文字の大きさ
大
中
小
208 / 878
連載
首都へ④
流石首都、道は広いし建物も3階建以上のものが並ぶ。
人の通りも多く、やはり、ちらほら見られるが、これは仕方ない事だ。だけど、赤騎士団の皆さんがガッチリガードしてくれているので、騒ぎにならず。
馬車道をゆっくり進む。人が多すぎて、ノワールの手綱を牽く。一番人が多い時間帯は、手綱を牽いて歩かなくてはならないそうだ。
「きゃあ、オスヴァルト様よ」
「赤騎士団の准将が、こんな町中で何やってんだ?」
「かっけえなあ」
「あんな大きな従魔いたっけ?」
「あれだろ? マーファのドラゴン一撃したやつだろ?」
「すげえなあ」
「主人って誰だ?」
「オスヴァルト様ーッ」
「あの黒髪の女だよ」
「へぇ、あれがねぇ」
仕方ない。
城門から真っ直ぐ進み、大きな広場を抜ける。
道すがらたくさんの屋台が並ぶ。野菜やパン、食べ物、そして魚が売っている。
「結構新鮮な魚がありますね」
私がぽつり。
「ええ、港が近いですから。ミズサワ殿、クレイ港はご覧になりましたか?」
「いえ、首都自体初めてで」
「そうですか」
オスヴァルトさんが説明してくれる。
首都自体は瓢箪みたいな形をしていて、こちらは瓢箪の下の部分にあたり、上部分はクレイ港と言う港町。首都とクレイ港は1時間程の距離で、気軽に人々が行き交っている。首都の周りでも農耕されているが、クレイ港付近が農耕地が広がり、首都の食物の半分以上はそちらで作られていると。
「クレイとは、ユリアレーナとの友好条約を築いた時の皇帝の名前なんです。アルティーナ帝国との貿易もこの港で行われています」
「へぇー」
「あまり。いいイメージがないようですね」
「すみません。そのガーガリア妃の話を聞いたもので」
本当にいいイメージがない。まったくない。まあ、帝国の人がすべてガーガリア妃みたいじゃないとは思うけどね。
オスヴァルトさんが肩をすくめる。
「確かにそうおもわれても仕方ありませんね。しかし、帝国も悪い国ではないですよ。人々は逞しく、そして旅人には優しい国です。私も3年程滞在しましたから。よく分かっているつもりです」
「そうなんですか」
やっぱり、地元の人々は違うんやね。
しばらく歩き、ギルドに到着する。
おお、流石首都のギルド、横も縦も広い。ビアンカとルージュが入っても問題ない感じだ。ギルドから出てきた冒険者の皆さんが、ぎょっとしているけど、赤騎士団の皆さんがガードしてくれた。
さて、手綱を、と。
若い赤騎士団の人が預かってくれた。
オスヴァルトさんだけが付き添ってくれて、私達はギルドに入る。元気は先ほど起きたので、リードを繋いだ。
ギルド内に入ると、ざあ、と道が開く、これが嫌なんだけどね。
どうもとぺこりぺこりしながら、窓口へ。
「ようこそミズサワ様。マーファより連絡を受けております」
窓口に座っていた男性が対応してくれる。
「冒険者ギルドカードの提示をお願いします」
「はい」
私と晃太が冒険者ギルドカードを提示、確認してくれる。
「はい。ありがとうございます。今回の滞在目的は?」
来るのは連絡は受けていたが、内容は伏されたんだね。個人情報だし。
「あー、奴隷のー」
いい淀むが、男性は直ぐに察知してくれる。
「紹介状はお持ちで?」
「はい」
「では、商人ギルドの相談窓口にお願いします」
「ありがとうございます」
ぞろぞろと移動する。
こちらも、道を開けてくれる。本当にこれ嫌なんだけど。
「ミズサワ様こちらにどうぞ」
どの相談窓口にしようか悩んだが、一番奥の窓口から声をかけられる。カウンターには中年男性。
「すみません、奴隷購入についてなんですが」
私はタージェルさんから預かった手紙を出す。
「拝見します。はい、承知しました」
はや。
「直ぐにコーリナ商会と繋ぎます。どちらにご滞在予定ですか?」
「いえ、まだ、宿は…………」
「北区、第3ゲストハウスだ」
オスヴァルトさんが何故か答えてる。
「あの」
「ご意見番のご指示です」
「ご挨拶もしてないのに」
「どうかご理解ください。無用なトラブルを避ける為です」
やはり、いくら国から注意が行っても、それはこの国のみ。首都には様々な国からの駐在員やら貴族がいる。しかももうすぐグーテオークションが近いため、更に国外の権力者が集まっている。もちろんユリアレーナも、私達に手を出さないでね、て注意はしてはくれているが。
