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すべきこと⑧
3日後。
日に日にダイアナちゃんは良くなっていった。
「お姉ちゃんっ」
ダイアナちゃんが、パジャマ姿で飛び出してくる。
「こら、ダイアナっ」
慌ててフィナさんが止める。
『随分よくなっているのです』
『そうね』
ビアンカとルージュに抱きつくダイアナちゃん。
「ありがとうございますミズサワさん。お陰さまで、ダイアナがこんなに元気に、あ、こらっ」
ビアンカの毛に掴まり這い上がろうとするダイアナちゃん。うん、微笑ましいが、危ない。
ビアンカの首にしがみつき、なかなか離れないし、次はルージュにぴょんと飛び移る。あははん、お転婆さん。後ろのロッシュさんとハジェル君が、うわあ、と悲鳴を上げる。
『これなら行けるのです』
『そうね、ね、ユイ?』
「はいはい、分かっとうよ。フィナさん、良かったですね。皆さんが看病したからですよ」
「いいえ、ミズサワさんのお力です。なんとお礼を言っていいか………」
しきりに感謝するフィナさん。
「こちらが勝手にしたことです。お気になさらないでください」
話していると、父の鑑定終了。
「肺炎改善。ぼちぼち通常生活大丈夫や」
「そうね」
フィナさんに説明。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
何度も繰り返すフィナさん。
「お薬はもう必要ないと思います。普通の生活に戻しても大丈夫だと思いますが油断しないように。うがい手洗いをしてください。あと食生活も気をつけてください」
「はい、ありがとうございますミズサワさん」
ルージュの首にしがみつくダイアナちゃんを、フィナさんが引き剥がす。あんなにぐったりしてたのに。まあ、良か。本当に、良か。
「まだ触る」
「ダメよダイアナ。ちゃんとお礼を言いなさい。ミズサワさんのお陰で、よくなったのよ」
フィナさんが、ダイアナちゃんを抱えて注意。
「はーい、お姉ちゃん、ありがとう」
良かった、本当に良かった。
父もニコニコしてる。
「いいえ、どういたしまして」
「お姉ちゃん、明日も来てね」
「あ、ゴメンね。明日からダンジョンに行くから」
「えーっ」
なんでー、みたいな顔。本当に数日前の顔色とは思えない。
そう、ダンジョン。ダイアナちゃんの容態良ければ、明日から冷蔵庫ダンジョンに潜ると約束したのだ。正直嫌だけど、あの目玉を持って、薬師ギルドに相談あるからね。
「こら、ダイアナ。申し訳ありません。あの改めて、お礼を」
「いえ、本当にお気にされないで、あ、そうだ。あのちょっと相談に乗って欲しい事がありまして。ダンジョンから戻って来たら、お願いできません?」
「はい、私達の出来ることなら」
「では、ダンジョンから帰って来たら、お店の方に伺っても?」
「はい、お待ちしております」
フィナさんが深く頭を下げる。
ダイアナちゃんはまだ、納得していない顔だ。ビアンカとルージュが、ベロッと舐めて、きゃっきゃ言ってる。かわいか。
父とご挨拶して、パーティーハウスへ。
「優衣、パーカーさんになんば相談すると? やっぱり、薬の件ね?」
帰りながら、父が聞いてくる。
「そうよ。薬師ギルドだけの問題やないからね。販路とかあるしね。職人ギルドや冒険者ギルドだって助けを借りんといかん。パーカーさんは職人ギルドに所属してるはずやし、販路とかに関しては、商売しとるけん、商人ギルドも関わっているはずやし」
馬車の時も、書類見てもらったし。
「そうやな、薬師ギルドに持っていく前に、商売人の人に意見を聞いてもよかな。また、別の問題が出てくるはずやな」
「とにかく、明日からダンジョンに行って来るけん」
「ん、分かった。薬はもう少しできると思うけん、作っとくけん」
「お願いね」
父と話している間、ビアンカとルージュの合唱が続く。
『『ダンジョンダンジョンダンジョン』』
本当に楽しそうやね。
帰り道でマルシェで大量に買い物。
「ありがとうございました」
送ってくれた、ロッシュさんとハジェル君にお礼を言う。
「いいえ。ミズサワさん、明日からダンジョンなら、ダンジョンまでお供しましょう」
「大丈夫ですよ」
なんてロッシュさんと話している間、いつもニコニコしているハジェル君が思い詰めたような表情で、顔を上げる。
「あの、ミズサワさん」
「はい?」
「あのパーカーさんの娘さんにあげた薬、分けてもらえないですか? お金はちゃんと払いますから」
ごつんっ
ロッシュさんのげんこつが落ちる。
「帰るぞハジェル。すみませんミズサワさん」
ロッシュさんの顔に浮かぶは怒りの色。
「いえ、ハジェル君どうしたの? 話を聞かせて」
誰か具合悪いのかな?
