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連載
パニック?⑦
山風と金の虎の皆さんとの依頼は順調だ。
お昼もリクエストを聞きながら準備した。
ワンプレートにして、母のレンコン入りハンバーグや、醤油漬け込み唐揚、レタスとパプリカ、トマトを飾り、隙間に町の洋食みつよしのナポリタンをくるっと巻いて飾ってみたり。しょうが焼きや味付け肉と、ポテトサラダ、紫竜の海鮮春巻きにしてみたり。生姜鍋もしたし、ポトフも作った。麦美ちゃんのパンや蒼空のサンドイッチも出した。
大好評だ。
鍋なんて〆のおじやが、汁すら残らない。
相変わらず皆さんよく食べる。その分動いているしね。ノワールの開けた、20階、21階のボス部屋に多いときは1日3回も挑んでいる。
本来今日はスライム部屋なんだけど、どしゃ降りの為に、仔達の移動を断念。20階スタートとなっている。ダンジョン内は雨は降らない。そういった階層もあるらしいが、冷蔵庫ダンジョンには雨の降る階層はない。
「アルスにいい革の鎧一式揃えられるな」
「そうだな。剣も、そろそろ限界のようだから、次は魔鉄を多めか、ミスリルが含まれた剣がいいかもしれん」
おやつ休憩中に、ファングさんとガリストさんが相談している。動きの多いアルスさんの為に、なにやら上質の革鎧と剣を検討している。
「アルスちゃん、ちゃんと噛まないと。誰もとらないわよ。味わってね。作ってくれた方に失礼よ」
フリンダさんが、アルスさんの口元のクリームをハンカチで拭く。本日はもへじ生活のお菓子キットで作ったシフォンケーキだ。ちょっと小型で、プレーン、紅茶、レモン味。ホイップクリーム付きです。私が作りました。どやっ。材料混ぜて、オーブンでちん、しました。どやっ。
「アルス、もう食べたの? もうほら私のあげるから。これで我慢しな」
リィマさんが自分の紅茶のシフォンケーキの半分を、アルスさんのお皿に。
金の虎の皆さん、家族だよ。
呪い持ちとしられたアルスさんは、やはり好奇の視線を浴びている。私達とは違い、それには軽蔑や嫌悪感のあるものが含まれていることがある。よく分かってもいない、呪い持ちなんてもののせいで。金の虎の皆さんは、そんな視線からアルスさんを守っている。
家族だよ。
「アルスさん、優しいお姉さんや皆さんで良かったですね」
私がぽつり、と言うと、キラキラ青い目がこちらに向く。
「うん」
こくり、と頷くアルスさん。素直やん。ちゃんと分かっているんやね。精神が幼くても。
「姉ちゃん、好き」
「……………ッ」
聞いたリィマさんは、ばっ、と私から背中を向けてぶるぶる震えだす。ああ、嬉しいんだね。顔を両手で押さえてるから。ちゃんとアルスさん、リィマさんが自分を大事にしてくれてるって分かっているんだね。
「ファングも好き、ガリストも好き、フリンダも好き」
ぽかん、とする3人。
そして、ファングさんとガリストさんが背中を向けて、ごつい肩を丸めて、ガタガタし始める。フリンダさんはクリームを拭いたハンカチで顔を覆う。
なんだか、今まで色々あったんやね。
当のアルスさんはこてん。としてる。そして、言い出しっぺの私はずきゅん。山風の皆さんは、見ないふりしてくれてる。
言い出しっぺだけど、私も見ない方がいいよかね。私も視線を逸らした。
依頼は順調に過ぎていく。
たまにアルスさんがペロリしそうに来たり、座っていたら、膝に頭をのせてきたりと、事案発生したけど、まあなんとかかんとかやってる。
ファングさんとリィマさんが平謝りするし、シュタインさんがさりげなくガードしてくれるしね。ビアンカとルージュは、ペロリする時に、ガードしてくれる。
あれからアルスさんは戦闘になっても、モードに入らない。それでも、身軽なのは変わらない。シュタインさんも無事に復帰したしね。復帰初日は心配で、ちらちら見ていたけど、問題なさそうで良かった。
