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連載
スカイランへ②
「では、皆さん、お願いします」
ちゅどどどどんっ
ちゅどどどどんっ
ちゅどーんっ
ドカーンッ
ドカーンッ
挨拶中なんなけどっ。
サエキ様が王様達の護衛として戻っていったその日、私達は冷蔵庫ダンジョンに入った。
今回はスタートは15階だ。いつものようにスキップシステム。15階に向かい、ボス部屋に並ぶ冒険者パーティーの後ろに並ぶ。冒険者の皆さん慣れたもの、どうもどうもと挨拶を済ませる。並んでいるパーティーは3つ。時間がかかるから、案の定軽く動きたいと、うちの稼ぎ頭達が訴えた。
「他の冒険者の皆さんに迷惑かけんよ」
『分かっているのです』
『大丈夫よ』
「ブヒヒヒンッ」
晃太と鷹の目の皆さん、ウキウキの仔達を見送って、私は1人で並ぶ。
あちこちで爆発音が響いたけど、大丈夫よね? 猪が、空を飛んでるけど。しばらくして晃太達が戻ってきて、やっとボス部屋。で、挨拶をしていたらこれだよ、もう。
『終わったのですー』
『終わったわー』
「ブヒヒンッ」
「もう、挨拶中なんやけど。皆さん、ドロップ品の回収ば」
「「「「「「はい」」」」」」
鷹の目の皆さんは慣れたもの、籠を片手にボス部屋に。私も続く。相変わらずすごかドロップ品。ビアンカとルージュがもぐもぐ、もう知らんよ、また体重増えたら。仔達もモグモグ。うん、食べり。成長期やからね。宝箱も出てきたが罠はなし。中身はオーボエとクラリネットだった。念のために確認したが、ご褒美部屋は出なかった。
「晃太、よか?」
「よか」
ドロップ品のリストを作成している晃太も終わったようだ。
私はボス部屋の前で並んでいるパーティーに声をかける。
「私達は進みますので」
「あ、はい、気をつけて」
先頭の冒険者パーティーのリーダーさんが返事をしてくれる。冒険者の皆さんは、相変わらずだあみたいな顔だったり、言葉を失っていたり、ドン引きしていたり様々だった。
それから16階に移動。
ボス部屋の前には冒険者パーティーが1つまっていた。挨拶して並ぶ。お昼を済ませていると、ボス部屋が開き、土で汚れた男性冒険者が顔を出す。
「俺らは、ひっ、あ、進みますので」
と、私達を見てぎょっとしてたけど、次には落ち着いて、どうも、と会釈したので、私達も会釈。
ボス部屋の復活を待っている間に、食休み。元気がぷりぷり尻尾を振って、前に並んでいる冒険者の皆さんにご挨拶している。く、お尻がかわいか。
「わあ、可愛い」
「ふわふわしてる」
「ウルフって、こんなに懐っこいんだな」
「はわわわわ、可愛い可愛い可愛いぃぃぃ、肉球ぅぅぅ」
最後の人がかなり怪しいが、分かるよ、うん、分かるよ。
そして鼻がどどどーん、と伸びる。
気を良くしたのは私だけではなく、晃太もだ。元気をきっかけに話が進み、支援魔法をかけてた。こちらとしては、スキルレベルアップを図っているからね。こちらからお願いした形にして、晃太は更に戦闘に加わる事に。戦闘と言ってもデバフだけの後方支援だ。ドロップ品や宝箱はすべて向こう持ちにしようとしたが。
「そこまで頂けません。こちらが得ばかりしてます」
「こちらにもメリットありますから」
押し通そうとしたが、申し訳ないと言うので、いっそ共闘しましょうと言うことになる。あまり、こういった口約束はよろしくないが、ビアンカもルージュも危険人物でないと言うので、それを信用する。ホークさんもそれで納得してもらう。私は向こうのリーダーさんと取り分の相談。ドロップ品の3割と宝箱を向こうが得る事になる。誰が開けるって? ビアンカですよ。はい。
しばらくしてボス部屋復活。
晃太が支援を細かくかけていく。この中で、私は注意事項を伝える。
「元気は雷を使います。近くで戦うと巻き込まれますから、気をつけてください」
「はい」
「晃太、よか?」
「ん、よかよ」
向かうのパーティーは4人。『群青の空』リーダーのイザヤさんは風魔法剣士、サブ・リーダーのヴォーンさんは斧士、唯一の女性エイジャさんは弓士、肉球言ってたキナンさんは火魔法を使うヒーラー。全員人族だ。