「中には、貴族だから何をしても許されて当然というバカ、失礼、その様な考えのものもおります。ゲストハウスは我々騎士団が警備に回り、北区自体には許可のないものは入れません」
毒がちらっと出たけど、説明を続けるオスヴァルトさん。
「中には、有りもしないケガをでっち上げたり、お金の要求をします。北区は出入りを管理されていますから、防げます。拐かしを企むものがいるでしょう。特に雌個体は狙われます」
なんやと? うちのかわいか三人娘を拐かすとな。由々しき事態や。
「では、お言葉に甘えます。よろしくお願いします」
ご厚意だし、安全だ。
だけど、よくよく考えたら、気配感知の高いビアンカとルージュが、そんな連中見逃すわけないよね。まあ、無用なトラブルは避けないと。ここまで手配してくれるのは、そのトラブルを恐れての事だ。
手配してくれたサエキ様に、お礼言いたいけど、無理だよね。
「北区第3ゲストハウスですね。承知しました」
コーリナ商会に連絡着いたら、使いを出してくれると。
早ければ明日だけど、出来れば明日がいい。
「では、ミズサワ殿。ゲストハウスにご案内します」
「ありがとうございます」
ギルドをぞろぞろ出て、ぞろぞろ歩いて移動かと思ったら、ノワールの馬車移動となる。ここからだと、北区にむかう道は人が一気に少なくなる。元々制限ある区域だから、行く人も少ない。
別の赤騎士団の人が連れてきた、オスヴァルトさんも立派な馬に乗り、並走する。うーん、かっこいい。
このオスヴァルトさん、どうやら人気者。女性がキャーキャー言ってるもん。
ノワールが闊歩。もちろんゆっくりね。元気とコハクのリードは、ビアンカとルージュが咥えて並走。三人娘は馬車の中だ。うちの三人娘はかわいかけん、へんなのに目をつけられたら嫌やからね。
しばらくして、また壁が。
所謂、上流階級の邸宅やそのゲストハウスがあるので、警備上壁があるそうだ。
身分証の提示をして、門をくぐる。
おお、すごく落ち着いた雰囲気になる。今まで、活気溢れていたけど、なんともハイソな感じ。あれだ、高級別荘地みたいな。行ったことないけど。
元々の警備の人が案内してくれて、ゲストハウスへ。
……………………………
え? これ? ご、豪邸なんですけど。マーファのパーティーハウスの軽く3倍はあるんですけど。庭も広いし。早速元気とコハクが走り回る。
広かなあ、あ、きっとシェアハウスなんやね。
「そんなわけないやろ」
私の呟きに、晃太が突っ込み。
「オスヴァルトさん。私達には、広すぎるんですが………」
「今、ここしか空きがないんですよ。召し使いはどうしましょうか? シェフを含めて城から数人派遣を。朝食は?」
「いえ、大丈夫です。申し訳ないです。食事はこちらでしますので」
私はお断りする。
ただ、ノワールの厩舎だけ、お掃除をお願いした。長居するつもりもないしね。
「もし、買い物等にいきたい場合、警備のものが護衛します。私はこれで失礼しますが、何かあれば呼び出してもらっても構いません」
「十分です。ありがとうございます。サエキ様にもよろしくお伝えください」
「承知しました」
オスヴァルトさん、赤騎士団の皆さんを見送り、早速ゲストハウスに入る。厩舎にノワールを誘導し、馬車は晃太のアイテムボックスへ。
うーん、ハイクラスなお宿みたいな感じだけど。居間は広々として、ソファーもゆっくり足を伸ばせる。台所もコンロが4つもあるし、魔道具も揃い、食器棚の中にはある程度食器がならぶ。白磁で、みんな上品。お風呂は始めてみた、猫足や。すごーい。ダイニングも8人掛けのテーブルがあるけど、狭くないし。1階には、台所の奥に部屋が3つ。何故か二段ベッド、ハイクラスな宿に合わないけど。
2階も部屋が合計7つもある。主寝室はまあ広いこと。まるで王様が寝るような部屋や。
「あんた、ここ寝る?」
「わい? よか、逆に寝れん」
小さめの部屋を選択する。
庭で走り回る仔達を見ながら、ソファーに腰かける。
「さて、後はギルドからの連絡待ちやね」
「そうやな」
リーダーさん、エマちゃん、ミゲル君の傷の具合はどうだろう? チュアンさんやマデリーンさん、テオ君は軽症だとあったけど、どれくらいの軽症なんだろう? 治療をお願いしたけど、効いているだろうか?
