475 / 516
第1章 月森ヶ丘自由学園
スミマセン!室長、フォローできません!
「…そこは、普通二人の身を按じるところだと思いますが」
「無駄ネ。銀髪君。ボスは冷酷非道人間ネ!慈愛・慈悲を持つ心なんて、持ち合わせてないヨ」
皮肉を込めて言うシフォンに応えたのは岬ではなく、岬をフォローするように言う崙、だが、その崙から放たれる言葉は岬をフォローというよりも、寧ろ…
「…崙、貴方‥‥僕をけなしてるんですか…?」
ニコリともせず、無表情で崙を見据える岬。
「酷いネ。私はボスをフォローしただけヨ」
「……」
場にそぐわぬニコニコ顔の崙に岬は些か眉を寄せるも、無言で再び歩きだす。そこは薄暗く幅狭く長い道、岬達はひたすらその道を歩いていく‥
歩くごとに、変わる風景。周りはいつしか、古びた鉄格子で囲まれた牢屋に変わっていく
…が、
先頭を歩いていた岬は何を思ってか、ふと足を止め、前を見据えると、少し離れた先にある一室の牢屋にだけ、明かりがついている。岬は口元に人差し指を立てて、喋るな!と目で伝えると耳を澄ます
そして聞こえた複数の男の息遣いに、捜していた人物の声を聞くなり確信した。
───… 間違いない。
岬はさらに話の内容を聞こうと気配を殺し、足を忍ばせると、聞こえた内容に思わず顔を強張らせる。
その内容とは‥
「ねぇねぇ、おじさん達さぁ、俺のこと知らないの?俺さぁ、これでも一応有名人なんだけど…」
という青年らしき声と
「は!?有名? 笑わせんな!おめぇは確かに美形だけどよぉ、その変人なところが玉に傷だな」
ガハハッと豪快に笑う男達に岬は頭が痛くなった‥。
「………」
岬が聞き耳を立てている間も会話は続く。
「あれぇ‥? 俺、これでも王子なんだけど…ホントに知らないの?」
がっかりしたように落胆の声を漏らす青年に岬は段々と眉間に皺を寄せていく
「王子~?あぁ確かに、おめぇは王子並に美形だけどよぉ?お前が王子?アヒャヒャ!!笑える冗談だ」
自分を王子だと名乗る青年をまったく相手にしない見張りの男に拗ねた声。
「むぅっ…おじさん達、信じてないでしょ?ホントに本当なんだって!」
やたらと、ムキになる青年に見張りの男は適当にあしらう
「へぇへぇ…おめぇさんが王子様だってわかってますよ?んで、そういうお前は何処の国の王子様なんだい?」
男は青年の言葉を戯れ事と思い、適当に乗る‥
「俺さぁ、これでも一応英国の王子なんだよね!あ、俺の名前ね、アシス・キストラーっていうの。よろし『オイ、貴様なに、自分の価値を暴露している!? 貴様、自分の今の、この状況を理解して言っているのか!!!』
バシッと青年の頭を引っ叩く岬は、苛立ちを抑えられないのか、舌打ちすると、さらにもう一発殴る。
明らかな八つ当たりだった‥。
「な!?…し、侵入者!?」
見張りの男らが岬に襲い掛かろうとしたが、逆に岬が全て返り討ちにする。
「ぅぐっ…」
床に崩れる男らに、憐れみの視線を向けるシフォンと、相変わらず愉しそうにニコニコ顔の崙、
「痛いよ~。っていうか、君…だれ??」
いきなり、頭を叩いてきた岬の顔をマジマジと見て首を傾げる金髪に碧の瞳の青年、
「…だから、馬鹿は嫌いなんです」
些か眉を吊り上げる岬の顔は不機嫌超MAXだ。金髪の青年はその声を聞くなり、ハッ!とする。
「その、人を小馬鹿に見下すような顔にその毒舌っぷり、もしかして……クリフェイド!?」
青年は岬の顔をマジマジと見つめた。
(………この人、室長をそんな風に見てたんですね)
シフォンは、青年の岬に対する判別がそれなんだと理解すると、何故か悲しくなる‥。自分の上司がそう認識されるのは、やはり部下としては……と思うのが普通だが、青年の言っていることがまた正論なため、シフォンはフォローが出来なかった。
あなたにおすすめの小説
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
天啓によると殿下の婚約者ではなくなります
ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。
フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。
●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。
性表現は一切出てきません。
百合豚、男子校に入る。
揺
BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。
母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは――
男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。
この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。
それでも眞辺は決意する。
生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。
立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。
さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。
百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。
モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
灰かぶり君
渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。
お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。
「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」
「……禿げる」
テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに?
※重複投稿作品※
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)