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連載
年末は①
次の日。
宿でまったり。今日まで宿泊して、明日スカイランの予約していた宿に戻る事になっていた。
午前中は、鷹の目の皆さんもお休みにした。皆さん、装備品の手入れ等してのんびりしている。ホークさんのキズもチェックした。
で、私は昼まで液晶画面とにらめっこ。
『ねえね?』
ヒスイがゴロゴロ言いながら、私の膝に頭を乗せる。よしよし、かいかい。
『どうしたのです?』
『何を悩んでいるの?』
ビアンカとルージュまで来た。
「いや、次の異世界のメニューどれにしようかなってね」
『新しいのですね』
『エビ? 新しいエビ?』
ふんが、ふんが、言いながらデカイ鼻面を押し当ててくる。もう、かわいかね。
マリーナか松ぼっくりなんだけどなあ。うーん、悩む。おしゃれなランチ、がっつりピザ。うーん、うーん。
ビアンカとルージュの鼻息を浴びながら悩む。
結局、松ぼっくりにした。
マリーナは洋食系、それは伯父さんのお店町の洋食みつよしがあるから、いいかなってね。
よし、タップ。
ピザハウス 松ぼっくり 追加されました
よし、今日の夕御飯はピザやね。本日仕事納めの父はピザやそばいりお好み焼き好きだし。私も好きだしね。ピザ、ピザ。
さて、次の異世界のメニューゲットまで、かなりレベルアップしないといけないから、HPで追加しないとね。チェックと。おそらく60万ではなくなっているはず。初めの頃は30万、次が60万だった。ならそろそろ90万くらい必要になるかなってね。予測だけどね。さて、さて。
……………………………………え? 240万?
いきなりーっ? 必要ポイントが倍増しているーっ。
え、てことは、次は単純計算で2年後? 1ヶ月の得られるポイントは約10万だし。でも、もしかしたら、中庭や従魔の部屋の拡張が必要になるかもだし、リフォームも必要になるかもだし。あ、2年、無理。
仕方ないかあ。ああ、残念。まさかポイントの為に、神様に来てください、なんて言えないし。
『ふごーっ』
『ふごーっ』
鼻息、あらか。ビアンカとルージュの期待に満ちた目。まあ、昨日は大活躍やったしね。
シーフードピザなら、エビが乗ってたし。照り焼きチキンピザとか、明太子とポテトピザとかいろいろあるしね。そばいりお好み焼きもあるし。ふう、気持ちを切り替えよ。本来、この世界では口に出来ないものを、この『ルーム』のスキルで運良く手に入れられるだけやし。時空神様にお礼せんとね。よし、夜はピザパーティーや、ぱっ、としよ。アルコールだって解禁しちゃろう。
「はいはい、夕御飯でお目見えよ」
『ねえね? ごはん~』
「夕御飯まで待ってね」
よしよし、かいかい。
昼過ぎに迎えが来て、ギルドに向かう。
ギルドでは応接室でビオーザさんが待っていた。晃太と、ビアンカ、ホークさんが付いてくれる。
「お待ちしておりましたテイマー殿」
話はアイアンゴーレムの件だ。
討伐料や、アイアンゴーレムの引き取りについてだ。アイアンゴーレムのボディは、ほとんどは屑鉄らしい。だけど、コアを守る外皮周囲と人で言う骨の部分は、品質のいい鉱石だそうだ。
「是非に母体アイアンゴーレムを引き取らせてください」
それは構わないけどなあ。少しマーファに持って帰りたいかな。
………………あ、フライパンの材料にしよ。
ビオーザさんと話して、母体アイアンゴーレムだけ引き取りに出す。残りはマーファのギルドに出そ。
「ありがとうございます。それから依頼料に関してですが、3000万になります。坑道の補強に関しては500万となります」
結構な額ッ。ビアンカの日給が250万っ。
「母体アイアンゴーレムはSランクですので、他のアイアンゴーレムはAランク。討伐料が母体が2000万、他が7体で合計1050万になります。それから領主のラーバフ伯爵より報酬として1000万預かっております。支払いはスカイランのギルドで受け取って頂けますか? そちらに伯爵からの個人的謝礼として300万用意されております」
更なる追加ッ。ビアンカとルージュ、仔達、ノワールの食費とシャンプー代やね。
明日、スカイランに戻って、受け取りや。木札を預かる。
それから坑道に向かい、ビアンカによる坑道補強が行われる。あのテント群は人がバタバタと走り回り、物やらが運び込まれている。大変そう、この寒いなか、お疲れ様です。
『ユイ、終わったのです。疲れたのです。甘いの食べたいのです』
きゅるん。
んなことなかろう。これくらいで。
「昨日食べ過ぎや。まあ、小さいのは付けようかね」
がっちりリバウンドしているビアンカとルージュ。せっかく軍隊ダンジョンで減ったのに、しっかり戻っている。お尻辺りぽたぽたしてるよ。存分にもふもふしたけどさ。
『ぶーぶー、なのですー』
『ねえ、ユイ、ちょっと散歩に行ってきて良いかしら?』
「寒くないね?」
『これくらい平気よ。体重減らさないと、お母さん容赦ないもの』
『そうなのですね。ちょっと走ってくるのです』
ただのジョギングやなかろうに。行く先々で、何かとちゅどん、ドカンしてるやろうに。ただ、仔達も行きたそうだし、ノワールもそうだし。
「もう、夕御飯までには帰って来てよ。私、宿で待っとるけんね」
ビアンカとルージュの首にマジックバッグを下げる。
『分かっているのです』
『ちょっと行ってくるだけよ』
そう言って仔達とノワールを引き連れて爆走していった。
私達はディンジィさんに挨拶して、宿に戻る。
まったりしたり、料理の下拵えしたり過ごしていると、夕方、マジックバッグをパンパンにした皆が帰って来たのは言うまでもない。
夕方。
「神様。新しい異世界のメニューです。良かったらいかがですか?」
お祈り。チュアンさんが、熱心に後ろでお祈りしている。
いいのか?
あ、時空神様。
「はい、是非に。ピザです。色んな種類があります」
ありがとう、頂こう。
「神様、何人いらっしゃいます?」
俺一人
商いの神、いまーすっ
鍛冶の神、いまーすっ
不法侵入だと、言ったよな?
ずるーい、時空神ばっかり~
うわーん、うわーん、うわーん
結構、おるやん。
マジックバッグコンビに、闘神様に、魔法の三柱神様ね。フライドポテトにアイスも付けないと。ブーストで散々お世話になってるからね。
すまんな。こいつら、鼻が良すぎて
「いえ、それだけ楽しみにしてもらえて光栄です。ちょっとお待ちください」
私はキラキラとしているチュアンさんに振り返る。
「今から出すので、上にあげてくださいね」
「はい、ユイさん」
まずは定番のマルゲリータ。照り焼きチキンに、シーフード、明太子とポテト、サラミをLサイズで3枚ずつ。ツナコーン、タンドリーチキン、チョリソー、モッツァレラとハム。それから期間限定のデラックスシュリンプ、デラックスクラブを3枚。初めは箱で出てきて驚いたチュアンさんだが、せっせと上げてくれる。えーっと次はシーザーサラダ。フライドポテト。お好み焼きは豚たま、そばいり、明太子入り、シーフード、ミックス、スペシャルミックス。3枚ずつ、と。よし、デザートはカップのアイスを人数分。こちらの世界にはタバスコはあるから大丈夫だね。
