文字の大きさ
大
中
小
245 / 877
連載
覚醒①
私はルームの中から、はらはらしながら皆を見送る。
「晃太、しっかり支援ばしてよ」
「ん」
大丈夫かね?
ルームはちょうど巣を見下ろす位置だ。
まず、ビアンカが土魔法炸裂。一部を除き、巣を囲むように土壁が盛り上がる。
次にノワールが光のリンゴを従えて突入。
………………緑がなす術なく弾き飛ばされ、粉砕されていく。ルージュも光の貴婦人(リュミライトレディ)で続く。一息つき、ビアンカが風乙女(シルフィリア)で続く。
うん、鷹の目の皆さん、呆気にとられている。だが、すぐに引き締まった顔になり、巣に降りていく。
だ、大丈夫かな?
そうだ、こんな時の『神への祈り』。あ、いかん、中毒症だった。あー、ちょっとくらいいいかな? うん、ちょっとくらい。半分回復したしね。
「よせ」
ひっ。
後ろから声をかけられて、思わずすくむ。
振り返ると、黒髪超絶イッケメンの時空神様。お、お久し振りです、相変わらず、イッケメンや。
「まったく、あれだけ中毒症で苦しい経験して、懲りてないな」
まるでいたずらをして懲りてない生徒に呆れている先生だ。
「す、すみません」
「お前の事だ、全員の身を守ってとか祈るつもりだったんだろう?」
ば、ばれてる。
「言っとくが今のお前の状況でそんなことしたら、中毒症の始めに戻るからな」
「そ、それは」
ご勘弁願いたい。
「黙ってみてろ」
「はい」
私は大人しく窓に張り付く。
ビアンカとルージュとノワールは、巣の奥方面で凄まじい土煙を上げながら走り回ってる。あ、あれ、ゴブリンジェネラルじゃない? ノワールが蹴り倒している。あはははん、一撃ー。
で、晃太と鷹の目の皆さんと仔達は、逃げ惑うGを次々に倒していく。晃太はフライパンを持っているが、支援に徹している。ホークさんが剣を、チュアンさんが斧を振るうと、スッパスッパと斬れている。マデリーンさんは魔法を繰り出し、ミゲル君とテオ君、エマちゃんは晃太の近くで展開している。
で、仔達は。
「わんわんっ」
元気は雷を連発して、Gを吹き飛ばしている。相変わらずやなあ。
ルリは水の矢、クリスは火の矢を放つ。あははん、いつの間に覚えたんやろう。たけど、いまいち命中率が悪い。だけど十分足止め出来ている。
コハクはまさに縦横無尽に駆け抜けている。ベビージャガーパンチの威力が凄まじい、Gの首がぼっきりおれている。あはははん、ゴロゴロにゃんにゃんしていたコハクがー。
ヒスイは晃太の側だ。ほっ。
順調みたいだし、奥方面は壊滅状態だし、大丈夫かな?
ん? あれ? Gの動きがおかしいような。
バラバラに動いていたのが、何匹が固まって動き始めたようだけど。気のせいかな? 何だか、統率が取られているような。
「気が付いたか」
「え?」
「ゴブリンでも最も珍しいのがいるぞ」
「え?」
時空神様が示した先には、毛色が違うGが。Gは濁った緑色だが、それは更に黒っぽい。なんやあれ? Gの親玉でも肌色が一緒なのに。
「あれは?」
「シャーマンだ。ゴブリンシャーマン。魔法を使う個体で、同族は支配下に置き指揮する」
「えぇ?」
「気付いたようだ」
振り返ると、ホークさんが弓を持ち走っている。チュアンさんとマデリーンさんが援護に回る。ホークさんが黒っぽいGに目掛けて矢を放つが、別のGが射線上に飛び出していく。その飛び出したGに阻まれて、矢は黒っぽいGに届かない。嘘やろ。それにどこからか、Gが湧いてきている。なんで、あれだけ倒していたのに。
「クイーンがいるな。従魔達が探している」
奥方面のビアンカとルージュが左右を見ている。ノワールは爆走したまま。
「クイーンはな、同族召喚のスキルを持っている」
「えぇ?」
「まあ、魔力が尽きたら召喚できんがな」
そうなの? でも、ぽこぽこGが出てきているけど。まだ、光のリンゴは残っているが、数は半分になっている。
だ、大丈夫かな?