本日最終日、スライム部屋。
流石に皆さんあのスライムの数に驚いていたよ。
出てきた王冠スライムは、支援を受けた元気とコハクが仕留めました。まあ、それで疲れていま寝てるけど。
王冠スライムが元気の雷で弾けとんだのを、皆さん見なかったことにしてくれていた。
最近、ようやくルリとクリスの属性魔法も発覚。ルリは水属性魔法、クリスは火属性魔法があり、ビアンカが指導している。
「にゃあにゃあ」
私の膝に上半身を乗せるヒスイ。そうねそうね、お姉ちゃんがよかね。よしよし。
そう言えば、ヒスイだけは未だにわからない。父の鑑定でも文字化けしているそうだ。
『ヒスイ、焦ってはダメよ。直に覚醒するわ』
ルージュもそう言ってる。なんや、魔法が覚醒したいだけのおねだりかい。まあ、それでも、かわいか、よしよし、もふもふ。
「にゃあにゃあ~」
「あたたた」
いやいやと私の足に爪をたてる。地味に痛い。もう、かわいかね。
「ヒスイちゃんは、ユイさんが、好きですね」
シュタインさんが覗き込んで来た。
「そうみたいですね。私としては嬉しいです」
「にゃあ~」
元気達を休ませながら、色々話をする。
次の依頼についてだ。
晃太の支援魔法スキルアップも順調みたいだ。やはり、これだけの人数がいて、色々細かくかけるとかなり効率がいいようで。
やっと半分を越したそうだ。
出来たら、また、受けて欲しい。なんせ、今まで最高回数ボス部屋に挑んでいるからね。
その旨をリーダーさん達に伝えると、快く受けてくれた。
来週はビアンカとルージュのリクエストで上層階に挑む事になってる。先日、2人の後ろ姿を見て、花ちゃんみたいやね、と晃太がぽつり。
『どういう事なのです?』
『私達、あんなに小さくないわよ』
「ぽっちゃりって意味や」
『『ぽっちゃり?』』
「太ったって意味や」
わからない顔をするビアンカとルージュ。
確かに、初めて会った時に比べて、ふくよかだ。特に腰回りが。私がスマホで、以前の姿を見せると、愕然としていた。
『そう言えば、お尻付近の動きが鈍い気がするのです』
『お腹も、こんなに弛んでいなかったわ』
「そのうち、ぽっちゃりウルフとかジャガーとか言われるばい」
晃太の容赦ない言葉に、がーん、となる2人。
それから食事の量を少し減らし、おやつの量と回数も減らした。父の鑑定で、減量目標はビアンカが約70キロ、ルージュが約55キロだと。ちなみに現在ビアンカは687キロ、ルージュは492キロ。ノワールは1.3t。ノワールは減量の必要はない。
はい、すべて飼い主の責任です。
すりすり、きゅるんのおねだりもしてくるが、ビアンカとルージュはちゅどん、どかんしているから、これくらい大丈夫やね、何て思っていました。
実は私と晃太もこちらに来て数キロ太ってしまい、ビアンカとルージュ共々減量に励むことになる。2人だけダイエットはダメよね、私もおやつ上げてたし、晃太もなんだかんだとすり寄られたら、おやつ上げてたしね。
なので、ちゅどん、どかん、ダイエットや。
麦茶でおやつタイムをやり過ごす。ビアンカとルージュは糖質カットされた、ロールパン一個のみ。
「ユイさん、ビアンカさんとルージュさんが凄い目で見てきますよ」
「気にしないでください」
シュタインさんと話をしながら、私はビアンカとルージュの怨みがましい視線を無視。そんな中出た話題。
「え? 奴隷? ユイさん、奴隷買われるんですか?」
そう、リティアさんから勧められていることを話すと、皆さん食いついてきた。
「はい。戦闘奴隷の方達がいればわざわざ依頼も出さなくても済むって言われたんですけど、気が進まなくて」
私はため息をつく。
「え? もし、戦闘奴隷来たら、ユイさん、この依頼出さないんすか? あ、ですか?」
「そうなるかな」
「「えーっ」」