夕方になり、ルームを開けて皆で入る。サブ・ドアから両親と花を誘導する。
「クゥンクゥンクゥーン」
ぽちゃぽちゃボディのかわいかこと。
両親に今日あったことを説明。
「そうね、連絡待ちね」
「皆さん、ケガどうなっとやろうね」
父が難しい顔をし、母は心配そうだ。
やきもきするが、連絡を待つしかない。
ブラッシングや夕御飯の準備をしていると、ビアンカとルージュが来客を告げる。
慌ててルームから出る。
ゲストハウスの前に警備の人と、ギルドで対応してくれた中年男性。呼び鈴もしないで私が出てきたのに驚いているが、気を取り直してくれる。
「ミズサワ様、コーリナ商会と連絡が着きました。明日の午後2時。宜しいでしょうか?」
良かったッ、明日やッ。
「はい、大丈夫です」
私は表面上落ち着いた感じを装い返事をする。
「では、30分前にギルドにいらっしゃってください」
「はい」
いよいよや。
待ってて、皆さん。
人の通りも多く、やはり、ちらほら見られるが、これは仕方ない事だ。だけど、赤騎士団の皆さんがガッチリガードしてくれているので、騒ぎにならず。
馬車道をゆっくり進む。人が多すぎて、ノワールの手綱を牽く。一番人が多い時間帯は、手綱を牽いて歩かなくてはならないそうだ。
「きゃあ、オスヴァルト様よ」
「赤騎士団の准将が、こんな町中で何やってんだ?」
「かっけえなあ」
「あんな大きな従魔いたっけ?」
「あれだろ? マーファのドラゴン一撃したやつだろ?」
「すげえなあ」
「主人って誰だ?」
「オスヴァルト様ーッ」
「あの黒髪の女だよ」
「へぇ、あれがねぇ」
仕方ない。
城門から真っ直ぐ進み、大きな広場を抜ける。
道すがらたくさんの屋台が並ぶ。野菜やパン、食べ物、そして魚が売っている。
「結構新鮮な魚がありますね」
私がぽつり。
「ええ、港が近いですから。ミズサワ殿、クレイ港はご覧になりましたか?」
「いえ、首都自体初めてで」
「そうですか」
オスヴァルトさんが説明してくれる。
首都自体は瓢箪みたいな形をしていて、こちらは瓢箪の下の部分にあたり、上部分はクレイ港と言う港町。首都とクレイ港は1時間程の距離で、気軽に人々が行き交っている。首都の周りでも農耕されているが、クレイ港付近が農耕地が広がり、首都の食物の半分以上はそちらで作られていると。
「クレイとは、ユリアレーナとの友好条約を築いた時の皇帝の名前なんです。アルティーナ帝国との貿易もこの港で行われています」
「へぇー」
「あまり。いいイメージがないようですね」
「すみません。そのガーガリア妃の話を聞いたもので」
本当にいいイメージがない。まったくない。まあ、帝国の人がすべてガーガリア妃みたいじゃないとは思うけどね。
オスヴァルトさんが肩をすくめる。
「確かにそうおもわれても仕方ありませんね。しかし、帝国も悪い国ではないですよ。人々は逞しく、そして旅人には優しい国です。私も3年程滞在しましたから。よく分かっているつもりです」
「そうなんですか」
やっぱり、地元の人々は違うんやね。
しばらく歩き、ギルドに到着する。
おお、流石首都のギルド、横も縦も広い。ビアンカとルージュが入っても問題ない感じだ。ギルドから出てきた冒険者の皆さんが、ぎょっとしているけど、赤騎士団の皆さんがガードしてくれた。
さて、手綱を、と。
若い赤騎士団の人が預かってくれた。
オスヴァルトさんだけが付き添ってくれて、私達はギルドに入る。元気は先ほど起きたので、リードを繋いだ。
ギルド内に入ると、ざあ、と道が開く、これが嫌なんだけどね。
どうもとぺこりぺこりしながら、窓口へ。
「ようこそミズサワ様。マーファより連絡を受けております」
窓口に座っていた男性が対応してくれる。
「冒険者ギルドカードの提示をお願いします」
「はい」
私と晃太が冒険者ギルドカードを提示、確認してくれる。