あ、コハクが複数のGの前に、身を低くし、うなり声を上げる。にゃんにゃん言ってたコハクがっ。いや、仔達の中でも一番大人の中に近い顔だし、猛獣系だからうなり声くらい上げるだろいけど。いや、にゃんにゃんコハクが。うだうだ考えていると、コハクが咆哮を上げる。まるでルージュのように。
「あっ」
コハクの体が、離れた場所からも分かるほど手足が茶色に染まり、白い毛並みに茶色のラインが入る。
あれは、戦闘モードやっ。
今まで、一瞬しか浮かび上がらなかった茶色のラインが、はっきり浮かび上がっている。
コハクが黒っぽいGに向かって吼える。
それに同期するように、地面から錐のような突起物が飛び出していく。黒っぽいGを狙ったのだろうが、前に立ちはだかるG達が餌食になっていく。
なんか、あの黒っぽいGに腹が立ってきた。同族を盾にして、腹が立つ。魔物の倫理観と人の倫理観は違うのだろうが、腹が立つ。
コハクはクラウチングスタートの体勢になり、一気に駆け抜ける。光のリンゴが1つ、コハクの後ろに続き、飛びかかろうとするGを撃ち抜いていく。
あの、小さかったコハクが。柴犬サイズだったコハクが、ルージュを彷彿とさせる動きで走り抜ける。襲い掛かるGを撃ち抜いていた光のリンゴがとうとう消える。
不味い。そう思った時、次々にホークさんの矢が、コハクに向かって来るGを撃ち抜いている。そして元気が吠えて、雷を連発。どうやら晃太が元気に指示を出しているようだ。その晃太に向かってくるGをミゲル君が剣で切り裂いていく。エマちゃんとテオ君も、止めをさせなかったGにナイフを振るう。
こちらの未成年は凄かっ。
日本人の感覚がまだ抜けていない私は、いまでも魔物とはいえ生き物と正面切って戦うのに、抵抗がある。それなのにエマちゃんもテオ君も躊躇いはない。冒険者だからとかじゃない。この世界ではGは殺処分対象だ。それは人的被害が大きいと、嫌でも覚えなくてはならない。成人の目安が15。つまり、それだけ早く大人として認定しなくてはならないのは、この世界情勢にあるはず。20歳まで、子供でいられる程、この世界は、甘くない。早く自立してもらわないと、親が養いきれないからだ。
コハクが黒っぽいGに向かって走り抜ける。黒っぽいGは手から火を放つが、コハクはそんな火をものともせずに真っ正直から突き破る。私は喉から、ひゅっ、と音がした。
コハクが黒っぽいGの首に噛みつく。そして激しく左右に地面に叩きつける。噛みつかれ、痙攣していた黒っぽいGがことり、と動かなくなる。
コハクが倒したんやっ。凄かっ、流石ルージュの息子やっ。
統率されていたGも、目が覚めたように、逃走を始める。
それを逃がすわけない、鷹の目の皆さんが手分けして倒していく。
なんとかなりそうやな、と思った瞬間、私の中で血が落ちる音が響く。
コハクがぐらぐらと足取りがおかしくなり、ぱたり、と倒れてしまった。あ、魔力が枯渇したんやっ。それを見たGが、武器を片手にコハクに近付こうとしている。
まずい、まずい、まずい、まずい、まずい。
鷹の目の皆さんと少し距離がある、間に合わない。コハクを守っていた光のリンゴはすでにない。
何よりそのコハクを守ろうと立ちはだかっているのは、晃太の近くにいたはずのヒスイだ。
全身の毛を逆立てて、フシャーッ、と唸っている。
「晃太、しっかり支援ばしてよ」
「ん」
大丈夫かね?
