが可愛くてもう一度キスをした。
「……っん、」
「ユウナ、ずっと一緒にいようよ」
ユウナのおでこに俺のおでこをくっつけて子どもの頃のようにユウナに甘える声で囁いた。
「ユウナ、好きだ、ずっとずっとユウナだけ、ね?」
ユウナがさらに真っ赤になった。
ーーあ、可愛い、ユウナの照れた顔が真っ赤になっている顔が可愛い。
「……ロリーはずっとわたしの弟だと思って、ううん、そう思うように過ごしてきたの、だってロリーはわたしがアッシュと付き合ったことも結婚したことも知ってるんだよ?
なのに今更……ロリーの気持ちには答えられない」
「俺のことが嫌い?弟としか思えない?」
「………ち、……違う、いつからかロリーはわたしの中で……す、あー………好きだって思うようになってた……でもロリーはバツイチのわたしなんかよりもっと年下で可愛い子がいるんだから、わたしなんか選んじゃだめだよ」
「俺はずっとユウナしか好きにならなかった。何度も諦めたし、ユウナの幸せを願ったし、もう忘れて新しい恋をしようと思ったのに、アッシュ兄が浮気なんかするし。団長と上手くいくなら俺、応援しようと思ったのに、団長優し過ぎて信用なくされちゃうし、俺ずっと諦められないできたんだ」
俺はユウナを抱きしめてもう一度言った。
「ユウナ、一緒に行こう、ずっと一緒に居たいんだ」
◆ ◆ ◆
短編のはずが長くなってすみません。
次が最終話です。
ユウナは少し考えてからスッキリした顔をして言った。
「うん、もう終わったの。好きだったんだと思う、でも断った時終わらせて………もう終わったんだ」
「……いいの?」
「ロリー、ありがとう。いつも辛い時そばに居てくれて」
団長といることがユウナの幸せだと思っていた。
でも違ったみたい。
俺は何も言えなかった。
好きだとも仕事を辞めるなら俺もついて行くとも。
団長が王都の本邸へ行った。
そして俺も移動が決まった。
まだまだ駆け出しの俺に断ることは出来ない。
ユウナと離れる。
仕方がない、だって俺はユウナにまだ一度も気持ちを伝えていない。弟だとしか思われていない。
くそっ!
いつもの場所にユウナがぼーっと座っていた。
「あーあ、みんないなくなっちゃうんだ……」
「ユウナ、またここに居るんだ」
「あ、ロリー。リオナさんが結婚するんだって……わたしの大好きな人がまたいなくなっちゃう」
ユウナは、綺麗な夕日を見ながらつぶやいた。
「ロリー、夕日が綺麗だね。子供の頃よく遅くまで遊んで暗くなって帰って親に怒られたよね」
「うん、ユウナが俺のこと『わたしお姉ちゃんだから庇ってあげる』って言って俺の分まで怒られてたよな」
「懐かしいね、あの頃は何にも考えないで遊んでたよね」
「夕日って子どもにとって何でかワクワクしてたよな」
「うん、何でだろう?今は少し寂しく感じるのにね」
「ユウナ、泣いてたの?」
「泣いてなんかいないよ!ただロリーももうすぐいなくなっちゃうし寂しくなっただけだよ」
「ふうん、寂しいんだ」
「何嬉しそうにしているの?」
「だってユウナが寂しいとか思ってくれて嬉しいんだ」
「変なの、寂しいに決まってるでしょう?ずっといっしょにいると思ってたんだもん」
「そっかあ、ずっと一緒か……」
「幼馴染なんだから離れてもまた会いにきてくれるよね?」
「え?ずっと一緒じゃないの?」
俺は、ユウナにわざと問いかけた。
「うん、でも、王都に行くんでしょう?」
「離れても俺たちはそのままでしょ?」
「うん、幼馴染だもんね」
ユウナが俺の前に立ってマジマジと見つめた。
「ロリーもいつの間にか大人になっていたのね、お姉ちゃんとしては離れていくみたいで寂しいわ。いつもいっしょだと思っていたのに」
「だからずっといっしょだよ」
「うん、幼馴染だもんね」
「はあー、違うよ。ずっと一緒にいようよ」
俺は自分の気持ちを伝えなきゃと、焦って、つい鈍感なユウナに遠回しに言っても伝わらないことを忘れていた。
「…へっ?」
ユウナの声が裏返っていた。
ーーそんなに驚く事か?
俺は少しイラッとしてユウナの鼻を摘んだ。
「……い、い、……った……」
「ねえ、俺ってずっと弟なの?」
ユウナの鼻を離す。
「もう!痛いじゃない!こんな事するロリーなんて弟なんかじゃない!」
俺は怒っているユウナの口を、俺の口で塞いだ。
「……ん、っん、……っう」
俺が無理矢理キスをして離さないから、ユウナは俺の体を必死で叩いた。
「ごめん、だってユウナのことずっと好きなのに全然俺の気持ちわかってくれないだろう?」
「だからってこんなこと……」
俺は真っ赤になって怒っているユウナが可愛くてもう一度キスをした。
「……っん、」
「ユウナ、ずっと一緒にいようよ」
ユウナのおでこに俺のおでこをくっつけて子どもの頃のようにユウナに甘える声で囁いた。
「ユウナ、好きだ、ずっとずっとユウナだけ、ね?」
ユウナがさらに真っ赤になった。
ーーあ、可愛い、ユウナの照れた顔が真っ赤になっている顔が可愛い。
「……ロリーはずっとわたしの弟だと思って、ううん、そう思うように過ごしてきたの、だってロリーはわたしがアッシュと付き合ったことも結婚したことも知ってるんだよ?
なのに今更……ロリーの気持ちには答えられない」
「俺のことが嫌い?弟としか思えない?」
「………ち、……違う、いつからかロリーはわたしの中で……す、あー………好きだって思うようになってた……でもロリーはバツイチのわたしなんかよりもっと年下で可愛い子がいるんだから、わたしなんか選んじゃだめだよ」
「俺はずっとユウナしか好きにならなかった。何度も諦めたし、ユウナの幸せを願ったし、もう忘れて新しい恋をしようと思ったのに、アッシュ兄が浮気なんかするし。団長と上手くいくなら俺、応援しようと思ったのに、団長優し過ぎて信用なくされちゃうし、俺ずっと諦められないできたんだ」
俺はユウナを抱きしめてもう一度言った。
「ユウナ、一緒に行こう、ずっと一緒に居たいんだ」
◆ ◆ ◆
短編のはずが長くなってすみません。
次が最終話です。
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