マアデン君とハジェル君が同調して声をあげる。クリーム付いてるよ、ほら、元気とコハクが起きて、飛びかかる。
「「わーっ」」
ベロベロン。微笑ましい。
「でも、すぐに条件のあう人達は見つかりませんよ。条件高くしたし」
「へえ、どんな条件なんだ」
ファングさんも興味を引いたのか、聞いてくる。
「ランクはC以上、攻守揃ってて、女性がいて、うちのノワール乗りこなせる人がいるパーティーです」
「「「「え?」」」」
「ノワールって、ユイさんとこの魔法馬ですか?」
シュタインさんが疑うように聞いてくる。
「そうです。鞍を今作ってもらっているんですよ」
「あ、あれに乗るんですか?」
騎士団の人達と同じ顔をするシュタインさん。
「そうです。だから、そう簡単に見つからないかなって」
「まあ、それはそうですね」
「なので、次回もお願いしますね」
私が言うと、皆さん頷いてくれた。良かった、晃太の支援魔法スキルアップ、思ったより早くランクアップするかも。
スライム部屋を終えて、パタンキューした元気とコハクをバギーに乗せる。元気はガリストさん、コハクはロッシュさんが抱えて上げてくれた。
ギルドに行き、リーダーさん達が買い取り窓口に。私達は依頼窓口に行こうとすると、リティアさんが出てきた。
「ミズサワ様、条件に合いそうなパーティーが見つかりました」
「えぇ?」
こんなに早く? え、どうしよう。
えーっと、気が進まない。そうだ、お断りしてもいいって言われたし、そうしよう。まだ、私の精神が受け入れ出来てないから。ちゃ、と帰ろう。
私は山風と金の虎の皆さんに振り返り、小さく断って来ますと告げて、いつもの応接室に。
早速リティアさんが書類をテーブルに出す。
「首都のコーリナ奴隷商会です。パーティーランクはC、攻守共に揃い、女性もいます。ただ、騎乗能力の高いリーダーと見習いの子が1人ひどい負傷していますが、それさえどうにかなれば…………………」
「彼らにします」
私は書類を一目見て決断。
晃太は書類から目を離せない様子だ。
「ミズサワ様?」
「彼らを購入します。今からマーファを出ますので、その商会に連絡をお願いします」
私は立ち上がる。
「ビアンカ、ルージュ、今から移動よか?」
『大丈夫なのです』
『構わないけど、ユイ焦っているわよ』
「後で説明するけん。晃太、行くよ。あ、この書類頂いても?」
「はい、構いません。ミズサワ様、奴隷購入には紹介状が必要です。すぐにご準備致しますので」
紹介状はマーファの門まで持ってきてくれると。
一旦パーティーハウスに戻って、両親に説明しないと。
「ありがとうございますリティアさん。あ、すみません、もう一つお願いが」
「はい、なんでございましょう?」
「私達が到着するまでに、彼らにできるだけの治療を、そして食事と環境を。すべて私が払いますので」
「承知しました」
私と晃太は、応接室を出る。そして、ロビーで査定を待っていた山風と金の虎の皆さんと合流。
「すみません皆さん、次回の依頼はなかったことにしてください」
切羽詰まった感じの私に、ロッシュさんとファングさんが顔を見合わせる。
「ユイさん?」
「テイマーさん、どうした?」
「ちょっと今から首都に行かなくてはならなくて」
私が答えると、再びロッシュさんとファングさんが顔を見合わせる。
「俺達は構いませんが」
「今から首都に? 暗くなるぞ」
「ビアンカとルージュがいますから」
私達は挨拶もそこそこにギルドを出て、パーティーハウスに。
「クゥンクゥンクゥーン」
花が熱烈歓迎してくれるが、それどころではないが、もふもふ。母が出てきたが、
「お帰り、どうしたね?」
やはり顔に出ていたようだ。
「今から首都に行って、奴隷買ってくる」
「はぁ? なんばいいようとあんた」
母の眉間に皺が寄る。後ろにいた父までも似たような顔だ。
