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連載
試運転①
ホークさんが、アルスさんの肩を突いて突き飛ばす。
硬直した私をそのまま後ろに庇い、チュアンさんと共にアルスさんと対峙するように並ぶ。
私と言うと、必死に息を整える。かわいか未成年のドアップ、いかん、しかも純粋無垢。いかん、何かおかしな音がしそうだ。
ふーふー、落ち着けー。落ち着けー。
「ユイさん、大丈夫?」
ふーふー。
エマちゃんが心配してくれる。
「ちょっと私には刺激がね」
強すぎるのよ。もう、ちょっとで再びぺろり事件が発生しそうやった。
息を整えて、ホークさんとチュアンさんの隙間から、アルスさんが見える。すう、と立ち上がり、目を細めるようにして、こちらを見ている。なんだか、いつもの幼い感じが抜けてる。
「すまないテイマーさんっ」
「アルスには言い聞かせるからっ」
ファングさんとリィマさんがアルスさんを回収。
いや、本当に勘弁して。
「姉ちゃん、あいつ、痛いことした」
「あたり前だろっ。あいつはテイマーさんの戦闘奴隷なんだ、主人の身を守っただけなんだから。いいかい? 恋人でもないのに、人前であんなことしちゃいけないのっ」
「…………恋人?」
「そうだよ。ああ、もう、宿でもっかいおしえてやるから」
「嫌、帰らない。ユイちゃんとこいく」
かわいか未成年がユイちゃんですとーッ。
心臓が、心臓が、持たんがなーッ。きゅんきゅん言ってますがなーッ。
はーっ、はーっ、はーっ。
「姉ちゃん、変質者みたいよ」
「はーっ、分かっとるがなっ」
はーっ。
とりあえず、私が落ち着いて、アルスさんはファングさんとガリストさんががっちり掴んでる。
改めてましてご挨拶だ。
「皆さん、先日はせっかくの依頼延長をお断りしてすみませんでした」
ロッシュさんとファングさんがいえいえ、みたいな。
「ユイさん、こちらの方が戦闘奴隷ですか?」
ロッシュさんが首をかしげて聞いてくる。そうだ、山風の皆さんとは面識あったはず。ただ、数日だけだったし、あの時とは装備品も違うしで、一致しないんだね。
「私達の護衛をしていてくれた方達ですよ」
「ああ、あの時の」
改めてご紹介。
「うちに来てもらった『鷹の目』の皆さんです。こちらがリーダーのホークさん、サブ・リーダーのチュアンさん。マデリーンさんとミゲル君。見習いのエマちゃんとテオ君です」
どうも、と挨拶中に、仔達が山風の皆さんに群がっていく。案の定、ハジェル君のポケットに元気がかみかみ。
「ズ、ズボンが下がるっす」
「こら、元気。ごめんねハジェル君」
元気は次にガリストさんにご挨拶。
それから金の虎の皆さんにも、鷹の目の皆さんを紹介する。
「テイマーさん、うちのアルスがすまない。本当にあんたが気に入ったみたいで」
好かれるのは構わないけど。
「本当にぺろりはやめてください。私、アルスさんの倍以上年上なんですから。私が変質者になった気分になってしまいますから」
「本当に申し訳ない」
リィマさんも申し訳なさそうだ。
当のアルスさんは、私をじーっと見てる。キラキラ、キラキラ。いかん、きゅんって音がなりそう。
「あ、そうだ、皆さんお揃いでどうされましたか?」
話題を変えよう。
どちらも依頼を見に来たそうだ。そうだよね。普通は貼り出された依頼書を見て、受けて、行動計画を立てる。私達みたいにリティアさんがピックアップなんてしてもらえない。ひたすらにビアンカとルージュがいるからだ。ちゅどん、どかんでとんでもない数のドロップ品が転がり込むからね。
山風と金の虎は、私達が首都に行った後、気があったのか、数日後に一緒に冷蔵庫ダンジョンに行ったそうだ。
「でも、あのスキップシステムは本当に便利ですね。下から地道に上ると痛感しました」
ロッシュさんがしみじみ。
「それに支援だ。あるとないとじゃ大違いだ」
ファングさんもしみじみ。
「でもやっぱりユイさんのご飯がないのが痛いです」
「そうっす。ユイさん、もうあの依頼出さないんすか?」
マアデン君とハジェル君に、ロッシュさんがこら。
「ユイちゃん、カレー、アップルパイ」
やめて、かわいか未成年や、カレーないけど作りに走りそうになる。ガリストさんがアルスさんの口をそっと塞ぐ。フリンダさんが、優しく注意。
「アルスちゃん、年上の方に、ちゃん、は失礼なのよ。さん、にしないとダメよ」
「うん?」
こてん、と首を傾げるアルスさん。
分かってないみたい。
「ユイさん、今からダンジョンですか?」
髪がすっきりしたシュタインさんが、ルリとクリスをもふもふしながら聞いてくる。
「いえ、今からノワールの試運転です。鞍も出来たので」
「「「「「乗るの?」」」」」
「はい」
そうは言ったが皆さん興味あるみたいで、試運転を見学することになる。
ぞろぞろとギルドを出て、マーファの外に出る。
門番さんが不思議そうな顔してたけど、説明したら、更に不思議そう。え、これに乗るの? みたいな顔されたよ。
マーファ周辺は畑が広がっているため、少し離れてノワールの試運転開始だ。
「ノワール、いい子にね」
「ブヒヒンッ」
「ビアンカ、ルージュ、心配やけん、付き添ってね。始めはゆっくりでね」
『大丈夫なのですよ』
『任せて』
「頼むよ、本当に」
落馬とか笑えない。
ホークさんとチュアンさんが二人がかりでノワールに鞍を着ける。着けたけど、どうやって乗るんだろう? ノワールの体高、結構高いけど。心配したけど、ホークさんは躊躇いもなく、鞍を掴んで軽くジャンプ。身軽に鞍に跨がる。おお、さすが上位騎乗能力。
「ブヒヒンッ」
しかし、ノワールは馬車は牽いても、人を乗せるのは初めてでやはり戸惑いがあるのか、いきなりロディオが始まる。後ろ足で立ち、前肢で空を切る。ひーっ、1t超してるノワール、迫力満点やねんっ。
「ホ、ホークさんっ」
「大丈夫ですっ」
ホークさんは手綱を操り、振り落とされることなく、鞍に乗ってる。すごい、ホークさん、全然ぶれてない。どんなにノワールが仰け反っても、危なげ無く手綱を操っている。
「少し走りますっ」
そう言って、ホークさんを乗せたノワールがいつものように爆走していった。あっという間に見えなくなる。
「あ、ビアンカ、ルージュ」
『私が行くのですッ』
ビアンカが後を追って駆け出していった。
硬直した私をそのまま後ろに庇い、チュアンさんと共にアルスさんと対峙するように並ぶ。
私と言うと、必死に息を整える。かわいか未成年のドアップ、いかん、しかも純粋無垢。いかん、何かおかしな音がしそうだ。
ふーふー、落ち着けー。落ち着けー。
「ユイさん、大丈夫?」
ふーふー。
エマちゃんが心配してくれる。
「ちょっと私には刺激がね」
強すぎるのよ。もう、ちょっとで再びぺろり事件が発生しそうやった。
息を整えて、ホークさんとチュアンさんの隙間から、アルスさんが見える。すう、と立ち上がり、目を細めるようにして、こちらを見ている。なんだか、いつもの幼い感じが抜けてる。
「すまないテイマーさんっ」
「アルスには言い聞かせるからっ」
ファングさんとリィマさんがアルスさんを回収。
いや、本当に勘弁して。
「姉ちゃん、あいつ、痛いことした」
「あたり前だろっ。あいつはテイマーさんの戦闘奴隷なんだ、主人の身を守っただけなんだから。いいかい? 恋人でもないのに、人前であんなことしちゃいけないのっ」
「…………恋人?」
「そうだよ。ああ、もう、宿でもっかいおしえてやるから」
「嫌、帰らない。ユイちゃんとこいく」
かわいか未成年がユイちゃんですとーッ。
心臓が、心臓が、持たんがなーッ。きゅんきゅん言ってますがなーッ。
はーっ、はーっ、はーっ。
「姉ちゃん、変質者みたいよ」
「はーっ、分かっとるがなっ」
はーっ。
とりあえず、私が落ち着いて、アルスさんはファングさんとガリストさんががっちり掴んでる。
改めてましてご挨拶だ。
「皆さん、先日はせっかくの依頼延長をお断りしてすみませんでした」
ロッシュさんとファングさんがいえいえ、みたいな。
「ユイさん、こちらの方が戦闘奴隷ですか?」
ロッシュさんが首をかしげて聞いてくる。そうだ、山風の皆さんとは面識あったはず。ただ、数日だけだったし、あの時とは装備品も違うしで、一致しないんだね。
「私達の護衛をしていてくれた方達ですよ」
「ああ、あの時の」
改めてご紹介。
