髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第2章

128.フリはいらなかった。

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下手なふりとか出来そうにないとか思っていたけれど、案外できた。というか実際下手だった。
鍵盤の位置とかは前世と一緒で本当にまんまピアノだったから、弾くことは容易いだろうと思っていたのに、馬鹿みたいに小さい手、馬鹿みたいに短い指、馬鹿みたいに弱い指圧。手指のコントロール力もなく、こりゃ演技するまでもなく下手だわ…と、悲しくなったがまぁ当たり前である
まぁどれも鍛えれば何とかなるものだから大丈夫だけど、今、この引きたくてうずうずしている欲求を解消することが出来なくて酷くもどかしい。

「ユキにはこのピアノは大きかったな…」
「うぅ……ひきちゃいにょに……」

ガイさんにも指摘され、もはやしゅんとするしかない。

「あっ!!」
「?!」
「確かな…えーっと……ちょっと待ってろよ………」

ガイさんが何かを思い出したように立ち上がり、他にも楽器の置かれている場所の近くの扉を開け中へ消えていった。

「お!あった!!」

扉の向こう側からガイさんの嬉しそうな声が聞こえてきて、直ぐにその扉からひょこっと姿を見せた。その手にはなにやら箱が抱えられていた。

「にゃあに?しょれ」
「これな、ちょっと待ってろよ……ほら!これなら…ゲホゲホ……わるい、埃が…ケホ…」
「ッゲホゲホ……はっくちゅん!…くちゅん!…ケホ…くちゅん!……ズビ…」
「わ、悪いユキ…っ…!」

箱を開けると舞うたくさんの埃に噎せ、くしゃみが止まらなかった。そんな俺のくしゃみがどこか変だったのか、ガイさんがいつものように笑いをこらえて震えている。どこが変なのか分からない。あ゙ぁ゙~鼻がムズムズする……ズビ。

「そ、そうだユキこれ、これなら小さいから弾けそうだろ!」
「ッチ…ックチ…あ!…ズズ…ちっちゃいね!ックチュン……」

ガイさんが笑うので、くしゃみを我慢しながら箱の中身を覗けば、その中には木でできた特に着色のされていないミニサイズのピアノがあった。トイピアノだ。あの可愛らしい音を奏でるピアノ。懐かしいな。

「これで綺麗になったな…ユキ大丈夫か?」

俺が懐かしさに耽っているとガイさんはその間にクリーンの魔法で埃を綺麗にしてくれていた。

「っくちゅん……まらぐしゅぐしゅしゅりゅけりょ、ッシュン…らいろーぷ!ックチ…」
「今窓開けるから待ってろ」
「あい!ックシュン!」

止まらないくしゃみに慌てたガイさんが窓や扉を開け放ち換気をしてくれた。それでも俺のくしゃみはしばらく止まらなかった。
仕方が無いので、とりあえずこの部屋は使用人さんに掃除を任せて、俺たちはお昼を食べに行くことになった。そろそろお腹すいてきたしね。











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