「奴隷は買わんって言いよったやん」
「これ見て」
私がリィテアさんからもらった書類を差し出す。
険しい顔で書類を見る両親の顔が、みるみるうちに変わっていく。
パーティー名 鷹の目
パーティーランク C
リーダー ホーク 剣士 人族 男 31歳 ランクC 剣術 弓術 短剣術 体術 無属性魔法
特記事項 上位騎乗能力 重症両腕損傷 顔面損傷 その他損傷多数
サブリーダー チュアン ヒーラー 人族 男 31歳 ランクC 回復魔法 体術 槍術 斧術 無属性魔法
特記事項 軽傷 カルーラ修道院出身
メンバー マデリーン 魔法使い 人族 女 37歳 ランクC 火魔法 水魔法 無属性魔法 体術 短剣術 棍術
特記事項 軽傷 アイテムボックス保有
メンバー ミゲル 剣士 人族 男 20歳 ランクE 剣術 短剣術 体術
特記事項 左目失明 左腕・左肩骨折
メンバー テオ 見習い 人族 男 16歳 ランクH 短剣術 体術
特記事項 軽傷 アイテムボックス保有
メンバー エマ 見習い 人族 女 16歳 ランクH 短剣術 体術
特記事項 重症右腕損傷 顔面損傷 その他損傷多数
お昼もリクエストを聞きながら準備した。
ワンプレートにして、母のレンコン入りハンバーグや、醤油漬け込み唐揚、レタスとパプリカ、トマトを飾り、隙間に町の洋食みつよしのナポリタンをくるっと巻いて飾ってみたり。しょうが焼きや味付け肉と、ポテトサラダ、紫竜の海鮮春巻きにしてみたり。生姜鍋もしたし、ポトフも作った。麦美ちゃんのパンや蒼空のサンドイッチも出した。
大好評だ。
鍋なんて〆のおじやが、汁すら残らない。
相変わらず皆さんよく食べる。その分動いているしね。ノワールの開けた、20階、21階のボス部屋に多いときは1日3回も挑んでいる。
本来今日はスライム部屋なんだけど、どしゃ降りの為に、仔達の移動を断念。20階スタートとなっている。ダンジョン内は雨は降らない。そういった階層もあるらしいが、冷蔵庫ダンジョンには雨の降る階層はない。
「アルスにいい革の鎧一式揃えられるな」
「そうだな。剣も、そろそろ限界のようだから、次は魔鉄を多めか、ミスリルが含まれた剣がいいかもしれん」
おやつ休憩中に、ファングさんとガリストさんが相談している。動きの多いアルスさんの為に、なにやら上質の革鎧と剣を検討している。
「アルスちゃん、ちゃんと噛まないと。誰もとらないわよ。味わってね。作ってくれた方に失礼よ」
フリンダさんが、アルスさんの口元のクリームをハンカチで拭く。本日はもへじ生活のお菓子キットで作ったシフォンケーキだ。ちょっと小型で、プレーン、紅茶、レモン味。ホイップクリーム付きです。私が作りました。どやっ。材料混ぜて、オーブンでちん、しました。どやっ。
「アルス、もう食べたの? もうほら私のあげるから。これで我慢しな」
リィマさんが自分の紅茶のシフォンケーキの半分を、アルスさんのお皿に。
金の虎の皆さん、家族だよ。
呪い持ちとしられたアルスさんは、やはり好奇の視線を浴びている。私達とは違い、それには軽蔑や嫌悪感のあるものが含まれていることがある。よく分かってもいない、呪い持ちなんてもののせいで。金の虎の皆さんは、そんな視線からアルスさんを守っている。
家族だよ。
「アルスさん、優しいお姉さんや皆さんで良かったですね」
私がぽつり、と言うと、キラキラ青い目がこちらに向く。
「うん」
こくり、と頷くアルスさん。素直やん。ちゃんと分かっているんやね。精神が幼くても。
「姉ちゃん、好き」
「……………ッ」
聞いたリィマさんは、ばっ、と私から背中を向けてぶるぶる震えだす。ああ、嬉しいんだね。顔を両手で押さえてるから。ちゃんとアルスさん、リィマさんが自分を大事にしてくれてるって分かっているんだね。
「ファングも好き、ガリストも好き、フリンダも好き」
ぽかん、とする3人。
そして、ファングさんとガリストさんが背中を向けて、ごつい肩を丸めて、ガタガタし始める。フリンダさんはクリームを拭いたハンカチで顔を覆う。
なんだか、今まで色々あったんやね。
当のアルスさんはこてん。としてる。そして、言い出しっぺの私はずきゅん。山風の皆さんは、見ないふりしてくれてる。
言い出しっぺだけど、私も見ない方がいいよかね。私も視線を逸らした。
依頼は順調に過ぎていく。
たまにアルスさんがペロリしそうに来たり、座っていたら、膝に頭をのせてきたりと、事案発生したけど、まあなんとかかんとかやってる。
ファングさんとリィマさんが平謝りするし、シュタインさんがさりげなくガードしてくれるしね。ビアンカとルージュは、ペロリする時に、ガードしてくれる。
あれからアルスさんは戦闘になっても、モードに入らない。それでも、身軽なのは変わらない。シュタインさんも無事に復帰したしね。復帰初日は心配で、ちらちら見ていたけど、問題なさそうで良かった。
本日最終日、スライム部屋。
流石に皆さんあのスライムの数に驚いていたよ。
出てきた王冠スライムは、支援を受けた元気とコハクが仕留めました。まあ、それで疲れていま寝てるけど。
王冠スライムが元気の雷で弾けとんだのを、皆さん見なかったことにしてくれていた。
最近、ようやくルリとクリスの属性魔法も発覚。ルリは水属性魔法、クリスは火属性魔法があり、ビアンカが指導している。
「にゃあにゃあ」
私の膝に上半身を乗せるヒスイ。そうねそうね、お姉ちゃんがよかね。よしよし。
そう言えば、ヒスイだけは未だにわからない。父の鑑定でも文字化けしているそうだ。
『ヒスイ、焦ってはダメよ。直に覚醒するわ』
ルージュもそう言ってる。なんや、魔法が覚醒したいだけのおねだりかい。まあ、それでも、かわいか、よしよし、もふもふ。
「にゃあにゃあ~」
「あたたた」
いやいやと私の足に爪をたてる。地味に痛い。もう、かわいかね。
「ヒスイちゃんは、ユイさんが、好きですね」
シュタインさんが覗き込んで来た。
「そうみたいですね。私としては嬉しいです」
「にゃあ~」
元気達を休ませながら、色々話をする。
次の依頼についてだ。
晃太の支援魔法スキルアップも順調みたいだ。やはり、これだけの人数がいて、色々細かくかけるとかなり効率がいいようで。
やっと半分を越したそうだ。
出来たら、また、受けて欲しい。なんせ、今まで最高回数ボス部屋に挑んでいるからね。
その旨をリーダーさん達に伝えると、快く受けてくれた。
来週はビアンカとルージュのリクエストで上層階に挑む事になってる。先日、2人の後ろ姿を見て、花ちゃんみたいやね、と晃太がぽつり。
『どういう事なのです?』
『私達、あんなに小さくないわよ』
「ぽっちゃりって意味や」
『『ぽっちゃり?』』
「太ったって意味や」
わからない顔をするビアンカとルージュ。
確かに、初めて会った時に比べて、ふくよかだ。特に腰回りが。私がスマホで、以前の姿を見せると、愕然としていた。
『そう言えば、お尻付近の動きが鈍い気がするのです』
『お腹も、こんなに弛んでいなかったわ』
「そのうち、ぽっちゃりウルフとかジャガーとか言われるばい」
晃太の容赦ない言葉に、がーん、となる2人。
それから食事の量を少し減らし、おやつの量と回数も減らした。父の鑑定で、減量目標はビアンカが約70キロ、ルージュが約55キロだと。ちなみに現在ビアンカは687キロ、ルージュは492キロ。ノワールは1.3t。ノワールは減量の必要はない。
はい、すべて飼い主の責任です。
すりすり、きゅるんのおねだりもしてくるが、ビアンカとルージュはちゅどん、どかんしているから、これくらい大丈夫やね、何て思っていました。