「はい。ありがとうございます。今回の滞在目的は?」
来るのは連絡は受けていたが、内容は伏されたんだね。個人情報だし。
「あー、奴隷のー」
いい淀むが、男性は直ぐに察知してくれる。
「紹介状はお持ちで?」
「はい」
「では、商人ギルドの相談窓口にお願いします」
「ありがとうございます」
ぞろぞろと移動する。
こちらも、道を開けてくれる。本当にこれ嫌なんだけど。
「ミズサワ様こちらにどうぞ」
どの相談窓口にしようか悩んだが、一番奥の窓口から声をかけられる。カウンターには中年男性。
「すみません、奴隷購入についてなんですが」
私はタージェルさんから預かった手紙を出す。
「拝見します。はい、承知しました」
はや。
「直ぐにコーリナ商会と繋ぎます。どちらにご滞在予定ですか?」
「いえ、まだ、宿は…………」
「北区、第3ゲストハウスだ」
オスヴァルトさんが何故か答えてる。
「あの」
「ご意見番のご指示です」
「ご挨拶もしてないのに」
「どうかご理解ください。無用なトラブルを避ける為です」
やはり、いくら国から注意が行っても、それはこの国のみ。首都には様々な国からの駐在員やら貴族がいる。しかももうすぐグーテオークションが近いため、更に国外の権力者が集まっている。もちろんユリアレーナも、私達に手を出さないでね、て注意はしてはくれているが。
「中には、貴族だから何をしても許されて当然というバカ、失礼、その様な考えのものもおります。ゲストハウスは我々騎士団が警備に回り、北区自体には許可のないものは入れません」
毒がちらっと出たけど、説明を続けるオスヴァルトさん。
「中には、有りもしないケガをでっち上げたり、お金の要求をします。北区は出入りを管理されていますから、防げます。拐かしを企むものがいるでしょう。特に雌個体は狙われます」
なんやと? うちのかわいか三人娘を拐かすとな。由々しき事態や。
「では、お言葉に甘えます。よろしくお願いします」
ご厚意だし、安全だ。
だけど、よくよく考えたら、気配感知の高いビアンカとルージュが、そんな連中見逃すわけないよね。まあ、無用なトラブルは避けないと。ここまで手配してくれるのは、そのトラブルを恐れての事だ。
手配してくれたサエキ様に、お礼言いたいけど、無理だよね。
「北区第3ゲストハウスですね。承知しました」
コーリナ商会に連絡着いたら、使いを出してくれると。
早ければ明日だけど、出来れば明日がいい。
「では、ミズサワ殿。ゲストハウスにご案内します」
「ありがとうございます」
ギルドをぞろぞろ出て、ぞろぞろ歩いて移動かと思ったら、ノワールの馬車移動となる。ここからだと、北区にむかう道は人が一気に少なくなる。元々制限ある区域だから、行く人も少ない。
別の赤騎士団の人が連れてきた、オスヴァルトさんも立派な馬に乗り、並走する。うーん、かっこいい。
このオスヴァルトさん、どうやら人気者。女性がキャーキャー言ってるもん。
ノワールが闊歩。もちろんゆっくりね。元気とコハクのリードは、ビアンカとルージュが咥えて並走。三人娘は馬車の中だ。うちの三人娘はかわいかけん、へんなのに目をつけられたら嫌やからね。
しばらくして、また壁が。
所謂、上流階級の邸宅やそのゲストハウスがあるので、警備上壁があるそうだ。
身分証の提示をして、門をくぐる。
おお、すごく落ち着いた雰囲気になる。今まで、活気溢れていたけど、なんともハイソな感じ。あれだ、高級別荘地みたいな。行ったことないけど。
元々の警備の人が案内してくれて、ゲストハウスへ。
……………………………
え? これ? ご、豪邸なんですけど。マーファのパーティーハウスの軽く3倍はあるんですけど。庭も広いし。早速元気とコハクが走り回る。
広かなあ、あ、きっとシェアハウスなんやね。
「そんなわけないやろ」
私の呟きに、晃太が突っ込み。
