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59話
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メイとトールの婚約パーティーには、何故かジリニア侯爵夫婦と三人で向かうことになった。
ジリニア侯爵家とメイの実家のボガード侯爵家は、互いの夫人が仲が良く、今回の婚約パーティーにも呼ばれているらしい。
だからと言って別に俺が二人に付き添う必要性はないはず。
「お前は独身でパートナーもいない、変に一人だとまたうるさい女の子が寄ってくるだろう、俺たちと一緒なら来ないさ」
と言うのがジリニア侯爵の言い分だが、22歳になる俺は、適当にあしらえる。
「アラン、私達が貴方に相応しい女性を探してあげるわ」
夫人は楽しそうにしている。
「夫人、大きなお世話です」
俺がはっきり言うと、夫人はクスクス笑いながら
「だったらアラン、自分の顔を見てみなさい、最近の貴方は覇気がなくなっているわ、悩みでもあるんじゃないの?」
「……もしそうだとしても、俺に女性を探す必要はありません」
「あら?失恋には新しい恋よ?」
「失恋?俺は失恋などしていません」
「そうかしら?おばさんにはそうは見えないわよ」
「おい!そろそろ馬鹿な話はやめろ!」
ジリニア侯爵は、苦笑いをして夫人の腕を取りパーティー会場へ入って行った。
俺もその後ろをついて行くと、顔見知りの女性達が俺のそばに来て
「アラン様お一人ならぜひダンスを」
「ご一緒にあちらでお話ししませんか?」
など色々言ってきた。
ジリニア侯爵夫婦のどこが虫除けになってくれているんだ!
なんの役にも立たないじゃないか!
俺が困って立ち尽くしていると
「アラン様、遅くなってごめんなさい」
そこに立っていたのは、淡いピンクのドレスを上品に着こなしたイーゼ嬢だった。
俺がポカンとしていたら、イーゼ嬢が俺の腕に手を絡ませて
「行きましょう」
と言って微笑んだ。
「あ、あぁ」
俺は間抜けな声を出してイーゼ嬢に引っ張られて会場の奥へ進んだ。
「アラン様、今日は両親がご一緒にと無理を言ってすみません、わたしと貴方をくっつけるのを諦めたら今度は貴方に別の人を探すんだと張り切り出してしまいました」
「あー、なるほど」
俺は二人の行動に納得した。
「だから今日はイーゼ嬢は会場にご一緒されていないのですね」
「ふふ、わたしはお留守番だと言われました。でも屋敷の者がこっそり今日のことを教えてくれました。うちの父ってほんとアラン様がお好きみたいで……いつもご迷惑をおかけしてすみません」
「俺は侯爵のことは好きですよ、人を見下したり馬鹿にしない、はっきりと言葉にして言ってくれるのでわかりやすいです」
「父はあの物言いですから誤解されやすいのですが、そんな風に言ってもらえるととても嬉しいです」
イーゼ嬢がふんわりと微笑んだ。
その笑顔にドキッとした。
いや、気のせいだ。
10代の男じゃあるまいし。
イーゼ嬢は今日のことを聞いて俺を助けるために急ぎ来てくれたらしい。
「今日はとりあえずわたしがアラン様の虫除けとしてご一緒させて頂いてもよろしいですか?」
イーゼ嬢がクスクス笑いながら言うので
「では可愛らしいご令嬢に守っていただいてもよろしいですか?」
俺も笑顔で答えた。
なんだか拒否するのも、アレだし、せっかくなのでご一緒することにした。
久しぶりにイーゼ嬢と話すのも楽しい。
ジリニア侯爵家とメイの実家のボガード侯爵家は、互いの夫人が仲が良く、今回の婚約パーティーにも呼ばれているらしい。
だからと言って別に俺が二人に付き添う必要性はないはず。
「お前は独身でパートナーもいない、変に一人だとまたうるさい女の子が寄ってくるだろう、俺たちと一緒なら来ないさ」
と言うのがジリニア侯爵の言い分だが、22歳になる俺は、適当にあしらえる。
「アラン、私達が貴方に相応しい女性を探してあげるわ」
夫人は楽しそうにしている。
「夫人、大きなお世話です」
俺がはっきり言うと、夫人はクスクス笑いながら
「だったらアラン、自分の顔を見てみなさい、最近の貴方は覇気がなくなっているわ、悩みでもあるんじゃないの?」
「……もしそうだとしても、俺に女性を探す必要はありません」
「あら?失恋には新しい恋よ?」
「失恋?俺は失恋などしていません」
「そうかしら?おばさんにはそうは見えないわよ」
「おい!そろそろ馬鹿な話はやめろ!」
ジリニア侯爵は、苦笑いをして夫人の腕を取りパーティー会場へ入って行った。
俺もその後ろをついて行くと、顔見知りの女性達が俺のそばに来て
「アラン様お一人ならぜひダンスを」
「ご一緒にあちらでお話ししませんか?」
など色々言ってきた。
ジリニア侯爵夫婦のどこが虫除けになってくれているんだ!
なんの役にも立たないじゃないか!
俺が困って立ち尽くしていると
「アラン様、遅くなってごめんなさい」
そこに立っていたのは、淡いピンクのドレスを上品に着こなしたイーゼ嬢だった。
俺がポカンとしていたら、イーゼ嬢が俺の腕に手を絡ませて
「行きましょう」
と言って微笑んだ。
「あ、あぁ」
俺は間抜けな声を出してイーゼ嬢に引っ張られて会場の奥へ進んだ。
「アラン様、今日は両親がご一緒にと無理を言ってすみません、わたしと貴方をくっつけるのを諦めたら今度は貴方に別の人を探すんだと張り切り出してしまいました」
「あー、なるほど」
俺は二人の行動に納得した。
「だから今日はイーゼ嬢は会場にご一緒されていないのですね」
「ふふ、わたしはお留守番だと言われました。でも屋敷の者がこっそり今日のことを教えてくれました。うちの父ってほんとアラン様がお好きみたいで……いつもご迷惑をおかけしてすみません」
「俺は侯爵のことは好きですよ、人を見下したり馬鹿にしない、はっきりと言葉にして言ってくれるのでわかりやすいです」
「父はあの物言いですから誤解されやすいのですが、そんな風に言ってもらえるととても嬉しいです」
イーゼ嬢がふんわりと微笑んだ。
その笑顔にドキッとした。
いや、気のせいだ。
10代の男じゃあるまいし。
イーゼ嬢は今日のことを聞いて俺を助けるために急ぎ来てくれたらしい。
「今日はとりあえずわたしがアラン様の虫除けとしてご一緒させて頂いてもよろしいですか?」
イーゼ嬢がクスクス笑いながら言うので
「では可愛らしいご令嬢に守っていただいてもよろしいですか?」
俺も笑顔で答えた。
なんだか拒否するのも、アレだし、せっかくなのでご一緒することにした。
久しぶりにイーゼ嬢と話すのも楽しい。
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