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連載
新しい扉④
私はマジックを見た。
鍋一杯のがめ煮が、綺麗になくなるマジックを。
ビアンカとルージュのお腹の中に収まる。あれだけステーキ丼食べて、がめ煮まで。
「マジックや」
「姉ちゃん、違うよ。ああ、わい、まだがめ煮食べたかったなあ」
晃太ががっかりしている。
昨日は肉じゃががなくなった。あれだけ作ってあったのに。
『もう、ないのですか?』
『昨日のも美味しかったわ、もうないの?』
「なかよ」
『『えー?』』
「姉ちゃん、作れんの?」
「出来ん事はないけど」
あんまり、料理、得意じゃないんだけどなあ。一応、母から教えてもらってはいるが。
『食べたいのですッ』
『ユイ、作ってッ』
おねだりビームが飛び出したので陥落。
食後の運動と、ボス部屋に行くビアンカとルージュには晃太に付いてもらい、私はディレックスでお買い物。
すったもんだしながら準備して、煮崩れたけど、母の味を再現できた。2つの鍋に一杯。下拵えから、なんだかんだと3時間もかかってしまい、片付けた時はすでに夜中になっていた。次の日の朝、ビアンカとルージュが3分もかからずたべてしまったけど。
「3時間が…………」
『美味しいのです』
『もうないの?』
キラキラのお目目がかわいくて、私はその日、再び肉じゃがを作った。
順調に、ちゅどん、どかん。
適宜元気達を遊ばせながら、ちゅどん、どかん。
「晃太、牛乳瓶どれくらいある?」
冷蔵庫ダンジョンに潜り、日程の半分、5日目の夜。
「えっとなあ、19階のが320本、21階のが250本やね」
「1年位大丈夫かね。あ、ギルドに回さんといかんけん。もうちょっといるかね?」
蛇の目玉の個数は聞かない。
「そやなあ、ダンジョンの牛乳栄養満点みたいやし、孤児院の子供達にも持っていく分ば、確保した方がよくないかね? あ、それとなお袋、教会でやっとる読み書き教室にも、牛乳ば持っていきたいっていいよったよ」
ダイアナちゃんが通っている無料の読み書き教室は、こちらの小学校の位置にある。ただ、中にはあまり栄養状態のよくなさそうな子がいるらしく、母が気にしていた。貧しくてもせめて読み書きくらいはと言うご家庭もあるようで、教室内でも格差があるようだ。だけどそう思うのは大人だけ、子供達はみんな仲良しさん。勉強自体は午前中のみ。教室での勉強後に、みんなで教会の庭で遊んで帰るそうだ。中には、帰ってもお昼ご飯がない家庭もあるため、遊んでまぎらわせている子もいると。どこでもあるんやね、格差。家庭が裕福なら家庭教師で自宅で勉強すると。でも、そんなことできるのは一握りだ。
「そうやね。ビアンカ、ルージュ、もうちょっと牛ば相手してくれる?」
『いいのです。元気達もあの乳は好物なのです』
『問題ないわ』
「ありがと」
頼もしい。
たっぷりのお肉を焼いてステーキ丼にした。デザートは銀の槌のイチゴのホールケーキだ。明日の分も注文済み。私達はマンゴープリンを食べた。
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
ビアンカが翠のラインを浮かび上がらせて、ボス部屋に弾丸のように飛び込んでいく。21階のボス部屋です。
どかあぁぁぁぁぁぁぁぁん。
どかあぁぁぁぁぁぁぁぁん。
『終わったようよ』
「分かった、晃太、お茶ば準備して」
「ん」
晃太がビアンカの器にお茶を入れる。
ルンルンと、ビアンカがボス部屋から出てくる。
『レベルが500になったのです』
「あら、良かったね」
よく分からないけど、ますますパワーアップしている。ただでさえ強いのに。
『ずるいわ、私はまだ494なのに』
ルージュがぶーぶー。
「充分強かろうもん。ビアンカ、休んどき」
『分かったのです』
晃太とドロップ品を拾いながら、ビアンカとルージュの近所の主婦のような会話が聞こえてくる。
『ドラゴンが効いているのです』
『羨ましいわ』
『ルージュには神様のブーストがあるのです』
『まあ、そうねえ』
『でも、やっと半分なのです』
『そうね。母様は1000超えていたしね』
………………………
『私も500超えたのですが、これからもっと上がりにくくなるのです』