「オスヴァルトさん。私達には、広すぎるんですが………」
「今、ここしか空きがないんですよ。召し使いはどうしましょうか? シェフを含めて城から数人派遣を。朝食は?」
「いえ、大丈夫です。申し訳ないです。食事はこちらでしますので」
私はお断りする。
ただ、ノワールの厩舎だけ、お掃除をお願いした。長居するつもりもないしね。
「もし、買い物等にいきたい場合、警備のものが護衛します。私はこれで失礼しますが、何かあれば呼び出してもらっても構いません」
「十分です。ありがとうございます。サエキ様にもよろしくお伝えください」
「承知しました」
オスヴァルトさん、赤騎士団の皆さんを見送り、早速ゲストハウスに入る。厩舎にノワールを誘導し、馬車は晃太のアイテムボックスへ。
うーん、ハイクラスなお宿みたいな感じだけど。居間は広々として、ソファーもゆっくり足を伸ばせる。台所もコンロが4つもあるし、魔道具も揃い、食器棚の中にはある程度食器がならぶ。白磁で、みんな上品。お風呂は始めてみた、猫足や。すごーい。ダイニングも8人掛けのテーブルがあるけど、狭くないし。1階には、台所の奥に部屋が3つ。何故か二段ベッド、ハイクラスな宿に合わないけど。
2階も部屋が合計7つもある。主寝室はまあ広いこと。まるで王様が寝るような部屋や。
「あんた、ここ寝る?」
「わい? よか、逆に寝れん」
小さめの部屋を選択する。
庭で走り回る仔達を見ながら、ソファーに腰かける。
「さて、後はギルドからの連絡待ちやね」
「そうやな」
リーダーさん、エマちゃん、ミゲル君の傷の具合はどうだろう? チュアンさんやマデリーンさん、テオ君は軽症だとあったけど、どれくらいの軽症なんだろう? 治療をお願いしたけど、効いているだろうか?
夕方になり、ルームを開けて皆で入る。サブ・ドアから両親と花を誘導する。
「クゥンクゥンクゥーン」
ぽちゃぽちゃボディのかわいかこと。
両親に今日あったことを説明。
「そうね、連絡待ちね」
「皆さん、ケガどうなっとやろうね」
父が難しい顔をし、母は心配そうだ。
やきもきするが、連絡を待つしかない。
ブラッシングや夕御飯の準備をしていると、ビアンカとルージュが来客を告げる。
慌ててルームから出る。
ゲストハウスの前に警備の人と、ギルドで対応してくれた中年男性。呼び鈴もしないで私が出てきたのに驚いているが、気を取り直してくれる。
「ミズサワ様、コーリナ商会と連絡が着きました。明日の午後2時。宜しいでしょうか?」
良かったッ、明日やッ。
「はい、大丈夫です」
私は表面上落ち着いた感じを装い返事をする。
「では、30分前にギルドにいらっしゃってください」
「はい」
いよいよや。
待ってて、皆さん。
感想 867
あなたにおすすめの小説
「今日限りで君を解雇する」――20年仕えた地味なメイドですが、料理も手紙も暗殺者対策も私がやっていました
「エナメル。今日限りで君を解雇する」
20年仕えた屋敷をクビになった、地味なエルフのメイド・エナメル。
だが、晩餐会の料理も、侯爵への手紙も、調度品の手配も、屋敷を狙う暗殺者の処理も――すべて彼女が陰で支えていたものだった。
エナメルが去ったあと、屋敷は少しずつ綻び始める。
一方の本人は、そんなことも知らず。
「さて。次はどこで雇っていただきましょう」
地味で目立たないベテランメイド・エナメルの、新しい奉公先探しが始まる。
※本作は『メイドのエナメルは今日も静かにお仕えします』シリーズの第1作です。本作単体でもお楽しみいただけます。
異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった
高校の英語の授業中、勇者召喚で僕たちクラスメイト7名は異世界にやって来た。
目的は魔王討伐では無くて、高難易度ダンジョンの封印?!
