痛がり

白い靴下の猫

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60.ツチノコ捕獲を確認

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メイの呼吸が整って、まぁ、俺の方も素数の数とか数えながら、ぎりぎり脱ケダモノ状態にもっていけたので、とりあえず、水分補給。
俺はもうビール飲みます。
メイはくらくらするらしく、炭酸水を一口含んだだけで、また横になってしまった。

メイは、横になったまま、ぽやんとした顔でこっちを見ている。
顔に水滴がついて髪が張り付いてしまっているので、髪を顔から避けて耳にかける。

「お疲れ様。ちょっと休もうな。で、最後、体にすごく力が入ったろ?あの時、脚の間とか下腹とかどくんってなったり、溜まってたのがパーンって弾けた感じにならなかった?」
「なり、ました」
「良かった。あれがね、メイが論文で読んだイクってやつ。で、だんだん溜まっていった感覚とか、最後はじけた感じがするその周辺の感覚とかが、ぬるぬるになる方の『気持ちいい』。異論はあるかもだけど、一応そういいう定義でおぼえてもらっていい?」
「定義?」
「うん。ほら、例えば『ごはん』っていったら、白いお米だけを指すときもあれば、食事全体を指すこともあるだろ。そんな感じで、『気持ちいい』も、部屋がキレイですっきり、って気分を指すときもあれば、ああ言う感じのを指すこともある、ってことで」
がばっ
メイが急に勢いよく起き上がる。
「ええ?あれがそれで、そういうそれ?!」
「あー、どの指示語がどれ指しているかわからないが、たぶん合ってる」
とりあえず正解だから、いい子いい子。

「でな。メイ、いっぱい悲鳴あげたし、俺におっぱいとかクリとかいじめられてつらかったろ。でも、今、俺と一緒にいるの嫌だとか、はやく逃げたいとかある?あ、ゆっとくけど俺まだお仕置き続けるつもりな」
メイは目をパチパチせて答えた。
「一緒に、いたいです。手も握りたいし、キスもしたいし、気持ちいいは・・・2度としないと言われたら多分すごく悲しい、です」
なんかもう、言葉の選びかたからして撫でくり回したいな。
多分まだ敏感なところ触られるの辛いだろうし、何されるかわからなくて怖いだろうに、選んだ言葉は、2度としないと言われたら悲しい、か。
「メイ偉い。でも、怖いものは怖いって言っていいよ」
「さっきまで、怖いものがいっぱいなのが怖かったのに、今は怖くない怖いがあるのが怖いです」
「早口言葉?!」
へへ、とメイは笑う。
「お仕置きの苦痛が怖いんじゃなくて、お仕置きをされた後さとるさんがわからなくなったらどうしよう、ってものすごく怖かったんです」
「俺がわからなくなる?」
「はい。フラッシュバックでも自白剤でも、偽物のさとるさんがいっぱい出るんです。今は本物がわかるって信じてるから頑張れるけど、もし、わからなくなったら・・死んじゃうかなぁって」
先刻の必死でさみし気な目はそれか。
正直たまらない気分になったが、とりあえず、教えてくれて偉いから、ぎゅう。
「あのな、本物も偽物もメイが決めていいよ。メイに偽物って思われるような俺は消えるべきだし、メイがこいつが本物って感じたら、迷わずついて行っていい。俺が、外させない。」
メイの目がうるるってなって、俺の心臓の上に手を伸ばしてくる。
おずおずなのが待てなくて、掴んで引っ張って、自分の胸の真ん中までもってくる。
「なぁ、メイ。さっきの質問、『もうしません』の中身、何か思いつく?」

正解、いっぱいあるよ。

不安なことを俺に隠そうとしないとか、
セクシャルな話に限らず危ない実験を自分の体使ってしようとしないとか、
俺がメイのことを大好きで傷なんて障害にならないと言うのを否定しないとか。

「えーっとぉ、多義語の意味をもう間違いません、とか?」
うん、期待した俺が愚かでした。
やっぱり夜通しお仕置きコースかも。
とりあえずコンドームの1枚は今日使ってもいいことにしよう。

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