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結婚式まで⑥
次の日。
ギルドに向かう。仔達は再び寝てしまい。ミゲル君は母のお手伝い。エマちゃんとテオ君は孤児院の炊き出し用の野菜の下拵えの為に、パーティーハウスに残る。
御用聞きの冒険者は、フェリクスさんと、見習いのドロテアちゃん。
「Sランクでも御用聞きするんですね」
母から聞いていたけど、やはりピンと来ない。
「見習い達のいい経験になりますから」
なんでも、他のメンバー3人と別行動で、今はリーダーのフェリクスさんと、見習いの2人だけ。依頼を受けるにしても、ダンジョンに行くにしてもちょっと心細いので、別行動の3人と合流するまで御用聞きをすることにしたと。確かにそんな話だったなあ、パーティーメンバーが休養中にする事があるって。
問題なくギルドに到着。時間がかかるから、フェリクスさんには帰ってもらおうとしたけど、仕事だからと残ってくれた。
晃太は倉庫に向かう。チュアンさんとマデリーンさんが付いてくれた。
私はホークさんといつもの応接室に。ドアにはフェリクスさんとドロテアちゃん。ビアンカとルージュは気ままにごろり。
リティアさんとタージェルさんがいい顔で、直ぐにやってきた。
依頼の期限やらなんやら聞くためだ。依頼となっているフレアタートルのお肉は、コラーゲン生物だからね。賞味期限的なものがある。皆が晃太の様に巨大時間停止のアイテムボックスがあるわけないし。
話を聞く前に、昨日ダンジョンのボス部屋から出た、宝飾品を提出。実は欲しいのがあるんだよね。15階で出た宝飾品。その中に、コハクの目の色を彷彿とさせるピアスがあった、琥珀の石、欲しくなった。
「こちらのピアスが欲しいのですが」
「はい、本来の持ち主はミズサワ様でございます。こちらが、融通してもらっているのですから」
タージェルさんが快くオッケーしてくれた。良かった。その他の宝飾品を提出し、早速タージェルさんがチェックを始める。その間に私はリティアさんと依頼の話をする。
依頼の納入希望日は、セザール様とフェリアレーナ王女様との結婚式の1週間前から2日前に集中している。その頃に、結婚式に出席する人達がマーファに集まるからだ。
「では、結婚式の1週間前に、いえ、その前日には戻って来るようにしますね」
「助かりますミズサワ様」
準備して、冷蔵庫ダンジョンに行かんと。布が出るといいなあ。結局手元にあるシルクやビロードの布、レース生地は、母が仕立てる予定になっていたために、ギルドに回せなかった。申し訳ないが、タージェルさんは、気にしてない様子。
「あれだけ数の布や糸を回してもらいました。十分でございますよ」
いい顔。リティアさんが一旦退室して、今回持ち込んだ物の依頼書の確認だ。
出してもらったお茶を飲みながら、晃太達を待つ。
ほどなくして宝飾品の査定が出る。
「お待たせしましたミズサワ様。いつもミズサワ様がお持ちいただく物は、心躍ります」
ほくほく顔のタージェルさん。
10階 ガーネット・ピンクトルマリン ペンダント 12万
15階 アンバー 指輪 ペンダント 38万
20階 真珠・ダイヤモンド イヤリング ブローチ 髪飾り 580万
25階 タンザナイト・アイオライト・アクアマリン 指輪 イヤリング×2 ペンダント ブローチ ブレスレット 3850万
「4480万でございます」
ちょっとダンジョン行っただけなのにっ。ま、まあ、神様のブーストのおかげやね。これは食費に回そう。仔達もよく食べるしね。うん、食費、食費。
タージェルさんがお金の準備の為に退室、入れ替わりにリティアさんが晃太と共に戻って来る。
「お待たせしましたミズサワ様」
おほほ、とリティアさん。
いつものサインと魔力のルーティーン。ふう。
「はい、確認しました。合計で3088万5500になります」
本当にちょっとダンジョン行っただけなのにっ。か、神様のブーストのおかげやね。