『そうよね。確か500超えてからが大変だって、母様も主様も言っていたわ』
……………………
「晃太さんや」
「なんね、姉ちゃん」
「ビアンカを産んだお母さんってさ」
「知らん方がよくないかね?」
「そやなあ」
知らん顔しよう。
ドラゴンも逃げ出すお母さんって、気になるが、やめよう。新しい登場人物の主様も気になるが、やめよう。ビアンカとルージュが様をつけるような人だしねえ。
「あ、宝箱出たばい」
「そやなあ。ルージュ、お願いできる?」
『分かったわ』
ルージュにチェックしてもらい開けると、涙型にカットされたダイヤモンドが2つ。買い取りに出そう。
ボス部屋の復活を待ち、次はルージュの番だ。
『戦闘モード 光の貴婦人(リュミライトレディ)』
準備万端のルージュだが、ビアンカがボス部屋のドアを開けると、赤い目を見開く。いつもなら、弾丸みたいに飛び込むのに、その場で閃光をボス部屋に撃ち込んでいる。
『ビアンカッ、援護してッ』
『分かったのですッ』
「えッ?」
今までそんな事、無かったのに。
「ルームッ」
私は咄嗟にルームを開けて、晃太と元気達と避難する。
ビアンカが加わり、弾丸のように飛び込んでいく。
ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉん。
ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉん。
どかあぁぁぁぁぁぁぁぁん。
どかあぁぁぁぁぁぁぁぁん。
今までにない、ちゅどん、どかん。
最近、雷女帝(エル・カテリーナ)でも慣れてきた仔達が不安そうに集まる。
「くうん、くうん」
「くうーん」
「みぁあ、みぁあ」
「にぁあ、にぁあ」
元気以外は私達にぴったりくっつく。
「わんわんっ」
元気だけが、窓に張り付き吠えている。尻尾ブンブン振ってますがな。
「元気は大物やなあ」
しみじみと晃太が呟く。
ほどなくして、戦闘音が止み、ビアンカとルージュが出てくる。
ああ、良かった。見ただけやけど、ケガとかなさそうや。
ルームを出て駆け寄る。
「大丈夫ね?」
『大丈夫なのです』
「どうしたん? 何か変なのがおったん?」
『違うわ、数が多くて』
「数?」
ボス部屋を覗くと、とんでもない量のドロップ品が転がってる。
え、最高数やない?
並んで覗き込んだ晃太も口が開く。
「晃太、お茶ば。私はドロップ品拾うけん」
「分かった」
私は手当たり次第に籠にドロップ品を入れる。時間が経つと、一度触ればある程度時間稼ぎができるが、ある程度だ。
勿体ないからね。せっかくビアンカとルージュがちゅどん、どかんしてくれたから。
晃太も加わり、せっせと拾う。
しれっと、モッツァレラチーズをビアンカとルージュが食べてるけど、よか。たくさんあるし。
しかし、牛乳瓶の数がおかしか。
なんとか全部拾って、最後に出て来た大きめの宝箱。
「ルージュ、チェックして」
『分かったわ。あ、罠があるわね、ちょっと待ってね』
ルージュの鼻先から黒い霞が出て、宝箱を包む。ぱきり、と音がする。
『大丈夫よ』
「ありがとう。さて、開けましょう」
ワクワク。
開けると、今回武器類だ。
長い剣が2本、短めの剣、ハンマー、槍、ナイフが3本、杖、丸い盾だ。なかなか綺麗な造りのようだ。柄の部分に宝石がはまっているのもある。
「姉ちゃん、ハンマーとかよくない?」
「張り倒すよ。で、今回のドロップ品の数は?」
「えーっとなあ。牛乳瓶が105、生クリームが39、クリームチーズが36、カッテージチーズが40、マスカルポーネが22、モッツァレラチーズが30、チェダーチーズが40、パルミジャーノ・レッジャーノが16、エメンタールが25、ラクレットが20、カマンベールチーズが42、スティルトンが19、ゴルゴンゾーラチーズが26、リヴァロが33、ラングルが18。ネックが39、ミスジが29、肩ロースが50、リブロースが51、サーロインが48、ヒレが47、バラが55、ランプが36、イチボが21、ハツが54、レバーが44、ハラミが38、サガリが49、小腸が51、大腸が43、タンが37、ほほ肉が52、テールが46、革が56、角が118、魔石が100、大魔石が8」