ルームはちょうど巣を見下ろす位置だ。
まず、ビアンカが土魔法炸裂。一部を除き、巣を囲むように土壁が盛り上がる。
次にノワールが光のリンゴを従えて突入。
………………緑がなす術なく弾き飛ばされ、粉砕されていく。ルージュも光の貴婦人(リュミライトレディ)で続く。一息つき、ビアンカが風乙女(シルフィリア)で続く。
うん、鷹の目の皆さん、呆気にとられている。だが、すぐに引き締まった顔になり、巣に降りていく。
だ、大丈夫かな?
そうだ、こんな時の『神への祈り』。あ、いかん、中毒症だった。あー、ちょっとくらいいいかな? うん、ちょっとくらい。半分回復したしね。
「よせ」
ひっ。
後ろから声をかけられて、思わずすくむ。
振り返ると、黒髪超絶イッケメンの時空神様。お、お久し振りです、相変わらず、イッケメンや。
「まったく、あれだけ中毒症で苦しい経験して、懲りてないな」
まるでいたずらをして懲りてない生徒に呆れている先生だ。
「す、すみません」
「お前の事だ、全員の身を守ってとか祈るつもりだったんだろう?」
ば、ばれてる。
「言っとくが今のお前の状況でそんなことしたら、中毒症の始めに戻るからな」
「そ、それは」
ご勘弁願いたい。
「黙ってみてろ」
「はい」
私は大人しく窓に張り付く。
ビアンカとルージュとノワールは、巣の奥方面で凄まじい土煙を上げながら走り回ってる。あ、あれ、ゴブリンジェネラルじゃない? ノワールが蹴り倒している。あはははん、一撃ー。
で、晃太と鷹の目の皆さんと仔達は、逃げ惑うGを次々に倒していく。晃太はフライパンを持っているが、支援に徹している。ホークさんが剣を、チュアンさんが斧を振るうと、スッパスッパと斬れている。マデリーンさんは魔法を繰り出し、ミゲル君とテオ君、エマちゃんは晃太の近くで展開している。
で、仔達は。
「わんわんっ」
元気は雷を連発して、Gを吹き飛ばしている。相変わらずやなあ。
ルリは水の矢、クリスは火の矢を放つ。あははん、いつの間に覚えたんやろう。たけど、いまいち命中率が悪い。だけど十分足止め出来ている。
コハクはまさに縦横無尽に駆け抜けている。ベビージャガーパンチの威力が凄まじい、Gの首がぼっきりおれている。あはははん、ゴロゴロにゃんにゃんしていたコハクがー。
ヒスイは晃太の側だ。ほっ。
順調みたいだし、奥方面は壊滅状態だし、大丈夫かな?
ん? あれ? Gの動きがおかしいような。
バラバラに動いていたのが、何匹が固まって動き始めたようだけど。気のせいかな? 何だか、統率が取られているような。
「気が付いたか」
「え?」
「ゴブリンでも最も珍しいのがいるぞ」
「え?」
時空神様が示した先には、毛色が違うGが。Gは濁った緑色だが、それは更に黒っぽい。なんやあれ? Gの親玉でも肌色が一緒なのに。
「あれは?」
「シャーマンだ。ゴブリンシャーマン。魔法を使う個体で、同族は支配下に置き指揮する」
「えぇ?」
「気付いたようだ」
振り返ると、ホークさんが弓を持ち走っている。チュアンさんとマデリーンさんが援護に回る。ホークさんが黒っぽいGに目掛けて矢を放つが、別のGが射線上に飛び出していく。その飛び出したGに阻まれて、矢は黒っぽいGに届かない。嘘やろ。それにどこからか、Gが湧いてきている。なんで、あれだけ倒していたのに。
「クイーンがいるな。従魔達が探している」
奥方面のビアンカとルージュが左右を見ている。ノワールは爆走したまま。
「クイーンはな、同族召喚のスキルを持っている」
「えぇ?」
「まあ、魔力が尽きたら召喚できんがな」
そうなの? でも、ぽこぽこGが出てきているけど。まだ、光のリンゴは残っているが、数は半分になっている。
だ、大丈夫かな?