「ミズサワ様、先日持ち込んでいただいた魔物の査定ですが」
まだあったね、忘れとった。
リティアさんが細かく説明してくれる。蛇はシャットアウト。レッサードラゴンは色々コミコミ3500万。討伐料は1000万。お肉はやはり臭いし硬いしで食べられない。勿体ないけど、どうするのかと思ったら、堆肥になるそうだ。冷蔵庫ダンジョンの鮫の堆肥程ではないが、上質の堆肥になるそうだ。革は引き取り、ストヴィエさんが言ったように分厚く重い。まずはノワールの装備品を最優先だ。多少の重さがあっても、ノワールなら大丈夫だろうしね。鞍を依頼した工房にお願いすることにした。加工代がかなりかかるそうだが、予算はあるもんね。今回のドロップ品や持ち込んだ魔物の査定額は、装備品につぎ込もう。明日の午前中に行くことになる。どれだけ革が必要になるか分からないから、確認しないと。付与に関してはリティアさんより、あのスライム部屋で出る王冠スライムのコアを準備した方がいいと、アドバイスを頂いた。やはり、行かないと、スライム部屋。
全部でなんだかんだで5000万越えだ。レッサードラゴンが大きい。確認して、よし、オッケー。
タージェルさんも戻って来て、硬貨を確認。よし大丈夫や。
「ドロップ品の1%を鷹の目に」
「はい」
リティアさんが手早く手続きをしてくれる。
全て終了。
私は挨拶してギルドを後にした。
そのまま真っ直ぐパーカーさんのお店に向かう。丁度お客さんが出た時だったので、お土産を渡して長居せずお暇する。ダイアナちゃんは本日は無料教室の日。残念。お土産はグーテオークションのバザーで買ったクグロフとジャムクッキーの詰め合わせ。喜んでもらえた。パーカーさん達もおかわりないようだしね。良かった。
次の日に、ノワールの鞍をお願いした工房に伺い、レッサードラゴンの革を見せる。デザインは、マーファの騎馬が装備しているのと似たようなデザイン。父が然り気無く渾身のデザインを出したが却下した。日本人丸出しの、流鏑馬の装備品。
ホークさんが、
「素晴らしいですが、装飾が多すぎます」
と。まあ、そうだよね。母が回収していた。
工房主の白髪頭の男性アトリスさんは、しばらくレッサードラゴンの革をチェック。そして悩む。
「あの魔法馬のサイズで馬具となれば、そうですね。他に用途はありますか?」
「いえ。ノワールの馬具が最優先です。余ればポンチョにでもしようかと」
「そうですか、そうなるとですね」
レッサードラゴンの黒っぽい革を、テーブルに広げる。
「革と言うのは、すべて均一な厚さではありません」
そうだね。
「厚さを揃えようと無理に繋げば、そこが弱点になる可能性があり、出来るだけ広い一枚でカバー出来るようにすると、こうなります」
私に断り、アトリスさんがチョークの様なもので簡単に切り出す部分を書き出す。良さそうな所全てを切り出す形になる。残りもあるが、ごわごわだ。
「うまく繋ぎ合わせれば、ポンチョ一枚くらいにはなるでしょう。後はそうですなあ。靴底や、靴先、小型の籠手とか」
靴底、それいいかも。現在しっかりした靴底の物はチュアンさんのしかない。もへじ生活の靴だ。よし、靴にしよう。走り回るし消耗品だし、直ぐには出来上がらないだろうしね。ホークさんは奴隷には勿体ないって言うけど、その分働いてもらいますからね、って言ってみた。全員分の靴底と靴先、私と晃太だけがっちりレッサードラゴンのブーツ。鷹の目の皆さんは他の部分はワイバーンの革にする。
「ワイバーンはいずれ軍隊ダンジョンに行くので、手に入れたらお渡しします」
「承知しました。期間と予算ですが、これだけの馬具です、半年は加工に時間を頂きます。予算にしては約3000万になります。内訳は人件費が約1800万。加工にかなりの量の魔石が必要になり、他にも必要時のポーション、合わせて約1200万。我が工房の上級職人総動員になります。靴に関しては、ワイバーンの革が手に入り次第予算を出します。細かい内訳は、別紙に明日までに書き上げます」
