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「確か、この先の財務省に……。」
「彼ですよ、ヴァリフィア。」
「あの方ですか。殿下はこちらでお待ちを。王城の方が、禁書庫の場所を知らない訳がありませんから。」
「そうですね。お気を付けて。」
「はい。」
国王陛下が疑っている人物は5人いた。
その5人に対し、順に同じ事を繰り返していく予定だ。
私は一人で疑わしい人物に近付いて行く。
そして……
「突然申し訳ありません。少し道をお伺いしてもよろしいでしょうか…?」
「ん?構いませんよ。何処に行きたいのですか?」
「禁書庫に向かうつもりだったのですが、道に迷ってしまって。」
「禁書庫?!禁書庫ならここを曲がって階段を降りた地下にありますよ。
地下に降りたら、右に3回、左に2回曲がると着きます。ですが入れませんね。護衛の騎士の方々が守っていますから。」
「そうなのですね。」
「禁書庫とはまた……貴女は一体…?」
「私ですか?ただの令嬢です。」
「……??」
笑顔でそう言うと、彼は「はい?」とでも言わんばかりの顔をしていた。
「道案内、感謝致します。」
「え、ええ。では。」
彼はそのまま去っていった。
そして私はディルジアの所まで戻る。
「どうでしたか?」
「とても丁寧に教えて下さいましたよ。」
「そうですか。」
「時間がありません。残りの4人にも早く会いに行きましょう。」
「ええ。」
そして残りの4人にも禁書庫への道を尋ね、結果をディルジアへと伝える。
学園内に戻ってから、だが。
「ヴァリフィア、結果を聞きましょうか。」
「はい。5人の内、3人がスパイの可能性が高いでしょう。1、3、4人目の3名です。」
「答えられたのはその3人ですか……。分かりました、陛下にもお伝えしておきます。」
「確定ではないので、出来ればこの3名の詳細な情報をいただければ良いのですが……。」
「ええ。勿論、それも頼んでおきますよ。」
「感謝致します。」
(とても簡単に絞ることが出来たね。良かった、上手くいって。)
この作戦の意図はこうだ。
禁書庫の場所は、正確に知る者が限られていた。
地下にあるという事は有名だが、道が幾重にも別れており、辿りつけないようになっている。
しかし、特別な役職の者でもなくその場所を詳しく知っているという事は、何かあるはずだ。
少なくとも、この3名は同じような説明をした。
『右に3回、左に2回曲がる』
正確過ぎで恐ろしいほどだ。
国王陛下が認めた者にのみ知らされる禁書庫の場所を、悩む素振りもなく言った。
(王城の方に聞かれたら警戒するかもしれないけれど、普通の令嬢にしか見えない人に聞かれれば、疑いもせずに答えちゃうよね。
流れに任せるとはこういう事を言うのかな、なんて。)
それに、だ。
他国のスパイならば、禁書庫の場所がふせられている事を知らないのだろう。
誰に聞いても、
「禁書庫は地下にある」
と答えるので、知っているものと勘違いしていてもおかしくはない。
私は、とりあえず明日を待つ事にする。
直ぐにでも陛下が彼らの情報を教えて下さるだろう……。
「彼ですよ、ヴァリフィア。」
「あの方ですか。殿下はこちらでお待ちを。王城の方が、禁書庫の場所を知らない訳がありませんから。」
「そうですね。お気を付けて。」
「はい。」
国王陛下が疑っている人物は5人いた。
その5人に対し、順に同じ事を繰り返していく予定だ。
私は一人で疑わしい人物に近付いて行く。
そして……
「突然申し訳ありません。少し道をお伺いしてもよろしいでしょうか…?」
「ん?構いませんよ。何処に行きたいのですか?」
「禁書庫に向かうつもりだったのですが、道に迷ってしまって。」
「禁書庫?!禁書庫ならここを曲がって階段を降りた地下にありますよ。
地下に降りたら、右に3回、左に2回曲がると着きます。ですが入れませんね。護衛の騎士の方々が守っていますから。」
「そうなのですね。」
「禁書庫とはまた……貴女は一体…?」
「私ですか?ただの令嬢です。」
「……??」
笑顔でそう言うと、彼は「はい?」とでも言わんばかりの顔をしていた。
「道案内、感謝致します。」
「え、ええ。では。」
彼はそのまま去っていった。
そして私はディルジアの所まで戻る。
「どうでしたか?」
「とても丁寧に教えて下さいましたよ。」
「そうですか。」
「時間がありません。残りの4人にも早く会いに行きましょう。」
「ええ。」
そして残りの4人にも禁書庫への道を尋ね、結果をディルジアへと伝える。
学園内に戻ってから、だが。
「ヴァリフィア、結果を聞きましょうか。」
「はい。5人の内、3人がスパイの可能性が高いでしょう。1、3、4人目の3名です。」
「答えられたのはその3人ですか……。分かりました、陛下にもお伝えしておきます。」
「確定ではないので、出来ればこの3名の詳細な情報をいただければ良いのですが……。」
「ええ。勿論、それも頼んでおきますよ。」
「感謝致します。」
(とても簡単に絞ることが出来たね。良かった、上手くいって。)
この作戦の意図はこうだ。
禁書庫の場所は、正確に知る者が限られていた。
地下にあるという事は有名だが、道が幾重にも別れており、辿りつけないようになっている。
しかし、特別な役職の者でもなくその場所を詳しく知っているという事は、何かあるはずだ。
少なくとも、この3名は同じような説明をした。
『右に3回、左に2回曲がる』
正確過ぎで恐ろしいほどだ。
国王陛下が認めた者にのみ知らされる禁書庫の場所を、悩む素振りもなく言った。
(王城の方に聞かれたら警戒するかもしれないけれど、普通の令嬢にしか見えない人に聞かれれば、疑いもせずに答えちゃうよね。
流れに任せるとはこういう事を言うのかな、なんて。)
それに、だ。
他国のスパイならば、禁書庫の場所がふせられている事を知らないのだろう。
誰に聞いても、
「禁書庫は地下にある」
と答えるので、知っているものと勘違いしていてもおかしくはない。
私は、とりあえず明日を待つ事にする。
直ぐにでも陛下が彼らの情報を教えて下さるだろう……。
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