実は私と晃太もこちらに来て数キロ太ってしまい、ビアンカとルージュ共々減量に励むことになる。2人だけダイエットはダメよね、私もおやつ上げてたし、晃太もなんだかんだとすり寄られたら、おやつ上げてたしね。
なので、ちゅどん、どかん、ダイエットや。
麦茶でおやつタイムをやり過ごす。ビアンカとルージュは糖質カットされた、ロールパン一個のみ。
「ユイさん、ビアンカさんとルージュさんが凄い目で見てきますよ」
「気にしないでください」
シュタインさんと話をしながら、私はビアンカとルージュの怨みがましい視線を無視。そんな中出た話題。
「え? 奴隷? ユイさん、奴隷買われるんですか?」
そう、リティアさんから勧められていることを話すと、皆さん食いついてきた。
「はい。戦闘奴隷の方達がいればわざわざ依頼も出さなくても済むって言われたんですけど、気が進まなくて」
私はため息をつく。
「え? もし、戦闘奴隷来たら、ユイさん、この依頼出さないんすか? あ、ですか?」
「そうなるかな」
「「えーっ」」
マアデン君とハジェル君が同調して声をあげる。クリーム付いてるよ、ほら、元気とコハクが起きて、飛びかかる。
「「わーっ」」
ベロベロン。微笑ましい。
「でも、すぐに条件のあう人達は見つかりませんよ。条件高くしたし」
「へえ、どんな条件なんだ」
ファングさんも興味を引いたのか、聞いてくる。
「ランクはC以上、攻守揃ってて、女性がいて、うちのノワール乗りこなせる人がいるパーティーです」
「「「「え?」」」」
「ノワールって、ユイさんとこの魔法馬ですか?」
シュタインさんが疑うように聞いてくる。
「そうです。鞍を今作ってもらっているんですよ」
「あ、あれに乗るんですか?」
騎士団の人達と同じ顔をするシュタインさん。
「そうです。だから、そう簡単に見つからないかなって」
「まあ、それはそうですね」
「なので、次回もお願いしますね」
私が言うと、皆さん頷いてくれた。良かった、晃太の支援魔法スキルアップ、思ったより早くランクアップするかも。
スライム部屋を終えて、パタンキューした元気とコハクをバギーに乗せる。元気はガリストさん、コハクはロッシュさんが抱えて上げてくれた。
ギルドに行き、リーダーさん達が買い取り窓口に。私達は依頼窓口に行こうとすると、リティアさんが出てきた。
「ミズサワ様、条件に合いそうなパーティーが見つかりました」
「えぇ?」
こんなに早く? え、どうしよう。
えーっと、気が進まない。そうだ、お断りしてもいいって言われたし、そうしよう。まだ、私の精神が受け入れ出来てないから。ちゃ、と帰ろう。
私は山風と金の虎の皆さんに振り返り、小さく断って来ますと告げて、いつもの応接室に。
早速リティアさんが書類をテーブルに出す。
「首都のコーリナ奴隷商会です。パーティーランクはC、攻守共に揃い、女性もいます。ただ、騎乗能力の高いリーダーと見習いの子が1人ひどい負傷していますが、それさえどうにかなれば…………………」
「彼らにします」
私は書類を一目見て決断。
晃太は書類から目を離せない様子だ。
「ミズサワ様?」
「彼らを購入します。今からマーファを出ますので、その商会に連絡をお願いします」
私は立ち上がる。
「ビアンカ、ルージュ、今から移動よか?」
『大丈夫なのです』
『構わないけど、ユイ焦っているわよ』
「後で説明するけん。晃太、行くよ。あ、この書類頂いても?」
「はい、構いません。ミズサワ様、奴隷購入には紹介状が必要です。すぐにご準備致しますので」
紹介状はマーファの門まで持ってきてくれると。
一旦パーティーハウスに戻って、両親に説明しないと。
「ありがとうございますリティアさん。あ、すみません、もう一つお願いが」
「はい、なんでございましょう?」
「私達が到着するまでに、彼らにできるだけの治療を、そして食事と環境を。すべて私が払いますので」
「承知しました」