「うちに来てもらった『鷹の目』の皆さんです。こちらがリーダーのホークさん、サブ・リーダーのチュアンさん。マデリーンさんとミゲル君。見習いのエマちゃんとテオ君です」
どうも、と挨拶中に、仔達が山風の皆さんに群がっていく。案の定、ハジェル君のポケットに元気がかみかみ。
「ズ、ズボンが下がるっす」
「こら、元気。ごめんねハジェル君」
元気は次にガリストさんにご挨拶。
それから金の虎の皆さんにも、鷹の目の皆さんを紹介する。
「テイマーさん、うちのアルスがすまない。本当にあんたが気に入ったみたいで」
好かれるのは構わないけど。
「本当にぺろりはやめてください。私、アルスさんの倍以上年上なんですから。私が変質者になった気分になってしまいますから」
「本当に申し訳ない」
リィマさんも申し訳なさそうだ。
当のアルスさんは、私をじーっと見てる。キラキラ、キラキラ。いかん、きゅんって音がなりそう。
「あ、そうだ、皆さんお揃いでどうされましたか?」
話題を変えよう。
どちらも依頼を見に来たそうだ。そうだよね。普通は貼り出された依頼書を見て、受けて、行動計画を立てる。私達みたいにリティアさんがピックアップなんてしてもらえない。ひたすらにビアンカとルージュがいるからだ。ちゅどん、どかんでとんでもない数のドロップ品が転がり込むからね。
山風と金の虎は、私達が首都に行った後、気があったのか、数日後に一緒に冷蔵庫ダンジョンに行ったそうだ。
「でも、あのスキップシステムは本当に便利ですね。下から地道に上ると痛感しました」
ロッシュさんがしみじみ。
「それに支援だ。あるとないとじゃ大違いだ」
ファングさんもしみじみ。
「でもやっぱりユイさんのご飯がないのが痛いです」
「そうっす。ユイさん、もうあの依頼出さないんすか?」
マアデン君とハジェル君に、ロッシュさんがこら。
「ユイちゃん、カレー、アップルパイ」
やめて、かわいか未成年や、カレーないけど作りに走りそうになる。ガリストさんがアルスさんの口をそっと塞ぐ。フリンダさんが、優しく注意。
「アルスちゃん、年上の方に、ちゃん、は失礼なのよ。さん、にしないとダメよ」
「うん?」
こてん、と首を傾げるアルスさん。
分かってないみたい。
「ユイさん、今からダンジョンですか?」
髪がすっきりしたシュタインさんが、ルリとクリスをもふもふしながら聞いてくる。
「いえ、今からノワールの試運転です。鞍も出来たので」
「「「「「乗るの?」」」」」
「はい」
そうは言ったが皆さん興味あるみたいで、試運転を見学することになる。
ぞろぞろとギルドを出て、マーファの外に出る。
門番さんが不思議そうな顔してたけど、説明したら、更に不思議そう。え、これに乗るの? みたいな顔されたよ。
マーファ周辺は畑が広がっているため、少し離れてノワールの試運転開始だ。
「ノワール、いい子にね」
「ブヒヒンッ」
「ビアンカ、ルージュ、心配やけん、付き添ってね。始めはゆっくりでね」
『大丈夫なのですよ』
『任せて』
「頼むよ、本当に」
落馬とか笑えない。
ホークさんとチュアンさんが二人がかりでノワールに鞍を着ける。着けたけど、どうやって乗るんだろう? ノワールの体高、結構高いけど。心配したけど、ホークさんは躊躇いもなく、鞍を掴んで軽くジャンプ。身軽に鞍に跨がる。おお、さすが上位騎乗能力。
「ブヒヒンッ」
しかし、ノワールは馬車は牽いても、人を乗せるのは初めてでやはり戸惑いがあるのか、いきなりロディオが始まる。後ろ足で立ち、前肢で空を切る。ひーっ、1t超してるノワール、迫力満点やねんっ。
「ホ、ホークさんっ」
「大丈夫ですっ」
ホークさんは手綱を操り、振り落とされることなく、鞍に乗ってる。すごい、ホークさん、全然ぶれてない。どんなにノワールが仰け反っても、危なげ無く手綱を操っている。
「少し走りますっ」
そう言って、ホークさんを乗せたノワールがいつものように爆走していった。あっという間に見えなくなる。
「あ、ビアンカ、ルージュ」
『私が行くのですッ』
ビアンカが後を追って駆け出していった。
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