「魔石、持ってきましょうか? 冷蔵庫ダンジョン行くので。ポーションもエリクサー以外ならだいたいありますよ」
アトリスさんは、エリクサーの単語に凍りつくが、にや、と笑う。
「では、手に入れていただければ、それ以降の予算を割けます。必要以上にお持ちになっても、出来るだけ買い取らせて頂きます。特に革はね」
あ、これで、冒険者が独自の販路を得ていくわけね。
「ちなみに何階の革が?」
「上層階の牛や猪の革は大歓迎です。ああ、鹿も滑らかですから是非に。後は付与ですね。ミズサワさんは確かクラウンスライムのコアを手に入れられますね? まあ、3つもあれば、十分かと思います」
「多分10倍は出ますよ」
「それは頼もしい。是非にとも我が工房に回してください」
全員の足とノワールの細かい採寸がすみ、では、後日と工房を後にしようとしたら、アトリスさんが止めてきた。
「ミズサワさん、貴女にお礼申し上げたい」
「はい?」
「末娘の孫娘が貴女が資金を提供した、治験薬で、九死に一生を得ました。本当にダメかと思いましたが、今では元気に走っております。本当にありがとうございます」
深々と頭を下げられる。
ぶわっと胸が温かくなる、嬉しい、嬉しい、良かった。
「管理しているハルスフォン様と薬師ギルドの皆さんの力ですよ」
そう、私はお金を出しただけ。難しい事はすべておまかせしているしね。
私の答えに、アトリスさんは笑みを深くしながら、見送ってくれた。
さあ、明日から冷蔵庫ダンジョンに行く準備して、コラーゲンゲットや。
(やはり、噂通りだな。これ以上目立ちたくないからと、発起人をギルドや伯爵にしてもらったと言うのは。だが、分かるもんには分かる、だけど、誰もはっきり言わないのは、彼女に恩義を感じて明言を避けているだけだ)
アトリスは、身なりのいい戦闘奴隷と、ドラゴンでも蹴散らす従魔達と帰って行くテイマーを、見えなくなるまで見送った。
ギルドに向かう。仔達は再び寝てしまい。ミゲル君は母のお手伝い。エマちゃんとテオ君は孤児院の炊き出し用の野菜の下拵えの為に、パーティーハウスに残る。
御用聞きの冒険者は、フェリクスさんと、見習いのドロテアちゃん。
「Sランクでも御用聞きするんですね」
母から聞いていたけど、やはりピンと来ない。
「見習い達のいい経験になりますから」
なんでも、他のメンバー3人と別行動で、今はリーダーのフェリクスさんと、見習いの2人だけ。依頼を受けるにしても、ダンジョンに行くにしてもちょっと心細いので、別行動の3人と合流するまで御用聞きをすることにしたと。確かにそんな話だったなあ、パーティーメンバーが休養中にする事があるって。
問題なくギルドに到着。時間がかかるから、フェリクスさんには帰ってもらおうとしたけど、仕事だからと残ってくれた。
晃太は倉庫に向かう。チュアンさんとマデリーンさんが付いてくれた。
私はホークさんといつもの応接室に。ドアにはフェリクスさんとドロテアちゃん。ビアンカとルージュは気ままにごろり。
リティアさんとタージェルさんがいい顔で、直ぐにやってきた。
依頼の期限やらなんやら聞くためだ。依頼となっているフレアタートルのお肉は、コラーゲン生物だからね。賞味期限的なものがある。皆が晃太の様に巨大時間停止のアイテムボックスがあるわけないし。
話を聞く前に、昨日ダンジョンのボス部屋から出た、宝飾品を提出。実は欲しいのがあるんだよね。15階で出た宝飾品。その中に、コハクの目の色を彷彿とさせるピアスがあった、琥珀の石、欲しくなった。
「こちらのピアスが欲しいのですが」
「はい、本来の持ち主はミズサワ様でございます。こちらが、融通してもらっているのですから」
タージェルさんが快くオッケーしてくれた。良かった。その他の宝飾品を提出し、早速タージェルさんがチェックを始める。その間に私はリティアさんと依頼の話をする。
