99 / 181
四
しおりを挟む
パシン、と瀬津を真似て、敬の尻を打ってやる。打たれた敬以上の衝撃が田中の全身をつらぬく。
つい先日までは、自分のことを虫けらでも見るような目で見ていた高貴な〝姫君〟を、意のままにできるすさまじい快楽と興奮。
図に乗った田中は、敬に四つんばいの姿勢を強いた。
「うう……」
敬はさすがに悔しげに形の良い眉を寄せる。
それを見て、さらに田中の胸内で火が爆ぜる。
貯めこんでいた報われぬ恋情は、いつしか田中のなかであまりにも凝り、濁り、異様なかたちに凝結していた。全身を駆けめぐる熱の正体は、激しい加虐の欲望だった。
このとき、すでに敬の襦袢は完全に脱げていたが、さらに図に乗ってしまった田中は、襦袢と同色の緋色の帯紐で、犬にでもするようにして敬の細い首をくくり、その紐先を手にし、引っぱる。
「こ、殺せよ!」
与えられたあまりの屈辱に、かえって意識を保ちなおした敬だが、それはかえって田中の嗜虐を煽ることになった。
「馬鹿、殺すわけないだろう。こんなすごい身体と顔を失くせるか」
ぐい、ぐい、と犬の首輪よろしく紐先を引っぱる。
あまりの恥辱に敬の顔が真っ赤になったのも田中をさらに煽る。そして、あらためて息を飲んだ。
白い、全裸に、首だけを覆う緋の布。壮絶に淫らで、浅ましく、美しい。
「ううううう……!」
「ほら、言え!」
パシン!
敬が屈辱に喘ぐ。
だが、身体はこれ以上ないほど燃えているようで、その熱気が田中をも焦がす。
「すげぇ。こんなに感じて。……おまえに憧れている女どもに、この格好、見せてやりたいぜ。四つん這いになって、首輪つけられて。ひひひひひ。ほら!」
「ああ!」
パシン、と肉を打つ音が敬と田中の耳に甘く響く。
もはや限界だったのだろう。これ以上の我慢は、十九の肉体の持ち主には無理だったのだ。
敬は悔しさに啜り泣きながら、とうとう薄い形の良い唇から屈服の言葉をはなち、田中を喜ばせた。
「そうだ。素直で可愛いぜ、敬。いい子だ。ほら、充分感じろよ」
田中は腕をまわすと、指に力を込めた。
「あっ、あああああ!」
敬は、沸騰するまで沸かされた蜜をほとぼしらせ、田中を満足させた。
「はぁ……あっ……ああ……ああ!」
ぷつり、と糸が切れたように、その後敬は褥の上につっぷした。
つい先日までは、自分のことを虫けらでも見るような目で見ていた高貴な〝姫君〟を、意のままにできるすさまじい快楽と興奮。
図に乗った田中は、敬に四つんばいの姿勢を強いた。
「うう……」
敬はさすがに悔しげに形の良い眉を寄せる。
それを見て、さらに田中の胸内で火が爆ぜる。
貯めこんでいた報われぬ恋情は、いつしか田中のなかであまりにも凝り、濁り、異様なかたちに凝結していた。全身を駆けめぐる熱の正体は、激しい加虐の欲望だった。
このとき、すでに敬の襦袢は完全に脱げていたが、さらに図に乗ってしまった田中は、襦袢と同色の緋色の帯紐で、犬にでもするようにして敬の細い首をくくり、その紐先を手にし、引っぱる。
「こ、殺せよ!」
与えられたあまりの屈辱に、かえって意識を保ちなおした敬だが、それはかえって田中の嗜虐を煽ることになった。
「馬鹿、殺すわけないだろう。こんなすごい身体と顔を失くせるか」
ぐい、ぐい、と犬の首輪よろしく紐先を引っぱる。
あまりの恥辱に敬の顔が真っ赤になったのも田中をさらに煽る。そして、あらためて息を飲んだ。
白い、全裸に、首だけを覆う緋の布。壮絶に淫らで、浅ましく、美しい。
「ううううう……!」
「ほら、言え!」
パシン!
敬が屈辱に喘ぐ。
だが、身体はこれ以上ないほど燃えているようで、その熱気が田中をも焦がす。
「すげぇ。こんなに感じて。……おまえに憧れている女どもに、この格好、見せてやりたいぜ。四つん這いになって、首輪つけられて。ひひひひひ。ほら!」
「ああ!」
パシン、と肉を打つ音が敬と田中の耳に甘く響く。
もはや限界だったのだろう。これ以上の我慢は、十九の肉体の持ち主には無理だったのだ。
敬は悔しさに啜り泣きながら、とうとう薄い形の良い唇から屈服の言葉をはなち、田中を喜ばせた。
「そうだ。素直で可愛いぜ、敬。いい子だ。ほら、充分感じろよ」
田中は腕をまわすと、指に力を込めた。
「あっ、あああああ!」
敬は、沸騰するまで沸かされた蜜をほとぼしらせ、田中を満足させた。
「はぁ……あっ……ああ……ああ!」
ぷつり、と糸が切れたように、その後敬は褥の上につっぷした。
0
あなたにおすすめの小説
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる