文字の大きさ
大
中
小
35 / 878
連載
再び東へ⑥
馬車がリフォーム出来た。私と晃太が受け取りに行く、ビアンカとルージュ、5匹の仔達もだ。
「内部を確認してくれ」
カルロさんがドアを開ける。
中は座席が無くなり、以前の倍以上に広くなった感じだ。段差もないし、ピカピカ。木のいい匂いがする。皆でチェック。
「トレント材を使用しているから、少々のことではびくともしないぞ」
「はい、ありがとうございます」
特に問題ない。私は残りの料金を支払う。
元気が職人さん達にじゃれついている。ルリとクリスはビアンカにぴったり。コハクとヒスイは馬車の中から出ない。
カルロさん職人さん達に、最後もう一度お礼を言う。
「いやいや、いい仕事させてもらったよ」
「あの、もし付与に問題が出たときは、どこに行けばいいですか?」
そう、衝撃吸収の付与に何かあれば、どうしたらいいか分からない。
「付与なら、ここでも出来るがかなり限られているぞ。衝撃吸収なら、ここでもできる。あと、この馬車には車輪に車軸、床板に物理防御があるから、これ以上となると馬車全体にかける自動修復か重量軽減くらいだ。ただ、これだけの物量だ、かけることが出来る付与師は、王都にしかいないはずだ」
「重量軽減、重さが軽くなるんですか?」
「そうだな。まあ、羽のようにって訳じゃないがな。ランクの低いものなら、1割くらいだな」
「1割」
考える。少しでも軽い方が、ノワールにはいいはずだ。
なら、マーファの次は王都かな。
「アルブレン規模の街なら、付与師がいるはずだからな。もちろん、うちでも出来るから、いつでも来てくれ。ただ、料金がかかるからな」
カルロさんが、きらり、営業スマイル。
「ありがとうございます、では、何かあれば頼らせていただきます」
「いつでも来てくれ。おうおう、お前は可愛いなあ」
元気がカルロさんに飛び掛かる。
「わんっ」
「こら、元気」
「いい、いい。そうかゲンキか、いい名前だな」
カルロさんは元気をもふもふ。良かった、毎日ブラッシングをしてて。
馬車の中の匂いを嗅いでいるコハクとヒスイを回収。馬車を晃太のアイテムボックスに入れる。
私達は最後にもう一度お礼を言って、工房を後にした。
次の日。
ノワールを馬車に繋いだ。ギルドで教わった通りに。一応手綱は握るが、ビアンカとルージュが先導してくれるから形だけ座る。
バラダーさんが門にいたので見送りに来てくれた。
「ミズサワさん。いつでもアルブレンに帰って来てください」
「はい、ありがとうございます」
私と晃太がぺこり。
父と母も来て挨拶していた。ログハウスの周辺を警らしてくれたからね。
馭者台に座る。高い、足が微妙に届かない。乗るじゃなくて、よじ登る。
晃太がノワールに、少しでも楽に走れるように、支援魔法をかける。
マーファはここから東、魔法馬の馬車で20日だ。
「今日の結界石まで、移動やね」
「そやな」
晃太はギルドでもらった地図を広げる。私は地図が読めない女なので、こういう事は晃太に任せている。
『結界石までなのですか?』
『あんなものより、私の光魔法の方が強力よ』
おお、頼りになる。
『出来るだけ、進むのです』
『そうね。良いわよねユイ?』
「それはいいけど、ノワール、大丈夫なん? 無理させんで、馬車ば牽いているんばい」
『大丈夫なのですよね?』
「ブヒヒヒン」
『付いてきなさいノワール。行きましょう』
そして、ビアンカとルージュが発進する。ノワールも発進。
「「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ」」
とんでもないスピードで。
私と晃太は馭者台からベルトを外し、だらりと落ちる。本当にベルトがあって助かった。なかったら落ちていたよ。
『大丈夫なのですか?』
『どうしたのユイ、コウタ?』