私と晃太は、応接室を出る。そして、ロビーで査定を待っていた山風と金の虎の皆さんと合流。
「すみません皆さん、次回の依頼はなかったことにしてください」
切羽詰まった感じの私に、ロッシュさんとファングさんが顔を見合わせる。
「ユイさん?」
「テイマーさん、どうした?」
「ちょっと今から首都に行かなくてはならなくて」
私が答えると、再びロッシュさんとファングさんが顔を見合わせる。
「俺達は構いませんが」
「今から首都に? 暗くなるぞ」
「ビアンカとルージュがいますから」
私達は挨拶もそこそこにギルドを出て、パーティーハウスに。
「クゥンクゥンクゥーン」
花が熱烈歓迎してくれるが、それどころではないが、もふもふ。母が出てきたが、
「お帰り、どうしたね?」
やはり顔に出ていたようだ。
「今から首都に行って、奴隷買ってくる」
「はぁ? なんばいいようとあんた」
母の眉間に皺が寄る。後ろにいた父までも似たような顔だ。
「奴隷は買わんって言いよったやん」
「これ見て」
私がリィテアさんからもらった書類を差し出す。
険しい顔で書類を見る両親の顔が、みるみるうちに変わっていく。
パーティー名 鷹の目
パーティーランク C
リーダー ホーク 剣士 人族 男 31歳 ランクC 剣術 弓術 短剣術 体術 無属性魔法
特記事項 上位騎乗能力 重症両腕損傷 顔面損傷 その他損傷多数
サブリーダー チュアン ヒーラー 人族 男 31歳 ランクC 回復魔法 体術 槍術 斧術 無属性魔法
特記事項 軽傷 カルーラ修道院出身
メンバー マデリーン 魔法使い 人族 女 37歳 ランクC 火魔法 水魔法 無属性魔法 体術 短剣術 棍術
特記事項 軽傷 アイテムボックス保有
メンバー ミゲル 剣士 人族 男 20歳 ランクE 剣術 短剣術 体術
特記事項 左目失明 左腕・左肩骨折
メンバー テオ 見習い 人族 男 16歳 ランクH 短剣術 体術
特記事項 軽傷 アイテムボックス保有
メンバー エマ 見習い 人族 女 16歳 ランクH 短剣術 体術
特記事項 重症右腕損傷 顔面損傷 その他損傷多数
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「私が愛しているのはエルナ。君だけだ」
エルナは自分の夫でありハーメルン王国の国王であるカメルを愛していた。
彼がどれほど自分より隣国の聖女を優先しようとも。
結婚して二年が経っても初夜を迎えたことがなかろうとも。
しかし。
「エルナ。君に失望した。聖女を陥れていじめるとはな。罪を認め、ひざまずいて謝罪するように」
一年に一度の建国記念宴会であり結婚記念日に、カメルはすべての貴族や外国の使節団が見ている前で、エルナに身に覚えのない罪を認めろと断罪した。
愛が壊れるのは一瞬。
だからこそ、エルナはその場でひざまずいた。頭を地面にこすりつけて謝罪した。
「聖女を陰謀にかけた大罪人エルナは、この時間をもって王妃の座から退き、平民となりますことをお許しください。聖女様とどうかお幸せに」
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婚約破棄を受け入れた瞬間、王太子殿下が青ざめました
王都でもっとも華やかな春の夜会。その中央で、王太子エドワードは冷ややかな目を婚約者へ向けていた。
「リリアーナ・フォン・アルベルト公爵令嬢。君との婚約を、ここで破棄する」
会場が一瞬で静まり返る。
リリアーナは淡い金髪を揺らし、静かに王太子を見つめ返した。
「理由を、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「理由など明白だ。君は嫉妬深く、心が狭い。それに比べ、私は真実の愛を見つけた」
そう言ってエドワードが隣へ引き寄せたのは、男爵令嬢のセシリアだった。