依頼の納入希望日は、セザール様とフェリアレーナ王女様との結婚式の1週間前から2日前に集中している。その頃に、結婚式に出席する人達がマーファに集まるからだ。
「では、結婚式の1週間前に、いえ、その前日には戻って来るようにしますね」
「助かりますミズサワ様」
準備して、冷蔵庫ダンジョンに行かんと。布が出るといいなあ。結局手元にあるシルクやビロードの布、レース生地は、母が仕立てる予定になっていたために、ギルドに回せなかった。申し訳ないが、タージェルさんは、気にしてない様子。
「あれだけ数の布や糸を回してもらいました。十分でございますよ」
いい顔。リティアさんが一旦退室して、今回持ち込んだ物の依頼書の確認だ。
出してもらったお茶を飲みながら、晃太達を待つ。
ほどなくして宝飾品の査定が出る。
「お待たせしましたミズサワ様。いつもミズサワ様がお持ちいただく物は、心躍ります」
ほくほく顔のタージェルさん。
10階 ガーネット・ピンクトルマリン ペンダント 12万
15階 アンバー 指輪 ペンダント 38万
20階 真珠・ダイヤモンド イヤリング ブローチ 髪飾り 580万
25階 タンザナイト・アイオライト・アクアマリン 指輪 イヤリング×2 ペンダント ブローチ ブレスレット 3850万
「4480万でございます」
ちょっとダンジョン行っただけなのにっ。ま、まあ、神様のブーストのおかげやね。これは食費に回そう。仔達もよく食べるしね。うん、食費、食費。
タージェルさんがお金の準備の為に退室、入れ替わりにリティアさんが晃太と共に戻って来る。
「お待たせしましたミズサワ様」
おほほ、とリティアさん。
いつものサインと魔力のルーティーン。ふう。
「はい、確認しました。合計で3088万5500になります」
本当にちょっとダンジョン行っただけなのにっ。か、神様のブーストのおかげやね。
「ミズサワ様、先日持ち込んでいただいた魔物の査定ですが」
まだあったね、忘れとった。
リティアさんが細かく説明してくれる。蛇はシャットアウト。レッサードラゴンは色々コミコミ3500万。討伐料は1000万。お肉はやはり臭いし硬いしで食べられない。勿体ないけど、どうするのかと思ったら、堆肥になるそうだ。冷蔵庫ダンジョンの鮫の堆肥程ではないが、上質の堆肥になるそうだ。革は引き取り、ストヴィエさんが言ったように分厚く重い。まずはノワールの装備品を最優先だ。多少の重さがあっても、ノワールなら大丈夫だろうしね。鞍を依頼した工房にお願いすることにした。加工代がかなりかかるそうだが、予算はあるもんね。今回のドロップ品や持ち込んだ魔物の査定額は、装備品につぎ込もう。明日の午前中に行くことになる。どれだけ革が必要になるか分からないから、確認しないと。付与に関してはリティアさんより、あのスライム部屋で出る王冠スライムのコアを準備した方がいいと、アドバイスを頂いた。やはり、行かないと、スライム部屋。
全部でなんだかんだで5000万越えだ。レッサードラゴンが大きい。確認して、よし、オッケー。
タージェルさんも戻って来て、硬貨を確認。よし大丈夫や。
「ドロップ品の1%を鷹の目に」
「はい」
リティアさんが手早く手続きをしてくれる。
全て終了。
私は挨拶してギルドを後にした。
そのまま真っ直ぐパーカーさんのお店に向かう。丁度お客さんが出た時だったので、お土産を渡して長居せずお暇する。ダイアナちゃんは本日は無料教室の日。残念。お土産はグーテオークションのバザーで買ったクグロフとジャムクッキーの詰め合わせ。喜んでもらえた。パーカーさん達もおかわりないようだしね。良かった。
次の日に、ノワールの鞍をお願いした工房に伺い、レッサードラゴンの革を見せる。デザインは、マーファの騎馬が装備しているのと似たようなデザイン。父が然り気無く渾身のデザインを出したが却下した。日本人丸出しの、流鏑馬の装備品。
ホークさんが、
「素晴らしいですが、装飾が多すぎます」