「ブヒヒヒン」
声がでない。
スピードが出る。つまり、馭者台に座る私達にも当然、圧がかかる。風圧がね。今日はしかも向かい風だから、特に。
あれだ、バラエティーとかでみる、大きな扇風機を当てられっぱなしな感じだ。目が開けられない、息がしにくい。
座り込み、なんとか息を整える。あれだ、ヘルメットがいる。
「あのさ、ビアンカさん、ルージュさん、もちょっとね、スピード落としてもらえんかね? 私らじゃ、あれは耐えきらんよ」
『そうなのですか? ごめんなのです』
『少し張り切り過ぎたかしら? 気を付けるわ』
「ブヒヒヒン」
水分補給しつつ落ち着いてから、車輪を確認、大丈夫みたいだ。それから馬車の中でルームのドアを開ける。
「大丈夫ね? なんかかなり出とったみたいやけど」
真っ先に母が心配して聞いてきた。
花が寝たまま尻尾振ってる。元気達は中庭だ。
「実はね、風圧がね」
説明すると、ああ、みたいな顔だ。
「なら、ヘルメットは?」
「なかよ、ディレックスでは手に入らんし」
「そうなあ。どうするなあ?」
「スピード落としてもらうよ」
トイレ休憩し、ルームを出る前に、ふと思い付く。
「なあ、晃太、あんたの支援魔法で風の防御支援とかできん?」
「あ、そやなあ、やってみるかね?」
晃太が悩んで、魔法発動。
よく分からないけど、大丈夫かな?
「なあ、お母さん、確か遮断って魔法がなかったね?」
父が思い出すように言う。
「当たる風だけ、遮断出来んかね? ほら、ヘルメットのガラスの部分みたいに」
なるほど、いいかも。
考え考え、母が遮断を発動する。
「姉ちゃん、まずゆっくり走ってもらったら?」
「そうやね。ねえ、ノワールにいつも馬車を牽く速度で走ってもらえるか、伝えてくれん?」
『分かったのです、ノワール、分かったのですか?』
「ブヒヒヒン」
『大丈夫よ』
「まず、ゆっくり行って。それからスピード上げようかね」
初めからそうすれば良かった。
それから、ノワールはいつものスピードで走ってもらい、徐々にスピードをあげてもらう。
途中で集団で移動している馬車を追い越す。ビアンカとルージュに騒然となったけど、必死に大丈夫です、と叫び追い越した。
結界石を2つ無視して進み、暗くなり出してやっと止まった。
「この調子なら、マーファに結構早く着かん?」
「そうやな、でもよかやん。ねえ、ルージュ、近くに誰かおる?」
『いないわ』
「なら、馬車入れて、ルーム入ろうかね」
馬車を晃太のアイテムボックスに入れて、ルームのドアを開けた。
てってれってー。
【スキル ルームレベル22にアップしました HP3000追加】
「内部を確認してくれ」
カルロさんがドアを開ける。
中は座席が無くなり、以前の倍以上に広くなった感じだ。段差もないし、ピカピカ。木のいい匂いがする。皆でチェック。
「トレント材を使用しているから、少々のことではびくともしないぞ」
「はい、ありがとうございます」
特に問題ない。私は残りの料金を支払う。
元気が職人さん達にじゃれついている。ルリとクリスはビアンカにぴったり。コハクとヒスイは馬車の中から出ない。
カルロさん職人さん達に、最後もう一度お礼を言う。
「いやいや、いい仕事させてもらったよ」
「あの、もし付与に問題が出たときは、どこに行けばいいですか?」
そう、衝撃吸収の付与に何かあれば、どうしたらいいか分からない。
「付与なら、ここでも出来るがかなり限られているぞ。衝撃吸収なら、ここでもできる。あと、この馬車には車輪に車軸、床板に物理防御があるから、これ以上となると馬車全体にかける自動修復か重量軽減くらいだ。ただ、これだけの物量だ、かけることが出来る付与師は、王都にしかいないはずだ」
「重量軽減、重さが軽くなるんですか?」
「そうだな。まあ、羽のようにって訳じゃないがな。ランクの低いものなら、1割くらいだな」
