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シャノン、ラウルへの今の想い
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ロニーの怪我も少しずつ回復してきた頃、ロニーの両親が田舎の領地からロニーとリーサに会いに来た。
「お久しぶりです。ロニーのお父様お母様。この度はわたくしの所為でロニーに怪我を負わせたこと心からお詫び致します」
「シャノン様、どうぞ頭をお上げください。話は伺っております。ロニーを褒めてあげてください。私たちはそれが何より嬉しいのですよ」
「ええ、そうですわ。ロニーはシャノン様に仕えることができてとても誇りに思っているのです」
お二人からの言葉に胸がジーンと熱くなった。
「ロニー、わたし今日は病室に来るのを遠慮させていただくわ。親子四人でごゆっくりしてね」
「ありがとうございます」
「いつもわたしがロニーを独り占めしてるんだからたまには返さないとね!」
◇ ◇ ◇
わたしは赤い屋根の白い小さなお家に久しぶりに帰ってきた。
ダンがいつものように顔を覗かせた。
「ダンって暇なのね」
「いやいや、違うだろう。ウィリアムがまだ捕まっていないんだ!
またいつお前が襲われるかわからないからロイズの邸で過ごしてくれって言っただろう?」
ダンは護衛として来たのだ。
扉を開けたまま、中には入らず玄関に立っていた。
「わかってるわ。
でもたまには空気の入れ替えもしたいの」
「ほんと、周りの迷惑も考えろよ!」
「ごめんなさい。ロニーが治ったらまたすぐに一緒に暮らせるようにしておきたかったの」
「ロニーもいい年なんだからそろそろ誰かと結婚する頃だろう。両親も領地から来てるってことはそれも考えてるんじゃないのか?」
わたしはダンの言葉に衝撃を受けて固まってしまった。
「そう、そうだよね。ロニーだってお嫁に行くのよね。わたしと二人でずっと暮らせるわけないのよね」
今まで考えたくなくて拒否していた現実をダンに告げられて、わたしはシュンとなってしまった。
「お前、二人でずっと暮らすってラウルのことはどうするんだ?」
「ラウルには離縁状を渡してあるわ。もう彼と戻ることはないわ」
「ラウルは騎士団も辞めて今は公爵としても周りから四面楚歌にあっててかなり大変らしいぞ。お前が支えてやったらどうだ?」
「ダン⁉︎本気で言ってるの?
わたしはラウルがいろんな女の人と浮気をしていたことも聞いているわ。
アイリスに愛を囁いて抱き合ってキスをしている姿も見たのよ。
もう一度やり直すなんて出来ないわ、無理よ」
「うわぁ、ラウルって馬鹿だな。アイリスなんかに捕まって人生駄目にされてさ。
まぁあいつの場合自業自得だとは思うよ。でもシャノンはラウルの事本気で好きだっただろう?」
「好きだったわ。優しいところも彼の声も全て愛していたわ。だからこそ許せないの。アイリスに言われたの。
『シャノンってお人形さんみたいで抱いてもつまらないんだって』
彼にとってわたしはお人形さんだったのよ。ただ愛でているだけだったのだと思うわ」
ダンは黙って聞いてくれた。
「ラウルとの生活は穏やかでとても幸せだと思っていたの。でもそれは何も知らなかったからなの。きちんとラウルと向き合っていなかったんだと思うわ。だから見えていなかったのよ彼の姿が……」
「俺が言うことでもないけど……あいつとちゃんと話してから決めろよ」
「ええ。落ち着いたらきちんと話しをするわ」
「お久しぶりです。ロニーのお父様お母様。この度はわたくしの所為でロニーに怪我を負わせたこと心からお詫び致します」
「シャノン様、どうぞ頭をお上げください。話は伺っております。ロニーを褒めてあげてください。私たちはそれが何より嬉しいのですよ」
「ええ、そうですわ。ロニーはシャノン様に仕えることができてとても誇りに思っているのです」
お二人からの言葉に胸がジーンと熱くなった。
「ロニー、わたし今日は病室に来るのを遠慮させていただくわ。親子四人でごゆっくりしてね」
「ありがとうございます」
「いつもわたしがロニーを独り占めしてるんだからたまには返さないとね!」
◇ ◇ ◇
わたしは赤い屋根の白い小さなお家に久しぶりに帰ってきた。
ダンがいつものように顔を覗かせた。
「ダンって暇なのね」
「いやいや、違うだろう。ウィリアムがまだ捕まっていないんだ!
またいつお前が襲われるかわからないからロイズの邸で過ごしてくれって言っただろう?」
ダンは護衛として来たのだ。
扉を開けたまま、中には入らず玄関に立っていた。
「わかってるわ。
でもたまには空気の入れ替えもしたいの」
「ほんと、周りの迷惑も考えろよ!」
「ごめんなさい。ロニーが治ったらまたすぐに一緒に暮らせるようにしておきたかったの」
「ロニーもいい年なんだからそろそろ誰かと結婚する頃だろう。両親も領地から来てるってことはそれも考えてるんじゃないのか?」
わたしはダンの言葉に衝撃を受けて固まってしまった。
「そう、そうだよね。ロニーだってお嫁に行くのよね。わたしと二人でずっと暮らせるわけないのよね」
今まで考えたくなくて拒否していた現実をダンに告げられて、わたしはシュンとなってしまった。
「お前、二人でずっと暮らすってラウルのことはどうするんだ?」
「ラウルには離縁状を渡してあるわ。もう彼と戻ることはないわ」
「ラウルは騎士団も辞めて今は公爵としても周りから四面楚歌にあっててかなり大変らしいぞ。お前が支えてやったらどうだ?」
「ダン⁉︎本気で言ってるの?
わたしはラウルがいろんな女の人と浮気をしていたことも聞いているわ。
アイリスに愛を囁いて抱き合ってキスをしている姿も見たのよ。
もう一度やり直すなんて出来ないわ、無理よ」
「うわぁ、ラウルって馬鹿だな。アイリスなんかに捕まって人生駄目にされてさ。
まぁあいつの場合自業自得だとは思うよ。でもシャノンはラウルの事本気で好きだっただろう?」
「好きだったわ。優しいところも彼の声も全て愛していたわ。だからこそ許せないの。アイリスに言われたの。
『シャノンってお人形さんみたいで抱いてもつまらないんだって』
彼にとってわたしはお人形さんだったのよ。ただ愛でているだけだったのだと思うわ」
ダンは黙って聞いてくれた。
「ラウルとの生活は穏やかでとても幸せだと思っていたの。でもそれは何も知らなかったからなの。きちんとラウルと向き合っていなかったんだと思うわ。だから見えていなかったのよ彼の姿が……」
「俺が言うことでもないけど……あいつとちゃんと話してから決めろよ」
「ええ。落ち着いたらきちんと話しをするわ」
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