ありがとう、いつもたくさん
ありがとうございますっ
ありがとうございますっ
わーい、わーい、わーい
「いえいえ」
今度、そちらに行くからな。恩恵があるらしいし
「はい、是非に」
ポイント、ポイント、ぐふふふふ。
さ、我々もピザパーティーや。
視界にちゃんと入っていますよ、涎だらだら流すビアンカとルージュが。お供え中はずっとおとなしいからね。さて、どうするかね。
照り焼きチキンと明太子とポテトと、デラックスシュリンプかな。仔達には、うーん、キッズ人気のあるツナコーンと、照り焼きチキンかな。タップと。次々に箱が出る。
「ビアンカ、ルージュ、タバスコどうする?」
『タバスコなのです?』
『それは何かしら?』
「辛い液体やね。ピザに少しかけると美味しいって」
私はタバスコなし派やけど。
「試しにちょっと食べてみる?」
『そうなのですね』
『味見するわ』
私は照り焼きチキンピザのワンピースに、タバスコをかける。かけてないのと2枚並べて出して、ぱくり。
『鼻に抜けるのです。あ、辛いのですね』
『わ、私は、ないのがいいわっ。水が飲みたいわっ』
『うーん、私もなくてもいいのです』
どうやらルージュがタバスコダメみたい。ビアンカはあってもなくてもみたいな感じかな。
皿にピザを並べて、はい、どうぞ。
『ガブガブッ。美味しいのですっ。この肉が美味しいのですっ』
『ガブガブッ。本当っ、このエビもいいわっ』
ようございました。仔達ももりもり食べてるし。
さ、我々もピザ、ピザ、そばいりお好み焼き。
今日はアルコールの解禁。私は昨日の事があるので、ノンアルコール缶チューハイ、両親と晃太、ホークさんとミゲル君はビール。マデリーンさんはロゼ。チュアンさんとエマちゃんとテオ君は炭酸飲料。ピザは私達はシーフード、明太子とポテト。そばいりお好み焼き。鷹の目の皆さんには、照り焼きチキン、シーフード、サラミ。そばいりお好み焼きと豚たま。成人組はタバスコ必須のようだ。我が家では私と晃太がタバスコダメ。父がそこそこ、母がたっぷりかける。
「では、いただきますっ」
「「「「「「いただきます」」」」」」
まずは、明太子とポテト。ぱくり。うーん、懐かしい味。日本にいた頃の知り合いに会えないのは寂しいけど、家族がおるし、ビアンカやルージュや仔達やノワールがおるしね。鷹の目の皆さんもいるし、いい方に取ろう。
「ねえ、ユイさん。このお好み焼き、パスタが入ってる」
エマちゃんがそばいりお好み焼きに興味津々。
「これね。私がいた国ではね、地域によって入れる具材が違ったりするんよ。これもその一つね」
「ふーん、食べてもいい?」
「勿論よかよ」
エマちゃんがそばいりお好み焼きをナイフで切り分けて自分のお皿に。私達、箸でごりごりやってたよ。それから、ぱくり。
「わっ、美味しい。このパスタ、普通のパスタじゃないんだね。でも美味しいっ」
「そばやしね。たくさん食べりいね」
「うんっ」
素直でかわいかね。テオ君も取り分けてぱくり、豚たまもぱくり。
「俺、どっちもいいっ」
「そうね。テオ君もしっかり食べり」
「うんっ」
「二人とも、うんじゃない、はい、だ」
ホークさんから注意が飛ぶ。
「「はーい」」
かわいかね。
それからもわいわいピザを食べる。母がタバスコどばどばかけてる。匂いがこっちにまでくるけど、毎回思うが、かけすぎやない?
『なくなったのですーっ』
『ユイ、エビがいいわっ、あ』
私の椅子に衝撃が。
見ると、なんと真っ赤な髪の右の魔法神様。え? お一人様?