と。まあ、そうだよね。母が回収していた。
工房主の白髪頭の男性アトリスさんは、しばらくレッサードラゴンの革をチェック。そして悩む。
「あの魔法馬のサイズで馬具となれば、そうですね。他に用途はありますか?」
「いえ。ノワールの馬具が最優先です。余ればポンチョにでもしようかと」
「そうですか、そうなるとですね」
レッサードラゴンの黒っぽい革を、テーブルに広げる。
「革と言うのは、すべて均一な厚さではありません」
そうだね。
「厚さを揃えようと無理に繋げば、そこが弱点になる可能性があり、出来るだけ広い一枚でカバー出来るようにすると、こうなります」
私に断り、アトリスさんがチョークの様なもので簡単に切り出す部分を書き出す。良さそうな所全てを切り出す形になる。残りもあるが、ごわごわだ。
「うまく繋ぎ合わせれば、ポンチョ一枚くらいにはなるでしょう。後はそうですなあ。靴底や、靴先、小型の籠手とか」
靴底、それいいかも。現在しっかりした靴底の物はチュアンさんのしかない。もへじ生活の靴だ。よし、靴にしよう。走り回るし消耗品だし、直ぐには出来上がらないだろうしね。ホークさんは奴隷には勿体ないって言うけど、その分働いてもらいますからね、って言ってみた。全員分の靴底と靴先、私と晃太だけがっちりレッサードラゴンのブーツ。鷹の目の皆さんは他の部分はワイバーンの革にする。
「ワイバーンはいずれ軍隊ダンジョンに行くので、手に入れたらお渡しします」
「承知しました。期間と予算ですが、これだけの馬具です、半年は加工に時間を頂きます。予算にしては約3000万になります。内訳は人件費が約1800万。加工にかなりの量の魔石が必要になり、他にも必要時のポーション、合わせて約1200万。我が工房の上級職人総動員になります。靴に関しては、ワイバーンの革が手に入り次第予算を出します。細かい内訳は、別紙に明日までに書き上げます」
「魔石、持ってきましょうか? 冷蔵庫ダンジョン行くので。ポーションもエリクサー以外ならだいたいありますよ」
アトリスさんは、エリクサーの単語に凍りつくが、にや、と笑う。
「では、手に入れていただければ、それ以降の予算を割けます。必要以上にお持ちになっても、出来るだけ買い取らせて頂きます。特に革はね」
あ、これで、冒険者が独自の販路を得ていくわけね。
「ちなみに何階の革が?」
「上層階の牛や猪の革は大歓迎です。ああ、鹿も滑らかですから是非に。後は付与ですね。ミズサワさんは確かクラウンスライムのコアを手に入れられますね? まあ、3つもあれば、十分かと思います」
「多分10倍は出ますよ」
「それは頼もしい。是非にとも我が工房に回してください」
全員の足とノワールの細かい採寸がすみ、では、後日と工房を後にしようとしたら、アトリスさんが止めてきた。
「ミズサワさん、貴女にお礼申し上げたい」
「はい?」
「末娘の孫娘が貴女が資金を提供した、治験薬で、九死に一生を得ました。本当にダメかと思いましたが、今では元気に走っております。本当にありがとうございます」
深々と頭を下げられる。
ぶわっと胸が温かくなる、嬉しい、嬉しい、良かった。
「管理しているハルスフォン様と薬師ギルドの皆さんの力ですよ」
そう、私はお金を出しただけ。難しい事はすべておまかせしているしね。
私の答えに、アトリスさんは笑みを深くしながら、見送ってくれた。
さあ、明日から冷蔵庫ダンジョンに行く準備して、コラーゲンゲットや。
(やはり、噂通りだな。これ以上目立ちたくないからと、発起人をギルドや伯爵にしてもらったと言うのは。だが、分かるもんには分かる、だけど、誰もはっきり言わないのは、彼女に恩義を感じて明言を避けているだけだ)
アトリスは、身なりのいい戦闘奴隷と、ドラゴンでも蹴散らす従魔達と帰って行くテイマーを、見えなくなるまで見送った。
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