ハジェル君が伺うようにロッシュさんを見上げる。
「話を聞きたいんですが、よろしいですかロッシュさん?」
少し考えて、ロッシュさんは渋々頷く。
ハジェル君が思い詰めたような顔で話し出す。
「実は俺が世話になった孤児院で、ダイアナちゃんみたいに具合悪い子がいて。いつもの漢方薬も、効きが悪くて、院長先生達が困ってて」
私と父は、息を吸う。
「「はよう言わんね」」
私と父は昼を簡単に済ませて、ハジェル君に案内されて、マーファの孤児院へ。
うわあ、ぼろぼろの建物だ。
ただ、子供達の歓声があちこちで上がっている。
ハジェル君が院長先生を呼んできてくれた。そこそこ歳の男性だ。ビアンカとルージュには、ドン引きしてたけど、腰を曲げて挨拶してくれた。
「ハジェルから話を聞きました。わざわざご足労いただきありがとうございます」
「いいえ、あの具合の悪い子は?」
「はい、こちらです」
ビアンカとルージュには、私位の歳のシスターに庭に誘導される。シスター、真っ青だよ。
「ビアンカ、ルージュ、大人しくしててね」
『大丈夫なのです』
『大丈夫よ』
庭に向かい、悲鳴と歓声。本当に大丈夫かな?
具合の悪いのは、12歳の男の子。やはり、風邪っぽかったのが長引いていると。とにかく父の鑑定が必要だ。風邪なら抗生剤も効くだろうけど、違う病気なら手の打ちようがない。中級ポーションで何とかなるなら、あの不味いらしいポーションを提供するけど。
ギシギシ軋む廊下を進む。あちこち隙間があるけど。
「あ、そこ気をつけてください。床が抜けそうで」
はいはい。
途中の部屋には、赤ちゃん部屋か、本当に小さな子達がいる。何人かの女性がお世話している。
しかし、ぼろぼろ。父もちょっと引いてる。
「ここです」
「はい」
「デニス、入るぞ」
院長先生に続いて、父と部屋に入る。
やや暗い部屋で、男の子が咳をしながら起き上がる。
「デニス、具合は?」
「げほっ、変わんない………」
咳をするデニス君。
「デニス、この方達が見てくれるそうだ」
「うん、げほっ、げほっ」
私はそっと院長先生に声をかける。
「少し、デニス君に触ってもいいですか?」
「はい。お願いします」
デニス君に断って、お熱チェック。あるわ、熱。ダイアナちゃん程高くないけど。
「喉、痛くない? 食欲は?」
「喉痛い、げほっ。あんまり食べたくない………」
「そっか。これなら飲めるかな?」
私はアイテムボックスから、スポーツ飲料水のピッチャーを出す。デニス君は首を傾げたけど、一口飲んで、驚いてる。
「甘い、あ、飲みやすい。げほっ」
喉は痛むみたいだけど、スポーツ飲料水はしっかり飲めた。初めて飲んだから、余計に美味しいのかな。
もう一杯デニス君は飲んだ。私は一旦退室する。
「お父さん、どう?」
「ダイアナちゃんと同じ風邪に起因した肺炎やな。ただ、あの子はダイアナちゃんより重くなかな。結核ではなかな」
父は少しほっとしてる。
父は結核で、実のお姉さんを小さい頃に亡くしている。今でも盆と年末に菩提のあるお寺さんに行き、父親、私にとっては祖父にタバコ、わずか8歳で亡くなったお姉さんの為にジュースを供えている。
「そうね。なら、抗生剤と解熱剤で様子ば見るかね」
院長先生に抗生剤と解熱剤の説明する。
「解熱剤はまず今1錠飲みましょう。後は念のためもう1剤お渡ししますが、熱が引けば無理して飲ませる必要はありません。こちらは朝と晩に1錠ずつ飲ませてください。4日分です」
デニス君は12歳だから、ゼリーは必要ないかも。抗生剤はこれでもうない。
まず、抗生剤と解熱剤と内服確認する。おでこに冷却材を貼る。
「冷たい」
「気持ち悪い?」
「ううん、気持ちいい」
「良かった。長く続かないけど、貼っとき」
「うん」
デニス君の布団をかけ直す。
良くなりますように。
私は部屋を出た。
日に日にダイアナちゃんは良くなっていった。
「お姉ちゃんっ」
ダイアナちゃんが、パジャマ姿で飛び出してくる。
「こら、ダイアナっ」
慌ててフィナさんが止める。
『随分よくなっているのです』
『そうね』
ビアンカとルージュに抱きつくダイアナちゃん。
「ありがとうございますミズサワさん。お陰さまで、ダイアナがこんなに元気に、あ、こらっ」
