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第七十四章 家族のぬくもり
永い永い戦いの果てに、ささやかな果実が実る
しおりを挟む蓬莱出身の娘さんたちが、
「本当に神様にお会いできるなんて……」
「私たちのために、何とか見えるようになされたのよ」
「お声を少しばかりかけていただいたけど、舞い上がってしまって、何がなんだか分からなかったの」
「でも包まれるような優しい感じがして、やはり美子様のご両親様、同じ雰囲気がしたわ」
「近寄りがたいのも同じね」
このあたりは可愛いものですが、エラムのエレン、オルガ、アグネスは違っています。
「ヴィーナス様のご両親様、私たち、気に入っていただけたかしら」
「どうだか、皆一様に微笑まれていたけど……」
「愛人にしていただける、絶好の機会だったのだけど……」
「愛人って、ヴィーナス様の妻でしょう?」
「リリータウンにお家をいただいて、ヴィーナス様のお帰りを待つの♪」
「エレン、今帰ったよ」
「あなた、お帰りなさい、お風呂が沸いています♪わ」
「そうだな、一緒に入るか」
「もぅ、ヴィーナス様のエッチ♪」
「エレン、いつもの妄想?」
「アグネスったら、ぶち壊さないでよ!」
「でも、今のエレンの妄想って、私の究極の目的よ」
オルガさんのお言葉です。
ここらは神様よりもヴィーナス様、不敬に当たりそうですね。
すったもんだしましたが、こうして寵妃親睦園遊会は無事に終わりました。
この寵妃親睦園遊会は、意外に効果絶大なことがわかりました。
皆さん、神様がいつも身近にいると実感したようで、自信に満ちた顔つきになるのです。
実際、能力が上がるというのです。
惑星カタカムナのティアマト府中央区三丁目六番地にお帰りになった神様方でしたが、翌日のんびりと話をされていました。
「昨日の園遊会、どの娘も可愛いことだな」
「本当にほほえましいこと、皆さん、美子さん一筋、美子さんも幸せなことね」
「少なくとも、この娘さんたちのためにも、美子はよりいっそう努力してもらわねばならない」
「この世界、まだまだ広まるし、先は途方もなく永い」
「その分、楽しみも途方もなく永いということですよ」
「私はこの有の世界に降臨して、よかったと思っています」
「愛する二人の娘を、この手で抱きしめられるのですから」
「そうだな」
「私もそう思うぞ」
おじい様まで同意しておられます。
「それに孫の嫁たちが、時々会いに来てくれる、それも楽しい」
「まぁ、おじい様ったら、有の世界にどっぷりね」
美子さんの永い永い戦いは、家族と一緒に日々を過ごすという、ささやかな果実をもたらせたようですね。
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