何時ものように、ホークさんが弓を、マデリーンさんが杖を、チュアンさんは手を構える。仔達もヤル気満々。ノワールもヤル気満々。私も念のためフライパン装備と。よし。今回ビアンカとルージュは援護に回ると。
『いいのですか? 開けるのです』
ビアンカが前肢で、木製の扉を押し開ける。
次々に矢と魔法がボス部屋に放たれる。ルージュも閃光を放ち、光のリンゴを出す。
「ブヒヒヒーンッ」
ノワールがいつもの調子で突撃していき、私達も続く。確か、16階のボス部屋は羊のはず。羊のはずやけど。なんやねんっ、あの後ろにいる闘牛みたいにデカイのはっ。目は真っ赤に血走ってるし、鼻息半端ないし、牙はあるし、角、あれ完全に凶器やんっ。牧場にいて、のんびりのほほんしているのとは、全く別物やーっ。
私達はある程度数が出るのは知っているが、『群青の空』は完全に引きぎみ。まあ、なん十匹もいますからね。
「ブヒヒヒーンッ」
ノワールは恐ろしか羊の群れを蹴散らして行くのを目の当たりにして、現実に引き戻されたのか、素早く展開を始める。
『魔法を使う個体がいるのです』
『動きを止めて集中している素振りがあるのは注意よ』
「だ、そうですーっ」
ビアンカとルージュは前肢を払うと、闘牛のようにデカイ羊が吹き飛んでいく。どんだけの腕力やねん。
仔達も鷹の目の皆さんも次々に恐ろしか羊を倒していく。特に戦闘モードのコハクの動きがいいし、元気の雷は百発百中だ。三人娘も負けずに吼えて魔法を放っている。私は、ひーっ、フライパンを構えたが、エマちゃんとテオ君がおニューの剣で守ってくれる。こちらの未成年は改めてすごかっ。ホークさんは剣に持ちかえ、スッパスッパと切り裂き、チュアンさんの斧もぶれなく首に命中。無属性魔法を覚醒させたミゲル君は、魔鉄の剣だ。長期戦にあのシーサーペントの剣では、まだ厳しいそう。最後の方で、更に大型の羊相手にやっと登場する。マデリーンさんはいつもの樫木の杖で、火の矢を容赦なく放ち、適宜殴ってる。わあ、角へし折れてるけど。きっと晃太の支援魔法の影響やろう、うん、
ほどなくして最後の大型羊、元気の雷を物ともせず、突撃してきた。ヒーッ、凄い迫力ッ。
「ブヒヒヒーンッ」
1t越えの爆走ノワールが正面から受ける。
ガツンッ
大型羊が吹き飛んでいき、壁に激突、そしてドロップ品になる。
ビアンカとルージュも大概だけど、ノワールも大概やね。
「はあ、はあ、う、噂は聞いていたが、ここまでなのか?」
「馬だよな、あれ? 魔法馬だよな?」
「はあはあ、もう、止めなって、あの従魔と一緒にいるなら、普通じゃないのよ」
「はわわわわ、可愛いぃ、肉球ぅ」
『群青の空』の皆さん、それぞれの感想をのべてる。私と晃太はお茶を配る。私はほぼ戦闘してないから疲れてない。
「私達はドロップ品回収しますので、休んでください。合計して3割お渡ししますので」
「はあ」
転がる大量のドロップ品を見て、未だに実感のないイザヤさん。こちらもダウン寸前のミゲル君と疲れはてたコハクを一旦外に移動し、一緒に待ってもらう。
「食べんよ」
『ぎくうっ』
『そ、そんな事しないわ』
「今まさに、あーん、してたのにもう。元気達と外におって、宝箱出たらルージュお願いね」
『分かったのです。元気、こっちに来るのです』
『ヒスイ、ルリ、クリスいらっしゃい』
三人娘は直ぐ来た。元気は可愛い肉球連発しているキナンさんのあとを追っていった。
さ、拾いましょ。
羊っていうと、やっぱりジンギスカンのイメージしかないけど。後は羊毛かな。カートの籠にせっせといれて晃太に搬送。ミゲル君にはビアンカとルージュが付いてるから、ホークさん達も回収に回ってくれ、途中からイザヤさん達も加わる。ふう、終わった。
「ユイさん、宝箱です」
マデリーンさんが教えてくれる。
「ルージュ、お願い」
『任せて……………罠は無いわよ』
「ありがとう、さ、イザヤさんどうぞ」
「あ、はい」