「1割」
考える。少しでも軽い方が、ノワールにはいいはずだ。
なら、マーファの次は王都かな。
「アルブレン規模の街なら、付与師がいるはずだからな。もちろん、うちでも出来るから、いつでも来てくれ。ただ、料金がかかるからな」
カルロさんが、きらり、営業スマイル。
「ありがとうございます、では、何かあれば頼らせていただきます」
「いつでも来てくれ。おうおう、お前は可愛いなあ」
元気がカルロさんに飛び掛かる。
「わんっ」
「こら、元気」
「いい、いい。そうかゲンキか、いい名前だな」
カルロさんは元気をもふもふ。良かった、毎日ブラッシングをしてて。
馬車の中の匂いを嗅いでいるコハクとヒスイを回収。馬車を晃太のアイテムボックスに入れる。
私達は最後にもう一度お礼を言って、工房を後にした。
次の日。
ノワールを馬車に繋いだ。ギルドで教わった通りに。一応手綱は握るが、ビアンカとルージュが先導してくれるから形だけ座る。
バラダーさんが門にいたので見送りに来てくれた。
「ミズサワさん。いつでもアルブレンに帰って来てください」
「はい、ありがとうございます」
私と晃太がぺこり。
父と母も来て挨拶していた。ログハウスの周辺を警らしてくれたからね。
馭者台に座る。高い、足が微妙に届かない。乗るじゃなくて、よじ登る。
晃太がノワールに、少しでも楽に走れるように、支援魔法をかける。
マーファはここから東、魔法馬の馬車で20日だ。
「今日の結界石まで、移動やね」
「そやな」
晃太はギルドでもらった地図を広げる。私は地図が読めない女なので、こういう事は晃太に任せている。
『結界石までなのですか?』
『あんなものより、私の光魔法の方が強力よ』
おお、頼りになる。
『出来るだけ、進むのです』
『そうね。良いわよねユイ?』
「それはいいけど、ノワール、大丈夫なん? 無理させんで、馬車ば牽いているんばい」
『大丈夫なのですよね?』
「ブヒヒヒン」
『付いてきなさいノワール。行きましょう』
そして、ビアンカとルージュが発進する。ノワールも発進。
「「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ」」
とんでもないスピードで。
私と晃太は馭者台からベルトを外し、だらりと落ちる。本当にベルトがあって助かった。なかったら落ちていたよ。
『大丈夫なのですか?』
『どうしたのユイ、コウタ?』
「ブヒヒヒン」
声がでない。
スピードが出る。つまり、馭者台に座る私達にも当然、圧がかかる。風圧がね。今日はしかも向かい風だから、特に。
あれだ、バラエティーとかでみる、大きな扇風機を当てられっぱなしな感じだ。目が開けられない、息がしにくい。
座り込み、なんとか息を整える。あれだ、ヘルメットがいる。
「あのさ、ビアンカさん、ルージュさん、もちょっとね、スピード落としてもらえんかね? 私らじゃ、あれは耐えきらんよ」
『そうなのですか? ごめんなのです』
『少し張り切り過ぎたかしら? 気を付けるわ』
「ブヒヒヒン」
水分補給しつつ落ち着いてから、車輪を確認、大丈夫みたいだ。それから馬車の中でルームのドアを開ける。
「大丈夫ね? なんかかなり出とったみたいやけど」
真っ先に母が心配して聞いてきた。
花が寝たまま尻尾振ってる。元気達は中庭だ。
「実はね、風圧がね」
説明すると、ああ、みたいな顔だ。
「なら、ヘルメットは?」
「なかよ、ディレックスでは手に入らんし」
「そうなあ。どうするなあ?」
「スピード落としてもらうよ」
トイレ休憩し、ルームを出る前に、ふと思い付く。
「なあ、晃太、あんたの支援魔法で風の防御支援とかできん?」
「あ、そやなあ、やってみるかね?」
晃太が悩んで、魔法発動。
よく分からないけど、大丈夫かな?
