24 / 34
23 その後
しおりを挟むあの 卒業記念舞踏会の後、社交界ではエドワルド殿下とカレンの噂が吹き荒れていた。
そして、しばらくして エドワルド殿下とカタリナ嬢の婚約解消が決定し、王族の婚約を潰したとして、カレンが社交界から追放される事が王命で決まった。
カレンのせいで、他にも いくつか 婚約が破棄や解消されており、王も、見逃せないと、ずいぶんお怒りだったと聞いている。
それに従い、カレンは学園も退学になり、領地へ帰された。
王命が撤回されないかぎり、カレンはもう2度と フェイブル領を出る事は出来ないだろう。
もし、出るとしたら、修道院に入れられるか、平民落ちする時だろう。
フェイブル子爵にとっては、目に入れても痛くない可愛い娘だ。
社交界を追放されたからといって、粗末な扱いを受ける事は無いだろう。
そして、エドワルド殿下は 学園を卒業後、臣籍降下して、王陵の1つを譲渡され公爵となる事が決まった。
カレンとの事は、このまま 無かった事になるのだろう。
どれ程 殿下がカレンを愛していても、社交界を追放されたカレンを妻にする事なんて、出来るはずがない。
妻どころか、愛妾さえ難しいだろう。
うっかり、フェイブル領から出すような事があれば、フェイブル家は王命に逆らったとして、それこそ 家ごと、一族ごと 処分されるかもしれない。
王命に逆らうと言う事は、謀反と同じ事だから。
そして、次の年、年が明けてしばらくして、カレンが子供を生んだと噂で聞いた。
(一体 誰の子だよ!まさか殿下じゃ無いだろうな!)
そう思って、チョットびっくりしたけれど、どうやら屋敷の使用人に手を出して、うっかり身ごもってしまったらしい。
(何やってるんだ あいつは!)
そんな事があって、とうとう面倒を見きれなくなったフェイブル家はカレンを身ごもらせた 使用人に金を渡して、カレンとその使用人を結婚させ、カレンを平民に落としたらしい。
義父上の調べた所によると、相変わらずカレンは、平民になっても、次々と男に色目を使い、夫を困らせているらしい。
子供の面倒もたいして見ていないようだ。
今はまだ、カレンの父が 何くれと面倒を見ているようだが、何時まで続くか…
そして、カレンの出産を知った殿下は、あまりのショックに 成績はガタ落ち、心身耗弱により、学園生活もあと僅かという所で、休学する事になった。
なんとか、学園は卒業出来るようだが、卒業式に出るのは難しいだろう。
カレンに関わったせいで、殿下は輝かしい未来を棒に振ってしまった。
男としては 同情してしまうが、女を見る目が無かったとしか 言いようが無いな。
いや… 殿下を始め、側近まで たらしこんだカレンが凄いのか?
とにかく、もう、あの女の事は さっさと忘れて、早く立ち直って欲しいと思う。
カレンのせいで、運命が変わってしまった人達が大勢いる。
それなのに、何の罪悪感も感じない カレンの正気を 疑うよ。
カレンは、生きている限り 色んな人間を不幸に落として行くんだろうなぁ と思う。
そして、しばらくして、フェイブル子爵が亡くなったと聞いた。
心臓発作だったそうだ。
嫡男のキースが子爵になり、カレンに対する援助を切ったらしい。
そして、援助が無くなったカレンの夫は、街に来ていた 他国の奴隷商人に カレンを売ったらしい。
その後のカレンの行方を知る者は もう誰もいない。
でも、あの女の事だ、自分を買った商人をたらしこんで、悠々自適に暮らしているかもしれない。なんて…チョット思ってしまった。
カレンの生んだ息子は、夫が大事に育て、平民として、幸せに暮らしているそうだ。
エドワルド殿下は 結局、誰とも結婚する事なく 公爵家は 1代限りで、殿下の死と共に終わりを告げた。
カレンの名は、
「稀代の悪女」
「魔性の女」
として、後世に残る事になった。
その後、生まれてきた女の子に「カレン」の名をつける者がいなくなった。
そして、現在、「カレン」の名を持つ者は次々と、改名を願い出ていると言う。
やがて、モンステラ王国から「カレン」の名は消えていった。
応援ありがとうございます!
22
お気に入りに追加
1,345
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる