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連載
マーファ②
「お久しぶりですシュタインさん」
「マーファに来てくれたんですね」
そう言ってシュタインさんは嬉しそうに言う。晃太も挨拶する。
「ウルフが見えたから、まさかと思っていましたけど」
「さっき到着したばかりなんですよ」
邪魔にならないように馬車を路肩に止める。
「今日は鎧は着てないんですね」
そう、シュタインさんは軽装だ。シャツとズボン、ごつめのベルトとブーツのみ。ベルトには小型のナイフとポーチ。
「昨日までダンジョンに潜っていたんです。リーダーが明日まで休みにしてくれて」
ダンジョンの言葉に、ルージュが反応。
『ユイ、ユイ、ダンジョンの事を聞いて』
「はいはい、ちょっと待ってん」
私が言うと、ルージュはシュタインさんに近づいて行く。引くシュタインさん。
『ダンジョン、ダンジョン』
「ルージュストップストップ」
『ダンジョン、ダンジョン』
「やめてってば、もう。すみません」
「いえ、いいですけど。なんと言っているんですか?」
「ダンジョンの事を聞いて、と」
「ダンジョン? 冷蔵庫ダンジョンですか?」
それから、両親も馬車から降りて挨拶。シュタインさんが宿の案内所まで一緒に移動しながら話をする。私が手綱を持ち歩く。
「ルージュがダンジョンに行きたいって聞かなくて」
「そうですか。ダンジョンなら、俺のわかる範囲でよければ教えますよ」
『聞いてッ、ダンジョン聞いてッ』
『私も潜りたいのです』
迫らんでって。
「お願いできます? ビアンカ、ルージュ、言っとくけど、今日はダンジョンの説明を聞くだけよ。行かんけんね」
『『ぶーぶー』』
「夕御飯、削るよ」
『我慢するのです』
『我慢するわ』
現金やね。
宿の案内所で一軒家タイプの宿を聞く。
入口で覗き込むビアンカとルージュに、案内所の人がひきつった顔をした。
「ええ、と。少々お待ちを。今は中型の庭付きなら空きがございます。1泊85000ですが、1週間後に予約がありますので、それ以降はまた別の宿を探して頂くことになります」
「それで構いません。あのまたこちらに伺っても宜しいですか?」
「はい、お待ちしております。こちらの木札をお持ちください。今、案内の者を」
「はい」
若い男性が案内してくれる。シュタインさんも一緒に移動。ビアンカとルージュが聞きたい聞きたいと連呼するので。
一軒家を管理する宿の人とバトンタッチ。料金を前払い。案内してくれたのは、こちらも若い男性、ビアンカとルージュに引いている。
まずまず広い庭付きの平屋に案内される。
「何かありましたら、宿までお越しください」
「ありがとうございます」
元気達が庭を走り回る。ノワールものんびりしている。馬車は晃太のアイテムボックスへ。
平屋の中は広い居間と、ダイニングにミニキッチン。奥に広めの寝室が2つ。一回り小さな寝室2つ。洗面所にシャワーブース、ちゃんと浴室もあり。庭にはテーブルと椅子が二脚。魔道具も揃っている。
「すみませんシュタインさん、お休みなのに」
「構いませんよ」
シュタインさんに、居間のソファーで待ってもらい、私は寝室でルームのドアを開ける。
液晶画面を操作。
よし、CAFE&sandwich蒼空にしよう。ナッツとキャラメルのケーキ。セットのドリンクは、コーヒーが美味しいのだけど、こちらでは見たことない。ちょっと暑いからアイスティーにしよう。
タップ。ポワン、とケーキセットがダイニングテーブルの上に出る。異世界のメニューの良いところは、器を出して洗わなくてもいいことだ。ケーキとアイスティーのグラスをお盆に載せる。私達は麦茶だ。溢さないようにルームを出る。
「お待たせしました。どうぞシュタインさん」
「あ、ありがとうございます。これ氷ですよねいいんですか? 頂いても」
氷はこの時期は貴重品だが、私達はルームに冷蔵庫あるので普通に手に入る。
「はい、どうぞどうぞ」
ビアンカとルージュが迫りそうなので、ダメよ、と牽制。ただ、花だけは、シュタインさんの膝にすがり付く。
「おわっ、と」
「すみません」
母が花を抱えて、庭に出る。父も元気達のおもちゃを持ち続く。
「騒がしくてすみません」
「いいえ、いただきます」
シュタインさんがアイスティーを一口。
「んっ、この紅茶、凄く冷えていて美味しいですね。香りもすごくいいです」
「そ、そうです?」
私が淹れてないけどね。シュタインさんはケーキも一口。
「これ、凄く旨いです。甘いのにちょっとほろ苦くて。ふふ、マアデンとハジェルが聞いたら、羨ましがるだろうな」
「皆さん、お元気ですか?」
「ええ、とっても。あの2人、ミズサワさんの飯がまた食べたいっていつも言ってます」
「母が聞いたら喜びます」
よく見たら、シュタインさん、結構イケメンさんだね。時空神様ほどではないけど。あの人はイッケメンだからね。
楽しいおしゃべりしていると、私の頬にルージュが鼻面を押し付ける。
『ユイ、ユイ、ダンジョンダンジョン』
「はいはい。シュタインさん、すみませんがダンジョンについて教えて頂けます?」
「あ、そうでしたね」
ダンジョン。それは生きた魔物。心臓部のコアを破壊しなければ、ずっと生き続ける魔物。ただ、マーファの冷蔵庫ダンジョンのように、人と共存しているダンジョンが多く、ダンジョンの側には街があることが多い。
ダンジョンにもレベルがある、初心者向けや、冷蔵庫ダンジョンのように中堅~上級者向けあり。中には悪質なものもあり、そういったダンジョンは入口を封鎖。そうすると、ダンジョンは餓死する。ダンジョンの栄養は外から来た生き物、つまり冒険者だが、その死体や自身の中で生まれた魔物の死骸までも栄養にするため、ものによっては何百年も共存しているものもある。ちなみに野良のダンジョンはあまりない、生まれてすぐのダンジョンは弱く、大きくいくつもの階層ができる前に殆どが餓死し、ただの洞穴になる。ダンジョンは冒険者に来てもらわないと生きていけないため、おびき寄せるのが宝箱だ。
ほとんどのダンジョンの中は外見とは異なり、何倍にも広い。穴蔵や草原、岩山、砂漠、遺跡、火山、森林、海、沼地など様々なフィールドがある。大体は階層で異なるフィールドを持つ複合タイプらしい。各階に安全地帯がある。複数あれば、たまにないこともあり。
そして、ダンジョンの最大の目玉は、ボス部屋だ。各階にあったりなかったりだが、ボス部屋に入ると、中の魔物を殲滅しなければ、前にも後ろにも進めない。ボスを殲滅すると、復活するまで時間がかかり、その間は素通り可能。先に進みたいパーティーは素通りする。ボス部屋が復活するまで順番待ちをして挑むのがほとんどだが、いくつかの決まり事がある。まず、戦闘中に横槍を入れない、ボス部屋の宝箱を殲滅したパーティーの了承を得ず持っていかない、並んでいるのに無視して先にボス部屋に入らない。
ボス部屋は殲滅したあと必ず宝箱が出る。ボスのレベルや出てきた数によって変わるが、かなりいいのが入っており、ほとんどの冒険者はこれを狙う。ボス部屋の不思議は、下の階層から入ると空な事だ。
ダンジョンに挑む際に大切なのは食糧。マーファの冷蔵庫ダンジョンの様に、一階は子供でも入れるのは珍しい。基本的には日数を決めて挑む、これをダンジョンに潜るという。中には安全地帯、セーフティーゾーンで水が湧き出ている所がある。だがある程度稼ぎたいなら一定期間潜るのが一般的なため、食糧が重要になる。
「とにかく、食糧が重要です。あと、命は1人1つしかありませんからね」
「なるほど」
ルームがあるから、私達は大丈夫だけど、冒険者の皆さん大変だ。
「冷蔵庫ダンジョンは24階です。2階から10階までは初心者や中堅が挑みます。11階からは中堅以上ですね。18階からは上級者向けになります。各階にセーフティーゾーンとボス部屋があります。脱出用の魔法陣も10階、15階、20階、24階にあります」
ふむふむ。
『ユイ、ユイ、明日からダンジョン?』
ルージュが爛々とした赤い目で訴える。
「なんば言いようと。ダメよ、何日潜るか決めて食糧準備せんといかんやろ?」
『ルームがあるわ』
「お母さん達のたい。それにあの蛇だって、冒険者ギルドに出さんと」
私達の会話を聞いて、シュタインさんが首を傾げる。
「蛇?」
「はい、昨日、ルージュが狩って来て。晃太のアイテムボックスの中に入れてあるんです」
「なら、今からギルドに行きましょうか? 案内しますよ」