あ、コハクが複数のGの前に、身を低くし、うなり声を上げる。にゃんにゃん言ってたコハクがっ。いや、仔達の中でも一番大人の中に近い顔だし、猛獣系だからうなり声くらい上げるだろいけど。いや、にゃんにゃんコハクが。うだうだ考えていると、コハクが咆哮を上げる。まるでルージュのように。
「あっ」
コハクの体が、離れた場所からも分かるほど手足が茶色に染まり、白い毛並みに茶色のラインが入る。
あれは、戦闘モードやっ。
今まで、一瞬しか浮かび上がらなかった茶色のラインが、はっきり浮かび上がっている。
コハクが黒っぽいGに向かって吼える。
それに同期するように、地面から錐のような突起物が飛び出していく。黒っぽいGを狙ったのだろうが、前に立ちはだかるG達が餌食になっていく。
なんか、あの黒っぽいGに腹が立ってきた。同族を盾にして、腹が立つ。魔物の倫理観と人の倫理観は違うのだろうが、腹が立つ。
コハクはクラウチングスタートの体勢になり、一気に駆け抜ける。光のリンゴが1つ、コハクの後ろに続き、飛びかかろうとするGを撃ち抜いていく。
あの、小さかったコハクが。柴犬サイズだったコハクが、ルージュを彷彿とさせる動きで走り抜ける。襲い掛かるGを撃ち抜いていた光のリンゴがとうとう消える。
不味い。そう思った時、次々にホークさんの矢が、コハクに向かって来るGを撃ち抜いている。そして元気が吠えて、雷を連発。どうやら晃太が元気に指示を出しているようだ。その晃太に向かってくるGをミゲル君が剣で切り裂いていく。エマちゃんとテオ君も、止めをさせなかったGにナイフを振るう。
こちらの未成年は凄かっ。
日本人の感覚がまだ抜けていない私は、いまでも魔物とはいえ生き物と正面切って戦うのに、抵抗がある。それなのにエマちゃんもテオ君も躊躇いはない。冒険者だからとかじゃない。この世界ではGは殺処分対象だ。それは人的被害が大きいと、嫌でも覚えなくてはならない。成人の目安が15。つまり、それだけ早く大人として認定しなくてはならないのは、この世界情勢にあるはず。20歳まで、子供でいられる程、この世界は、甘くない。早く自立してもらわないと、親が養いきれないからだ。
コハクが黒っぽいGに向かって走り抜ける。黒っぽいGは手から火を放つが、コハクはそんな火をものともせずに真っ正直から突き破る。私は喉から、ひゅっ、と音がした。
コハクが黒っぽいGの首に噛みつく。そして激しく左右に地面に叩きつける。噛みつかれ、痙攣していた黒っぽいGがことり、と動かなくなる。
コハクが倒したんやっ。凄かっ、流石ルージュの息子やっ。
統率されていたGも、目が覚めたように、逃走を始める。
それを逃がすわけない、鷹の目の皆さんが手分けして倒していく。
なんとかなりそうやな、と思った瞬間、私の中で血が落ちる音が響く。
コハクがぐらぐらと足取りがおかしくなり、ぱたり、と倒れてしまった。あ、魔力が枯渇したんやっ。それを見たGが、武器を片手にコハクに近付こうとしている。
まずい、まずい、まずい、まずい、まずい。
鷹の目の皆さんと少し距離がある、間に合わない。コハクを守っていた光のリンゴはすでにない。
何よりそのコハクを守ろうと立ちはだかっているのは、晃太の近くにいたはずのヒスイだ。
全身の毛を逆立てて、フシャーッ、と唸っている。
感想 854
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます 〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯
鳳凰院暁月刃夜婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます
〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯一の調香師でした〜
☆あらすじ☆
王太子から婚約破棄され、家族にも見捨てられた公爵令嬢リリアーナ。
妹をいじめた悪女。
匂いしか分からない無能令嬢。