「なあ、お母さん、確か遮断って魔法がなかったね?」
父が思い出すように言う。
「当たる風だけ、遮断出来んかね? ほら、ヘルメットのガラスの部分みたいに」
なるほど、いいかも。
考え考え、母が遮断を発動する。
「姉ちゃん、まずゆっくり走ってもらったら?」
「そうやね。ねえ、ノワールにいつも馬車を牽く速度で走ってもらえるか、伝えてくれん?」
『分かったのです、ノワール、分かったのですか?』
「ブヒヒヒン」
『大丈夫よ』
「まず、ゆっくり行って。それからスピード上げようかね」
初めからそうすれば良かった。
それから、ノワールはいつものスピードで走ってもらい、徐々にスピードをあげてもらう。
途中で集団で移動している馬車を追い越す。ビアンカとルージュに騒然となったけど、必死に大丈夫です、と叫び追い越した。
結界石を2つ無視して進み、暗くなり出してやっと止まった。
「この調子なら、マーファに結構早く着かん?」
「そうやな、でもよかやん。ねえ、ルージュ、近くに誰かおる?」
『いないわ』
「なら、馬車入れて、ルーム入ろうかね」
馬車を晃太のアイテムボックスに入れて、ルームのドアを開けた。
てってれってー。
【スキル ルームレベル22にアップしました HP3000追加】
感想 867
あなたにおすすめの小説
「今日限りで君を解雇する」――20年仕えた地味なメイドですが、料理も手紙も暗殺者対策も私がやっていました
「エナメル。今日限りで君を解雇する」
20年仕えた屋敷をクビになった、地味なエルフのメイド・エナメル。
だが、晩餐会の料理も、侯爵への手紙も、調度品の手配も、屋敷を狙う暗殺者の処理も――すべて彼女が陰で支えていたものだった。
エナメルが去ったあと、屋敷は少しずつ綻び始める。
一方の本人は、そんなことも知らず。
「さて。次はどこで雇っていただきましょう」
地味で目立たないベテランメイド・エナメルの、新しい奉公先探しが始まる。
※本作は『メイドのエナメルは今日も静かにお仕えします』シリーズの第1作です。本作単体でもお楽しみいただけます。
異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった
高校の英語の授業中、勇者召喚で僕たちクラスメイト7名は異世界にやって来た。
目的は魔王討伐では無くて、高難易度ダンジョンの封印?!