「ど、どうしました?」
とりあえず、聞いてみないと。保護者らしき、時空神様も雨の女神様もいないし。ただ、鷹の目の皆さん騒然としてる。チュアンさんはスムーズに膝を突いて、即、白目向いてる。
右の魔法神様、プルプルしてるけど。
「…………………商いのと、鍛冶のが、お芋さんのピザ、食べた~っ。うわーんっ」
なんやそんなことね。ちょっとまった、確か神様にお供えしたの、Lサイズよね? え、あれ、食べたの? 3枚あったよね?
ぐずぐず泣く右の魔法神様。私はとりあえず、ポテトと明太子のMサイズをタップ。
「さ、右の魔法神様、ポテトですよ。椅子に座って食べましょうね。お母さん、お願い」
「ん。さあ、おてて拭いて食べましょうね」
「ぐずっ、うん」
母に任せて、私は迷子さんのお知らせをする。
直ぐに黒髪イッケメンの時空神様が来てくれた、両足に左の魔法神様と真ん中の魔法神様がしがみついてる。
ポイント、ポイント、ぐふふふふ。
「すまんっ、迎えに来た。さ、帰るぞ」
「いやっ、食べるっ」
高音のいやいやいやいやが始まり。頭を抱える時空神様。左の魔法神様も真ん中の魔法神様も椅子によじ登る。母がニコニコしながら、おててふきふき。晃太はコップを出して、リンゴジュースを注ぐ。
結局、魔法の三柱神様が明太子とポテトのピザに満足して、やっとご帰宅。お土産に照り焼きチキン、明太子とポテト、シーフード。ポイント、ポイント、ぐふふふふ。
「いつもすまんな。後で商いと鍛冶をしぼっておく」
「私達は構いません。商いの神様と鍛冶の神様には、ブーストでお世話になっています。私達の生活の糧になっていますから」
ドロップ品に宝飾品がね。それは私達の食糧になるし、お金になるし。ありがたいことだ。
「お前達の支えになっているのなら、良かった」
スマイル。
ひゃーッ、まぶしかーッ。目の保養どこやない、栄養過剰やーッ。
相変わらず、イッケメンスマイルの破壊力は半端なかなあ。
ピザの箱を抱える時空神様の足元には、カップのアイスクリームを持った魔法の三柱神様。バイバイ、と手を振ってる。母がニコニコしてバイバイ。
すう、と姿が消える。
てってれってー
【時空神 魔法の三柱神 降臨確認 ボーナスポイント40000追加されます】
来た来たポイント、ぐふふふふ。
さ、次は。
「チュアンッ、しっかりしろーっ」
ホークさんが軽く平手打ちして、無事生還しました。
宿でまったり。今日まで宿泊して、明日スカイランの予約していた宿に戻る事になっていた。
午前中は、鷹の目の皆さんもお休みにした。皆さん、装備品の手入れ等してのんびりしている。ホークさんのキズもチェックした。
で、私は昼まで液晶画面とにらめっこ。
『ねえね?』
ヒスイがゴロゴロ言いながら、私の膝に頭を乗せる。よしよし、かいかい。
『どうしたのです?』
『何を悩んでいるの?』
ビアンカとルージュまで来た。
「いや、次の異世界のメニューどれにしようかなってね」
『新しいのですね』
『エビ? 新しいエビ?』
ふんが、ふんが、言いながらデカイ鼻面を押し当ててくる。もう、かわいかね。
マリーナか松ぼっくりなんだけどなあ。うーん、悩む。おしゃれなランチ、がっつりピザ。うーん、うーん。
ビアンカとルージュの鼻息を浴びながら悩む。
結局、松ぼっくりにした。
マリーナは洋食系、それは伯父さんのお店町の洋食みつよしがあるから、いいかなってね。
よし、タップ。
ピザハウス 松ぼっくり 追加されました
よし、今日の夕御飯はピザやね。本日仕事納めの父はピザやそばいりお好み焼き好きだし。私も好きだしね。ピザ、ピザ。
さて、次の異世界のメニューゲットまで、かなりレベルアップしないといけないから、HPで追加しないとね。チェックと。おそらく60万ではなくなっているはず。初めの頃は30万、次が60万だった。ならそろそろ90万くらい必要になるかなってね。予測だけどね。さて、さて。
……………………………………え? 240万?