「マーファに来てくれたんですね」
そう言ってシュタインさんは嬉しそうに言う。晃太も挨拶する。
「ウルフが見えたから、まさかと思っていましたけど」
「さっき到着したばかりなんですよ」
邪魔にならないように馬車を路肩に止める。
「今日は鎧は着てないんですね」
そう、シュタインさんは軽装だ。シャツとズボン、ごつめのベルトとブーツのみ。ベルトには小型のナイフとポーチ。
「昨日までダンジョンに潜っていたんです。リーダーが明日まで休みにしてくれて」
ダンジョンの言葉に、ルージュが反応。
『ユイ、ユイ、ダンジョンの事を聞いて』
「はいはい、ちょっと待ってん」
私が言うと、ルージュはシュタインさんに近づいて行く。引くシュタインさん。
『ダンジョン、ダンジョン』
「ルージュストップストップ」
『ダンジョン、ダンジョン』
「やめてってば、もう。すみません」
「いえ、いいですけど。なんと言っているんですか?」
「ダンジョンの事を聞いて、と」
「ダンジョン? 冷蔵庫ダンジョンですか?」
それから、両親も馬車から降りて挨拶。シュタインさんが宿の案内所まで一緒に移動しながら話をする。私が手綱を持ち歩く。
「ルージュがダンジョンに行きたいって聞かなくて」
「そうですか。ダンジョンなら、俺のわかる範囲でよければ教えますよ」
『聞いてッ、ダンジョン聞いてッ』
『私も潜りたいのです』
迫らんでって。
「お願いできます? ビアンカ、ルージュ、言っとくけど、今日はダンジョンの説明を聞くだけよ。行かんけんね」
『『ぶーぶー』』
「夕御飯、削るよ」
『我慢するのです』
『我慢するわ』
現金やね。
宿の案内所で一軒家タイプの宿を聞く。
入口で覗き込むビアンカとルージュに、案内所の人がひきつった顔をした。
「ええ、と。少々お待ちを。今は中型の庭付きなら空きがございます。1泊85000ですが、1週間後に予約がありますので、それ以降はまた別の宿を探して頂くことになります」
「それで構いません。あのまたこちらに伺っても宜しいですか?」
「はい、お待ちしております。こちらの木札をお持ちください。今、案内の者を」
「はい」
若い男性が案内してくれる。シュタインさんも一緒に移動。ビアンカとルージュが聞きたい聞きたいと連呼するので。
一軒家を管理する宿の人とバトンタッチ。料金を前払い。案内してくれたのは、こちらも若い男性、ビアンカとルージュに引いている。
まずまず広い庭付きの平屋に案内される。
「何かありましたら、宿までお越しください」
「ありがとうございます」
元気達が庭を走り回る。ノワールものんびりしている。馬車は晃太のアイテムボックスへ。
平屋の中は広い居間と、ダイニングにミニキッチン。奥に広めの寝室が2つ。一回り小さな寝室2つ。洗面所にシャワーブース、ちゃんと浴室もあり。庭にはテーブルと椅子が二脚。魔道具も揃っている。
「すみませんシュタインさん、お休みなのに」
「構いませんよ」
シュタインさんに、居間のソファーで待ってもらい、私は寝室でルームのドアを開ける。
液晶画面を操作。
よし、CAFE&sandwich蒼空にしよう。ナッツとキャラメルのケーキ。セットのドリンクは、コーヒーが美味しいのだけど、こちらでは見たことない。ちょっと暑いからアイスティーにしよう。
タップ。ポワン、とケーキセットがダイニングテーブルの上に出る。異世界のメニューの良いところは、器を出して洗わなくてもいいことだ。ケーキとアイスティーのグラスをお盆に載せる。私達は麦茶だ。溢さないようにルームを出る。
「お待たせしました。どうぞシュタインさん」
「あ、ありがとうございます。これ氷ですよねいいんですか? 頂いても」
氷はこの時期は貴重品だが、私達はルームに冷蔵庫あるので普通に手に入る。
「はい、どうぞどうぞ」
ビアンカとルージュが迫りそうなので、ダメよ、と牽制。ただ、花だけは、シュタインさんの膝にすがり付く。
「おわっ、と」
「すみません」
母が花を抱えて、庭に出る。父も元気達のおもちゃを持ち続く。
「騒がしくてすみません」
「いいえ、いただきます」
シュタインさんがアイスティーを一口。
「んっ、この紅茶、凄く冷えていて美味しいですね。香りもすごくいいです」