でも僕ユイトのスキルは「貯金箱」、エイジは「犬」。
役立たず認定で、二人とも城を追放されてしまった。
のんびり暮らそうとしたけどそうもいかなくなって。
僕たちは奇妙なスキルを駆使して異世界で生き延びる。
緩~いファンタージ物語です。のんびりと書いていきます。
本文はなるべく簡潔に、サクサク進むようにしています。
暇つぶしに読んでいただいて、楽しんでくださると嬉しいです。
なろう様にも投稿。
捨てられた幼女ですが、公爵家に拾われたら家族みんなの愛が重すぎました
幼い頃に母親に捨てられ、孤児院で暮らしていた少女リリア。
「役に立たなければ、また捨てられる」
そう思い、いつも“いい子”でいようとしていた彼女は、ある日、公爵家の馬車を助けたことをきっかけに屋敷へ招かれる。
そこで待っていたのは、娘に甘すぎる公爵夫妻に、妹を構いたがるレオン、そしてリリアを甘やかしたい使用人たち。
戸惑いながらも、少しずつ公爵家に居場所を見つけていくリリア。やがて夫妻から「私たちの娘になってほしい」と告げられて――。
これは、捨てられないために“いい子”でいようとしていた少女が、重すぎるほどの愛情に包まれ、本当の家族を見つけていく物語。
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました
夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。
彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。
けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。
セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。
夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
番の証が出ないと捨てられたので、神様に確かめてもらいます
「番の証が出ぬからだ」
和平のために獣人国へ嫁いで四年。獣王ガイウス様との儀式は三度、三度とも証は出ませんでした。「人間の娘では神は認めぬ」——そう言われて、離宮へ。
雨漏りの下で眠り、井戸をさらい、畑を耕して。泣かなかったのは強いからではありません。獣人には、匂いでわかってしまうから。
嫁ぐ前に三年かけて読み込んだ婚姻法典。その第四章に、こうありました。
『既に誓いを結びたる者が、重ねて他者と誓いを立てんとする時、神は後の誓いを認めず』
——証が出なかったのは、わたしが人間だからではない。
長老会に申し立てたのは、解釈の確認だけ。わたしは悪くない、とは一言も書きませんでした。
遡誓の儀で神殿に浮かんだのは、六年前の秋の「成立」と、わたしの三度の「不成立(重複)」でした。
飛べないと捨てられたので、竜ごと出て行きます
「お前は竜に乗れもしない、ただの妻だろう」
竜騎士団長の夫はそう言って、飛べる従騎士の娘を選びましたわ。
ええ、わたくしは飛べません。十二年、地上におりました。
夜明け前に三十一頭の寝息を数え、歯を磨き、爪の砂を取り、冬に毛布を掛け、契約を編んで。——この国でただひとりの「調律者」として。
竜は、人を乗せない生き物ですのよ。竜自身が「乗せてもいい」と決めない限り。そして竜が誰の言葉で頷いてきたか、あの方は十二年、一度もお考えにならなかった。
離縁されて、わたくしは竜舎を出ました。
三日後から、竜は一頭も飛ばなくなりましたの。
怒っているのではありませんのよ。竜は報復をしませんもの。ただ——寂しいのです。
そして来月は、三年に一度の、契約更新日ですわ。
土下座する王妃の座などいらないので、冒険者に転職します。
「私が愛しているのはエルナ。君だけだ」
エルナは自分の夫でありハーメルン王国の国王であるカメルを愛していた。
彼がどれほど自分より隣国の聖女を優先しようとも。
結婚して二年が経っても初夜を迎えたことがなかろうとも。
しかし。
「エルナ。君に失望した。聖女を陥れていじめるとはな。罪を認め、ひざまずいて謝罪するように」
一年に一度の建国記念宴会であり結婚記念日に、カメルはすべての貴族や外国の使節団が見ている前で、エルナに身に覚えのない罪を認めろと断罪した。
愛が壊れるのは一瞬。
だからこそ、エルナはその場でひざまずいた。頭を地面にこすりつけて謝罪した。
「聖女を陰謀にかけた大罪人エルナは、この時間をもって王妃の座から退き、平民となりますことをお許しください。聖女様とどうかお幸せに」
*ゆるい設定です。不快に思われる方はブラウザバックをお願いします。
婚約破棄を受け入れた瞬間、王太子殿下が青ざめました
王都でもっとも華やかな春の夜会。その中央で、王太子エドワードは冷ややかな目を婚約者へ向けていた。
「リリアーナ・フォン・アルベルト公爵令嬢。君との婚約を、ここで破棄する」
会場が一瞬で静まり返る。
リリアーナは淡い金髪を揺らし、静かに王太子を見つめ返した。
「理由を、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「理由など明白だ。君は嫉妬深く、心が狭い。それに比べ、私は真実の愛を見つけた」
そう言ってエドワードが隣へ引き寄せたのは、男爵令嬢のセシリアだった。