いきなりーっ? 必要ポイントが倍増しているーっ。
え、てことは、次は単純計算で2年後? 1ヶ月の得られるポイントは約10万だし。でも、もしかしたら、中庭や従魔の部屋の拡張が必要になるかもだし、リフォームも必要になるかもだし。あ、2年、無理。
仕方ないかあ。ああ、残念。まさかポイントの為に、神様に来てください、なんて言えないし。
『ふごーっ』
『ふごーっ』
鼻息、あらか。ビアンカとルージュの期待に満ちた目。まあ、昨日は大活躍やったしね。
シーフードピザなら、エビが乗ってたし。照り焼きチキンピザとか、明太子とポテトピザとかいろいろあるしね。そばいりお好み焼きもあるし。ふう、気持ちを切り替えよ。本来、この世界では口に出来ないものを、この『ルーム』のスキルで運良く手に入れられるだけやし。時空神様にお礼せんとね。よし、夜はピザパーティーや、ぱっ、としよ。アルコールだって解禁しちゃろう。
「はいはい、夕御飯でお目見えよ」
『ねえね? ごはん~』
「夕御飯まで待ってね」
よしよし、かいかい。
昼過ぎに迎えが来て、ギルドに向かう。
ギルドでは応接室でビオーザさんが待っていた。晃太と、ビアンカ、ホークさんが付いてくれる。
「お待ちしておりましたテイマー殿」
話はアイアンゴーレムの件だ。
討伐料や、アイアンゴーレムの引き取りについてだ。アイアンゴーレムのボディは、ほとんどは屑鉄らしい。だけど、コアを守る外皮周囲と人で言う骨の部分は、品質のいい鉱石だそうだ。
「是非に母体アイアンゴーレムを引き取らせてください」
それは構わないけどなあ。少しマーファに持って帰りたいかな。
………………あ、フライパンの材料にしよ。
ビオーザさんと話して、母体アイアンゴーレムだけ引き取りに出す。残りはマーファのギルドに出そ。
「ありがとうございます。それから依頼料に関してですが、3000万になります。坑道の補強に関しては500万となります」
結構な額ッ。ビアンカの日給が250万っ。
「母体アイアンゴーレムはSランクですので、他のアイアンゴーレムはAランク。討伐料が母体が2000万、他が7体で合計1050万になります。それから領主のラーバフ伯爵より報酬として1000万預かっております。支払いはスカイランのギルドで受け取って頂けますか? そちらに伯爵からの個人的謝礼として300万用意されております」
更なる追加ッ。ビアンカとルージュ、仔達、ノワールの食費とシャンプー代やね。
明日、スカイランに戻って、受け取りや。木札を預かる。
それから坑道に向かい、ビアンカによる坑道補強が行われる。あのテント群は人がバタバタと走り回り、物やらが運び込まれている。大変そう、この寒いなか、お疲れ様です。
『ユイ、終わったのです。疲れたのです。甘いの食べたいのです』
きゅるん。
んなことなかろう。これくらいで。
「昨日食べ過ぎや。まあ、小さいのは付けようかね」
がっちりリバウンドしているビアンカとルージュ。せっかく軍隊ダンジョンで減ったのに、しっかり戻っている。お尻辺りぽたぽたしてるよ。存分にもふもふしたけどさ。
『ぶーぶー、なのですー』
『ねえ、ユイ、ちょっと散歩に行ってきて良いかしら?』
「寒くないね?」
『これくらい平気よ。体重減らさないと、お母さん容赦ないもの』
『そうなのですね。ちょっと走ってくるのです』
ただのジョギングやなかろうに。行く先々で、何かとちゅどん、ドカンしてるやろうに。ただ、仔達も行きたそうだし、ノワールもそうだし。
「もう、夕御飯までには帰って来てよ。私、宿で待っとるけんね」
ビアンカとルージュの首にマジックバッグを下げる。
『分かっているのです』
『ちょっと行ってくるだけよ』
そう言って仔達とノワールを引き連れて爆走していった。
私達はディンジィさんに挨拶して、宿に戻る。
まったりしたり、料理の下拵えしたり過ごしていると、夕方、マジックバッグをパンパンにした皆が帰って来たのは言うまでもない。
夕方。
「神様。新しい異世界のメニューです。良かったらいかがですか?」
お祈り。チュアンさんが、熱心に後ろでお祈りしている。
いいのか?