王妃にふさわしくない女。
夜会場でそう笑われた彼女は、すべてを失った――はずだった。
けれどリリアーナの嗅覚は、ただ香りを嗅ぎ分けるだけのものではない。
人の嘘。
隠された悪意。
病の兆し。
呪いの残り香。
そして、運命の匂いまで嗅ぎ分ける、王国唯一の異能だった。
公爵家を出たリリアーナは、亡き祖母が残した王都の端の小さな香水店「夜明けの瓶」を開く。
最初は誰にも見向きされない店だった。
けれど、眠れない少女を救い、毒を盛られた貴婦人を助け、夫婦の嘘をほどいていくうちに、店は王都中の秘密が集まる場所になっていく。
そんな彼女の前に現れたのは、冷血公爵と恐れられる辺境公爵ヴァルト。
彼は王宮由来の呪いに蝕まれていた。
リリアーナは彼の呪いを解くため、契約婚約を結ぶことになる。
不器用すぎる公爵に守られ、時に振り回されながら、彼女は王宮に隠された大きな嘘へと近づいていく。
なぜ王太子は婚約破棄を急いだのか。
なぜ妹は姉を憎み続けるのか。
なぜ王宮には、焦げた薔薇の匂いが漂っているのか。
無能と捨てられた令嬢は、もう誰かの言いなりにはならない。
「私は、私の鼻で生きていきます」
香水店から始まる、婚約破棄令嬢の逆転恋愛ファンタジー。
ざまぁあり、契約婚約あり、冷血公爵の不器用な溺愛あり。
最後には、彼女を捨てた者たちが気づくことになる。
本当に失ってはいけなかったのは、彼女だったのだと。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
聖女って無給で無休なんですか?じゃあやらないです
こじまき異世界に聖女として召喚されたイラストレーターのチヒロ。しかし聖女には給料も休みもないことを知って「じゃあやらないです」と聖女就任を断る。
「国と人を救う崇高な仕事には、私どもからの感謝を捧げよう」
「心底いらないです」
異世界でまで、やりがい搾取されてたまるかよ。
※小説家になろうにも投稿しています
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
五年も笑わなかった辺境伯の娘が、追放された保育係の令嬢の前で初めて笑った
歩人(あゆと)侯爵令嬢クラリスは、五年間、兄夫婦の公爵家で三人の御子の保育を任されてきた。表向きは「下女扱い」だったが、彼女の保育記録には毎日の歌・手作りの絵札・夜泣きの記録が綿密に綴られていた。「育児など侍女の手伝い。本物の貴族のすることではないわ」兄嫁の侮辱に、クラリスは保育記録帳を置いて去る。訪ねた先は、妻を亡くした辺境伯ロタールの屋敷だった。彼の娘リーリャは六歳、母を亡くして以来、誰の前でも笑わなかった。「五年、御子さま方を見続けたあなたなら、リーリャの心も読めるだろうか」ロタールの不器用な依頼に、クラリスは静かに頷く。春が来る頃、リーリャは初めて声を上げて笑った。クラリスの隣で、ロタールも気づくと微笑んでいた——五年ぶりに。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!
【完結】妹は庶子、文句があるか? 常識なんてぶっ飛ばせ!
青空一夏(ざまぁ×癒し×溺愛)
庶子として公爵家に引き取られたアメリアは、
王立学園で冷たい視線に晒されながらも、ほんの少しの希望を胸に通っていた。
――だが、彼女はまだ知らなかった。
「庶子」の立場が、どれほど理不尽な扱いを受けるものかを。
心が折れかけたそのとき。
彼女を迎えに現れたのは、兄――オルディアーク公爵、レオニルだった。
「大丈夫。……次は、俺が一緒に通うから」
妹を守るためなら、学園にだって入る!
冷酷なはずの公爵閣下は、妹にだけとことん甘くて最強です。
※兄が妹を溺愛するお話しです。
※ざまぁはありますが、それがメインではありません。
※某サイトコンテスト用なので、いつもと少し雰囲気が違いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。