ビアンカの毛に掴まり這い上がろうとするダイアナちゃん。うん、微笑ましいが、危ない。
ビアンカの首にしがみつき、なかなか離れないし、次はルージュにぴょんと飛び移る。あははん、お転婆さん。後ろのロッシュさんとハジェル君が、うわあ、と悲鳴を上げる。
『これなら行けるのです』
『そうね、ね、ユイ?』
「はいはい、分かっとうよ。フィナさん、良かったですね。皆さんが看病したからですよ」
「いいえ、ミズサワさんのお力です。なんとお礼を言っていいか………」
しきりに感謝するフィナさん。
「こちらが勝手にしたことです。お気になさらないでください」
話していると、父の鑑定終了。
「肺炎改善。ぼちぼち通常生活大丈夫や」
「そうね」
フィナさんに説明。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
何度も繰り返すフィナさん。
「お薬はもう必要ないと思います。普通の生活に戻しても大丈夫だと思いますが油断しないように。うがい手洗いをしてください。あと食生活も気をつけてください」
「はい、ありがとうございますミズサワさん」
ルージュの首にしがみつくダイアナちゃんを、フィナさんが引き剥がす。あんなにぐったりしてたのに。まあ、良か。本当に、良か。
「まだ触る」
「ダメよダイアナ。ちゃんとお礼を言いなさい。ミズサワさんのお陰で、よくなったのよ」
フィナさんが、ダイアナちゃんを抱えて注意。
「はーい、お姉ちゃん、ありがとう」
良かった、本当に良かった。
父もニコニコしてる。
「いいえ、どういたしまして」
「お姉ちゃん、明日も来てね」
「あ、ゴメンね。明日からダンジョンに行くから」
「えーっ」
なんでー、みたいな顔。本当に数日前の顔色とは思えない。
そう、ダンジョン。ダイアナちゃんの容態良ければ、明日から冷蔵庫ダンジョンに潜ると約束したのだ。正直嫌だけど、あの目玉を持って、薬師ギルドに相談あるからね。
「こら、ダイアナ。申し訳ありません。あの改めて、お礼を」
「いえ、本当にお気にされないで、あ、そうだ。あのちょっと相談に乗って欲しい事がありまして。ダンジョンから戻って来たら、お願いできません?」
「はい、私達の出来ることなら」
「では、ダンジョンから帰って来たら、お店の方に伺っても?」
「はい、お待ちしております」
フィナさんが深く頭を下げる。
ダイアナちゃんはまだ、納得していない顔だ。ビアンカとルージュが、ベロッと舐めて、きゃっきゃ言ってる。かわいか。
父とご挨拶して、パーティーハウスへ。
「優衣、パーカーさんになんば相談すると? やっぱり、薬の件ね?」
帰りながら、父が聞いてくる。
「そうよ。薬師ギルドだけの問題やないからね。販路とかあるしね。職人ギルドや冒険者ギルドだって助けを借りんといかん。パーカーさんは職人ギルドに所属してるはずやし、販路とかに関しては、商売しとるけん、商人ギルドも関わっているはずやし」
馬車の時も、書類見てもらったし。
「そうやな、薬師ギルドに持っていく前に、商売人の人に意見を聞いてもよかな。また、別の問題が出てくるはずやな」
「とにかく、明日からダンジョンに行って来るけん」
「ん、分かった。薬はもう少しできると思うけん、作っとくけん」
「お願いね」
父と話している間、ビアンカとルージュの合唱が続く。
『『ダンジョンダンジョンダンジョン』』
本当に楽しそうやね。
帰り道でマルシェで大量に買い物。
「ありがとうございました」
送ってくれた、ロッシュさんとハジェル君にお礼を言う。
「いいえ。ミズサワさん、明日からダンジョンなら、ダンジョンまでお供しましょう」
「大丈夫ですよ」
なんてロッシュさんと話している間、いつもニコニコしているハジェル君が思い詰めたような表情で、顔を上げる。
「あの、ミズサワさん」
「はい?」
「あのパーカーさんの娘さんにあげた薬、分けてもらえないですか? お金はちゃんと払いますから」
ごつんっ
ロッシュさんのげんこつが落ちる。
「帰るぞハジェル。すみませんミズサワさん」
ロッシュさんの顔に浮かぶは怒りの色。
「いえ、ハジェル君どうしたの? 話を聞かせて」
誰か具合悪いのかな?
