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流石はお父様

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私は父の書斎の前に立ち、扉をノックした。
中から声が聞こえてくる。


「入りなさい。」

「失礼致します。……お父様、どのようなご用件でしょうか。」


入って直ぐに、私は疑問を口にした。
すると父は真剣な顔をして、私に問いかけてくる。


「リフィ。私に隠して、最近何かしているな?」

「どういう事でしょうか。殿下や貴族のご令嬢とは会っていますが…。」

「それは知っている。だがそういう話じゃない。私が言いたいのは……」


こういう時ほど、嫌な予感とは的中するものだ。
私は身構えた。


「お前が何かを調査しているという事だ。」


(バレていたー!どう返すべき…なのかなぁ。やっぱり、お父様は誤魔化せないね。……本当の事を言うしかないか…。)


父に隠し事など出来ないと、改めて実感した瞬間だった。


「実は……ブュージェ伯爵家について、調べているのです。」

「っ!まさかとは思っていたが、本当に……。」


私は今している事を、包み隠さず話す。
どういう経緯でこのようになったのかも。
叱られることを覚悟して……。


「リフィ。」

「……はい。」

「お前は皆が恐れ、放置していた事を進んで調査してくれている。これは父として、とても誇らしいことだ。」

「えっ……と?」


返ってきた言葉が予想外過ぎて、頭が追いついていない。
これは褒めてくれている……ようだ。


「だが、するならすると事前に言ってくれ。かの伯爵がいかに危険か、リフィも知っているだろう?」

「はい…。」

「それで、だ。今協力してくれているのは、いつものご令嬢3名とディルジア殿下のみなのか?」

「その通りです。殿下は陛下にこの事を伝えてはいません。ですがお気付きになっているかと…。」


国王陛下は、絶対に今回の件に気付いている。
だが気付かぬふりをしているはずだ。
国王が動けば、必ず伯爵に勘づかれる。

そんな事を考えていると、父は嬉しいことを言ってくれた。


「そうだろうな。……分かった。私も協力しようじゃないか。」

「よろしいので!?」

「ああ、構わんさ。それと、極秘に陛下にも伝えておこう。」

「それについては、お父様。一つだけお願いがあります。」

「何だい?」

「事を大きくする訳にはいきません。伯爵に気付かれては意味がなくなり、更には命の危険があります。ですので、陛下にお伝えする際には……」

「調査隊などは派遣させず、陛下に上がってくる報告資料などを複写し、こちらにまわすように……と伝えればいいんだな?」

「流石ですね。ですがその資料はディルジア殿下にお渡しになるようにと、お伝え願えますか?」

「分かった。」


そうして、父ガルリジュと国王の協力が得られる事が確定した。


(これで証拠集めは捗るはず!バレれば叱られると思っていたけど、これは思わぬ誤算だった。全く……最高なお父様ね!)


ヴァリフィアは飛び跳ねんばかりの嬉しさを押し殺し、静かに書斎を後にした。
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