「3桁ッ」
鍋一杯のがめ煮が、綺麗になくなるマジックを。
ビアンカとルージュのお腹の中に収まる。あれだけステーキ丼食べて、がめ煮まで。
「マジックや」
「姉ちゃん、違うよ。ああ、わい、まだがめ煮食べたかったなあ」
晃太ががっかりしている。
昨日は肉じゃががなくなった。あれだけ作ってあったのに。
『もう、ないのですか?』
『昨日のも美味しかったわ、もうないの?』
「なかよ」
『『えー?』』
「姉ちゃん、作れんの?」
「出来ん事はないけど」
あんまり、料理、得意じゃないんだけどなあ。一応、母から教えてもらってはいるが。
『食べたいのですッ』
『ユイ、作ってッ』
おねだりビームが飛び出したので陥落。
食後の運動と、ボス部屋に行くビアンカとルージュには晃太に付いてもらい、私はディレックスでお買い物。
すったもんだしながら準備して、煮崩れたけど、母の味を再現できた。2つの鍋に一杯。下拵えから、なんだかんだと3時間もかかってしまい、片付けた時はすでに夜中になっていた。次の日の朝、ビアンカとルージュが3分もかからずたべてしまったけど。
「3時間が…………」
『美味しいのです』
『もうないの?』
キラキラのお目目がかわいくて、私はその日、再び肉じゃがを作った。
順調に、ちゅどん、どかん。
適宜元気達を遊ばせながら、ちゅどん、どかん。
「晃太、牛乳瓶どれくらいある?」
冷蔵庫ダンジョンに潜り、日程の半分、5日目の夜。
「えっとなあ、19階のが320本、21階のが250本やね」
「1年位大丈夫かね。あ、ギルドに回さんといかんけん。もうちょっといるかね?」
蛇の目玉の個数は聞かない。
「そやなあ、ダンジョンの牛乳栄養満点みたいやし、孤児院の子供達にも持っていく分ば、確保した方がよくないかね? あ、それとなお袋、教会でやっとる読み書き教室にも、牛乳ば持っていきたいっていいよったよ」
ダイアナちゃんが通っている無料の読み書き教室は、こちらの小学校の位置にある。ただ、中にはあまり栄養状態のよくなさそうな子がいるらしく、母が気にしていた。貧しくてもせめて読み書きくらいはと言うご家庭もあるようで、教室内でも格差があるようだ。だけどそう思うのは大人だけ、子供達はみんな仲良しさん。勉強自体は午前中のみ。教室での勉強後に、みんなで教会の庭で遊んで帰るそうだ。中には、帰ってもお昼ご飯がない家庭もあるため、遊んでまぎらわせている子もいると。どこでもあるんやね、格差。家庭が裕福なら家庭教師で自宅で勉強すると。でも、そんなことできるのは一握りだ。
「そうやね。ビアンカ、ルージュ、もうちょっと牛ば相手してくれる?」
『いいのです。元気達もあの乳は好物なのです』
『問題ないわ』
「ありがと」
頼もしい。
たっぷりのお肉を焼いてステーキ丼にした。デザートは銀の槌のイチゴのホールケーキだ。明日の分も注文済み。私達はマンゴープリンを食べた。
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
ビアンカが翠のラインを浮かび上がらせて、ボス部屋に弾丸のように飛び込んでいく。21階のボス部屋です。
どかあぁぁぁぁぁぁぁぁん。
どかあぁぁぁぁぁぁぁぁん。
『終わったようよ』
「分かった、晃太、お茶ば準備して」
「ん」
晃太がビアンカの器にお茶を入れる。
ルンルンと、ビアンカがボス部屋から出てくる。
『レベルが500になったのです』
「あら、良かったね」
よく分からないけど、ますますパワーアップしている。ただでさえ強いのに。
『ずるいわ、私はまだ494なのに』
ルージュがぶーぶー。
「充分強かろうもん。ビアンカ、休んどき」
『分かったのです』
晃太とドロップ品を拾いながら、ビアンカとルージュの近所の主婦のような会話が聞こえてくる。
『ドラゴンが効いているのです』
『羨ましいわ』
『ルージュには神様のブーストがあるのです』
『まあ、そうねえ』
『でも、やっと半分なのです』
『そうね。母様は1000超えていたしね』
………………………
『私も500超えたのですが、これからもっと上がりにくくなるのです』
『そうよね。確か500超えてからが大変だって、母様も主様も言っていたわ』
……………………