あ、時空神様。
「はい、是非に。ピザです。色んな種類があります」
ありがとう、頂こう。
「神様、何人いらっしゃいます?」
俺一人
商いの神、いまーすっ
鍛冶の神、いまーすっ
不法侵入だと、言ったよな?
ずるーい、時空神ばっかり~
うわーん、うわーん、うわーん
結構、おるやん。
マジックバッグコンビに、闘神様に、魔法の三柱神様ね。フライドポテトにアイスも付けないと。ブーストで散々お世話になってるからね。
すまんな。こいつら、鼻が良すぎて
「いえ、それだけ楽しみにしてもらえて光栄です。ちょっとお待ちください」
私はキラキラとしているチュアンさんに振り返る。
「今から出すので、上にあげてくださいね」
「はい、ユイさん」
まずは定番のマルゲリータ。照り焼きチキンに、シーフード、明太子とポテト、サラミをLサイズで3枚ずつ。ツナコーン、タンドリーチキン、チョリソー、モッツァレラとハム。それから期間限定のデラックスシュリンプ、デラックスクラブを3枚。初めは箱で出てきて驚いたチュアンさんだが、せっせと上げてくれる。えーっと次はシーザーサラダ。フライドポテト。お好み焼きは豚たま、そばいり、明太子入り、シーフード、ミックス、スペシャルミックス。3枚ずつ、と。よし、デザートはカップのアイスを人数分。こちらの世界にはタバスコはあるから大丈夫だね。
ありがとう、いつもたくさん
ありがとうございますっ
ありがとうございますっ
わーい、わーい、わーい
「いえいえ」
今度、そちらに行くからな。恩恵があるらしいし
「はい、是非に」
ポイント、ポイント、ぐふふふふ。
さ、我々もピザパーティーや。
視界にちゃんと入っていますよ、涎だらだら流すビアンカとルージュが。お供え中はずっとおとなしいからね。さて、どうするかね。
照り焼きチキンと明太子とポテトと、デラックスシュリンプかな。仔達には、うーん、キッズ人気のあるツナコーンと、照り焼きチキンかな。タップと。次々に箱が出る。
「ビアンカ、ルージュ、タバスコどうする?」
『タバスコなのです?』
『それは何かしら?』
「辛い液体やね。ピザに少しかけると美味しいって」
私はタバスコなし派やけど。
「試しにちょっと食べてみる?」
『そうなのですね』
『味見するわ』
私は照り焼きチキンピザのワンピースに、タバスコをかける。かけてないのと2枚並べて出して、ぱくり。
『鼻に抜けるのです。あ、辛いのですね』
『わ、私は、ないのがいいわっ。水が飲みたいわっ』
『うーん、私もなくてもいいのです』
どうやらルージュがタバスコダメみたい。ビアンカはあってもなくてもみたいな感じかな。
皿にピザを並べて、はい、どうぞ。
『ガブガブッ。美味しいのですっ。この肉が美味しいのですっ』
『ガブガブッ。本当っ、このエビもいいわっ』
ようございました。仔達ももりもり食べてるし。
さ、我々もピザ、ピザ、そばいりお好み焼き。
今日はアルコールの解禁。私は昨日の事があるので、ノンアルコール缶チューハイ、両親と晃太、ホークさんとミゲル君はビール。マデリーンさんはロゼ。チュアンさんとエマちゃんとテオ君は炭酸飲料。ピザは私達はシーフード、明太子とポテト。そばいりお好み焼き。鷹の目の皆さんには、照り焼きチキン、シーフード、サラミ。そばいりお好み焼きと豚たま。成人組はタバスコ必須のようだ。我が家では私と晃太がタバスコダメ。父がそこそこ、母がたっぷりかける。
「では、いただきますっ」