「そ、そうです?」
私が淹れてないけどね。シュタインさんはケーキも一口。
「これ、凄く旨いです。甘いのにちょっとほろ苦くて。ふふ、マアデンとハジェルが聞いたら、羨ましがるだろうな」
「皆さん、お元気ですか?」
「ええ、とっても。あの2人、ミズサワさんの飯がまた食べたいっていつも言ってます」
「母が聞いたら喜びます」
よく見たら、シュタインさん、結構イケメンさんだね。時空神様ほどではないけど。あの人はイッケメンだからね。
楽しいおしゃべりしていると、私の頬にルージュが鼻面を押し付ける。
『ユイ、ユイ、ダンジョンダンジョン』
「はいはい。シュタインさん、すみませんがダンジョンについて教えて頂けます?」
「あ、そうでしたね」
ダンジョン。それは生きた魔物。心臓部のコアを破壊しなければ、ずっと生き続ける魔物。ただ、マーファの冷蔵庫ダンジョンのように、人と共存しているダンジョンが多く、ダンジョンの側には街があることが多い。
ダンジョンにもレベルがある、初心者向けや、冷蔵庫ダンジョンのように中堅~上級者向けあり。中には悪質なものもあり、そういったダンジョンは入口を封鎖。そうすると、ダンジョンは餓死する。ダンジョンの栄養は外から来た生き物、つまり冒険者だが、その死体や自身の中で生まれた魔物の死骸までも栄養にするため、ものによっては何百年も共存しているものもある。ちなみに野良のダンジョンはあまりない、生まれてすぐのダンジョンは弱く、大きくいくつもの階層ができる前に殆どが餓死し、ただの洞穴になる。ダンジョンは冒険者に来てもらわないと生きていけないため、おびき寄せるのが宝箱だ。
ほとんどのダンジョンの中は外見とは異なり、何倍にも広い。穴蔵や草原、岩山、砂漠、遺跡、火山、森林、海、沼地など様々なフィールドがある。大体は階層で異なるフィールドを持つ複合タイプらしい。各階に安全地帯がある。複数あれば、たまにないこともあり。
そして、ダンジョンの最大の目玉は、ボス部屋だ。各階にあったりなかったりだが、ボス部屋に入ると、中の魔物を殲滅しなければ、前にも後ろにも進めない。ボスを殲滅すると、復活するまで時間がかかり、その間は素通り可能。先に進みたいパーティーは素通りする。ボス部屋が復活するまで順番待ちをして挑むのがほとんどだが、いくつかの決まり事がある。まず、戦闘中に横槍を入れない、ボス部屋の宝箱を殲滅したパーティーの了承を得ず持っていかない、並んでいるのに無視して先にボス部屋に入らない。
ボス部屋は殲滅したあと必ず宝箱が出る。ボスのレベルや出てきた数によって変わるが、かなりいいのが入っており、ほとんどの冒険者はこれを狙う。ボス部屋の不思議は、下の階層から入ると空な事だ。
ダンジョンに挑む際に大切なのは食糧。マーファの冷蔵庫ダンジョンの様に、一階は子供でも入れるのは珍しい。基本的には日数を決めて挑む、これをダンジョンに潜るという。中には安全地帯、セーフティーゾーンで水が湧き出ている所がある。だがある程度稼ぎたいなら一定期間潜るのが一般的なため、食糧が重要になる。
「とにかく、食糧が重要です。あと、命は1人1つしかありませんからね」
「なるほど」
ルームがあるから、私達は大丈夫だけど、冒険者の皆さん大変だ。
「冷蔵庫ダンジョンは24階です。2階から10階までは初心者や中堅が挑みます。11階からは中堅以上ですね。18階からは上級者向けになります。各階にセーフティーゾーンとボス部屋があります。脱出用の魔法陣も10階、15階、20階、24階にあります」
ふむふむ。
『ユイ、ユイ、明日からダンジョン?』
ルージュが爛々とした赤い目で訴える。
「なんば言いようと。ダメよ、何日潜るか決めて食糧準備せんといかんやろ?」
『ルームがあるわ』
「お母さん達のたい。それにあの蛇だって、冒険者ギルドに出さんと」
私達の会話を聞いて、シュタインさんが首を傾げる。
「蛇?」
「はい、昨日、ルージュが狩って来て。晃太のアイテムボックスの中に入れてあるんです」
「なら、今からギルドに行きましょうか? 案内しますよ」
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