「晃太さんや」
「なんね、姉ちゃん」
「ビアンカを産んだお母さんってさ」
「知らん方がよくないかね?」
「そやなあ」
知らん顔しよう。
ドラゴンも逃げ出すお母さんって、気になるが、やめよう。新しい登場人物の主様も気になるが、やめよう。ビアンカとルージュが様をつけるような人だしねえ。
「あ、宝箱出たばい」
「そやなあ。ルージュ、お願いできる?」
『分かったわ』
ルージュにチェックしてもらい開けると、涙型にカットされたダイヤモンドが2つ。買い取りに出そう。
ボス部屋の復活を待ち、次はルージュの番だ。
『戦闘モード 光の貴婦人(リュミライトレディ)』
準備万端のルージュだが、ビアンカがボス部屋のドアを開けると、赤い目を見開く。いつもなら、弾丸みたいに飛び込むのに、その場で閃光をボス部屋に撃ち込んでいる。
『ビアンカッ、援護してッ』
『分かったのですッ』
「えッ?」
今までそんな事、無かったのに。
「ルームッ」
私は咄嗟にルームを開けて、晃太と元気達と避難する。
ビアンカが加わり、弾丸のように飛び込んでいく。
ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉん。
ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉん。
どかあぁぁぁぁぁぁぁぁん。
どかあぁぁぁぁぁぁぁぁん。
今までにない、ちゅどん、どかん。
最近、雷女帝(エル・カテリーナ)でも慣れてきた仔達が不安そうに集まる。
「くうん、くうん」
「くうーん」
「みぁあ、みぁあ」
「にぁあ、にぁあ」
元気以外は私達にぴったりくっつく。
「わんわんっ」
元気だけが、窓に張り付き吠えている。尻尾ブンブン振ってますがな。
「元気は大物やなあ」
しみじみと晃太が呟く。
ほどなくして、戦闘音が止み、ビアンカとルージュが出てくる。
ああ、良かった。見ただけやけど、ケガとかなさそうや。
ルームを出て駆け寄る。
「大丈夫ね?」
『大丈夫なのです』
「どうしたん? 何か変なのがおったん?」
『違うわ、数が多くて』
「数?」
ボス部屋を覗くと、とんでもない量のドロップ品が転がってる。
え、最高数やない?
並んで覗き込んだ晃太も口が開く。
「晃太、お茶ば。私はドロップ品拾うけん」
「分かった」
私は手当たり次第に籠にドロップ品を入れる。時間が経つと、一度触ればある程度時間稼ぎができるが、ある程度だ。
勿体ないからね。せっかくビアンカとルージュがちゅどん、どかんしてくれたから。
晃太も加わり、せっせと拾う。
しれっと、モッツァレラチーズをビアンカとルージュが食べてるけど、よか。たくさんあるし。
しかし、牛乳瓶の数がおかしか。
なんとか全部拾って、最後に出て来た大きめの宝箱。
「ルージュ、チェックして」
『分かったわ。あ、罠があるわね、ちょっと待ってね』
ルージュの鼻先から黒い霞が出て、宝箱を包む。ぱきり、と音がする。
『大丈夫よ』
「ありがとう。さて、開けましょう」
ワクワク。
開けると、今回武器類だ。
長い剣が2本、短めの剣、ハンマー、槍、ナイフが3本、杖、丸い盾だ。なかなか綺麗な造りのようだ。柄の部分に宝石がはまっているのもある。
「姉ちゃん、ハンマーとかよくない?」
「張り倒すよ。で、今回のドロップ品の数は?」
「えーっとなあ。牛乳瓶が105、生クリームが39、クリームチーズが36、カッテージチーズが40、マスカルポーネが22、モッツァレラチーズが30、チェダーチーズが40、パルミジャーノ・レッジャーノが16、エメンタールが25、ラクレットが20、カマンベールチーズが42、スティルトンが19、ゴルゴンゾーラチーズが26、リヴァロが33、ラングルが18。ネックが39、ミスジが29、肩ロースが50、リブロースが51、サーロインが48、ヒレが47、バラが55、ランプが36、イチボが21、ハツが54、レバーが44、ハラミが38、サガリが49、小腸が51、大腸が43、タンが37、ほほ肉が52、テールが46、革が56、角が118、魔石が100、大魔石が8」
「3桁ッ」
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