イザヤさんがおずおず開けると、ポーションが3本とビロードの箱1つ。ビロードの中には大粒の赤い石。
「こ、これ、上級ポーションじゃないかっ。石もこんなに大きい。テイマーさん、本当にもらってもいいのかっ」
中に入っていたのが、上級ポーションだったみたいで、イザヤさん達が騒然となる。上級ポーション高いからね。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございますっ」
「イザヤ、すぐに、ミハの奴に持っていこうっ」
「この宝石売れば、治療費なんとかなるよっ」
「リーダー、早く出ようっ」
なんやなんや。
「あ、すみません、興奮してしまって、実は…………」
話しにあったミハさんは、ハーフドワーフの女性の盾士。現在マーファの治療院で入院中。なんでも首都の商会護衛依頼中に、対象を守ろうとして猪系の魔物に弾き飛ばされ大怪我したと。キナンさんの魔法と持っていた中級ポーションで一命は取り留めた。
「護衛の時にはよくある話しなんですけどね。向こうもお見舞い金くれたりしてなんとか払っていたんです」
なんでもそのミハさんが守った対象は、戦闘が怖くて大声出して逃げ出したそうだ。なんて目立つ逃げかたを、まるで的やん。その対象は、商会の跡取り息子。本来ならお見舞い金なんて払わない、だってそのリスク込みでの護衛依頼なのだから。だけど、あまりにもお粗末な跡取り息子の為に、ミハさんが大怪我、申し訳ないと依頼料を2割増しにして見舞い金としたそうだ。だけど、やはり治療費がかかるし、自分達の生活もある。ポーションはフレッシュな傷によく効くが、古い傷には効かない。だけどそれは、火傷して完全にケロイドしたような傷だ。まだ、ミハさんはあちこち骨折して寝たきり状態。まだ、効果が期待できるはずと。そしてその護衛の時に、ミハさんの盾は破損、ヴォーンさんの愛用していた斧も刃が潰れてしまった。
「そうだったんですね」
「これでミハも治ります。あ、他のドロップ品はもういいです」
「そんなわけには行きませんよ、そのミハさんが良くなったら快気祝いにお肉食べさせてあげてください」
ちゅどどどどんっ
ちゅどどどどんっ
ちゅどーんっ
ドカーンッ
ドカーンッ
挨拶中なんなけどっ。
サエキ様が王様達の護衛として戻っていったその日、私達は冷蔵庫ダンジョンに入った。
今回はスタートは15階だ。いつものようにスキップシステム。15階に向かい、ボス部屋に並ぶ冒険者パーティーの後ろに並ぶ。冒険者の皆さん慣れたもの、どうもどうもと挨拶を済ませる。並んでいるパーティーは3つ。時間がかかるから、案の定軽く動きたいと、うちの稼ぎ頭達が訴えた。
「他の冒険者の皆さんに迷惑かけんよ」
『分かっているのです』
『大丈夫よ』
「ブヒヒヒンッ」
晃太と鷹の目の皆さん、ウキウキの仔達を見送って、私は1人で並ぶ。
あちこちで爆発音が響いたけど、大丈夫よね? 猪が、空を飛んでるけど。しばらくして晃太達が戻ってきて、やっとボス部屋。で、挨拶をしていたらこれだよ、もう。
『終わったのですー』
『終わったわー』
「ブヒヒンッ」
「もう、挨拶中なんやけど。皆さん、ドロップ品の回収ば」
「「「「「「はい」」」」」」
鷹の目の皆さんは慣れたもの、籠を片手にボス部屋に。私も続く。相変わらずすごかドロップ品。ビアンカとルージュがもぐもぐ、もう知らんよ、また体重増えたら。仔達もモグモグ。うん、食べり。成長期やからね。宝箱も出てきたが罠はなし。中身はオーボエとクラリネットだった。念のために確認したが、ご褒美部屋は出なかった。
「晃太、よか?」
「よか」
ドロップ品のリストを作成している晃太も終わったようだ。
私はボス部屋の前で並んでいるパーティーに声をかける。
「私達は進みますので」
「あ、はい、気をつけて」
先頭の冒険者パーティーのリーダーさんが返事をしてくれる。冒険者の皆さんは、相変わらずだあみたいな顔だったり、言葉を失っていたり、ドン引きしていたり様々だった。
それから16階に移動。
ボス部屋の前には冒険者パーティーが1つまっていた。挨拶して並ぶ。お昼を済ませていると、ボス部屋が開き、土で汚れた男性冒険者が顔を出す。
「俺らは、ひっ、あ、進みますので」
と、私達を見てぎょっとしてたけど、次には落ち着いて、どうも、と会釈したので、私達も会釈。
ボス部屋の復活を待っている間に、食休み。元気がぷりぷり尻尾を振って、前に並んでいる冒険者の皆さんにご挨拶している。く、お尻がかわいか。
「わあ、可愛い」
「ふわふわしてる」
「ウルフって、こんなに懐っこいんだな」
「はわわわわ、可愛い可愛い可愛いぃぃぃ、肉球ぅぅぅ」
最後の人がかなり怪しいが、分かるよ、うん、分かるよ。
そして鼻がどどどーん、と伸びる。
気を良くしたのは私だけではなく、晃太もだ。元気をきっかけに話が進み、支援魔法をかけてた。こちらとしては、スキルレベルアップを図っているからね。こちらからお願いした形にして、晃太は更に戦闘に加わる事に。戦闘と言ってもデバフだけの後方支援だ。ドロップ品や宝箱はすべて向こう持ちにしようとしたが。
「そこまで頂けません。こちらが得ばかりしてます」
「こちらにもメリットありますから」
押し通そうとしたが、申し訳ないと言うので、いっそ共闘しましょうと言うことになる。あまり、こういった口約束はよろしくないが、ビアンカもルージュも危険人物でないと言うので、それを信用する。ホークさんもそれで納得してもらう。私は向こうのリーダーさんと取り分の相談。ドロップ品の3割と宝箱を向こうが得る事になる。誰が開けるって? ビアンカですよ。はい。
しばらくしてボス部屋復活。
晃太が支援を細かくかけていく。この中で、私は注意事項を伝える。
「元気は雷を使います。近くで戦うと巻き込まれますから、気をつけてください」
「はい」
「晃太、よか?」
「ん、よかよ」
向かうのパーティーは4人。『群青の空』リーダーのイザヤさんは風魔法剣士、サブ・リーダーのヴォーンさんは斧士、唯一の女性エイジャさんは弓士、肉球言ってたキナンさんは火魔法を使うヒーラー。全員人族だ。
何時ものように、ホークさんが弓を、マデリーンさんが杖を、チュアンさんは手を構える。仔達もヤル気満々。ノワールもヤル気満々。私も念のためフライパン装備と。よし。今回ビアンカとルージュは援護に回ると。
『いいのですか? 開けるのです』
ビアンカが前肢で、木製の扉を押し開ける。
次々に矢と魔法がボス部屋に放たれる。ルージュも閃光を放ち、光のリンゴを出す。
「ブヒヒヒーンッ」
ノワールがいつもの調子で突撃していき、私達も続く。確か、16階のボス部屋は羊のはず。羊のはずやけど。なんやねんっ、あの後ろにいる闘牛みたいにデカイのはっ。目は真っ赤に血走ってるし、鼻息半端ないし、牙はあるし、角、あれ完全に凶器やんっ。牧場にいて、のんびりのほほんしているのとは、全く別物やーっ。
私達はある程度数が出るのは知っているが、『群青の空』は完全に引きぎみ。まあ、なん十匹もいますからね。
「ブヒヒヒーンッ」
ノワールは恐ろしか羊の群れを蹴散らして行くのを目の当たりにして、現実に引き戻されたのか、素早く展開を始める。
『魔法を使う個体がいるのです』
『動きを止めて集中している素振りがあるのは注意よ』
「だ、そうですーっ」
ビアンカとルージュは前肢を払うと、闘牛のようにデカイ羊が吹き飛んでいく。どんだけの腕力やねん。
仔達も鷹の目の皆さんも次々に恐ろしか羊を倒していく。特に戦闘モードのコハクの動きがいいし、元気の雷は百発百中だ。三人娘も負けずに吼えて魔法を放っている。私は、ひーっ、フライパンを構えたが、エマちゃんとテオ君がおニューの剣で守ってくれる。こちらの未成年は改めてすごかっ。ホークさんは剣に持ちかえ、スッパスッパと切り裂き、チュアンさんの斧もぶれなく首に命中。無属性魔法を覚醒させたミゲル君は、魔鉄の剣だ。長期戦にあのシーサーペントの剣では、まだ厳しいそう。最後の方で、更に大型の羊相手にやっと登場する。マデリーンさんはいつもの樫木の杖で、火の矢を容赦なく放ち、適宜殴ってる。わあ、角へし折れてるけど。きっと晃太の支援魔法の影響やろう、うん、
ほどなくして最後の大型羊、元気の雷を物ともせず、突撃してきた。ヒーッ、凄い迫力ッ。
「ブヒヒヒーンッ」
1t越えの爆走ノワールが正面から受ける。
ガツンッ
大型羊が吹き飛んでいき、壁に激突、そしてドロップ品になる。
ビアンカとルージュも大概だけど、ノワールも大概やね。
「はあ、はあ、う、噂は聞いていたが、ここまでなのか?」
「馬だよな、あれ? 魔法馬だよな?」
「はあはあ、もう、止めなって、あの従魔と一緒にいるなら、普通じゃないのよ」
「はわわわわ、可愛いぃ、肉球ぅ」
『群青の空』の皆さん、それぞれの感想をのべてる。私と晃太はお茶を配る。私はほぼ戦闘してないから疲れてない。
「私達はドロップ品回収しますので、休んでください。合計して3割お渡ししますので」
「はあ」
転がる大量のドロップ品を見て、未だに実感のないイザヤさん。こちらもダウン寸前のミゲル君と疲れはてたコハクを一旦外に移動し、一緒に待ってもらう。
「食べんよ」
『ぎくうっ』
『そ、そんな事しないわ』
「今まさに、あーん、してたのにもう。元気達と外におって、宝箱出たらルージュお願いね」
『分かったのです。元気、こっちに来るのです』
『ヒスイ、ルリ、クリスいらっしゃい』
三人娘は直ぐ来た。元気は可愛い肉球連発しているキナンさんのあとを追っていった。
さ、拾いましょ。
羊っていうと、やっぱりジンギスカンのイメージしかないけど。後は羊毛かな。カートの籠にせっせといれて晃太に搬送。ミゲル君にはビアンカとルージュが付いてるから、ホークさん達も回収に回ってくれ、途中からイザヤさん達も加わる。ふう、終わった。
「ユイさん、宝箱です」
マデリーンさんが教えてくれる。
「ルージュ、お願い」
『任せて……………罠は無いわよ』
「ありがとう、さ、イザヤさんどうぞ」
「あ、はい」
イザヤさんがおずおず開けると、ポーションが3本とビロードの箱1つ。ビロードの中には大粒の赤い石。
「こ、これ、上級ポーションじゃないかっ。石もこんなに大きい。テイマーさん、本当にもらってもいいのかっ」
中に入っていたのが、上級ポーションだったみたいで、イザヤさん達が騒然となる。上級ポーション高いからね。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございますっ」
「イザヤ、すぐに、ミハの奴に持っていこうっ」
「この宝石売れば、治療費なんとかなるよっ」
「リーダー、早く出ようっ」
なんやなんや。
「あ、すみません、興奮してしまって、実は…………」
話しにあったミハさんは、ハーフドワーフの女性の盾士。現在マーファの治療院で入院中。なんでも首都の商会護衛依頼中に、対象を守ろうとして猪系の魔物に弾き飛ばされ大怪我したと。キナンさんの魔法と持っていた中級ポーションで一命は取り留めた。
「護衛の時にはよくある話しなんですけどね。向こうもお見舞い金くれたりしてなんとか払っていたんです」
なんでもそのミハさんが守った対象は、戦闘が怖くて大声出して逃げ出したそうだ。なんて目立つ逃げかたを、まるで的やん。その対象は、商会の跡取り息子。本来ならお見舞い金なんて払わない、だってそのリスク込みでの護衛依頼なのだから。だけど、あまりにもお粗末な跡取り息子の為に、ミハさんが大怪我、申し訳ないと依頼料を2割増しにして見舞い金としたそうだ。だけど、やはり治療費がかかるし、自分達の生活もある。ポーションはフレッシュな傷によく効くが、古い傷には効かない。だけどそれは、火傷して完全にケロイドしたような傷だ。まだ、ミハさんはあちこち骨折して寝たきり状態。まだ、効果が期待できるはずと。そしてその護衛の時に、ミハさんの盾は破損、ヴォーンさんの愛用していた斧も刃が潰れてしまった。
「そうだったんですね」
「これでミハも治ります。あ、他のドロップ品はもういいです」
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