ハジェル君が伺うようにロッシュさんを見上げる。
「話を聞きたいんですが、よろしいですかロッシュさん?」
少し考えて、ロッシュさんは渋々頷く。
ハジェル君が思い詰めたような顔で話し出す。
「実は俺が世話になった孤児院で、ダイアナちゃんみたいに具合悪い子がいて。いつもの漢方薬も、効きが悪くて、院長先生達が困ってて」
私と父は、息を吸う。
「「はよう言わんね」」
私と父は昼を簡単に済ませて、ハジェル君に案内されて、マーファの孤児院へ。
うわあ、ぼろぼろの建物だ。
ただ、子供達の歓声があちこちで上がっている。
ハジェル君が院長先生を呼んできてくれた。そこそこ歳の男性だ。ビアンカとルージュには、ドン引きしてたけど、腰を曲げて挨拶してくれた。
「ハジェルから話を聞きました。わざわざご足労いただきありがとうございます」
「いいえ、あの具合の悪い子は?」
「はい、こちらです」
ビアンカとルージュには、私位の歳のシスターに庭に誘導される。シスター、真っ青だよ。
「ビアンカ、ルージュ、大人しくしててね」
『大丈夫なのです』
『大丈夫よ』
庭に向かい、悲鳴と歓声。本当に大丈夫かな?
具合の悪いのは、12歳の男の子。やはり、風邪っぽかったのが長引いていると。とにかく父の鑑定が必要だ。風邪なら抗生剤も効くだろうけど、違う病気なら手の打ちようがない。中級ポーションで何とかなるなら、あの不味いらしいポーションを提供するけど。
ギシギシ軋む廊下を進む。あちこち隙間があるけど。
「あ、そこ気をつけてください。床が抜けそうで」
はいはい。
途中の部屋には、赤ちゃん部屋か、本当に小さな子達がいる。何人かの女性がお世話している。
しかし、ぼろぼろ。父もちょっと引いてる。
「ここです」
「はい」
「デニス、入るぞ」
院長先生に続いて、父と部屋に入る。
やや暗い部屋で、男の子が咳をしながら起き上がる。
「デニス、具合は?」
「げほっ、変わんない………」
咳をするデニス君。
「デニス、この方達が見てくれるそうだ」
「うん、げほっ、げほっ」
私はそっと院長先生に声をかける。
「少し、デニス君に触ってもいいですか?」
「はい。お願いします」
デニス君に断って、お熱チェック。あるわ、熱。ダイアナちゃん程高くないけど。
「喉、痛くない? 食欲は?」
「喉痛い、げほっ。あんまり食べたくない………」
「そっか。これなら飲めるかな?」
私はアイテムボックスから、スポーツ飲料水のピッチャーを出す。デニス君は首を傾げたけど、一口飲んで、驚いてる。
「甘い、あ、飲みやすい。げほっ」
喉は痛むみたいだけど、スポーツ飲料水はしっかり飲めた。初めて飲んだから、余計に美味しいのかな。
もう一杯デニス君は飲んだ。私は一旦退室する。
「お父さん、どう?」
「ダイアナちゃんと同じ風邪に起因した肺炎やな。ただ、あの子はダイアナちゃんより重くなかな。結核ではなかな」
父は少しほっとしてる。
父は結核で、実のお姉さんを小さい頃に亡くしている。今でも盆と年末に菩提のあるお寺さんに行き、父親、私にとっては祖父にタバコ、わずか8歳で亡くなったお姉さんの為にジュースを供えている。
「そうね。なら、抗生剤と解熱剤で様子ば見るかね」
院長先生に抗生剤と解熱剤の説明する。
「解熱剤はまず今1錠飲みましょう。後は念のためもう1剤お渡ししますが、熱が引けば無理して飲ませる必要はありません。こちらは朝と晩に1錠ずつ飲ませてください。4日分です」
デニス君は12歳だから、ゼリーは必要ないかも。抗生剤はこれでもうない。
まず、抗生剤と解熱剤と内服確認する。おでこに冷却材を貼る。
「冷たい」
「気持ち悪い?」
「ううん、気持ちいい」
「良かった。長く続かないけど、貼っとき」
「うん」
デニス君の布団をかけ直す。
良くなりますように。
私は部屋を出た。
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