もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
38 / 867
連載

マーファ①

しおりを挟む
『ずるいのです、ルージュばっかり』
 ビアンカがぶーぶー。
「まあまあ、落ち着きいって」
 狩り狩り繰り返すルージュを仕方なく送り出した。暗くなりだして、心配だったけど。念のためビアンカには残ってもらった。ルンルンで駆けて行った。大丈夫かなあ? いろんな意味で。
「ほら、入ろうや」
『ずるいのです、私も神様のブースト欲しいのです』
「十分強かろうもん」
 ぶーぶー言うビアンカとルームに入る。
 緑の巣だって、あっという間に壊滅させたやん。
『私はまだまだなのです。兄にも勝てないのですが、母の足元にも及ばないのです』
「そうなん? お母さんもフォレストガーディアンウルフよね? どんなに強いの?」
『ドラゴンも母に睨まれたら、尻尾を巻いて逃げるのです』
「わーお」
 どんだけやね、ビアンカのお母さん。
 ルームに入ったビアンカの足を拭く。相変わらず、すごか爪。
「そうだ、ビアンカ。ご両親は元気なの?」
 拭きながら気になっていたことを聞く。
『父は早くに死んだのです。もともと高齢だったのです。母は姿を消したのです。私達が独り立ちした時に、旅に出たのです』
 え?
「お母さんも亡くなったの?」
『違うのです、契約していたマスターとの約束を果たす為に、原始のダンジョンに向かったのです』
「へえ、あら? 確か、主人さんは異世界の召喚勇者よね? もういないんやないの?」
『そうなのですが。詳しくは聞いていないのですが、母はそう言っていなくなったのです』
「そうなん。挨拶に行った方がいいかね?」
『原始のダンジョンの場所は、私はわからないのです』
「なら、無理やね」
 仕方なか。
 ルージュが帰って来るまで、1日の締め。
 ビアンカのブラッシングだ。ルージュは帰って来てからだ。総出でブラッシング。ビアンカは毛足が長いし、体積があるから一苦労だ。ルージュは絨毯みたいだから、猫ブラシで早く終わる。たまに肉球を揉み揉みして、爪が更に出てくるのを、にまにましながら見るのが楽しい。ノワールもブラッシングする。届かないので脚立が必要だ。ブラッシングしながら、私達も順番にお風呂だ。
 最後に私が出た頃に、ルージュが帰って来たようだ。
 周囲に誰もいないので、パジャマ姿で出る。
「お帰り、ルージュ、ケガはない、だああぁぁぁぁぁぁッ、ヘビーッ」
 ルージュが咥え引きずって来たのは、黒っぽい斑模様の蛇。頭が二つもあるよ、おかしいよ。しかも、胴回りの太かこと。あわわわわわわわ。
 どしん、と置くルージュ。
『動き足りないわ』
「本当になんば言いようと? とにかく入りい、今日はこれまでよ」
 私は晃太を呼んで、蛇をアイテムボックスに入れてもらう。嫌がったけどね。
 ルージュは液晶画面の従魔の足拭きにした。ちょっと外に出たくらいなら、私達が足を拭いている。塵も積もればなんとかだ、出来るだけ節約を心がけている。従魔の足拭きは1回200円だけど、1日多いときは10回。従魔の部屋や厩舎、中庭の清掃は1回1000。1日約10回使用する。藁交換1日1回、500。爪切りが1回5000、馬蹄交換が1回20000、それぞれ月2回。月30日で計算すると、40万はかかる。後はシャンプーだ。2ヶ月に1回300万。年間2000万を超す。これで元気達が大きくなったら、もっとかかる。そのうちに壁や床のリフォームも必要だし、従魔の部屋だって拡大が必要だ。拡大についてはルームのスキルレベルが上がれば、なんとかなりそうだから、今はレベルアップしないと。
 しかし、本当に時空神様から頂いたルームには感謝だ。
 蛇を狩ってきたのは、母には内緒。大嫌いだからね。
『ユイ、ユイ』
「なんね?」
 ルージュが私にすり寄って来る。
『次の街には、ダンジョンがあったわね?』
「そうやね。冷蔵庫ダンジョンって言ってたね」
 嫌な予感。
「行かんよ」
 先に釘を刺す。
 びっくり、みたいなルージュ。
『なんで?』
「なんでって、よく分からんダンジョンに、いきなり行かんよ。コハクやヒスイのお乳はどうするん?」
『ユイも一緒でしょ? ルームにコハク達を入れていればいいわ』
「私も行くん? 嫌ばい」
 なんか、土まみれになりそうだから、絶対嫌や。それに狭いし、暗いし、不衛生だろうしね。絶対嫌や。
『ユイ、私も行きたいのです』
「ビアンカまで、なんば言いようと、嫌よ」
 行きたい、嫌や、の攻防。
 反則的なおねだりビームが来たけど、私は屈しない。鋼の意思よ。
「なあ、姉ちゃん」
「なんね」
「ダンジョン行ったら? レベル上がるんやない?」
「張り倒すよあんた」
 目的は分かっているんやからね。ねぎごまラーメンと花火納豆でしょうが。
「そろそろ中華も食べたかね」
「そやなあ、麻婆豆腐食べたかなあ」
 母と父まで。
『中華とはなんなのです?』
『気になるわ』
 ビアンカとルージュが鼻息荒く迫ってくる。収拾がつかない。
「はいはい。終いよ、とにかくマーファで、ダンジョンの事を詳しく聞いてからどうするか決めるけんね」
 私は無理やり話を終わらせた。

 次の日。
 マーファには昼前に到着。
 途中で、集団で移動している馬車とすれ違い、にこやかに挨拶。向こうは護衛の冒険者さん達が、警戒しまくっていたけどね。
 マーファは円形の街だ。中央には、ちょっといびつだけど、ビルのような建物がある。あれが冷蔵庫ダンジョンかな? ぐるりと城壁に囲まれた街で、城壁の外には豊かな畑が広がる。食糧事情がいいってこの事ね。
 門の前で一時停車。馭者台から、滑りながら降りる。馬車の中では、両親と花、元気達がいる。
 門の前には警備の人がずらりと並ぶ。視線の先はビアンカとルージュだ。
 中から中年の男性が出てくる。
 大丈夫かな?
『大丈夫よユイ。敵意はないわ』
「そうね、ありがとうルージュ」
 小さくお礼を言う。
「テイマーのミズサワさんと、御家族で、宜しいですか?」
「あ、はい、なんで私達の事を?」
「アルブレンから通達が来ております。ようこそマーファへ」
 会釈する男性。
「わざわざご丁寧にありがとうございます」
 アルブレンのギルドから連絡が行ったのかな。とにかく助かる。変にいろいろ聞かれたら、ぽろっと溢しそうだし。
「これは通例ですので、皆さんのギルドカードを拝見しても?」
「はい、どうぞ」
 私と晃太が冒険者ギルドカードを提示。両親は晃太が扶養にしているため、両親の身分証も兼ねている。
 馬車から両親達も降り、説明。元気とコハクが飛び出して走り回る。
「はい、確認しました。お分かり頂いていると思いますが、街中での従魔のトラブルは、主人の責任となりますので、お気をつけ下さい」
「はい」
「では、お通りになってください」
 元気とコハクを回収し、なんのトラブルなく通過。良かった良かった。宿の案内所も聞いたし、まず、本日の宿探しや。ノワールにゆっくり歩いてもらう。
 アルブレンと同様な感じの視線が来るけど仕方ない。いちいち気にしていられない。ビアンカとルージュは堂々と胸を張り歩いている。マーファはさすがに第2都市、石畳の道に、三階建て以上の建物がならび、人の往来も多い。チラチラ見られるけど、とにかく慣れよう。ビアンカとルージュを連れているなら仕方ないことなのだから。
『ユイ、近づいて来るわ』
 ゆっくり進んでいると、ルージュが顔を上げて伝えてきた。
「え、誰?」
『雄よ。以前、ユイを探しに来た内の一匹ね』
 雄って。私を探しに来た男性の内の1人ね。心当たりは1人。私は馭者台から、首を回して探すと、人混みから手を振って出てきた。
「ミズサワさんっ」
「シュタインさん」
 冒険者パーティー山風の火魔法剣士のシュタインさんだった。
しおりを挟む
感想 829

あなたにおすすめの小説

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました

山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。 王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。 レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。 3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。 将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ! 「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」 ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている? 婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」

まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。 【本日付けで神を辞めることにした】 フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。 国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。 人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 アルファポリスに先行投稿しています。 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

【完結】私は聖女の代用品だったらしい

雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。 元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。 絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。 「俺のものになれ」 突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。 だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも? 捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。 ・完結まで予約投稿済みです。 ・1日3回更新(7時・12時・18時)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。