でも僕ユイトのスキルは「貯金箱」、エイジは「犬」。
役立たず認定で、二人とも城を追放されてしまった。
のんびり暮らそうとしたけどそうもいかなくなって。
僕たちは奇妙なスキルを駆使して異世界で生き延びる。
緩~いファンタージ物語です。のんびりと書いていきます。
本文はなるべく簡潔に、サクサク進むようにしています。
暇つぶしに読んでいただいて、楽しんでくださると嬉しいです。
なろう様にも投稿。
捨てられた幼女ですが、公爵家に拾われたら家族みんなの愛が重すぎました
幼い頃に母親に捨てられ、孤児院で暮らしていた少女リリア。
「役に立たなければ、また捨てられる」
そう思い、いつも“いい子”でいようとしていた彼女は、ある日、公爵家の馬車を助けたことをきっかけに屋敷へ招かれる。
そこで待っていたのは、娘に甘すぎる公爵夫妻に、妹を構いたがるレオン、そしてリリアを甘やかしたい使用人たち。
戸惑いながらも、少しずつ公爵家に居場所を見つけていくリリア。やがて夫妻から「私たちの娘になってほしい」と告げられて――。
これは、捨てられないために“いい子”でいようとしていた少女が、重すぎるほどの愛情に包まれ、本当の家族を見つけていく物語。
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました
夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。
彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。
けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。
セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。
夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
番の証が出ないと捨てられたので、神様に確かめてもらいます
「番の証が出ぬからだ」
和平のために獣人国へ嫁いで四年。獣王ガイウス様との儀式は三度、三度とも証は出ませんでした。「人間の娘では神は認めぬ」——そう言われて、離宮へ。
雨漏りの下で眠り、井戸をさらい、畑を耕して。泣かなかったのは強いからではありません。獣人には、匂いでわかってしまうから。
嫁ぐ前に三年かけて読み込んだ婚姻法典。その第四章に、こうありました。
『既に誓いを結びたる者が、重ねて他者と誓いを立てんとする時、神は後の誓いを認めず』
——証が出なかったのは、わたしが人間だからではない。
長老会に申し立てたのは、解釈の確認だけ。わたしは悪くない、とは一言も書きませんでした。
遡誓の儀で神殿に浮かんだのは、六年前の秋の「成立」と、わたしの三度の「不成立(重複)」でした。
飛べないと捨てられたので、竜ごと出て行きます
「お前は竜に乗れもしない、ただの妻だろう」
竜騎士団長の夫はそう言って、飛べる従騎士の娘を選びましたわ。
ええ、わたくしは飛べません。十二年、地上におりました。
夜明け前に三十一頭の寝息を数え、歯を磨き、爪の砂を取り、冬に毛布を掛け、契約を編んで。——この国でただひとりの「調律者」として。
竜は、人を乗せない生き物ですのよ。竜自身が「乗せてもいい」と決めない限り。そして竜が誰の言葉で頷いてきたか、あの方は十二年、一度もお考えにならなかった。
離縁されて、わたくしは竜舎を出ました。
三日後から、竜は一頭も飛ばなくなりましたの。
怒っているのではありませんのよ。竜は報復をしませんもの。ただ——寂しいのです。
そして来月は、三年に一度の、契約更新日ですわ。
土下座する王妃の座などいらないので、冒険者に転職します。
「私が愛しているのはエルナ。君だけだ」
エルナは自分の夫でありハーメルン王国の国王であるカメルを愛していた。
彼がどれほど自分より隣国の聖女を優先しようとも。
結婚して二年が経っても初夜を迎えたことがなかろうとも。
しかし。
「エルナ。君に失望した。聖女を陥れていじめるとはな。罪を認め、ひざまずいて謝罪するように」
一年に一度の建国記念宴会であり結婚記念日に、カメルはすべての貴族や外国の使節団が見ている前で、エルナに身に覚えのない罪を認めろと断罪した。
愛が壊れるのは一瞬。
だからこそ、エルナはその場でひざまずいた。頭を地面にこすりつけて謝罪した。
「聖女を陰謀にかけた大罪人エルナは、この時間をもって王妃の座から退き、平民となりますことをお許しください。聖女様とどうかお幸せに」
*ゆるい設定です。不快に思われる方はブラウザバックをお願いします。
婚約破棄を受け入れた瞬間、王太子殿下が青ざめました
王都でもっとも華やかな春の夜会。その中央で、王太子エドワードは冷ややかな目を婚約者へ向けていた。
「リリアーナ・フォン・アルベルト公爵令嬢。君との婚約を、ここで破棄する」
会場が一瞬で静まり返る。
リリアーナは淡い金髪を揺らし、静かに王太子を見つめ返した。
「理由を、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「理由など明白だ。君は嫉妬深く、心が狭い。それに比べ、私は真実の愛を見つけた」
そう言ってエドワードが隣へ引き寄せたのは、男爵令嬢のセシリアだった。