「「「「「「いただきます」」」」」」
まずは、明太子とポテト。ぱくり。うーん、懐かしい味。日本にいた頃の知り合いに会えないのは寂しいけど、家族がおるし、ビアンカやルージュや仔達やノワールがおるしね。鷹の目の皆さんもいるし、いい方に取ろう。
「ねえ、ユイさん。このお好み焼き、パスタが入ってる」
エマちゃんがそばいりお好み焼きに興味津々。
「これね。私がいた国ではね、地域によって入れる具材が違ったりするんよ。これもその一つね」
「ふーん、食べてもいい?」
「勿論よかよ」
エマちゃんがそばいりお好み焼きをナイフで切り分けて自分のお皿に。私達、箸でごりごりやってたよ。それから、ぱくり。
「わっ、美味しい。このパスタ、普通のパスタじゃないんだね。でも美味しいっ」
「そばやしね。たくさん食べりいね」
「うんっ」
素直でかわいかね。テオ君も取り分けてぱくり、豚たまもぱくり。
「俺、どっちもいいっ」
「そうね。テオ君もしっかり食べり」
「うんっ」
「二人とも、うんじゃない、はい、だ」
ホークさんから注意が飛ぶ。
「「はーい」」
かわいかね。
それからもわいわいピザを食べる。母がタバスコどばどばかけてる。匂いがこっちにまでくるけど、毎回思うが、かけすぎやない?
『なくなったのですーっ』
『ユイ、エビがいいわっ、あ』
私の椅子に衝撃が。
見ると、なんと真っ赤な髪の右の魔法神様。え? お一人様?
「ど、どうしました?」
とりあえず、聞いてみないと。保護者らしき、時空神様も雨の女神様もいないし。ただ、鷹の目の皆さん騒然としてる。チュアンさんはスムーズに膝を突いて、即、白目向いてる。
右の魔法神様、プルプルしてるけど。
「…………………商いのと、鍛冶のが、お芋さんのピザ、食べた~っ。うわーんっ」
なんやそんなことね。ちょっとまった、確か神様にお供えしたの、Lサイズよね? え、あれ、食べたの? 3枚あったよね?
ぐずぐず泣く右の魔法神様。私はとりあえず、ポテトと明太子のMサイズをタップ。
「さ、右の魔法神様、ポテトですよ。椅子に座って食べましょうね。お母さん、お願い」
「ん。さあ、おてて拭いて食べましょうね」
「ぐずっ、うん」
母に任せて、私は迷子さんのお知らせをする。
直ぐに黒髪イッケメンの時空神様が来てくれた、両足に左の魔法神様と真ん中の魔法神様がしがみついてる。
ポイント、ポイント、ぐふふふふ。
「すまんっ、迎えに来た。さ、帰るぞ」
「いやっ、食べるっ」
高音のいやいやいやいやが始まり。頭を抱える時空神様。左の魔法神様も真ん中の魔法神様も椅子によじ登る。母がニコニコしながら、おててふきふき。晃太はコップを出して、リンゴジュースを注ぐ。
結局、魔法の三柱神様が明太子とポテトのピザに満足して、やっとご帰宅。お土産に照り焼きチキン、明太子とポテト、シーフード。ポイント、ポイント、ぐふふふふ。
「いつもすまんな。後で商いと鍛冶をしぼっておく」
「私達は構いません。商いの神様と鍛冶の神様には、ブーストでお世話になっています。私達の生活の糧になっていますから」
ドロップ品に宝飾品がね。それは私達の食糧になるし、お金になるし。ありがたいことだ。
「お前達の支えになっているのなら、良かった」
スマイル。
ひゃーッ、まぶしかーッ。目の保養どこやない、栄養過剰やーッ。
相変わらず、イッケメンスマイルの破壊力は半端なかなあ。
ピザの箱を抱える時空神様の足元には、カップのアイスクリームを持った魔法の三柱神様。バイバイ、と手を振ってる。母がニコニコしてバイバイ。
すう、と姿が消える。
てってれってー
【時空神 魔法の三柱神 降臨確認 ボーナスポイント40000追加されます】
来た来たポイント、ぐふふふふ。
さ、次は。
「チュアンッ、しっかりしろーっ」
ホークさんが軽く平手打ちして、無事生還しました。
感想 867
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『既に誓いを結びたる者が、重ねて他者と誓いを立てんとする時、神は後の誓いを認めず』
——証が出なかったのは、わたしが人間だからではない。
長老会に申し立てたのは、解釈の確認だけ。わたしは悪くない、とは一言も書きませんでした。
遡誓の儀で神殿に浮かんだのは、六年前の秋の「成立」と、わたしの三度の「不成立(重複)」でした。
飛べないと捨てられたので、竜ごと出て行きます
「お前は竜に乗れもしない、ただの妻だろう」
竜騎士団長の夫はそう言って、飛べる従騎士の娘を選びましたわ。
ええ、わたくしは飛べません。十二年、地上におりました。
夜明け前に三十一頭の寝息を数え、歯を磨き、爪の砂を取り、冬に毛布を掛け、契約を編んで。——この国でただひとりの「調律者」として。
竜は、人を乗せない生き物ですのよ。竜自身が「乗せてもいい」と決めない限り。そして竜が誰の言葉で頷いてきたか、あの方は十二年、一度もお考えにならなかった。
離縁されて、わたくしは竜舎を出ました。
三日後から、竜は一頭も飛ばなくなりましたの。
怒っているのではありませんのよ。竜は報復をしませんもの。ただ——寂しいのです。
そして来月は、三年に一度の、契約更新日ですわ。
土下座する王妃の座などいらないので、冒険者に転職します。
「私が愛しているのはエルナ。君だけだ」
エルナは自分の夫でありハーメルン王国の国王であるカメルを愛していた。
彼がどれほど自分より隣国の聖女を優先しようとも。
結婚して二年が経っても初夜を迎えたことがなかろうとも。
しかし。
「エルナ。君に失望した。聖女を陥れていじめるとはな。罪を認め、ひざまずいて謝罪するように」
一年に一度の建国記念宴会であり結婚記念日に、カメルはすべての貴族や外国の使節団が見ている前で、エルナに身に覚えのない罪を認めろと断罪した。
愛が壊れるのは一瞬。
だからこそ、エルナはその場でひざまずいた。頭を地面にこすりつけて謝罪した。
「聖女を陰謀にかけた大罪人エルナは、この時間をもって王妃の座から退き、平民となりますことをお許しください。聖女様とどうかお幸せに」
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婚約破棄を受け入れた瞬間、王太子殿下が青ざめました
王都でもっとも華やかな春の夜会。その中央で、王太子エドワードは冷ややかな目を婚約者へ向けていた。
「リリアーナ・フォン・アルベルト公爵令嬢。君との婚約を、ここで破棄する」
会場が一瞬で静まり返る。
リリアーナは淡い金髪を揺らし、静かに王太子を見つめ返した。
「理由を、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「理由など明白だ。君は嫉妬深く、心が狭い。それに比べ、私は真実の愛を見つけた」
そう言ってエドワードが隣へ引き寄せたのは、男爵令嬢のセシリアだった。